「じゃ、DVDかけますね」
飛龍が遊戯室にあるプレ2にのろいのDVDを入れた。
「で、島風。なんで膝の上にいんの?」
「ダメ?」
「いやダメってことないけど……」
いや…あの、君の服装だとスカートが短すぎてね……生の尻が足の上に乗ってきてすごく気持ち悪いんですよね。
「じゃあいいじゃん」
で、背もたれに寄りかかるように俺に寄りかかる。その頭のリボンがさっきからウザい。それ外せよ。
で、更に両隣に二航戦が座り、キャバクラみたいになってしまった。すると、テレビが映る。
「をっ、始まっ……」
言いかけた島風の台詞が止まる。
「…………なに?」
「何が?」
「なんで抱き締めてんの?」
「ぜ、全然怖くなんかないから」
「いや暴露しちゃってるし……ていうかやめて!締まってる!腕折れるから!」
「ぜ、全然盾にするつもりなんかないからな!」
「しかも動機が最低だ!」
なんてやってる間にもDVDは進む。映ったのは井戸だった。
「お、おいおいおいこれってアレだよな?テレビの中に飲まれる奴だよな⁉︎い、いやいや全然ビビってなんかないけど⁉︎」
(かわいい)
(かわいい)
(かわいい)
こいつら……俺の焦ってる顔見て楽しんでやがる……。
「な、なぁ!やっぱやめようよ!こんな事して一体なんの意味があるんだよ‼︎てか見るならお前らだけで……」
「提督、騒がないでください」
飛龍にぴしゃりと言われる。こ、こいつら……!と、思った矢先、井戸から髪の長い女の人がズルリと出てきた。そして、段々とこっちに近付いてくる。
「あああああっ‼︎き、来たァァァァァッッッ‼︎‼︎」
「ちょっ…てーとく!本当に死……ぶふっ!」
「島風ちゃん⁉︎て、提督落ち着いて……」
「ん?このお化け……」
「どうかしたの蒼龍?」
「なんか、艤装着いてない?」
「本当だ。なんかデンドロビウムみたいだよね」
「あれ?これってもしかして扶桑さ……」
「来んなコラァァァァァッッッ‼︎‼︎‼︎」
その瞬間、俺は島風を置いてテレビに向かってドロップキックした。ガシャンッガランッ!と音を立てて後ろに転がるテレビ。
「ハァーッハァーッ」
「」
「」
俺は思わず肩で息をする。よし、悪霊退散。で、俺は振り返った。見ると、二航戦の2人がじと目で俺を睨んでいた。
「な、なんだよ」
「いくらなんでもビビりすぎです」
「ていうか、今取り返しのつかないことしましたよ?」
「あぁ?どういう意味だよ。てかビビってないし」
「いや維持張らなくてもい……」
「…………あれ?」
「……………なんだよ」
二人の目が段々と見開かれる。ついでに島風も。そして、口も唖然としてきた。
「おい、なんだよしつけぇぞ」
「あっ…て、ててっててて…ていっ、ていとく……」
「上手に焼けました〜じゃなくて何言ってんのお前。お前こそビビり過ぎだろ」
「後ろオオおおおお‼︎」
島風に怒鳴られ、後ろを見ると、さっきのお化けがいる。
「あっ」
「オ前ヲ…殺ス……」
ヒイロ?なんて突っ込む前に俺は後ろに倒れる。
「なーんちゃって、ドッキリで……あ、あれ?提督?」
そのまま俺は気絶した。いや、ビビってないけど。
眼が覚めると、医務室だった。で、事情を聞いた。
「つまり、エイプリールフールであることを利用してダブルレウスとトランザムとマウンテンキャッスルとメロン(笑)ではめたと」
全員正座している。
「あ、あの……提督?」
「し、島風ちゃんだけは許してあげて?」
「わ、悪かったわよ!だから許し……」
「は、はやぁい……」
「わ、私はDVDの世界に行けるマシンを作っただけよ!私だけは見逃してくれー!」
謝る五人に俺は笑顔で言った。
「旅行するなら、どこへ行きたい?」
『バーソロミュークマ⁉︎』
そのまま全員、殴るフリで気絶させた。いや、全員ではない。夕張は残した。
「あ、あれ……?」
「ゆ、夕張。その…そのマシンまだ残ってる?」
「え?うん……」
「あの…俺、ガンダムの世界に行きたいんだけど……」
「」
俺は、堪能した。