鎮守府の裏。そこは猫の集まる場所になっている。たまに提督が餌をあげたりしてるし、何より日差しが気持ちいいから。裏なのに。だが、そこにヒタヒタ……と何かが歩いてくる音。深海棲艦戦艦ル級だった。
ル級は鎮守府に向かって主砲を向ける。このままでは猫たちも巻き込まれるが、ル級からまぐろの匂いがするからぺろぺろと舐めている。そして、ル級がニィっと口を歪ませた時だ。
「スペシウム光線!」
青白い光が飛んできて、ル級を一撃で爆破した。その後に着地する提督。
「おーあぶねぇ。そろそろ等身大ふやさねぇとなぁ…」
それと共に、ポケットからミルクとパンを取り出した。
「大丈夫か?おら」
お皿に入れて、猫達の前に出す。すると、猫はもっさもっさと食べ始めた。そんな様子をニコニコ……というよりニヤニヤしながら提督は眺めた。すると、内の一匹が提督をジーっと眺めているのに気がついた。
「お、どうした?」
その猫の目が輝き出す。その瞬間、提督は光に包まれた。
ピンポンパンポーン
※こっから先は提督の台詞はすべて猫語だと思って下さい。
俺は目を覚ました。
「なんだ……?」
なんかヤケに目線が低い。倒れてるのか?とりあえず起き上がるが、大して目線が変わらない。
「なんか…歩きずらい……」
フラフラしながら、とりあえず鎮守府の入り口に向かう。……ヤケに時間掛かったな……俺ってこんなに歩くの遅かったっけ……。そんな事を思いながら中に入る。フラフラしながら歩いてると、ヒョイっと持ち上げられた。
「猫ちゃんなのです!」
…………今なんつったこいつ。
「え?俺が猫?てか降ろせハゲ」
「ニャーニャー鳴いてるわね、可愛いじゃない!」
雷?お前まで何言ってるの?ぶっ飛ばすぞ?タイムスリップするレベルでぶっ飛ばすぞ?
「でもどうして鎮守府の中に猫ちゃんですか?」
「そんなの分からないわよ。飼っていいかしらこれ……」
「司令官に聞いてみるのです!」
司令官ここぉぉぉぉぉッッ‼︎‼︎‼︎なんなんだこいつら!
「聞かなくても平気じゃない?うちに猫もう一匹いるし」
ちょっとまって、俺猫になってんのか……。そういえば確かにうちにもう一匹猫いたな……裏に溜まってんのじゃなくて飼ってる奴。とりあえず、俺は電に抱っこされたまま移動。連れて行かれた先は遊戯室。
「ここが猫ちゃん室なのです。もう一匹いるので、仲良くしてくださいね!」
「じゃあ電、遠征行くわよ!」
そのまま二人は出て行ってしまった。………まじかー猫になってんのか俺。とにかく、そのもう一匹を探そう。と、思ったらナーと鳴き声。
「?」
そっちを振り向くと、さっき目の輝いた猫が立っていた。
「てめっ!お前のせいで猫になっちまったぞてめぇ!」
俺はそいつに殴りかかった。が、そいつは躱して俺の腹に釘パンチする。
「んぐっ!?」
空中で受身を取って着地。
「おまっ……まさか、妹か!?」
「そーだよ。兄ちゃん」