おい、もう番外編やらねぇんじゃねぇのかよ。と、思う方もいるかもしれませんが、許してください。
「で、どういうつもりなの青葉?」
「ですからぁ、提督が兄が弟だったら、加賀さんはどんな感じがいいかのインタビューです。夕張さんと明石さんの共同開発の妄想撮影ヘルメットで」
「………そんなこと、急に言われても」
プイッと顔を赤くしてそっぽを向く加賀。
「ま、まぁ…誰にも見せないなら、いいけど……」
「もちろんです♪あ、加賀さんが欲しいなら1500円で携帯なりDVDなり焼きますよ」
「買うわ」
「ありがとうございます。では、さっそくこちらを被ってください」
「え、えぇ」
「一応ですが、R-18はやめてくださいね。その瞬間はヘルメットが起爆しますから」
「随分と物騒なのねこれ……」
「それで、何か言うことは?」
「………………」
「黙ってちゃ分からないわ。この点数は何と聞いてるの」
「それは……」
加賀は仁王立ちして提督の前で腕を組んでいた。手元には定期テストの用紙が握られている。
「キチンと勉強しなさいと言ったわよね?それなのに何かしらこの点数。授業を聞いておけば30点はとれるわよね?」
「や、あの違うんだよ。古いジャンプが置いてあるとつい読みたくなるだろ?そう考えるとジャンプって恐ろしい魔力を秘めてるよな。つまり、俺は悪くない。ジャンプが悪い……」
「そんなんだからいつまで経ってもあなたは成長しないのよ。部活も習い事も長続きしないし、上手くもならないの。このままじゃあなた、進学どころか進級も出来ないわよ」
それを聞くとかなり項垂れる提督。加賀が時計を見ると、8時を回っていた。
「もうこんな時間……」
晩御飯買いに行かないと……スーパー開いてるかしら……なんてなんて考えながら加賀は財布だけ持って家を出た。
(少し、言い過ぎたかしら……)
なんて若干、反省しながら夜道を歩いていると、ガッとすれ違う人と肩がぶつかった。
「あっ、すいません」
「はぁ?姉ちゃん人にぶつかっといてごめんで済むと思ってんの?」
いやごめんとは言ってないけど……と、心の中でつぶやく加賀。
「慰謝料払えよ。金出せコラ」
「ふざけないで。悪いけど急いでるの」
言いながら逃げようとする加賀の肩を掴む不良。
「ふざけんなはテメェだろ。良いから金出せってんだよ!」
囲まれてしまった。表情は変えないものの、内心はかなりビビっている加賀。そんな時だった。
「はい、そこまで〜」
不良がロケットのごとく垂直に舞い上がった。股間を下から蹴られ、一番星となった。
「大丈夫か、姉ちゃん」
「提督……なんで、ここに……」
数秒後、地面に頭からめり込む不良三人だった。
「ふぅ…あー肩疲れた」
なんて言う提督にガバッと抱き付く加賀。
「うおっ!?ちょっ…あーああ姉上ぇっ!?」
「ていとく……怖かった……グスッ」
「……あー…うん。それな?」
「こういう時くらい、何かカッコイイこと言ったらどう?」
「や、俺にそういうの期待すんなよ」
そう言うと、加賀を抱き返す提督。
「でも、どうしてこんなところにいたの……?」
「え?あ、いやジャンプ買うの忘れてたから買いに来ただけ。そしたらたまたま見付けたから吹っ飛ばした」
「そう、だったの……定期テストのこと、反省してないのね……」
「あっやべっ」
ギクッと声を漏らす提督。ついクスッと笑ってしまう加賀だった。
「それで、提督……お願いがあるのだけれど」
「何?」
で、家。提督と加賀は同じ布団に入った。
「あの…姉ちゃん?」
「何?」
「なんで一緒に寝て……」
そこまで言うと、加賀は提督の腕にキュッとしがみ付く。
「怖かった」
「あーはいはい…普段の魔女並みに恐ろしい姉ちゃんはどこ行ったんだか……」
「何か言った?」
「戻って来た!」
それで、加賀はスッと目を閉じた。
(大好きよ、提督……)