えーっと、好きね。うん。好き……それはつまり……、
「あぁ。ありがと。俺も好きです」
「えっ?」
ボッと顔を真っ赤にする加賀さん。
「ていうか、アレだ。人にこんなに直接好きと言われたのは初めてなんで、ていうか人に好かれたのが初めてです。うん。だから今、結構感動して泣きそうなんすわ」
「ほ、本当に……?」
「あぁ。ていうか、だからこれからもよろしくお願いします。加賀さん」
ポロポロと涙を流す加賀さん。やべっ…俺も涙が……、
「やっと…俺に初めて友達が出来た……」
「………………は?」
一気に目が腐る加賀さん。
「本当に嬉しいです。加賀さんがまさか、俺と友達になってくれるなんて……」
「あの、どういう意味?」
凄い形相で睨んでくる加賀さん。
「や、あの……好き=友達になろうじゃないんですか?」
「…………はぁ?」
「え?」
「あなた…それは本気で言っているの?」
「や、そりゃ本気ですけど……」
やべぇ…ヤベェよ……黒い炎が………。と、思ったら嬉しそうな顔になった。
「まぁ、それでもいいわ」
「へ?」
「提督の一番最初の友達、それだけでまずは十分ね。では、チョコ受け取りなさい」
「あ、あぁ…ありがとうございます……」
そのまま加賀さんは戻った。俺はしばらく海を眺めた。我ながら白々しいと思った。が、振って泣かれるくらいならこうやって逃げた方がいいな。
今のが愛の告白だったことくらい分かっている。そして、俺には結婚願望や「彼女が欲しい」などの考えはない。俺なんかと付き合っても女の子を幸せにしてやる自信がないからだ。
だが、だからと言って振って悲しませたりすると、出撃に支障が出たりするかもしれないし、こっちも罪悪感が残る。それくらいならこうして誤魔化したほうがいいと思った。
それでも、加賀さんに気付かれる可能性はないとは言えない。だから、代わりと言ってはあれだけど、用意しとくか。
次の日、執務室に加賀さんが来た。
「失礼します。お呼びでしょうか」
「あ、来た来た」
PSPをしまってデッカい封筒を取り出そうとしたら、手を掴まれた。
「ゲーム。没収します」
「…………ごめんなさい」
取られてしまったが、まぁいい。で、俺はその封筒から箱を取り出した。
「…………え?」
「本当はこれ、捨てる予定だったんですけど、良かったら受け取ってください」
加賀さんはそれを手に取り、開けると指輪が入っていた。ケッコンカッコカリの。
「まぁ、今はまだ99じゃないですけど、そこは自分で頑張って」
「………………」
しばらく固まる加賀さん。
「友情の証って奴です」
それだけ言うと、俺は再びDSを着けた。それを没収しながら加賀さんは笑顔で、そして涙を流しながら言った。
「ありがとうございます」
ま、そんなわけで友達が出来た。
前の話をやってから、ずーっと悩んだ結果、行き当たりばったりでやりました。すごくごめんなさい。