もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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バレンタイン3

 

 

 

 

 

さて、そろそろ部屋戻るか。あのチョコどうしようかな…ケロロ軍曹の単行本には貰いすぎたチョコを夏美がケーキにしてたけど……俺にケーキを作るスキルはない。料理はまだ研究中だ(ソーマとトリコに影響されたとは言えない)。どうしよっかなぁ……あんなに食ったら鼻血止まらねぇよ。ただでさえ、昨日シャワー浴びてる時、シャンプー洗い流してふと鏡見たら流血してたのに。

まあ、とにかく全部部屋に帰ってから決めよう。そう思った時、執務室の前で深呼吸してる瑞鶴を見付けた。

 

「すーはー……」

 

「膝と手足の運動〜」

 

「1、2、さ…って、提督さん!?いつからそこに!?」

 

「now」

 

「なんで英語!?」

 

「で、なんか用?」

 

「あう……」

 

「いやセーフ」

 

「いやアウトじゃなくて!」

 

「じゃあアウトロー?」

 

「お願いだから黙って!」

 

お願いされたので黙った。すると、向こうはなぜかまた深呼吸。そして、顔を若干赤らめながらもバッと手を出した。

 

「これ!私からの気持……」

 

「ヘッキシッ!………ごめっちょっ…ぶっぴぃー!(←鼻をかむ音)……あースッキリした。ん?何?」

 

「なんでもないわよ。これ、中に青酸カリ入れとけば良かったわ……」

 

「なんだよ……まぁいいや。ありがと」

 

それだけ言ってチョコをありがたく頂戴する。

 

「ていうか、そんなにチョコもらったんだ。一つくらい食べたの?」

 

「金剛のだけな。急かされたから。あ、鳳翔さんと間宮さんに俺、しばらく飯いらないって言っといて。あと保険証の準備だけ」

 

「へ?なんで?」

 

「糖尿病になって帰ってくるかもしれないじゃん」

 

「あー……頑張ってね」

 

そのまま瑞鶴は去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、執務室。机の上に足を置いてカードを眺める。やっぱ月の書は抜けないよなぁ……でもミラーフォースとかあるだけで助かるし、でも剣闘獣にミラーフォース入れた所でってのもあるしなぁ。てか今の時代、いや最近の遊戯王はよく分からんけど剣闘獣が生き残れるのか?

ま、こんなんやっててもデュエルする相手がいないんだけどね。

 

「あーもうっ!」

 

バッとカードの塊を空中にぶん投げた。その瞬間、ガチャッと入ってくる木曾。

 

「提督、入るぞ」

 

「……………おぉ!」

 

すげぇ……無数の遊戯王のカードが宙を舞う中、そこに一人立つ男……ゲフンゲフン、木曾。スゲェ絵になる。俺はそう判断した瞬間、携帯でパシャっと撮った。

 

「なんだよ?」

 

「や、なんでもない。で、なんか用か?」

 

「お、おう。えーっとだな……」

 

なにをソワソワしてるんだこいつは……。

 

「こ、これなんだけど……」

 

スッと差し出されたのはまた綺麗にラッピングされた小さな箱、

 

「びっくり箱か?」

 

「ち、ちげぇよ!そ、その…チョコだ……」

 

「あぁ、こいつはどうも。しかし木曾もチョコとか作るのかー」

 

「な、なんだよ。いいだろ別に」

 

「や、お前からもらうと男からチョコもらってるみたいで気持ち悪い絵面になると思ったんだけど……」

 

「てめっ……!」

 

「そうでも無かったわ。なんか意外と乙女っぽいなお前」

 

「ッッ〜〜〜!?お、おまっ……俺が…○△□※%#〜〜ッッ!?乙女っ!?」

 

「いや知らんけど。つーかお前今なんつった?なんつったの?」

 

「う、うるせーバーカバーカ!じゃあな!」

 

「お、おう……」

 

そのまま勢いに任せて出て行こうとする木曾はピタッと止まった。忘れ物か?

 

「その…中の手紙、ちゃんと読めよ」

 

「え?なに手紙入ってんの?」

 

「いいから読めよ!じゃあな!」

 

バタンッと閉まるドア。扉の向こうで「木曾ー!可愛かったクマー!」「にゃー!」「んなっ!てめぇら聞いてやがったな!」「乙女だね木曾っち」「乙女ですね北上さん♪」なんて声が聞こえた。球磨型はみんな仲良いね。うん、なにより。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。ふぅ……大体片付いたか。執務室のジャンプ。もう自分の部屋に置けなくて仕方なく仕事部屋にも侵食しつつあるジャンプ。いやこれが意外に艦娘に人気なんだよな。みんな秘書艦の時に読みふけってく。おかげで毎日仕事サボれる。

まぁそんなことはさておき、チョコでも食うか。結局、いろんな奴からチョコもらったなぁ……。さて、とりあえず部屋に置いてある奴をと思って部屋に入った。

 

「さぁ、私と夜戦しよう」

 

全身をチョコレートにコーティングした川内がいた。ていうか全裸にチョコレートコーティング。その癖、顔は真っ赤だ。

 

「なにしてんの?」

 

俺は写メだけ撮って鎮守府LINEに流した。その瞬間、川内の目元に浮かぶ涙。

 

「うっ……」

 

「あれ?」

 

「うわあぁぁん……やっぱりこうなったぁ……」

 

あー…誰かに騙されたのか?その可能性はあるな。まぁこんなクレオパトラ的な作戦に出たからなぁ。

 

「如月めぇ……」

 

「お前駆逐艦に騙されたのかよ!」

 

思わず反射的に声が出た。が、余りにも泣き止まない。

 

「あーほら泣くなよ。えっと、シャワー浴びてきな。そんなチョコ塗れだとゴキブリ寄ってくるんじゃね?ほらその扉の向こうシャワーだから」

 

「うん……ありがと……」

 

そのままグスンとしゃくりあげながらシャワー室へ向かう川内。あーあ、布団干さないと……。てかこれもう捨てようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、川内から普通のチョコをもらって帰した。洋服は俺のジャージを貸しといた。ヤケに嬉しそうな顔してたなあいつ……で、今は海岸にいる。加賀さんに呼び出された。

 

「お待たせしました」

 

「あ、加賀さん」

 

普段の服の上にコートを着てマフラーを巻いてる加賀さん。俺は一方通行と同じ服装。いやコスプレとかじゃないよ?

 

「なんか用ですか?この後、山になったチョコを処理しないといけないんですが……」

 

「好きです。チョコ、受け取ってください」

 

「…………はっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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