もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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拾った

 

 

と、いうわけで目出度く榛名の奴隷となった提督だおっ☆と、無理矢理にでもテンション底上げしないと心が折れそうだった。榛名はやたらと嬉しそうに俺の手を引いて歩く。やべぇ…マジでなにさせられるんだ俺。

榛名に連れられて来たのは遊戯室。あーそういえばまだ艦娘と仲良くなることを諦めてなかった時に作ったんだったか。その遊戯室の中には文月、菊月、皐月、阿賀野、能代、夕張、最上がそれぞれ遊んでる。

 

「スーパーパイロットを舐めるなよ!」

 

「すーぱーぱいろっとをなめるなよぉ!」

 

「おい!キャプテンアッシュは私だと言っただろ!文月はゼハートだと何度言ったら…」

 

「ねぇ、僕やっぱりガンダムごっこは嫌だよ。責めてポケモンにしようよ」

 

誰だ駆逐艦、それも睦月型にAGEなんて見せやがったのは…。

 

「駆逐艦は元気だね。ねぇ阿賀野ね…」

 

「この宇宙からヴェイガンを一掃する!」

 

おい、阿賀野がジジットかよ。正反対もいいとこだろ。

 

「えーっと…メイプルに一万課金、と……」

 

おい、誰だこの部屋にパソコンと夕張置いたの。てかカオス過ぎだろこれ。

 

「あ!提督助けてよ〜この部屋の監督役、僕もう疲れちゃった…」

 

え、なに監督役とかあるのこの部屋。そこで、榛名が部屋に入り、声を上げた。

 

「ちょっといいかなー?」

 

その声に反応して全員がこっちを向く。

 

「あ!司令官だぁ〜」

 

「ほう、ナトーラ艦長とは珍しい」

 

「どうしたの司令官!」

 

おい、ナトーラ艦長女性だろうが。

 

「今日は提督が遊んでくれるそうですよ?」

 

は?

 

「ホントにぃ〜?」

 

「やったー!」

 

いややってないんだけど。

 

「や、俺仕事あるから」

 

「榛名が終わらせました。どっかの誰かさんが寝たふりしてる間に」

 

なんだと?新しい言い訳が必要だと悟って考えてると、文月と皐月が飛びついて来る。

 

「やったぁ!司令官、僕外に行きたい!」

 

「私もぉ!菊月ちゃんのガンダムごっこつまらなかったんだぁ〜」

 

おい、文月そういうこと言うな。菊月泣いちゃったぞ。慰めるように菊月の頭を撫でてやってると、阿賀野も飛び付いて来た。

 

「わーい!阿賀野も行く!」

 

「ちょっと阿賀野姉!この後は部屋でポケモンやるって言ったじゃん」

 

「へ?そだっけ?」

 

「はぁ…もういいよ…」

 

なんか勝手に外に行くことになってしまった…。まぁいいか。

 

「そういえば榛名はこれでいいの?なにかして欲しいことがあったんじゃ…」

 

「榛名は提督がみんなと仲良くしてくれればそれで大丈夫です」

 

あぁ、やっぱり榛名はいい子だった。

 

「じゃ、外行きたい奴は着いてこい」

 

それだけ言うと、「やっぱり冥帝の黒衣のがいいかしら…」とかブツブツ言ってる夕張を置いて全員鎮守府の外に出た。

 

 

 

 

 

 

外。俺はてっきり街の方に行くのかと思ってたが、睦月型は意外にも海岸へ向かった。そのまま水を掛け合ったり、蟹を探したりして大はしゃぎ。榛名も阿賀野姉妹も駆逐艦の相手をしている。海なんていつも見てるだろうに…。

 

「楽しそうだね提督」

 

隣から最上が声をかけて来た。

 

「あぁ、俺と遊びたいって言ったのに俺に絡んでこない辺り、本当は俺なんていてもいなくても良かったんじゃねぇの?って思うくらい楽しそうに見えるわ」

 

「違うよ。提督と一緒にいるだけで僕達は楽しいし嬉しいんだよ」

 

「なにそれ、俺ってそんなファンシーキャラみたいな能力あったっけ?グッズにしたら売れそうだなおい」

 

「うん…とりあえずその思考だけは駆逐艦の子達に知られちゃいけないね……」

 

なんだよ。別に変なこと言ってないだろ。

 

「てか最上も一緒に遊んでやれよ」

 

「僕はいいよ。提督と一緒にいたいもん」

 

「は?それって……」

 

「しれーかーん!来て来てー!」

 

呼ばれた先には文月。岩の上で俺を呼んでいた。

 

「行って来なよ提督」

 

「お前は?」

 

「僕はお呼びじゃ無いもん」

 

「もがみんさんもー!」

 

「……そうでもないみたいだけど?」

 

「…そだね」

 

そのまま二人で文月の方へ。

 

「文月ちゃん危ないよ?そんな所で…」

 

「こんなの拾っちゃった!」

 

文月が見せ付けて来たのはヲ級の幼体だった。

 

「「えええええええっっ!!!」」

 

な、な、なんでこんなもん落ちてんだよ!てかなんでお前はそれを鷲掴みしてやがる!怖いものなしか!ジャイアンか!お前の物は俺の物なのか!?

 

「どうかしました提督?」

 

「な、なんでもない!それより榛名は皐月達が波に流されないように見ててくれ!」

 

「は、はい」

 

で、最上と二人で文月の元へ。

 

「なぁにこれぇ?」

 

なんだかわからん物を拾うな。

 

「どうするよ最上…」

 

「本来なら海に返すかトドメを刺すのが正しいのかもしれないけど…」

 

「えぇ〜?殺しちゃ可哀想だよぉ」

 

だからって敵艦を鎮守府に入れるのもなぁ…。

 

「まぁ、怪我してるみたいだし、一応手当だけでもしてやるか…」

 

「ありがとぉ〜」

 

「大丈夫なの提督?」

 

「まぁなんとか隠すさ。あ、でもこれは三人だけの秘密だからな?特に文月、お前は口を開くなよ」

 

言うとコクコク頷く文月。いやそうじゃねぇよ…もう面倒だからそれでいいや。

 

「じゃ、俺はこいつ手当してくるから最上はあの辺頼むわ」

 

「はーい」

 

ヲ級を抱えてバレないように執務室へ。そのまま私室のシャワーを捻り、裾を捲ってヲ級の体と頭を軽く流してやる。すると、目を覚ました。

 

「大丈夫か?」

 

その瞬間、ちっこい艦載機みたいなので爆撃してくる。

 

「ぅおわぁっ!なんで!?いや分かるけど落ち着け!」

 

「コ、コナイデ……」

 

その瞬間、バタバタとシャワー室の前に人が集まる。俺は鍵を閉めた。

 

「どうしました提督!?」

 

加賀さんの声だ。

 

「風呂の中で転んじゃった!てへぺろ!」

 

「なんか爆発音するけど」

 

「うおぉ!シャンプーとダイナマイト間違えたぁー!」

 

「もう一人は誰といるの?」

 

「この前リカちゃん人形買ったんだよね!」

 

「………」

 

「………」

 

そのまま無言で出て行かれた。確かに今の言い訳は自分でも無いと思いました。まぁ、ヲ級がバレなかっただけマシか。と、思ったら暴れたせいか、ヲ級が倒れ、お腹がグゥ〜っと鳴った。

 

「あぁ、ようやく大人しくなった…空腹ってすごい」

 

で、予め持って来ておいた絆創膏と消毒液でなんとか手当てした、ふぅ…気が付けば俺の腕からも血が流れてる。まぁここは風呂場だから流しとけばいいか。

風呂場から出て私室。内側から鍵を閉めて、夜食ようにとっておいた唐揚げ(冷食)とサイダーを引っ張り出して温める。

 

「ほら、食えるか?」

 

言うと、ヲ級はアムアムと食べ始める。で、気が付けば眠ってしまったようだ。ふぅ…まぁなんとかなったな。俺も疲れた。とにかくしばらく一緒にいてやるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、僕(最上)は海にいたみんなと鎮守府に入った。

 

「なんでさっきから黙ってるんだよ文月」

 

「………」

 

ふぅ、文月ちゃんがこの様子なら大丈夫そうかな。問題なのは提督だ。さっき物凄い爆発音がしたけど大丈夫かな…みんなには「陸奥さんじゃない?」って言ったら納得してくれた。陸奥さんが聞いたら泣いて悲しむぞ。

 

「ねぇ文月!」

 

皐月ちゃんがしつこく尋問している。すると文月は紙に文字を描いて皐月ちゃんに見せた。

 

『しれーかんが、をきゅうのこをひろつてないしょにしろつていわれた』

 

「えええええっ!!」

 

僕の声に五人はビクッとする。なんで!なんでバラすの!?他の子達は現代語訳に手間取ってるが、僕は一発で分かった。走って執務室へ向かう。だが、廊下ですれ違った。

 

「最上、どうした?」

 

「文月ちゃんが一発でバラした!」

 

「ええええええっ!な、なんでだよぉっ!」

 

その瞬間、解読し終えた後ろの連中が走ってくる。

 

「提督!ヲ級ってどういうことですか!?」

 

「貴様、まさかスパイか!?」

 

「提督!能代達を裏切るなんて…」

 

あわわっ!どうしよう!と、思ったら提督が僕に耳打ちする。

 

「最上、すまん」

 

「ほぇ?どういう…うわぁっ!」

 

お姫様抱っこされた。

 

「ちょっと提督!恥ずかしいよ!どういうつもりなの!?」

 

「なに!?お腹痛いのか最上!?」

 

「……はぁ?」

 

「少し待ってろよ!」

 

そのままどっか連れて行かれる。お姫様抱っこしたまま執務室のドアをドロップキック。盛大にドアが吹き飛ぶが、絶対に直すの手伝わないからね?で、奥にある提督室へ。中ではヲ級が寝ていたが、目を覚ました。提督は提督室の鍵を閉める。

 

「ち、ちょっと!どういうつもりで…」

 

「最上!その子を服の中にいれるんだ!」

 

何言ってんのこの人?

 

「ちょっと落ち着いて!?」

 

「早く!」

 

渋々、僕はヲ級を洋服の中に入れる。まるで妊娠したみたいになってしまった。それと同時にドアがバンバン叩かれる。

 

「提督?すこしはなしがあるのだけど」

 

加賀さんまで外にはいるようだ。提督がドアを開ける。外では先頭に榛名さんと加賀さん。他の子達もその後ろに控えていた。このメンツの中で提督はどんな言い訳をするつもりなのか。

 

「い、いやー。俺と最上の間に子供が出来ちまったよ」

 

いや無理だろ!無理があるだろ!

 

「」

 

「」

 

全員が全員、何言ってんだこいつみたいな目で提督を見る。

 

「あの、提督…?」

 

加賀さんに聞かれるが提督は聞こえない振りして続ける。

 

「いやぁあんまりにもこいつが激しくするもんだから10秒でここまで育っ」

 

気が付けば手が出ていた。

 

「な、な、なななにを言ってるのかな提督は!?」

 

多分、僕の顔真っ赤。そのまま提督の胸ぐらを掴んで揺する。

 

「ば、バカなの!?まだ結婚もしてないのにどんな嘘ついてるのかな!?そういのはもっと仲良くなってから…」

 

「おまっ、揺らすと、出るから…」

 

「出ないよ!」

 

「いやそっちじゃなくて…」

 

その瞬間、ぼとっと、ぼとっと僕の服の中からヲ級が床に落ちた。全員、固まる。だが、すぐに我に返った提督がシャウトした。

 

「う、生まれたぁぁぁっっ‼︎‼︎」

 

「だから無理があるっつーの!」

 

渾身のグーパンチ。提督は後ろのタンスに撃沈した。

 

「最上」

 

透き通るような声。振り返ると、加賀さんが鬼の形相で立っていた。

 

「どういうことかしら?」

 

あははー詰んだわ。

 

 

 

 

 

で、最上が大方の事情説明。俺は頭の上に乗って頬を引っ張って来るヲ級の相手をしていた。

 

「…と、いうわけなんだけど」

 

「そうね。本来なら海に返すのが正しいんでしょうけど…」

 

チラッと加賀さんが膝の上のヲ級を見る。ヲ級は「テートクー」と繰り返しながら俺の頬やら髪の毛やらを引っ張る。

 

「なんか偉く懐いてるわね」

 

「なにしたんですか提督…」

 

「風呂に入れてあげて怪我手当してやっただけだ」

 

榛名は普通に呆れてるが、加賀さんはチラッチラッとヲ級を見ては顔を赤くする。

 

「そ、そうね。上層部にバレなければいいんじゃないかしら?」

 

あー加賀さん堕ちたね。榛名やら最上は驚いてるが、確かにロリヲ級可愛いもんな。

 

「では住む部屋を決めましょう。その、ヲ級ちゃんさえよければ一航戦の部屋に…」

 

「テートクノヘヤ!」

 

加賀さん、涙目。

と、いうわけで鎮守府に新しい仲間が出来た。

 

 

 

 


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