もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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節分

 

 

 

 

節分である。なんでもこの文化を作り上げた人物は豆で鬼を撃退できると思い込んでいるらしい。そんなことが出来るならわざわざ大きな桃からガキを生む必要ねえだろ。お爺さんお婆さんでも豆さえ持ってりゃ鬼なんて怖くない。まだゴキブリの方が怖い。

そんなことを考えていると、加賀さんがまたたくさん書類を持って執務室に来た。

 

「鬼は外」

 

「なにバカなことやってるんですか……」

 

投げた豆は全て食われた。

 

「ほらな?鬼なんて豆じゃ倒せねんだ」

 

「私を鬼と言いたいのかしら?」

 

おら、それだよ。そういう顔と台詞が鬼っぽいんだよ。

 

「いいだろ別に。赤城と組んで泣いた赤鬼でもやってくださいよ。まぁ怖がられてるのはどっちかっつーと加賀さ…」

 

その瞬間、俺の眉間に豆が突き刺さった。なんで豆が刺さるんだよ。俺が眉間にシワを寄せて豆を追い出すと、加賀さんが俺の机に書類と角を置いた。

 

「では今夜、鬼役をお願いしますね」

 

「ちょっと待ってくださいよ。俺より鬼っぽい奴たくさんいるでしょう。加賀さんとか、榛名とか、鳳翔さんとか、能代とか」

 

「いずれこの鎮守府は提督にとって鬼しかいなくなるわね。ごめんなさい。駆逐艦の子達にもう鬼が出ると言ってしまったの。よろしくね」

 

「鬼ババァ」

 

「殺しますよ?」

 

「ほらそういう所が鬼なんですよ」

 

「殺しますよ?」

 

「すいませんでした…」

 

この女……、まぁいい。俺に鬼をやらせる以上、鬼になりきってやるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。俺は入り口から入った。待ち構えている駆逐艦達。

 

「来たわね鬼……って、司令官かあ……」

 

「ていうか司令官、責めて変装しようよ……」

 

「おそーい!」

 

失望する暁、皐月、島風。

 

「まあ待てお前ら。今から鬼になればいいんだろ」

 

俺は言いながら、変身音叉を取り出す。ピィィィィンと弾くと、俺の体に紫色の炎が宿る。

 

「え?提督?」

 

「なんか…やばっ…」

 

「はぁっ!」

 

仮面ラ○ダー響鬼となった。

 

「ほら、鬼だぞー」

 

言ったら、本気の絶叫で駆逐艦達は逃げて行った。あの…なんで?

 

「あの…豆、投げないの……?」

 

加賀さぁーん!なんて声がした。おいやめろ、シャレにならないから……。と、思ったら声はどんどん広がり、榛名に鳳翔さん、能代に大和に長門、おいおい武蔵まで呼ぶのかよ……。気が付けば大人に囲まれていた。

 

「あなた、何者ですか……?」

 

警戒した様子で加賀さんが聞いてきた。

 

「や…あの、提督ですけど……」

 

「嘘は付かないで。提督は人間です」

 

「あの、声で分からないかな。これでも提督で…」

 

が、追い出された。

 

 

 

 

 


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