もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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入渠

 

 

 

入渠が終わり、体を拭いて着替えようとした時だ。着替え持ってきてねぇや…。どうすっかな。スカイウォークが使えない今、こっそりと上空から自室にも入れない。

どうしようか考えてると、あの…ほら、旅館とかで良くあるなんてったっけ?浴衣?あれが置いてあるのが見えた。なんだ、こんなん用意されてたんだ。

でもおかしいよー?一着しかないんですが…普通、お風呂から上がった人用なら責めて十着はないとマズイよな。誰かが置いといてくれたのか?

ま、いーや。それなら普通に借りよう。えーっと、帯はこんな感じでいいよな。っし、OK。

入渠ドッグから出て、携帯を弄りながら自室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

※能代視点

 

能代は困っていた。前にいる三人が暴走をやめないからだ。三人とはもちろん、日向、川内、飛龍。さっき、わざわざ入渠ドッグに浴衣を置きに行った。

 

「あっ出てきたよ」

 

川内さんの声で日向さんと飛龍さんはそっちを見る。

 

「あの、三人とも。やっぱこういうのやめた方が…」

 

「きゃあぁぁぁっ!か、可愛い!可愛いよ提督!」

 

「バカ!声がデカイぞ川内!」

 

「あなたもでかいわよ!って言ってる私もね!」

 

なんて騒がしい。能代は三人の肩をチョンチョンと突つく。

 

「あの…」

 

「「「なに?」」」

 

「もう提督、行っちゃいましたけど」

 

「「「えっ!?」」」

 

追い掛けた。でも、なんだろこの違和感。なんか提督に、違和感が……、

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、出撃。別に服とか破けてたわけではないのですぐに着替えて(私服)艤装を付けた。相変わらず川内さんたちははぁはぁと息を乱しながら観察していたが、能代は提督の違和感が取れずにいた。

ちなみに艦隊は能代、提督、川内さん、飛龍さん、加賀さん、羽黒さんの六人。戦艦?オールラウンダーの提督がいるので問題ない。

 

「よしっ!行くぜ!」

 

提督が声を張り上げてる中、羽黒さんが能代に聞いてくる。

 

「あの…能代さん。あの子は、新しい子ですか?」

 

「あー…あれ、提督なんです」

 

「し、司令官さん!?」

 

「ん?どうかした羽黒?」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

振り返る提督に謝る羽黒さん。そのまま無限ループに入りそうだったので能代が話を進める。

 

「夕張さんが作った薬飲んであぁなっちゃったんですよ。ほら、妹提督の時と同じ」

 

「そ、そうだったんですか…なんか、可愛らしいですね」

 

そんなわけで出撃。旗艦は加賀さんでしばらく海の上を滑る。

 

「ていうか提督、随分すんなり馴染んだね。その靴」

 

川内さんが提督に話し掛ける。

 

「え?や、だってこれ慣れでしょ」

 

「まさか、演習一回で慣れたの?」

 

「え?うん?」

 

天才かこの人……。

 

「敵艦隊発見!」

 

加賀さんの鋭い声で全員、いや提督を除いて引き締まった顔になる。出てきたのは軽空母二、戦艦一、駆逐三。

 

「飛龍!」

 

「分かってます!」

 

「行けよ!ファング!」

 

合計十一機の艦載機が飛んで行った。

 

「あれ?提督は?」

 

能代が惚けた声を出す。そう、確かに提督の姿がない。言われて全員キョロキョロと探すが、羽黒さんが指を指した。

 

「あの、あれ…」

 

提督が艦載機の上に乗っていた。全員、呆れる。

 

「何してるのかしらあのバカは…」

 

マズイ…頭に来てるのか加賀さんの頬が引き攣ってる。そんなことも知らずに提督が暴れるに暴れ回っていた。その時、能代は気付かなかった。川内さんと飛龍さんがニヤニヤしていることに。

二人は提督が向こうにいるのに平気で攻撃を仕掛ける。

 

「はぁ!?あのバカども……っ!」

 

提督のそんな声が聞こえた。で、しばらく爆風の中、向こうに浮いてるのは提督だけだった。が、恥ずかしそうに顔を赤くして胸を隠している。中破したようだ。

 

「お前らぁっ!俺がいるの分かってて撃っただろ!」

 

「ごめーん。でも提督がピンチに見えたからさぁ」

 

まったく悪びれる様子もなく川内さんが謝った。まさか、この人達…提督と入渠したいだけでは…?

 

「とにかく、中破した以上は撤退します。提督、後で覚えてなさい」

 

加賀さんにジロッと睨まれるが、恥ずかしがってるのか聞いちゃいない。

 

「うぅ…外で半裸になるのがこんなに恥ずかしいことだったなんて…」

 

そりゃそうですよ…まぁ普段から恥じらいない人だとは思ってましたけどこれはこれで新鮮な感覚かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、入渠中。加賀さんにこってり絞られた後、艦載機に乗ってごめんね的な意味合いで妖精さんと一緒に。

しかし、艦娘面白かったな。これなら毎日こっそり一人で出撃してもいいかもしれない。なんて考えてると、飛龍と川内が入ってきた。

あれ?こいつら被弾したっけ……。

 

「お、よう」

 

「お疲れ〜さっきはごめんね〜」

 

「別に。痛くなかったし」

 

二人は俺と同じ湯船に入ってくる。

 

「あのさお前ら…中身男のまんまだぞ?」

 

「そんなことはいいからいいから。しかしあれだね。胸ちっさいね」

 

「そりゃ男だから…つかお前凝視し過ぎ…」

 

「触ってもいい?」

 

「はぁ!?なんで…ひゃうっ!」

 

へ、変な声出ちまった……。

 

「てかなに触って……!」

 

「あ、川内ずるい!私も!」

 

「いや私もじゃなくて!」

 

や、やばいやばいやばい!こいつら目が据わってる!

 

「お前らマジで……!やめっ…」

 

「提督かわいい〜」

 

クッソ…こいつら元に戻ったら木星旅行に行かせてやる…!そう決心した時だった。

 

「何を、しているのかしら?」

 

ブリザード並に冷たい声。加賀さんが立っていた。その肩には妖精さんたちがひょこっと顔を出している。

 

「げっ!加賀さん!」

 

そっか…妖精さんたちが助けを読んでくれたのか…。結局、二人は一ヶ月外出禁止となった。

 

 


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