もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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あだ名2

 

 

 

 

あの後、加賀さんと北上と鈴谷にボロクソに言われ、鳳翔には一番響く無表情の無言の圧力の攻撃。こんな感覚は久しぶりだ。小学生の時の学級討論会で新任教師と口喧嘩の末、泣かしてしちゃった時のクラスの俺に対する対応振りだ。

 

「あの…ごめんね提督……」

 

「や、瑞鳳は悪くないよ。うん…これ誰が悪いんだろうな…」

 

「五割は提督でしょ…五割は…私、かも……」

 

「や、だから瑞鳳は悪くないって」

 

「でも、どうするの?特に加賀さんと北上さんなんてうちの鎮守府のエース級だよ」

 

「まぁ…もう許してもらうのは無理だろうしなぁ。他の正規空母と雷巡レベリングかなぁ…」

 

「それで、いいの…?」

 

「いいもなにも…悪いのは俺なんだから俺に選択権はないだろ。まぁなんとかするよ、雷巡は木曾がいるからいいとして、正規空母は…ジャンケン大会で」

 

「そうじゃなくて!」

 

会議室にいたらバンッ!と机を叩きそうな勢いで瑞鳳は言った。

 

「穴を埋めるとかじゃなくて!人間関係はそれでいいのって聞いてるの!」

 

「よ、よくないです!」

 

即答してしまった…年下の女の子怖い。ていうかどの女の子も怖い。

 

「でもなぁ…一度ぶっ壊れたもん戻すのって中々難しいと思うんだよなぁ。俺もこの前、ジオングのMGぶっ壊れて接着剤でくっ付けるのに二日くらい掛かったし」

 

「よく人間関係をプラモで例えられるね…。じゃなくて、とにかく仲直りするの!私にだって責任少なからずもあるんだから、なんとかしてあげたいと思うし!」

 

「でもなぁ…すぐに謝っちまうのは日本人の悪い癖…」

 

「いいから謝りに行くよ!」

 

「り、了解です!」

 

はぁ…まぁ俺が悪いしなぁと思いつつベッドから降りる。なんやかんやで時刻は18:00を回ってる。明日に引き延ばすともっと面倒臭くなりそうだ。それに、その、なんだ?俺だって早く仲直りしたいとは思うし。

 

「じゃ、ちょっくら行って来るわ」

 

「頑張ってね!」

 

そのまま俺は医務室を出た。瞬間だった。赤城さんが走ってこっちに来る。

 

「提督!鎮守府内に深海棲艦が!」

 

「なんでそうなるのぉぉぉっ!?」

 

どんなタイミングだよ。てかなんでそんな簡単に侵入を許してんだよ。今日の見張り役は誰だ!って、そんな場合じゃない!

 

「赤城さんは艦娘を避難させてくれ!」

 

「提督はどうするつもりですか?」

 

「俺にはやらねばならないことがある」

 

「提督…分かりました!」

 

そのまま、瑞鳳とともに赤城さんは走り出す。

さて、俺のやるべきことをしに行くとしよう。とりあえず執務室から財布を取りにいかないと、避難する時に必要最低限の物がないと困るしね!それとこの前買ったヴィクトリーのHG、まだ未完なんだよな…取りにいかないと。

 

 

 

 

 

「コッチ、コナイデ……」

 

俺の目の前には深海棲艦、おそらくヲ級と思われる奴がいる。執務室に向かってる最中にこの様だ。くっはは…、

 

「ははは……」

 

「………?」

 

「なんかもう笑えて来るな…」

 

「ナニガ、オカシイ……?」

 

「殺せよぉ神様ぁっ!」

 

俺の声にヲ級はビクッとする。

 

「俺のことが嫌いなんだろ!?俺もお前なんて大嫌いだバーカ!」

 

「………?」

 

はぁ、はぁ…なんて言ってる場合じゃない。とにかく、俺はこの危機を乗り越えなければならない。

 

「オマエヲコロス…」

 

「ヒイロかお前は。まぁいい、俺を甘く見るなよ、俺は俺なりに防衛術を持ってるんだ」

 

「ナニ…?」

 

と、言っても艦載機だのなんだのを持ってる奴に突っ込むほど俺はバカじゃない。

 

「俺は知っている」

 

「……?」

 

「お前らのような深海棲艦を正すのは、友情でも努力でもない。無償の、愛だ」

 

そして、頭に手を当て、腰を振りながら深海棲艦に近付いた。

 

「抱きしめてやるぞぉっ!こんなチャンス、滅多にないんだ!ヤァホォォォォウッ!」

 

その瞬間、驚愕の表情を見せて逃げ出すヲ級。逃がさんぞ。

 

「ヤァホォォォォウッ!ヤァホォォォォウッ!ヤァァホォォォォォォウゥッッ‼︎‼︎」

 

「ナ、ナンダコイツ…!」

 

ちなみに、艦娘が周りにいないのをきちんと確認している。赤城や瑞鳳がちゃんと逃がしてくれたはずだ。

そして、行き止まり間で追い詰めた。奴が逃げるといえば、横の艦娘用の風呂しか無い。その風呂も、赤城や瑞鳳のおかげで誰もいないはずだ。ありがとう国木さん。あなたの愛のおかげで、俺は艦娘を守れそうです。

 

 

 

 

 

艦娘用風呂場。

 

「ホンットに提督ってば最低なんだから!」

 

「だよねぇ、ずほっちに手を出すとはねぇ」

 

「私はまだ未婚だというのに…どうかしました加賀さん?」

 

「それにしても外がヤケに騒がしいですね。どうしたんでしょうか?」

 

 

 

 

 

風呂場の外。さぁ、追い詰めたぜ!

 

「やっほぉぉい!やっほぉぉい!やっほぉぉい!」

 

「ホ、ホントコナイデ!キモイ!」

 

その瞬間、艦載機を飛ばしてきやがった。避けようにも、腰なんて振ってたから反応が遅れ、爆撃されてしまった。

 

「がはっ……」

 

「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

くっそ…これまでかよ……。あと少しだってのに……。

 

「提督!?」

 

聞き覚えのある声。見ると、加賀さん、北上、鈴谷、鳳翔さんが風呂場から出てきた。

 

「お前ら、なんで……」

 

「頭に来ました、空母ヲ級……!烈風!」

 

「ギッタギタにしてあげましょうかねっ!」

 

「さてさて、突撃いたしましょう!」

 

「私はバツイチじゃない!」

 

おい、一人だけおかしいぞ。誰か突っ込め。が、その時の四人は強かった。空母ヲ級が泣いても許さずボコボコにしてた。で、四人で俺の元へ駆け寄ってくれる。

 

「大丈夫ですか提督!?」

 

「なんで一人で深海棲艦なんかと戦ってるのさ!危ないよ!」

 

「す、鈴谷達を助けてくれるのは嬉しいけど、無茶しちゃダメだよ!」

 

「まだ腕も治ってないのに…」

 

あぁ…なんだろう。心が痛む。でも仲直り出来るチャンスだし、このまま流れに乗っちまうか。

 

「や、加賀さん達に謝りたくて…ひどいことしちまったから…」

 

「だ、だからってこんな無茶しないで!」

 

「そうだよ!これ以上心配させないでよ!」

 

「全く…バカなんだから…」

 

「ほら、医務室に戻りましょう」

 

そのまま鳳翔さんに背負われて医務室へ運ばれた。あぁ…心が痛む。

 

 

 

 

 

 

「……で、仲直り出来たんだ。良かったね提督!方法は最低だけどね」

 

「うるせぇ。結果オーライだ」

 

とりあえず、瑞鳳に事後報告(?)だけしておいた。まぁ、うん、瑞鳳がいなかったら謝ろうともおもわなかったからな。

 

「ところでさ、私のあだ名はなんだったの?」

 

「へ?」

 

「ほら、やっぱ気になるじゃん。ずほっちとか?」

 

「や、その…言わなきゃダメか?」

 

「誰のおかげで解決出来たの?」

 

「…………し」

 

「………え?」

 

「…ず、ずいずいずっころばし」

 

その瞬間、瑞鳳が顔を真っ赤にしながら立ち上がり弓を構えた。

 

「あの時の寝言は私のことかぁぁっ!」

 

「ぎゃあぁぁぁっ!!」

 

 

 

 

10秒後、加賀さんが執務室に入ってきた。

 

「提督、たった今瑞鳳が随分怒った様子で出て行きましたけど、なにかありました?」

 

「加賀さん…助けてください……」

 

 

 


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