食堂で雷撃戦中。
「おいこれどうすんだよ…綾波。なんとかならないのこれ…」
「そうそう、こんな感じでいつも喧嘩してるんですよ〜」
「いや見てるからわかるよ。こんな感じ、じゃなくてこれまんまだから」
なんて言ってる中も二人の喧嘩は止まらない。「だ、ダメなのですー!」「これはなかなかいいものだ」「全然良くないわよ!誰か止めてー!」なんて駆逐艦の子達の声が聞こえる。だが、その瞬間に雷の一言が響いた。
「もうっ!暁なんて大ッッ嫌いッッッ‼︎‼︎」
しばらく沈黙。雷が食堂を走って去る音だけが響いた。で、沈黙を破ったのが暁の泣き声だった。
「う、うわあぁぁん……雷のばかぁ……」
あーあ…どうすんのこれ……流石の綾波も黙っちゃってるよ………。が、駆逐艦はこういう事態には慣れているようで、電は雷を追い掛けて綾波はすぐに暁を慰めに行き、他の子達は片付けを始めた。
さて、俺はこの手の喧嘩は苦手だ。なんせ幼過ぎる。まぁ幼い分、ちゃんと話せば分かってもらえるのもあるが、まず俺がちゃんと話せない。これは能代辺りに頼んだ方が良さそうかな。てなわけで俺は逃げることにした。
執務室のソファー。俺はなにしに執務室に来たのかど忘れした結果、妹が仕事してる中(能代の監視付き)、俺はヲ級をお腹の上で昼寝させて全力でニヤニヤしながらゲームをしている。
「ちょっと能代、あいつムカつくんだけど」
「いいから集中してください。提督もゲームならご自分の部屋でやりなさい」
「いや確か能代に用があったと思ったんだけど…なんだったかなぁ…お、こんなところで氷結晶取れるんだ…」
「嘘!どこどこ!?」
「妹さんは仕事してください!」
能代が怒鳴り、渋々仕事に戻る妹。すると、バタンッ!とドアが開かれた。
「じれいがあぁあん!」
暁だった。
「ヒルデガーン?」
「なんだっけそれ?」
「いいから妹さんは仕事してくださいよ…」
「ドラゴンボールの映画だよ」
そんな会話を他所に暁は入ってくる也、妹に飛び付いた。
「あらどうしたの?」
「い、いがずちに、ぎらわれたぁぁぁ………」
「分かったから離れて?鼻水付けたらはっ倒すからね?」
ぶびびびーっと能代の渡したティッシュで鼻をかむ暁。で、ようやく落ち着くと話し始めた。
早い話が一週間前に暁が雷のぬいぐるみに穴を開けてしまい、その仕返しで暁の帽子に穴を開けられ、仕返しに砲撃したら喧嘩になったという。穴あきすぎだろ。
俺の中将の先輩(嫌われてる。俺が)の作戦並みに穴だらけだぞ。
「それで、どーしたいの?」
妹が聞くと暁は「仲直りしたい…」と答えた。
「そう、あたしも協力してあげたいけど仕事があるだよね…」
「なら能代が…」
「能代はあたしを見張らなきゃいけないし…あ、あそこに手が空いてるのが一人いるわね」
その瞬間、ギュルンッとこっちを向く暁。
「いや俺ゲーム中だから」
「能代〜艦隊の問題を解決するのも提督の務めよね?」
「え、えぇ」
「特にうちは二人提督いるんだからそういうのは助け合うべきじゃん?」
「ま、まぁそうですね」
「おい待てハゲコラ。なに綺麗事並べてんだ。俺は絶対…」
「テートク……」
「ほ、ほらヲ級が起きちゃった!俺、こいつの世話しないといけないから!」
と、思ったらヲ級は妹の膝の上に乗ってまた睡眠。あいつ猫なの?
「決定ね。暁、あの愚兄がなんとかしてくれるって」
「おまっ!ふざっ!」
反論してやろうと思ったら抱き着かれた。
「お願い。司令官…」
おかしい…あんまりだ……。