もし、俺が提督だったら   作:単品っすね

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能代の章
シード覚醒


 

 

 

 

夏。俺が学生ならすでに夏休みになっていただろう季節。ゴールの見えない宿題(書類)に追い込まれている。どうして夏場に限って深海棲艦はたくさん出現するのだろうか…お前らのおかげで自由研究で家作れるんじやねぇの?ってレベルで書類が溜まってるんだぞ。

大体、深海に住んでるんなら日の光に当たりすぎると干からびたりするもんじゃねぇの?うちのヲ級を見ろ。室内にいるのに干からびるもんだから常に水の入った桶の中だぞ。

 

「テートク。水、ヌルイ」

 

「はいはい……」

 

エンドレス書類から抜け出して冷蔵庫からヲ級専用のデッカい氷を取り出し、桶に入れてやる。すると、「ハフゥ〜…」と、温泉に入ってるオッさんみたいな声を上げるヲ級。

 

「よし、やめよう」

 

そう決意して俺は書類で紙飛行機を折る。無論、ただの紙飛行機ではない。三つ折ると、一つずつ飛ばす前に叫んだ。

 

「シン☆アスカ、コアスプレンダー!行きます!」

 

そして三つずつ飛ばす。すると、空中で三つとも合体し、人のような形になった。これでインパルスになったら完璧なのになぁ…。なんて出来もしないこと考えながらソファーに転がる。で、ポケットに入ってる冷えピタを一枚抜いておでこにはっ付けた。

きぃもちよかぁ、おーい来てご覧?と、懐かし過ぎるCMを思い出しながら目を閉じた。寝ちまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見てるのは分かってる。俺はアークエンジェルの中にいた。最後の出撃前。目の前ではキラとラクスがイチャイチャしている。

 

「………爆発しろ」

 

「だったら見てなければいいだろ!」

 

食ってかかってくるキラ。

 

「うるせぇ夜神月みたいな名前しやがって。爆発しろ」

 

「君は本当に……」

 

「まぁまぁキラ。ごめんなさいテイトクさん」

 

謝られてしまったので尚更いずらくなり、場所を変えた。今度はアスランとカガリがイチャイチャしている。

 

「……暴発しろ」

 

「なんだと!」

 

「やめろカガリ。テイトクも。そんなこと言うくらいならこっちに来なければいいだろ」

 

「うるせーよカツラン・ヅラ。どいつもこいつも一人につき一人必ずヒロイン付けやがって。別に羨ましくなんかねぇよ。誤爆しろ」

 

「お前が爆発すればいいだろ!あんまゴチャゴチャ言ってると私のストライクルージュ貸さないぞ!」

 

「んだとコラハゲ」

 

「ハゲてない!」

 

「ったく…お前らは……」

 

アスランが呆れている。そこにキラとラクスも来た。

 

「あら、ここにいらしたんですね」

 

「どうかした?アスラン」

 

「キラ。またテイトクが絡んできてな…今あそこでカガリと仲良くじゃれ合ってるよ」

 

「「仲良くない!」」

 

チッ。ハモった。本当にウザい。と、思ったらラクスが微笑む。

 

「あらあら、本当に仲良しさんなんですね」

 

「いくらラクスでも許さないぞそれは!」

 

今度はカガリとラクスがじゃれ合う。

 

「次で、ラストだな」

 

俺が言うと、アスランもキラも頷いた。

 

「終わらせよう。戦いを」

 

「あぁ」

 

「死ぬなよ」

 

で、出撃。出撃前、なんかモニターにディアッカが写った。

 

「グゥレイトォウッ!」

 

「…なんか用か……」

 

「いやいや、コーディネイターでもないのに当たり前のようにキラとアスランの二人の喧嘩を(堕として)止めた働き、期待してるぜ!」

 

「はいはい…」

 

「じゃ、お互い彼女いない同士。がんばろうな!」

 

それきり、ディアッカとの通信は切れる。俺は息を大きく吸い込んだ。

 

「テイトク・シレイ!出撃しま…」

 

「待ってテイトク!」

 

今度はミリアリアだった。

 

「……んだよ」

 

「絶対、帰ってきてね」

 

「わーってるよ」

 

それだけで通信が切れる。なんだったんだ…と、思ったらまたディアッカ。

 

「……爆発しろ」

 

「っせぇーよ。テイトク・シレイ。出る!」

 

さぁ、最終決戦の始まりだ……

 

「提督!起きてください!」

 

ユラユラユラユラ揺らされて目を覚ますと能代がいた。

 

「………おう」

 

「おうじゃないですよ!阿賀野姉のお世話してる間、キチンと仕事しててって言ったじゃないですか!」

 

「……言われてやってるようなら、俺に世話係なんて付かないさ」

 

「なにちょっといい感じに言ってるんですか!いいから早くお仕事を…」

 

そこで、床に落ちてるインパルス(仮)に気付く能代。

 

「……これ、何の紙ですか」

 

「書類」

 

「なにシレッと言ってるんですか!?ていうか、世話係が能代になってから大分態度が悪くなってますよ!」

 

「そりゃ、まぁ…怒るとヤマンバみたいに怖くなる三人のあとに軽巡だからなぁ…」

 

「それは舐めてるってことですか?」

 

「端的に言えば」

 

その瞬間、顔を真っ赤にして怒る能代。

 

「わかりました!もう手加減しません!」

 

「負け犬の遠吠えの台詞だぞそれ」

 

「うるさい!ほらさっさと座る!仕事!」

 

「断る!」

 

その瞬間、俺の頭を上から掴む能代。

 

「う、る、さ、い……!」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

しまった!余計なことを…。

 

 

 


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