魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第6話 「緊張感」

  9月23日 現在時刻:8時00分

暁美ほむらはこの見滝原中学校の転校生だ。

非常にクールで必要以上のことは決して口にしない。

 

(ほむらちゃんの言っていたアノこと・・・どういう意味なんだろう)

 

まどかは休み時間中にほむらが転校初日に行っていたことをふと思い出す。

気分が悪いと言い保健室に連れて行ったときに行ったアノこと。

 

 

 

 

 

 

『あなたは家族や友達のことを大切だと思ってる?』

『えっ?』

 

「どうなの?」

 

急にと思ったが、ほむらが真面目な顔をしているので答えなければとまどかは思った。

答えはもちろんのこと。

 

『もちろん。大切だと思ってるよ?家族も友達も、みんな大好きだもん!』

『・・・そう。ならば忠告しておくわ。その気持ちが本当ならばこれだけは守って』

 

『いったい何を』

『この先何が起きようと、『自分を変えよう』だなんて決して思ってはダメ』

 

『それってどういうことなの?』

『・・・でなければ、あなたの大切なものを全て失ってしまうことになるわ』

 

 

 

 

 

あの時ほむらが何を言っているのか。

その意味は今でも分からない。

 

(自分を変えようってどういう意味なんだろう?)

 

イメージチェンジ?それならば何度かやったことがある。

でも失敗して大笑いやらなんやらでもう当分はやらないと決めたこともある。

 

「まーどーかー!何考えことしてんの?」

 

肩をたたいたのはさやかだ。

まどかもハッと後ろを向く。

 

「いや、ちょっと」

「まどかはもうお昼ご飯のこと考えてたんだなーっ」

 

「ち、ちがうよ!」

「いーや、そうに違いない。分かるぞー、まどかのことなら何でも分かるぞー」

 

「もう、さやかちゃんたら」

 

お昼ご飯。そのことを考えたまどかはある提案が頭に浮かぶ。

 

「ねえ、今日はほむらちゃんも誘ってみようよ」

「えっ?転校生」

 

「ほら、今まで一回もちゃんと話したことないし、いい機会だなって」

「確かにいいんじゃないかな、でもさ・・・・」

 

急に真面目な顔になるさやかに違和感を覚える。

二人の間にこれとない緊張感が流れる。

 

「でも・・・」

「でも?」

 

「今日は・・・」

「今日は?」

 

 

 

「午前中授業だよ」

 

 

 

 

「あ」

 

二人の間にこれとないシュールな雰囲気が流れる。

 

「そうだった、今日は半ドンだったよね」

 

確かに今日は上の学年の実力試験が午後にあるから午前授業なのだ。

それを知ったまどかは机にぐたっとしてしまう。

 

「もうまどかったら」

 

まどかもこれに関しては苦笑いするしかなかった。

 

 

 

 

 

そうこうしているうちに1時間目のチャイムが鳴り響く。

 

「あーあ、授業なんてやりたくないなー」

「しょうがないよ。でも新しい範囲だなんてなんか楽しみじゃない」

 

「でも面倒くさいのは変わらないし」

「だけどさやかちゃんはなんやかんや言って宿題もちゃんとやってるし」

 

「宿題はやらないと先生がうるさいし。それに・・・」

 

なにやら言いたくなさげに口をもごもごさせる。

顔も少しばかり赤くなりかけている。

 

「それに・・・どうしたの?」

「いや、1学期の成績が散々だったからさ。アハハハハ」

 

笑っているがさやかの表情の奥にある顔は全然笑っていなかった。

むしろ危機感アリアリという感じで参っていた。

 

「そういえば前回のさやかちゃんの成績って、たしか評定が2と3ばかりだった気が・・」

 

バッとさやかがまどかの口を押さえて黙らせる。

キョロキョロ周りを向いて今の話が聞こえてないか確認する。

 

「ちょっとこの話はオフレコだよ!」

「オフレコって?」

 

オフレコとは談話などを公表しないこと、もしくは非公式なものとすることを指す報道用語。

 

「宿題とかやって平常点を挙げてもらおうとしてるんだね」

 

見滝原中学校にはテストの点数以外に授業態度や提出物などの点数が±10点まで変化する。

だから成績が思わしくない生徒はここで点数をあげておかないとやばいのだ。

 

「ということでさやかちゃんは2学期になってパワーアップするのだ!」

 

意気揚々と宣言する。

 

 

 

 

 

そんな様子を一人の女子生徒がじっと見ている。

冷たい目をしているのか、温かい目をしているのか。

そんな彼女の目は奥深くまで続いている。

 

(あの時、私は誓った。ここでも、私は誓った。

 そのためならどんな犠牲も問わない。

 でもそれが本当に彼女のためになるのだろうか)

 

教師が来るまで友達と笑い合っている彼女の姿は、とても可愛らしかった。

 

(私は・・・・・・・一体・・・・・まどか・・・・)

 

ほむらはその時思っただろう。

ある一つのことさえ守ってくれれば破滅することは絶対にない。

だがルートというものは無限に存在するもの。

Aのルートを突破してもBのルートがまた現れる。

彼女の日常もまた無限に存在する一つの非日常なルートに迷い込んでしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

「ユウコ!ミサトがナノに生姜焼きをくれないの」

「なんでお前にこれをあげなきゃいけないんだよ」

「まあ、まあ、私のスパゲッティをあげますから」

 

「ミサトなんかナマ生姜焼きのくせになの」

「まだそのこと言うか」

「そういえばサラダサバイバル・・・じゃなくてサラダバイキング食べないんですか?」

 

「結構おいしそうなの」」

「いや~。食べようにもあんまりおいしそうなのなくてさ」

「それじゃあ、お金の無駄じゃないですか」

 

緊張感ない話題で人の命を奪おうとするこの3人の手によって。


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