魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第4話 「初めての朝はファミレスで」

  9月23日 現在時刻:07時45分

その2人の少女と1人の魔女は、春日部から1日かかるところをわざわざ3日かけてこの見滝原市にやってきた。

ミサトという人が道を間違えたせいだが今更そのことを責める気はない。

道を間違えたことに気付かなかったユウコと魔女でありながら彼女たちと一緒に行動をしている大きな羽をはやして黒ウサギような存在のキューピーにも責任はある。

それよりも今は大事なことを忘れていた。

それは・・・

 

「私たちさっきからずっと公園のベンチに座っているけれど、どうする?」

 

見滝原市にある公園『見滝原市第三公園』のベンチに座りながらミサトはボソッと言った。

彼女たちは4時過ぎにここにきてそれからずっとここにいるのだ。

 

「どうもこうもまずは住むところを見つけないといけません・・・」

「そうね。ぼちぼち始めるか」

「そう考えるとナノたちがここで過ごした時間は無駄なの」

 

だらだら過ごしたというよりかはベンチの上で三人寄り添って座りながら寝ていたほうが正しい。

この三日間ろくに寝ていなかったので体力の消耗が激しいのだ。

でもなぜか少し寝ただけで三人の体はすっかり元気になっていた。

 

「うるさいわね!いいじゃない」

 

そう言って立ち上がった瞬間に「ぐぅ~」と大きなおなかの音が鳴り響いた。

周りに聞こえなかったとしても少なくともその他二人には聞こえた。

 

「何?この音は。すごいですね」

「結構近くから聞こえたの」

 

するとミサトは恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。

 

(あっ、ミサトだったんですね)

(ミサトだったの)

 

二人は気付いたがここで騒ぎ立てればあまりにも不憫なのでやめておいた。

 

「じゃあまずは何か食べましょうか?」

「この先にズデーニがあったからそこで朝ごはんでも食べるの」

 

一応オブラートに包みつつ。

 

「そうしましょ。腹が減っては戦はできないものね」

 

つい5秒前まで顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたのにもう忘れている。

 

『立ち直り早いの』

『ミサトですからね』

 

テレパシーで話し合う二人。二人だけの会話にしているのでミサトには聞こえない。

お腹が鳴ってしまったのもそのはず。

彼女たちは3日間寝ていないとも同時にあまり十分な量の食事を食べていないのだ。

 

「とにかくまずはズデーニに行って何か食べましょ」

「お金はあるのか?」

 

するとユウコが懐の財布を取り出す。

そこには一万円札が一枚入っていた。

 

「これだけあれば今日一日分ぐらいならば大丈夫でしょ」

 

3人はズデーニに向かう。

因みにキューピーの姿は一般人には見えず、今のところはミサトとユウコにしか見えない。

 

 

 

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」

 

ズデーニに入ると、朝なのに愛想のいい店員が挨拶をしてくれる。

 

「えっと、2人です」

 

『ちょっと、ナノも入れるの』

 

テレパシーで自分の存在を主張してくるキューピ。

翼で空に飛んでいるのでミサトたちの方ぐらいの場所にいる。

店員にはキューピの姿かたちは見えない。

 

『3人なんて言えるわけないじゃない。いないものが見えてる変な子たちと思われるじゃない』

『キューピのことは忘れてませんから』

 

やはりキューピの扱いはミサトよりユウコのほうが慣れているように思える。

 

『わかったなの』

 

店員に席に案内された二人プラスα魔女1人。

席に座って水を飲むと早速何を選ぶか選び始める。

 

「たまにはいいんじゃない?ファミレスで朝ごはんも」

「まあたまには・・・いいと思いますけど」

 

少しだけお金がもったいない気もするがお金もあることだしユウコはいいと思った。

 

「ミサトは何にするか決めました?私は決めましたけど」

「あと少し待って」

 

「じゃあ早く決めてくださいね」

 

そういわれたもののミサトは迷う。アレはいいし、コレもいいし。

ファミレスに来ると全てのものがおいしそうに感じてしまい、なかなか決められないものだ。

 

「まだですか?」

 

すると少しばかりユウコがイライラし始めた。

普段はあまり怒らないユウコなのでミサトもユウコの隣に座っているキューピーもビクッとする。

 

「決めた。今決めた」

「そう。じゃあ頼みましょう」

 

テーブルの端においてあるスイッチを押すと、店員が出てくる。

 

「ご注文はお決まりでしょうか」

 

まずユウコが頼む。

 

「ドリンクバー1つと野菜とトマトのスパゲッティを一つください」

「あっ、私もドリンクバー」

 

「じゃあドリンクバー2つでお願いします」

 

次にミサトが頼む。

 

「えーと、まずサラダはお代わり自由のサバイバルを。あとナマ生姜焼きを一つ」

 

その瞬間に空気が一瞬変わる。

店員も含めて全員が「えっ?」という顔をしている。

 

(サバイバル?それにナマの生姜焼き?)

 

店員はどう対処していいかわからずに戸惑っている。

ユウコがミサトの持っているメニューを確認してみるとそこには、

 

 

  『サラダバイキング』『生姜焼きランチ』

 

 

と書かれてあった。

 

『ミサト、サバイバルじゃなくてサラダバイキングですよ。それにこっちは生姜焼きランチ。生姜の上に生だんてどこにも書いていませんよ』

 

恥ずかしいので店員に聞こえないようにテレパシーでいった。

 

「あれっ?」

 

ようやくミサトも自分の間違いに気づいたようだ。

 

「ご注文を繰り返させていただきます。ドリンクバー2つに野菜とトマトのスパゲッティ-、そしてサラダバイキングに生姜焼きランチでございますね」

 

ユウコが小さく「はい」という。

 

「分かりました。ごゆっくりどうぞ」

 

店員が笑いをこらえながら去っていく。

 

「もうミサトはサラダバイキングがサバイバルになるです?」

「いや、ただ何となく」

 

「それにナマ生姜焼きランチって何ですか?」

「生の生姜焼きって一体どんな料理なの?」

 

キューピーもどういう反応をしていいかわからないようだ。

 

「“生”っていう字を見るとどうしてもナマって読んじゃうのよ」

「そういうもんですかね」

 

そうこうしているうちに料理が運ばれてくる。

運ぶのは先ほど注文を取った店員と同じで笑いをこらえているのがわかった。

が幸いにも二人は料理に夢中で気づいてはいない。

 

「それでこれから住むところを見つけるけれどそれからどうするの?」

 

生姜焼きランチを食べながらミサトが切り出す。

 

「まずは家を見つけて、それからこの町の魔法少女を見つけるまでは魔女狩りでもやりながら過ごしましょう」

「この町はなにかと使い魔が多いらしいけど」

 

「でもあまり使い魔に気をとられてると魔女とか魔法少女会ったとき大変ですよ」

「最初のうちは使い魔はほっとくのが一番いいの」

「まっ、そういうことか」

 

「そういえばさっきの公園に一体の使い魔の気配を感じたの」

「ふ~ん。でも魔女じゃないんでしょ。ほっとけばいいよ」

「でもあれが成長したら何の魔女になるんですかね?」

 

「なのは一発でわかるの。たしかあの使い魔が成長すればシャルロッテ、お菓子の魔女になるの」

「まあ、私達の目的はあくまで魔女じゃないし」

「使い魔なんてめったに人を襲ったりはしないでしょう」

 

「そういえばここらへんの魔法少女で変な噂が流行っているらしいの」

「魔法少女狩りが頻繁におこなわれるっていうあの噂でしたら私も」

「ウソだろ?じゃあそれって私たちのこと?」

 

「あまり確信的なことは言えませんけれど」

「まあ大丈夫なの。なのたちがそう思われることはまずないの」

「そうかねえ。いずれ姿を現すんだからどういわれようと、気にはしないけど」

 

「魔女を探していれば必ず魔法少女に出会います。その時に」

「まっ、やりますか」

「ソウルジェムは必ずなのたちが奪ってみせるの」

 

この会話にでてきたお菓子の使い魔。

これを殺さなかったことが後々起こる悲劇の引き金だろうとは彼女たちはまだ知らない。

いや悲劇は彼女たちでなくもっと別のところで起こるのかも・・・・




第4話はナイトメアの3人が見滝原市に来て最初の朝をファミレスを舞台にすこしおかしく書いてみました。
確かに生姜焼きをナマ生姜焼きランチと呼んでしまうのは分からなくもありませんが。


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