魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

4 / 27
第3話はアニメ版第1話のまどか&さやか&仁美の登校場面を面白おかしく長々しくしてみました。
アニメでは1.2分でしたが実際はどんなものなのでしょうか


第3話 「朝のスチャラカ三人衆」

9月23日 現在時刻:07時25分

まどかは走っていた。

目的を一つに・・・一生懸命に、他は見えない。

自分を待っている人がいる。その人たちを悲しませるわけにはいかない。

間に合ってください。

 

「ごめん。さやかちゃん、仁美ちゃん!」

 

遠くのほうからやってきた一人の少女を美樹さやかと志筑仁美が迎えてくれた。

二人ともまどかの親友で、仁美は習い事を何個も掛け持ちするお嬢様でもある。

さらに端正な顔立ちをしているので男の子からもよく告白される。

 

「遅いぞ、まどか!」

「まどかさん、おはようございます」

 

美樹さやかは腰に手を当てたポーズで明るくおはようのあいさつを言った。

彼女はいつどんな時でも愛想よく、以外にも異性以外に同姓にも人気があるという。

『美樹さやかファンクラブ 女性編』というのが一部の界隈で人気を博している。

 

「あれ、リボン変えたんだ」

 

さやかが今日変えたまどかのリボンにいち早く気付く。

 

「とっても素敵ですわよ」

「は、派手じゃないかな?」

 

ちょっと焦った様子になるまどか。

するとその様子を見たさやかがここぞとばかりにまどかに抱きつく。

 

「ほほう?イメージチェンジして仁美みたいにモテようってのかこいつめぇ!」

「ち、違うよっ」

 

急にそんなことを言われて顔を真っ赤にして否定する。

 

「そんな子は私が嫁にもらってやるぜ」

「ええっ!?」

「お二人はそんな関係だったんですか!?素晴し・・いや、そんな・・・女の子同士で」

 

仁美が頬に手を当てて顔を真っ赤にしてしまう。

一瞬だけ『素晴らしい』と聞こえたような気もしたがそれはよくわからない。

 

「そんなことないよ仁美ちゃん。そうだよねっ!?さやかちゃん」

「まどかの言うとおりだぞ。何勘違いしてんだよ」

 

「そ、そうだよ。朝のスキンシップだよ、別に百合ゆりだとかそういうんじゃ」

「まどか・・・墓穴掘ってる」

 

さやかがちょっとだけ呆れ気味でいう。

 

「あっ!だから違う・・・」

「分かったから。もう行こうね。遅刻しちゃう」

「そうですよ。お二人が決してそういう関係ではないと言う事は私のわかっていますよ」

 

本当にそう思っているのか心配だったがまあいいだろうと思うまどか。

 

「何時まで学校につけばいいんだっけ?」

 

さやかが時間を気にしつつ仁美に質問する。

 

「7時50分ですわ」

「いまは7時25分だから全然間に合うな。ていうかなんでそんなに早いんだろ」

 

今日は朝礼のため早めに来て手伝わなければいけないのだ。

毎回毎回、朝礼のたびこんなに早く来なければならいのか・・・謎だ。

 

「校長先生の話はいつも長い・・ん?」

 

するとさやかが何かを見つけたように左を向く。

そこには一台の業務用車が止まっていた。

 

  

    『社会式株ウドンコ』

 

 

「ウ・ド・ン・コ?」

「どうしたのさやかちゃん?」

 

まどかもさやかが立ち止ったことに気付いて声をかける。

 

「いや、初めてだなってうどん粉専門の会社」

「うどん粉?」

 

現在日本では料理用として薄力粉(天ぷら粉など)が普及しているが、強力粉以外をうどん粉と呼ぶ場合が多い。

 

「初めて知ったな、うどん粉専門の会社あるなんて。ねえ、まどかに仁美」

 

真顔でいうさやかに対してまどかは必死で笑いをこらえる。

仁美もプププと笑いそうになるが冷静さを取り戻す。

 

「さやかさん。あれは“うどん粉”じゃなくて“コンドウ”つまりコンドウ株式会社と書いてあるのですよ」

 

この手の車は左から見ると文字を右から左に読むやつが多いのだ。

だが大体の人は一発で気づくだろう。

 

「あ、あ、それは、その・・・」

 

さやかは死にたいと言わんばかりに顔を真っ赤にして車の隅に隠れる。

 

「さやかちゃん大丈夫だよ。読み間違えぐらい誰にでもあるよ」

「そうですわ。それにウドンコだなんて回文みたいで面白いですわ」

 

必死にフォローする二人。

チョコッと出たさやかの顔はすこしだけ涙を浮かべていた。

 

(かわいい・・・)

 

「でもウドンコだよ。冷静に考えてみればそんなの専門に扱う会社だなんてあるわけないじゃん」

 

((確かに))

 

「まあそんなに気にすることないよさやかちゃん。遅刻しちゃうし行こう」

 

(なんかつい数分前に似たような会話を聞いたような気がしますわ)

 

実際は気などではなくて本当なのだが仁美はあえてそのことに関しては自分なりに追究しなかった。

追求すればそれだけ自分の理性を保てなくなってしまいそうな気がしたからだ。

 

  現在時刻:07時38分

ウドンコ騒ぎが終わって学校まであと1キロというところで信号に引っかかる。

だがそこまで時間に焦りを持っていないので余裕をもって信号が青になるのを待つ。

そのときまどかの下でかわいらしい声が聞こえた。

 

「あっ、赤ちゃんだ。凄く可愛い」

 

1歳ぐらいの赤ちゃんがベビーカーに乗ってまどかのほうをじっと見ていたのだ。

つぶらな瞳にマシュマロのような頬、どこをとっても可愛いとしか形容できなかった。

そう見つめているうちにいつの間にか信号は青になってベビーカーはどこかに行ってしまった。

その時一瞬だけ赤ちゃんが自分に向かって手を振っているように見えた。

 

「じゃあね」

 

まどかも小さく赤ちゃんに対して手を振る。

 

「だれがじゃあねなの?」

 

よこからさやかが顔をのぞかせる。

 

「いや、いま凄く可愛い赤ちゃんが私のほうをじっと見てたの。それがすっごい癒されちゃって」

「ふ~ん。だからか」

 

さやかが何かを納得したような顔をする。

 

「手がずっとうずうずしてたからさ。何かなって」

「へえ~、気付かなかった。じゃああれは気持ちの表れなのかな」

「それは俗にいう心より体が先というやつですね」

 

「なにそれ?」

「心が気付くより、体のほうが先に気付いている感情があると言う事ですよ」

 

じゃあやはり先ほどの赤ちゃんを見ててがうずうずしていたのはそういう事なのだろう。

 

「さやかちゃんや仁美ちゃんはある?そういう心より体が先っていうの」

「私もありますわ。この前本を読んでいるときの出来事ですの」

 

仁美はその時、新房昭之著書の『それから町は廻っていた』という小説を読んでいた。

2010年に発行された本だが今でも売り上げは向上中のベストセラー本だ。

その本を読み終わってハッと一息入れようとしたその時。

自分の瞳から小粒の涙が垂れていくのがわかった。

 

「今考えてみればあれがそれだった思いますわ」

「私もその本読んだ。でも分厚くてすぐに読むのやめちゃったんだけどな」

 

「美樹さんは今すぐにあの本を読むべきですわ。すごく感動しますの」

 

顔を近づけて言う仁美の気迫にさすがのさやかもたじろいでしまう。

 

「わ、わかった。今度読んでみるよ」

「さやかちゃんはあるの?そういう経験」

 

「私はないな。ていうか常に心より先に体が動いているから」

「なるほど」

「さやかさんはそういう感じですものね」

 

所謂思考ただもれ女というべきなのだろうか美樹さやかの場合は。

 

「そういえば今何時」

 

「えっ!?」

 

仁美が急いで腕時計を確認するとなんと7時45分を越していた。

あと5分で1キロの距離を走らなければ間に合わない。

 

「急いで走って!」

 

さやかの合図で3人は一斉に走り出した。

遅刻の前にはつかれたとか言っている場合ではない。

 

朝の見滝原市に3人の中学2年生の少女が走りゆく姿が目撃されていったのだった。




第3話はアニメ版のストーリーですから後半はすべてオリジナルストーリーです。
内容はどこかで聞いた内容や自分の体験談ですね。
あの時もこうやって3人は学校に向かったのでしょうか。
次回はナイトメアの3人による物語を書いてみようと思います。
ご感想よろしくお願いいたします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。