魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第26話 「死んでないよ!?」

  現在時刻:12時45分

昼休みになり、さやかとまどかは屋上で昼食を食べている。

マミが休みなので二人きり、キュゥべえもいるがマミの現状は何も知らないらしい。

 

「はぁ・・・」

 

ため息をつくさやか。

まどかもどこか遠い所を見ている。

 

「授業中思い出しちゃったんだけど昨日のはやっぱり凄かったよね」

「うん、なんか今でも違う世界に来ちゃった感じ」

 

「本当に、どうなるかわかんないよ」

 

あの時の光景はいまだに脳裏に鮮明に思い浮かびあがる。

いつものように魔女を倒そうとして、殺されそうになるマミ。

それを助けて魔女に頭を食べられてしまうナイトメアのユウコ。

その魔女を倒したが、死んだユウコを何とも思っていないほむら。

だがユウコは生きていた。

 

「昨日だけであんなに・・・」

「みんなもまったく知らない人みたいだよ。昨日とは全然違う」

 

昨日あったことは誰も知らない、知るはずがないのだ。

 

「魔女、マミさん、ナイトメア、アタシたちだけが知っている」

 

それはもはや違う世界で違うものを見て生活しているといっても過言ではない。

さやかは今、この見滝原市に住んでいて、別の世界で生活している。

心ここに非ずとは言ったものだ。

 

「さやかちゃん?」

「でもマミさんは生きている。まだ私たちはここにいる、そうだよね?」

 

立ち上がってまどかを見たその顔は、いつもの元気なさやかの姿だった。

その顔を見るとまどかも自然に笑顔になるが、すぐに暗い表情になる。

 

「生きてれば何かいいことあるよね」

「そうだよ!まどかはまだ魔法少女になりたいと思ってる?」

 

まどかは何も答えられない。

考えは一日一日で違ってくるものだが、これはまさにそうだ。

 

「そりゃそうだよね、あんな危険犯してまで」

「でもマミさんは」

 

「明日は我が身なんだよ、仕方ないよ、ゴメン」

 

まどかは静かに泣き出してしまう。

さやかは頭を優しくなでる。

 

「今更、虫が良すぎだよね」

「そんなことない」

 

「でも無理だよ、私・・・あんな死に方したくないよ」

 

あの時だってナイトメアがいなかったらどうなっていたことか。

そう何度だって助けてくれるとは思えない。

ナイトメアに殺される可能性だって皆無とは言えない。

 

「考えただけで息ができなくなっちゃう、怖いよ・・・」

「ねえ、キュゥべえ」

 

「なんだい?」

 

ずっと空を見つめていたキュゥべえがさやかに振り返る。

 

「もし・・・もしもだよ!マミさんが・・・その・・・」

「死んだら、この町はどうなるか?」

 

言い出せなかったことをキュゥべえは平然と言い出す。

その淡々としたことに目を大きくあけて驚く。

 

「そう、マミさんの代わりに誰が魔女からこの町を守ってくれるんだろうって」

「永らくここはマミの縄張りだった。でも空席になれば他の魔法少女がすぐにでも魔女を狩りに来ると僕は思うよ」

 

「他の魔法少女って、ナイトメアとか?」

 

彼女たちはまだよくわからないがかなり強い魔法少女だと思っている。

だからもしも彼女たちが魔女を狩ってくれるのならば安心といえる。

 

「それはないと思うよ」

「なんで?」

 

「ナイトメアの目的は君たちも知っている通り、魔法少女のソウルジェムであって、魔女のグリーフシードは二の次なんだ。だからマミがいなくなったら彼女たちもこの町を去るんじゃないかな?」

 

というわけでナイトメアのこの町を託すのは無理だ。

するとあと残っている魔法少女といえば暁美ほむらぐらいしかいない。

 

「あの転校生か・・・」

「私、マミさんといっしょに魔法少女なるって約束してたの」

 

「全然知らなかった」

「話してないからね」

 

「話してよ」

「ゴメン」

 

「それで」

「だけど、やっぱり無理だよね」

 

「マミさん・・・本当に優しい人だったんだ。戦うためにどういう覚悟が必要なのかを私たちに思い知らせるために死ん・・」

 

 

 

 

  「でないよ!」

 

まどかが思わず叫んでしまった。

その目にはもう涙は浮かべていない。

 

「途中から自分でもおかしいなと思ってたんだ。マミさん死んでないって!」

「確かに、どこから死んだ前提で話してたんだ?」

 

「さやかちゃんがもしもマミさんが死んだらって話した時からだよ」

 

どこからそうなってしまったのかさやかも思い出した。

すると途端に気が抜けてしまう。

 

「とにかく!いつまでもクヨクヨしてないでマミさんを励ます方法でも考えよう」

 

 キーン、コーン、カーン、コーン・・・

 

5時間目の予冷チャイムが鳴り響く。

二人は急いで教室に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  現在時刻:13時01分

「ごちそう様」

 

ナイトメアの三人は、お昼の博多とんこつラーメンを食べ終えた。

美味しいのだが濃い味だったので結構胃に来る。

 

「もう当分は食べたくないよね」

「次からはサッパリとしたラーメンを作ることにします」

「はい、胃薬なの」

 

キューピから渡された胃薬を飲んで復活する二人。

さすが天下の太田胃散である。

 

「巴マミの作戦が終わった直後だけど、次の作戦どうする?」

「今ならばあいつのソウルジェムを奪う事なんて簡単ですけれど、今のままではロクなエネルギーも採取できませんからね」

 

台所で皿を洗いながらお茶を飲んでいるミサトに言う。

するとキューピがピョコッと椅子の上に乗っかる。

 

「ナノにいい考えがあるの」

「何それ?」

 

「今この見滝原市に一体の魔女がいるの、これを利用するの」

 

ユウコが皿洗いを終えて手を拭きながら、キューピを膝の上に乗っけて椅子に座る。

 

「どんな魔女ですか?」

「それは・・・・・・・」

 

 

 

「いいじゃないか!」

「その魔女を利用しない手はないですね」

 

「でも一つ問題があるの」

「なんですか?」

 

「美樹さやかなの」

 

机の上においてある昆布茶を手にとって一気飲みするミサト。

だけど問題といっている割には口元とは微かに笑っている。

 

「大丈夫だろ、それに万が一そうなったとしてもそれをも利用すれば」

「新しいソウルジェムは意外に高エネルギーですからね」

 

ユウコはコップの中に新しい昆布茶の茶葉を入れた。


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