魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第三章 「真実 〜Truth〜」 
第25話 「研究」


  現在時刻:17時43分

ナイトメアの自宅マンション。

テーブルの上でコンピューターを三台開いて何かを打ち込んでいる。

画面には訳の分からない数式などが立ち並んでいる。

 

「そういえば、ユウコ。本当は危なかったんじゃないのか?」

「何がですか?」

 

「ほら、魔女に食われそうになったじゃん」

 

魔女に頭から食われそうになったマミを助けた直後に、油断から魔女にやられてしまう。

だが直前に身体をマグマに変えることで事なきを得た。

 

「そんなことありませんよ」

「ホントかなぁ?」

 

「ええ、この私が油断などするわけありません」

「ハイハイ」

 

「信じていませんね」

 

コンピューターのEnterKeyを押すとシャルロッテの内部図解が画面に浮かび上がる。

 

「魔女分離の法則、まさかこれを証明する手がかりがありますとは」

「とんだ儲けもんだよな」

「ナノが気付いたおかげなの」

 

魔女分離の法則。

それは魔女が一時的に自分とは別の物質を作り出すことで発生するエネルギー量である。

この場合だと、小さなぬいぐるみの身体から巨大な本体を生み出すときに発生るものである。

 

「よく気が付いたよな、巴マミのことで頭がいっぱいだったぞ」

「私もこの作戦に夢中で魔女の生態については何も考えていませんでした」

 

ナイトメアの目的はソウルジェム以外にも魔女の生態についての研究がある。

なぜそのような研究をするのかはいまだ謎であるが。

 

「巴マミの弱点については分かりましたか?」

「おお、それも今ちょうど終わったところだ」

 

今度はミサトのコンピューターからマミの全体写真と武器図解が出てくる。

 

「こいつは、戦闘では多種多様な単発式銃火器を用いて遠距離主体で戦って、マスケット銃や大砲、巨大な銃器を召喚し砲撃する必殺技を使うんだ」

 

いつもと違い冷静にクールに三人に解説する。

 

「でもなんで説明口調なの?」

 

キューピのツッコミに冷や汗をかくが何事もなかったかのように続ける。

 

「一方、反面単発銃であるために連射はできない」

「これが彼女の命運を左右する弱点となる訳ですね」

「簡単に言うと、油断のもたらした結果なの」

 

意外と辛辣なことを言うが、あくまで的確な指摘である。

 

「そしてリボンから相手を縛る拘束魔法」

 

暁美ほむらを縛り上げ身動きをとれなくすることから相当強いと見た。

あれだけは油断禁物とユウコは判断する。

 

「わざわざ、魔女を早く成長させただけありますよね」

「巴マミを見殺しにさせなかったのもそのためだろ」

 

「ええ、ここで死んでしまったらソウルジェムを奪うことできませんからね」

「ナノたちはそれが目的。だから魔女に目の前で殺させるなんて馬鹿な真似はしないの」

 

あそこでナイトメアが巴マミを助けた理由はそこにあった。

本来、彼女たちがソウルジェムを奪って初めて目的は達成される。

だけど魔女に殺されてしまっては元も子もない。

 

「あいつらはナノたちのコト命の恩人だと思ってるの」

「それがどうした?」

 

「するとナノたちの行動範囲が狭まるんじゃないの?」

「そんなことないだろ、それに恩人だと思うなら好都合」

 

「なんでなの」

「恩人なら、簡単に近づくことができる。その隙を狙うのさ」

 

「おお!ミサト、ナイスなの!」

「でしょ」

「ひと段落ついたことですし、夕ご飯にしましょうか」

 

コンピュータを閉じて台所に向かう。

残った二人は配線やら機材やらを的確な場所に片づけ始める。

因みに今日の夕食は、スパゲティであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  翌日 現在時刻:07時49分

昨日は、三人ともあの後すぐに自分の帰路についた。

さすがにマミも精神的ショックが大きくて、それを考慮してのものである。

命だけ助かっただけありがたいと思えればいいがそうといかず。

 

「そして朝になってしまった」

 

さやかにどうするかの連絡もできずにいたので気づいたら朝になっていた。

帰ってきたあとすぐに疲れて寝ちゃったのだ。

 

「あっ、おはよう」

「昨日はずいぶん寝たんだな、まどか」

 

父の知久が朝食を作って、母の詢子が牛乳を飲んでいる。

朝食は卵焼きとごはん、ソーセージという何の変わり映えのない普通のもの。

 

「喜んでいいのかな?」

 

殺される直前のマミをナイトメアが助けてくれた。

でもナイトメアはマミを殺そうとしている存在。

一体どうすればいいのかまどかにはわからない。

 

「まどか、早くしないと遅刻だぞ」

 

考え事をしているまどかに詢子が声をかける。

パクっと一口食べた時、まどかの目がウルッと滲む。

 

「どうしたまどか?」

「ねえ・・・ママ、一つ聞いていい?」

 

「どうした改まって」

「いままで敵だった人が命を助けてくれたら、それは喜んでいいの?」

 

「なんだ最近の中学生は難しいことを悩んでいるんだな、う~ん?」

 

目玉焼きを口に頬張りながら考え込んでしまう。

すると知久がまどかの肩をたたく。

 

「それはその人たちを信用していいんじゃないかな?僕ならそうするよ」

 

その言葉を聞いてちょっと安心する。

ごちそうさまと言うといつも通りに学校に向かうまどかであった。

 

 

 

 

 

「でもって、まどかのやつがおびえちゃって」

「それは大変でしたね。でもなんで廃墟なんかに?」

 

「いや、それは・・・アハハハハハ!!」

「もしかして二人で廃墟デートを!?」

 

「ちがあう!もう仁美はすぐにそんなこと言う」

 

昨日の出来事を必死で押し殺そうとわざと明るくふるまうさやか。

まどかは分かっている。

だから何も言わない、何も言えないのだ。

 

『さやかちゃん・・・』

『ごめん、今はやめよう。マミさんもおそらく今日は休みだと思う』

 

『でもせっかく命を助けてもらったのに』

『殺されそうになったんだよ、ショックからは立ち直れないよ』

 

『だったら、あたしたちで』

『ごめん、そのことについてはまたあとで』

 

小さなため息をつくと仁美のところに行って、誤解の弁解をする。

笑っていたがそれは心の底からの笑なのだろうか。

 

「さすがに明るく元気にはできないようね」

 

まどかも静かに歩き出すと後ろからゾクッという視線が。

ゆっくりと後ろを向いてみると眼鏡ポニーテールコンビがすぐ近くに立っていた。

 

「うわっ!ビックリした」

 

チヒロ「ビックリしたと言った人がいる」

ミユキ「愛のあるとこ我らが現る」

チヒロ「百合よ育てて大空に」

ミユキ「バラよ大地に咲き乱れ」

チヒロ「二人の目標ただ一つ」

ミユキ「愛の形を同人誌に示せ」

チヒロ「情熱の演出家 チヒロ!」

ミユキ「真実の伝道師 ミユキ!」

チヒロ「コミケの参加は嗜好の行い」

ミユキ「我らの名前は新人類!」

 

やはりそこにいたのは見滝原中学校名物コンビの新人類。

ナイトメア似ている名乗り、因みに両者も彼女らのことを知らない。

 

「でたー!」

 

今度は本気で嫌がっているさやか。

 

「さやかさんじゃないですかぁ」

「先ほどの話、しかと聞かせてもらいましたよ」

 

こいつらに聞かれたらおしまいだと、大きなため息をつくさやか。

 

「まあ、今日はあなたではなくまどかさんに用がありますのでぇ」

「美樹さんは、仁美さんとゆっくり恋談義してください」

 

ミユキが仁美に向かって頑張れの合図を送ると仁美もウィンクで返す。

 

「なんなんだよ二人は・・・」

 

新人類の二人はまどかの近くに寄り掛かって話しかける。

 

「まどかさん、なにか悩みがあるんじゃないですかぁ?」

「えっ?どういうこと!?」

「とぼけちゃって」

 

「その顔は悩める乙女の顔ですよぉ」

「新人類に相談すれば、公明正大な答えが返ってくるよ」

「遠慮しとくよ」

 

苦笑いで二人に手を振る。

 

「そうですかぁ」

「じゃあこれだけ聞いて」

 

最後に一つだけとまどかも耳を傾ける。

 

「過ぎてしまったものは仕方がありませんのでぇ、どうにも言えませんがぁ」

「ショックをそのまま受け流していると、いずれとんでもないことになるよ」

 

新人類にしては珍しくまじめなことを言う。

しかもそれは今、まどかが悩んでいることにドンピシャリであった。

どうして分かったのであろう。

これが新人類の心を読む魔術か?

 

「うん、ありがとう」

 

 

 

 

「女の子に恋をすることは誰にだってありますよぉ」

 

「えっ?」

 

「嫉妬心を燃やすより、相手をコテンパンに蹴散らすんだよ」

 

何か勘違いしてるこの人たち。

誤解を解かないとそれこそとんでもないことになる。

 

「いや待って!」

「あっ、そろそろ会議の時間だ」

 

「会議って?」

 

ミユキがアニメのキャラクターの書いてある時計を見てうんうんと頷く。

すると二人とも、ものすごいスピードで走っていった。

 

「会議って何よ、もお!」

 

1人になったまどかは別の重荷を背負って、学校に歩いていくのであった。


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