魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第22話 「信用」

  現在時刻:23時21分

自宅のベッドに横になりながら魔法少女とその願いごとについて考えるまどか。

どんなことを願うか。

果たしてそれはマミのような危険を伴うまでの代償なのだろうか。

 

「はあ、難しいな・・・」

 

枕元には少しの間だけマミの家からまどかの家に住んでいるキュゥべえがいる。

 

「僕の立場上、急かすわけにはいかないんだ」

「助言とかもだめなのかな?」

 

「ごめんね。それもルール違反なんだ」

「そうなんだ、意外と大変なんだね」

 

机の上においてある『まどかノート』を取り出す。

そこには魔法少女に関しての日記や、自分の衣装について書いてある。

 

「まどかは力そのものにあこがれているのかい」

「いや力とかそんなほしくないな。う~ん、可愛い衣装とかはほしいけど」

 

また考え込んでしまう。

 

「そうなのかな・・・力があれば、よくわからないなやっぱり」

「まどかは意外と優柔不断なんだね」

 

「うん。私って何のとりえもないし、どんくさいし、勉強だってすごい出来るわけじゃないし」

「じゃあまどかは何になりたいんだい?」

 

「マミさんみたいにカッコいい魔法少女になれたらなって」

 

話しているうちに眠くなってしまうまどか。

瞼も重くなってくる。

いつも23時前には就寝しているのでたかが21分でも結構つらいのだ。

 

「まあいつでも教えてよ。僕はどんな願い事でも受け入れられるから」

「ありがとう。おやすみ・・・・」

 

そのまままどかは1分と足らずに眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度同時刻の『見滝原公園』に一人の少女がソウルジェムを持って立ちすくんでいた。

光り輝くとソウルジェムを指輪に戻す。

 

「あなたが私をここに呼んだのね、暁美さん?」

 

目の前の階段の上に暁美ほむらがたっていた。

 

「あなたは無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」

「彼女たちはキュゥべえに選ばれたのよ」

 

「あなたは二人を魔法少女に誘導している」

「それがあなたには面白くないわけね?ずいぶんなエゴイストじゃない」

 

「エゴイストはあなたよ。鹿目まどか・・・あなたは知ってるんでしょ」

 

マミは静かに目を閉じると鼻で笑ったような感じをする。

電柱の周りには数匹の蛾が飛んでいる。

 

「ふ~ん。あなたも気づいていたのね、あの子の素質」

「彼女だけは簡単にはいかせないわ」

 

「それだけかしら?」

「それだけよ。それと・・・あなたは油断しない方がいいわ」

 

それだけを言い残すと出口の方へ黙って去ってゆく。

マミもほむらがいなくなるのを見届けるとそのまま反対側の出口に行く。

 

 

 

 

 

 

「二人ともまだまだアマちゃんだよな」

 

誰もいないベンチの上からフット現れたのはナイトメアの三人。

ずっと闇に隠れて二人の様子を監視していたのだ。

 

「彼女はいったい何の目的なんだ?」

「自分より強い相手がいるのが邪魔なんじゃないですかね」

 

手の持ったブラックコーヒーを一気飲みするミサト。

 

「苦っ!それじゃあまるでいじめられっこの発想と同じだぞ」

「それやっぱ苦いみたいですね。買わなくてよかった」

 

キューピがミサトの手からブラックコーヒーをもらうと今度はおいしそうに飲む。

 

「結構おいしいの。それよりこれから暁美ほむらと闘うときはくるの?」

「話し合いで解決するような人じゃないですよ」

「じゃあ私たちは二度と会わないように努力でもする?」

 

「そういうわけにはいきませんよ」

「ソウルジェムの強奪はナノたちの使命であり目標なの」

 

月が赤く輝いているのをキューピはじっと見つめる。

月食でもないのにこうだと不気味極まりない。

 

「明日になれば一人削られるしいいんじゃないか?」

「水面下で動くナイトメアに死角はありません」

 

風も強くなってきたので三人も明日に備えて帰ることにした。

 

「帰りにアイスクリーム買ってほしいの」

「あたしもほしい」

「ちょうど食べたいと思っていたところですし、コンビニでもよりましょうか」

 

そしてコンビニでチョコアイス・抹茶アイス・オレンジアイスを買って家で食べた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  翌日 現在時刻:15時58分

見滝原国際病院で上条恭介のお見舞いに行ったさやかだったが、都合で会うことができなかった。

1階の受付フロアではまどかとキュゥべえがさやかの帰りを待っていた。

 

「おまたせ」

 

病院の裏口で自転車をとりに歩いている。

さやかはせっかく来たのに会えなかったことに対して愚痴を漏らしている。

 

「失礼しちゃうよね、恭介の奴」

「なんかすごく残念そうだね」

 

「そのとお・・・違うっ!遠い所から来たのに会えなかったからだよ」

「美樹さやかはその恭介という子のことを好きなのかい?」

 

超確信をついた発言にさやかはぶんぶん肩を振り回す。

 

「だから・・・そんなんじゃ・・・」

「否定することはないさ。異性に恋をすることは子孫を残すことにつながるからね」

 

「し、子孫~~~~!!!!」

 

目がグルグルになって頭の中がオーバーヒートしそうだ。

 

「そ、そんな、まだ付き合ってもいないのに・・・子供を産むってそんな」

「さやかちゃん落ち着いて」

 

その時まどかは柱の壁に目をやる。

壁のあるものを見た時、顔が真っ青になる。

 

「あ、あれって」

「大変だ!グリーフシードを孵化しかかってる」

 

黒い部分に覆われたグリーフシードが壁に突き刺さっていたのだ。

 

「何でこんなところに!?」

「魔力の浸食が始まっている、早くここから逃げないと」

「またあの迷路が出来上がる」

 

さやかはこの前のショッピングモールと廃墟の事件を思い出す。

マミの携帯に連絡しようにも、二人ともあいにく持っていなかった。

 

「まずいな、まどか先に行ってマミさんのことを呼んできて」

「じゃあさやかちゃんはどうするの?」

 

「私は結界の中の魔女を見張ってる」

「無茶だよ!」

 

それに関しては普段干渉しないキュゥべえも強い口調で止める。

 

「結界が閉じたら君は外に出られなくなるんだよ。それまでにマミが間に合うかどうか」

「でも迷路ができたらこいつの居所もわからなくなるんだよ」

 

それにさやかがここまで必死になる理由はほかにもある。

病室に眠っている一人の男の子の存在。

 

「放っておいたら逃げられちゃうよ!」

 

さやかの強い決意にキュゥべえも折れた。

 

「分かったよ、ただ僕も一緒に残ろう。魔女結界に閉じ込められてもマミとならテレパシーを使って僕との位置を伝えられることができるかもしれないから」

「ありがとう、キュゥべえ」

 

走ってマミを呼びに行くまどか。

 

 

 

 

 

 

  現在時刻:16時17分

やっとの思いで学校内でマミを探し出すことができたまどか。

20分近くかかってしまったのはかなりのロスだが間に合ってほしい。

 

「ここですマミさん!」

「ええ、確かにこのままだとやばいかもしれないわね」

 

ソウルジェムから光が差し込むと二人は魔女結界の中に入り込んでいた。

テレパシーでキュゥべえに連絡を取る。

 

『状況はまだ大丈夫なの?』

『うん、今のところは平気だよ』

 

『まだ孵化する危険性はないわけね』

『さやかちゃん・・・』

『平気だよ。退屈で居眠りしちゃいそうだよ』

 

『逆にうかつに魔力を使って、孵化を早めるほうがやばい』

『じゃあなるべく静かに行くわ』

 

結界の中をなるべく走らず、早歩きで進む。

お菓子の瓶詰や、クッキーの箱などがいたるところにある。

 

「間に合ってよかった」

「いつもならば無茶し過ぎって怒るところだけど、これなら魔女を取り逃がす心配も・・・」

 

振り返ると一人のロングヘアーのシルエットが見えた。

それはよくよく見ると間違えなく、暁美ほむらの姿だった。

 

「何でこんなところにいるの?」

「今回の獲物は私が狩るわ。あなた達は手を引いて」

 

「そんなこと聞き入れると思ってるの?」

「もちろん結界内にいるあなた達の安全は保障するわ」

 

「そんなこと・・・信用すると思って?」

 

マミが手をかざすと地面から鎖が埋め込まれているリボンが出現してほむらを締め付ける。

 

「な・・・・・・!?バカっ!こんなことやっている場合じゃ・・・」

「怪我をさせるつもりはないけれど、暴れるならば保証はできないわ」

 

「私の言う事を聞いて、ここにいる魔女は」

「それ以上言わなくていいわ。おとなしくしていればちゃんと解放してあげる。行きましょう」

 

結界の奥へと去ってゆく二人。

必死にリボンを外そうとするがもがけばもがくほど苦しくなってゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回もやっぱりだめなのか・・・」

 

縛られたまま何かを考え込む暁美ほむら。

動こうにもリボンがきつく締められているのでこれ以上どうすることもできない。

ふがいなさに体が震えだしたとき何処からか足音が聞こえた。

 

「一体何なの?」

 

ミサト「一体何なのと聞かれたら」

ユウコ「答えてあげるが世の情け」

ミサト「魔女の破壊を防ぐため」

ユウコ「世界の秩序を守るため」

ミサト「愛と真実の正義を貫く」

ユウコ「クールでシリアスな魔法少女」

ミサト「ミサト!」

ユウコ「ユウコ!」

ミサト「銀河を駆けるナイトメアの二人には」

ユウコ「ブラックホール絶望の未来が待っています」

キューピ「そうなの!」

 

「ナイトメアっ!」

 

結界の奥から現れたのはナイトメアだった。

ユウコは身動きの取れないほむらの目の前に立つと、そっと頬を触る。

 

「強いと高をくくっていましたが、意外とどんくさい所があるんですね」

「なんであなた達がこんなところに」

 

髪の毛をくるりと回すとふっと息をかける。

 

「私たちがなぜここにいるのか知っていますか?」

「そんなの知るわけないわ」

「そりゃそうなの」

 

「では特別に教えて差し上げましょう」

 

暁美ほむらは聞くことになる。

この魔女結界に隠されてナイトメアの恐ろしい作戦を。


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