魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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~衝撃のラストの注意~


第20話 「赤い日記の秘密」

  現在時刻:15時59分  場所:1F エントランス

エントランスで一通りキューピが隠れていないか探したものの見つからなかった。

見つけてからすぐに外に出たのにどうしてこんなに早く隠れられるのだろう。

だがこんなところでナイトメアに合うだなんて思ってもみなかった。

 

「あいつらこんなところで何やってるんだろう」

 

また何か良からぬことをたくらんでいるとさやかは考える。

 

「そういえば何かここ変じゃない」

 

まどかはあの本を読んでから何か違和感があった。

それが何かわからないがなにかとんでもないことがこの廃墟に隠されているかもしれない。

 

「ちょっとさっきの本もう一度見せて」

 

本を取り出そうと後ろの娯楽室の扉を開けたがそこには信じられない光景が。

 

「アレ?」

「そんなまさか」

「ここは・・・娯楽室じゃなくてゴミ捨て場じゃないか!」

 

確かに娯楽室の扉は真後ろにあったはずなのにそこは明らかにゴミ捨て場だった。

ゴミ捨て場は別の扉のはずだったのに。

 

「じゃあ娯楽室の扉は?」

 

一つ一つ確認してみると娯楽室なる扉は存在しなかった。

6つあったはずの部屋も5つに減っている。

 

「どういうことだ?」

「コレもナイトメアの仕業かしら?」

 

とするといろいろな辻褄もあう。

2階から飛んできた氷のようなものもおそらくミサトが魔法で作り出したもの。

 

「そういえばあの赤い本に“魔女”の仕業って書いてあったよ」

「魔女ってまさか」

「あり得るわね」

 

もし2年前の殺人事件や本に書いてあることがこの廃墟に住みつく魔女の仕業だとしたら。

一刻も早く手を打たないと大変なことになる。

 

「とにかくナイトメアを見つけないと」

「まどか、調べてみよう」

「うん!」

 

 

  場所:2F 談話室

「えっ!?巴マミ達に見つかった?」

 

急いで逃げてきたキューピは2階の談話室に隠れこむ。

階段を上っていくときにふと後ろを向いたがなぜか巴マミ達は扉から出てこなかった。

なぜあの時キューピを追ってこなかったのかは分からない。

 

「でもとりあえず助かったの」

「あいつらに見つかると厄介ですね」

 

「ごめん、ドジッたの」

 

一つ一つ慎重に確認しなかったキューピのミスだがミサトは珍しく余り責めなかった。

自分も同じような失敗を犯してしまったからだ。

 

「二人して同じようなことを繰り返してしまうとなるとこれは厳しいですね、ゴッホゴッホッ」

 

また手を口元に抑えて咳き込むユウコ。

キューピを待っている間も何回か咳き込んでいるのをミサトは見た。

 

「ユウコ大丈夫なの。なんかやつれているの」

「えっ、そうですか?」

「どうしたのよ。ユウコったらそんなにげっそりして」

 

「そういうミサトもですよ」

「そう?」

 

二人とも顔を触ってみるが特に何とも変化があるわけではない。

あくまで客観的な観点で会って、自分的には何ら問題はない。

 

「まぁこの頃は休みなく働いているからなの」

 

春日部からこの見滝原市に行くときも毎日ほぼ数時間弱しか寝ていない。

さらには寝るときだってキューピの魔女結界に一時的に寝ているため安眠はできない。

 

「とにかく一刻も早くあいつらを追い出すのよ。ここは私たちの研究アジトにはもってこいなんだから」

「この地方で活躍するにも前線基地は必要ですしね」

「ソウルジェムを手に入れることそれはなの」

 

「「「我々ナイトメアの名のもとに!」」」

 

「「ゴッホ!ゴッホ!ゴッホ!ゴッホ!」」

 

今度はユウコだけではなくミサトも咳き込んでその場に座り込んでしまう。

 

「ちょっと休んだ方がいいんじゃないの」

「そんなわけにはいかないよ、ハァハァ」

 

たかが疲れでへばっていてはナイトメアの名が廃る。

 

「キューピはここら辺の調査をしてください。何かあったら戻ってきてくださいね」

「分かったの」

 

 

  場所:1F エントランス

雨の降り方は先ほどとさほど変わりないがその分、雷が前にもまして強くなってくる。

このままだと嵐にもなりかねない。

 

「ナイトメア!出て来い」

「か、隠れていてもだめよぉ」

「悪いことしようとしてもだめよ」

 

三人は大声で叫んでみたがナイトメアの気配は一切ない。

 

「やっぱりここにはいないみたいね」

「じゃあ他のところも探してみるか?」

 

2階へ上る階段を上って扉を開けるとそこには3つの大きな扉があった。

 

「開けてみるか」

 

一つを開けてみるとそこは本棚がいっぱいおいてある図書室のようだ。

だが本が何冊もあるわけではなく一つの棚に2.3冊ぐらいが相場。

 

「ここにもナイトメアはいないか」

「うん、あっ」

 

まどかは娯楽室にあったような赤い本を見つける。

もしかしたらまたヒントのようなものがあるかもしれないと本を開く。

 

『  ~あなたへ~

 この文章を書いている数時間後には私の命はない

 ここの呪いと魔女を倒すことができない。

 ごめんなさい。

 ただ私はあなたと一緒にいたいだけだったのに

 あなたが私を裏切ったりするから

 もしかしたら裏切ったわけではないのかもしれない

 でもせっかくなのに私以外と踊るなんて

 

 ひどい

 哀しい

 でも許してあげる

 

 あなたに罪がないことは分かっているのよ

 すべてあの女が悪いのね

 私は魔女になることであなたと一緒になるのよ

 わかってるの 弱い人間だから 

 

 さあ踊りましょう。

 最後に                   』

 

途中で破れて『この・・・』以降の文章が読めない。

彼女が伝えたかったのは誰だったのだろう。

 

「もしかしたらあの時あった赤い本の人に向けた本なのかも」

「でもこれでわかったわね」

 

マミの推測からするとこの廃墟には昔哀しい事件があった。

ある男と女が恋をした。

男は女と結婚するつもりでいた。

そして舞踏会で婚約発表をするつもりだった。

でもその時彼女を驚かせようとしたのか男は別の女性と踊ることにした。

だがここが男の甘い部分。

彼女は思い込みの激しい人だった。

この屋敷には魔女が住み着いて彼女の心に喰らいつく。

裏切られたと思い込んだ彼女は男女の愛のしるしである赤い本にすべてを書き込んだ。

そして自殺した・・・・・

彼女の死体を見た男はまたすべてを赤い本に書き込み死を共にすべく自殺した・・・

 

「これがこの屋敷のヒミツね」

「凄い。たった二冊の本でここまで」

 

少ない情報であれだけのことを推測するマミの観察眼に唖然とする。

でもそうだとすればこれは哀しい出来事と言う事になる。

 

「まだ終わっていないわ」

「ここに住みつく悪魔(魔女)を退治しないとですよね」

「うん」

 

「でも魔女の居場所がわからない以上は」

「そうだマミさん。私に思い当たる場所があります」

 

まどかがこの廃墟で一番元気よく発言した。

 

「どこ?」

「あの長廊下ですよ。あそこしかありません」

 

長廊下は1階のエントランスにあった不気味で先が闇に覆われているあそこだ。

正直行きたくはないが、魔女を倒さない以上はしょうがない。

 

「じゃあ行きましょうか」

「あ・・・・・・・・・」

「なんだよまどか。今になってビビってるの?」

 

「そんなんじゃないけど、魔女を倒したところで本当に解決するのかなって」

「それはそうだけど」

「でもね。魔女を倒さない限り悲劇が繰り返されるのよ」

 

そうしないためにもマミが魔女を倒さないといけないのだ。

 

「そうだったの」

 

 

  場所:2F 談話室

「大変、大変、大変、大変なの~!!!」

 

キューピが猛スピードで走ってきて談話室の扉を開ける。

モニターを見ていた二人はいきなりの出来事に目を丸くする。

 

「ど、どうしたの?」

「それが、ここには魔女がいたらしいの」

 

「えー!ゴッホゴッホ・・・なんでこんなに咳が出るんだろう、ハァハァ」

「魔女とはどんな奴ですか?フゥフゥ」

 

息切れと咳き込みの連続に二人もずっと違和感を感じている。

もしかしてこれは魔女の仕業なのかもと思ったりもした。

 

「これを見るの」

 

奥の方から新たなモニターを持ってくる。

そこにキューピがゆっくりと画面を見ながら念を送る。

 

「でもこんないい所なのに」

「キッチン、バス、台所、談話室までそろっている廃墟なんて相当ないですよ」

 

すると画面に魔女に関する文字が表示されるが普通の人には読めずキューピにしか読めない。

 

「ここにいる魔女は、人間の生命エネルギーを吸い取る性質を持つの」

「に、人間のって」

「生命エネルギーを吸い取ると言う事は?」

 

どんどん顔が真っ青になってゆく。

 

「そういうことなの」

「てことは」

「私たちはここの魔女に生命エネルギーを吸い取られていたと言う事ですね」

 

ミサトがポケットから手鏡を取り出すと目のくまや、髪の乱れに驚く。

さらに息切れもさっきにましてひどくなる。

 

「それで私たちはやつれていたんですね」

「まずいね。すぐにここから出よう」

 

「あれ?キューピはどこに?」

 

周りを見渡すとキューピの姿は見当たらない。

急いで談話室を出て1階をのぞいてみるとキューピが一つの部屋に入っていくところを見えた。

 

「キューピ」

「もどって・・・き・・・て・・・・・」

「えっ?聞こえないの。ここに巴マミ達がいたからちょっと追いかけるの」

 

「待って・・」

 

だが声もとぎれとぎれなのでうまく聞こえなかった。

 

 

  場所:1F 長廊下

「先が暗闇とはいってもずっと一本道が続いているよね」

「この先に魔女がいるかもしれないんだよ」

「私が前に出るから二人とも気を付けて」

 

慎重に長廊下を歩いているが行っても行っても同じような場所が続く。

そしてしばらく歩いたところで大きな扉があった。

 

「まさかあれが」

「入るわよ」

 

マミがゆっくりと扉を開けるとそこには霧で包まれ、石の壁で囲まれた異様な空間。

前までの娯楽室やエントランスとも全然違った。

 

「ここにいったい何が」

 

 

 

 

 

 

「キューピ、いったいどこにいるの?」

「早く逃げないと危ない・・・ですよ・・・・」

 

疲れか生命エネルギーを吸い取られているせいか走ることはできない。

でもキューピを見つけて早くここから脱出しないと。

 

「あっ!いた」

「キューピ、こっちですよ」

 

見つけた時はキューピは大きな扉の前に翼を開いて浮いていた。

 

「この先に奴らはいるの」

「奴らって、フゥフゥ」

「脱出も大事ですが、ここでみすみすソウルジェムを逃すわけはいきません、ハァハァ」

 

扉を開けようとするがあかない。

押しても引いてもどうしてもあかない。

 

「こうなったら・・・・」

 

 

 

 

 

「なんの音?」

 

扉からドンドンドン!と大きな音がするので不審に思うさやか。

開けて確かめようと近くに寄った瞬間。

 

「うゎああぁああああぁぁああ!」

 

突き破って誰かの手がさやかの肩をつかんだので驚きの叫び声をあげる。

 

「捕まえたぁぁ」

「な、なんだ?」

 

ミサト「何だかんだと・・・聞かれたら・・・・」

ユウコ「答えてあげる・・・・・が世の情けです・・ハァハァ」

ミサト「魔女の、ゴッホゴッホ、破壊を防ぐため」

ユウコ「世界の秩序を守るため・・・ハァハァ」

ミサト「愛と真実の正義を貫く、ウッ」

ユウコ「クールで・・・シリアスな・・魔法少女」

ミサト「ミサト」

ユウコ「ユウコ」

ミサト「銀河を駆ける、フゥフゥ、ナイトメアの二人には」

ユウコ「ブラックホール・・・絶望の未来が待っています、ハァハァ」

キューピ「そうなの!」

 

必死で名乗りを言いあげたナイトメア。

 

「ナイトメア!やっぱり現れたな」

 

「ハハハァ・・・今度こそソウルジェムを・・・・」

 

その時、周りの景色が変わって魔女の結界に変わる。

この屋敷に潜む魔女のお出ましだ。

 

 

 

 

 

 

   ~廃墟の魔女 チャリオット(Chariot)~

 

 

 

 

 

3メートルはあると思われる巨大な斧。

さらにそれを振り回し、ガスマスクのようなヘルメットを被りサイバーな風貌の鎧に身を固めた巨大な魔女。

 

「く、くるぞ」

 

チャリオットは早速巨大な斧で攻撃を仕掛けてきた。

寸前のところで避けたナイトメアだったがもうこれ以上は体が持たない。

 

「私はやるわ」

 

マミはソウルジェムを使って魔法少女姿に変身する。

 

「私達も・・・今回だけは停戦協定だ」

 

ナイトメアも協力すると言う事でミサトとユウコも魔法少女姿に変身する。

ユウコの魔法少女姿は初めて見た。

 

「いくぞ!」

 

ミサトは氷で作った巨大な剣で対抗する。

チャリオットは大きく飛び上がると何もない空間に斧を切り刻む。

すると切り刻まれた空間にまったく別の次元が現れた。

 

「あれはまさか霊魂への入り口?」

「あそこに入ったら」

「一瞬でお陀仏なの」

 

「巴マミはアレをやれ。こいつは私たちが食い止める」

「これが最後の力。これが失敗したら確実に死にますね」

 

ユウコの手の平が大きく燃え上がる。

 

「これは?」

「私の能力ですよ。炎でこいつを包み込みますその隙に」

 

炎がチャリオットを包み込む。

がしかし、それでも苦しそうなそぶりを見せない。

 

「どういうことです?」

「ユウコ!あいつの弱点がわかったの」」

 

「なんですか?」

「弱点は右胸の破損した部分なの」

 

よく見ると鎧の右胸の部分がほんの数センチほどの大きさで破損して、緑色の何かが見えている。

どうやらあれは以前潜入した魔法少女が壮絶な死闘の末つけたものらしい。

 

「そうとわかれば、巴さん」

「分かってるわ」

 

マミは無数のマスケット銃を出現させ、一斉射撃でチャリオットの弱点を狙う。

 

「勝った」

 

大爆発とともに景色が元に戻る。

 

「やった!でもここは・・・」

 

目の前に広がるのはぼろぼろに崩れた屋敷。

まるで火事にあったかのように跡形もなく崩れ去っている。

 

「今まで見たのは幻覚だったのか」

「そういう事ですね」

「今回は停戦協定と言う事でこれ以上は戦わないの」

 

「次に出会ったときはこうはいかないぞ」

「あなたのソウルジェムを必ず奪って見せます」

「さらばなの」

 

「それとグリーフシードは全部いただく」

 

そのまま黒い闇に包まれて消えてゆくナイトメア。

グリーフシードはすべて奴らに取られてしまった。

 

「やられた!」

「まあいいわ。今日はナイトメアのおかげで助かったんだし」

 

雨もすっかり上がったのでこのまま帰ることにする。

 

「そういえば・・・あのもう一つの日記で破れた部分になにが書いてあったんだろう」

 

風が強く吹く。

崩れ去った廃墟から一枚の紙がまどかの手元に届く。

 

「これはあの日記の破れた部分」

 

何が書いているか気になったので読んでみる三人。

だがそこに書いてあったのは想像をはるかに絶するものだった。

 

 

 

『 もしあなたがこの本を読んでいるとしたら

  

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

   おめえは 生きていたのか

   ぜってえ許さねえ 魔女になっても殺してやる   

 

 

 

 

 

 

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる

   殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる 』

 

手紙一面に書かれた「殺してやる」の文字。

見滝原森林に三人の悲鳴が響き渡った。

 


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