魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

19 / 27
第18話 「廃墟に潜むもの」

まどか、さやか、マミの三人が代金を払って『し~さいど』出て行ったとき。

ナイトメアの三人が奥の方のテーブルで話していた。

 

「廃墟に向かったみたいね」

「たしか廃墟というのは見滝原森林にあるやつですよね」

「ナノはあんまり推奨しないの」

 

「どうして?」

「そういうところにいる魔女はいつもろくでもない奴ばっかだからなの」

「確かに今までの事例からしてもそうですよね」

 

「いいじゃない。それに私たちの狙いはソウルジェム」

「廃墟は昼間でも暗いでしょうし奪うにはピッタリですね」

「じゃあナノたちもさっそくいくの」

 

立ち上がろうとした瞬間、ミサトが注文したチョコパフェが出てきた。

 

「ミサト・・・」

「ごめん。まさかここに巴マミ達がいると思わなくてつい頼んじゃった」

 

舌を出してウィンクして可愛いをアピールするが他の二人は小さく息をついた。

 

 

 

 

 

  現在時刻:15時19分

見滝原中学校駅前から歩いて20分たつと、見滝原森林についた。

ここは都市開発が進んだ町の中で唯一手が入っていない自然地帯だ。

樹海とまでは言わないが昼間でも暗いのであまり奥深くまではいる人はいない。

 

「霧が出てきたわね」

 

森の中に入って数分たつと霧が出てきて前がよく見えない。

それ以前にも今日は曇りで薄暗いというのに。

 

「このままいけば廃墟につくと思うんですけどね」

 

順番は前からさやか、マミ、まどかの順でさやかが道案内をしている。

道補整はされているがルートが大量にあるので知っている人でなければ思った通りの場所には行けない。

 

「帰りは大丈夫なの?さやかちゃん」

「ああそれは大丈夫だよ。ほらこれ地図」

 

まどかが地図を見てると驚いた。

どの道から帰っても必ず最後は一本道になるように森は構築されていた。

 

「こんな森って・・・」

 

何も言えなくなってしまったが、ある意味では素晴らしい森である。

 

「でも町から外れたら二度と出てこれないから気を付けて」

「嫌なこと言わないでよ」

 

こんなところで野垂れ死にするなんて一番したくない。

 

「廃墟に行く前に、こっちが廃墟の幽霊になるなんていやよね」

 

まだ15時ちょっとなのに霧がどんどん深くなってゆく。

このままだとはぐれてしまうかもしれない。

 

「手をつなごう。そうすればはぐれることはないわ」

 

マミの提案でそれぞれ手をつなぐが、まどかだけがそのままマミの手を見つけられなかった。

 

「あのマミさん。どこにいるんですか?」

「ここよ」

 

「あった。これかな?」

 

と手を握ると体全体にチクリという痛みが走る。

 

「痛いっ!!」

 

まどかの声でマミがバッと振り返る。

実はその時握ったのはマミの手ではなくて、真横にあるトゲトゲの木。

枝全体が棘で覆われており、うかつに触るとものすごくいたい。

 

「大丈夫、鹿目さん」

「そうだよいきなり大声出さないでよまどか・・・・ウフフフフフ」

 

小さく不気味な笑い声を出すさやか。

 

「オバケかと思ったじゃないかあああああああああ!!!!!」

 

振り返ったさやかの顔は恐ろしい般若の顔であった。

悲鳴を上げるマミと驚いて後ろの転んでしまうまどか。

 

「アハハハハハ!やっぱ驚いた?こんなんがバックの中から出てきてね」

「お、お面?」

 

般若のお面を外すとこれ以上ないような笑顔でさやかは笑っていた。

そもそもこんなものどうしてバッグの中に入っていたのだろう。

 

「これから廃墟に入るわけだから、怖さになれる訓練をちょっとした方が・・・」

 

「「悪ふざけもほどほどにして!!!!」」

 

二人からのおしかりを受けてシュンと小さくなってしまった。

本当に怖いのは隣の友達先輩だと言う事を身をもって知った瞬間である。

 

「ん?そろそろみたいね」

 

数十メートル先に3階建てぐらいの大きな豪邸が見えた。

 

「やっぱやめにしない?」

「ここまで来て何言ってるんだよ」

「魔女もいるかもしれないし」

 

「さやかちゃんにマミさんまで」

「もしかしてまどか怖いの?」

「ウフフフ、まだまだ子供ね」

 

「ち、違うよそんなんじゃないよ!」

「ほら、そんなこと言っている間に」

「ついたわね」

 

「え・・・・・」

 

間の前の霧が晴れるとそこには大きな家があった。

特に立ち入り禁止の札があるわけでもないが、ところどころの窓ガラスが割れ、玄関の扉の半開き。

 

「いかにもって感じだな」

「もう少しきれいにしてくれてもいいのに」

 

「じゃあまどかはどんな廃墟がいいんだ?」

「どんなって言われても、う~ん、お姫様が住むような綺麗なお城の廃墟だったらいいな」

 

「まどかはかわいいな~♡♡」

「でもそれじゃあ廃墟じゃないわ」

 

「それで本当に入るの?」

「まだ言ってる」

 

入るか入らないかでまだ迷っている三人。

その時、3階の窓からじっと彼女たちをのぞく者がいた。

 

 

 

 

 

 

 

「やっと来たみたいね」

「必死に先回りした甲斐があったもんですよね」

「今度こそ、巴マミのソウルジェムを手に入れてやるの」

 

「まずは監視カメラの最終確認よね」

「2階の談話室にモニターを設置していますから」

 

ナイトメアの三人がここに来たのはマミ達が来た20分前。

急いでパフェを食べて走ってきたので途中でミサトが気持ち悪そうにしていたのは秘密。

 

「落ち着いたところで、ちょっと行ってくる」

 

走って談話室に向かおうとした瞬間、床が抜けてそのまま2階に落ちてゆく。

 

「うわぁぁあああぁあああああああ」

「み、ミサト?」

 

ユウコとキューピは急いで下をのぞいたが幸いにも両足で着地していたため無傷だった。

こういう時に魔法少女の身体能力が役に立つ。

 

「気を付けないと危険みたいですね、この建物」

 

ミサトが落ちた場所はちょうど運のいいことに談話室だった。

 

「痛たたた。でも直通で行けたから結果オーライ・・・かな?」

 

キューピはほかにも危ない所はないかと見渡してみた。

すると扉の真横に大きな鏡があった。

後ろにも同じような鏡があり、向かい鏡になっている。

 

「どうしたんですか、キューピ?」

「いやちょっとあの鏡が・・・ん?なんなの」

 

目線の先にいたものに自分の目を疑った。

そこにいたのはミサトでも魔女で鏡に映るはずのないキューピでもなく全く知らない女性であった。

 

「誰なの?」

 

髪の長い白い服を着た女性がこちらに向けて微笑みかけてきた。

 

「どうしました?」

 

ポンとキューピの肩をユウコが叩いてハッとする。

もう一度鏡を見たがそこに女性などいるはずもなかった。

 

(気のせい・・・なの?)

 

「私達も早く2階に行きましょう。床には気を付けてくださいね」

 

古いのか歩くたびに埃がたってしまう。

その埃を吸ってしまったのかくしゃみが出そうになるキューピ。

 

「は、は、は、ハクションなの」

 

ほんの小さなくしゃみだったがその衝撃でユウコの床が崩れてそのまま下に落ちてしまう。

 

「いやああああぁぁぁあああ」

 

しかも今度は運の悪いことに落ちた場所にはミサトがたっていた。

上を見た時にはもう遅く、ユウコの下敷きになってしまう。

 

「大丈夫なの?取り敢えずは生きているみたいなの」

 

黒い翼を広げて下に降りたがまた羽ばたいたときの風で埃が舞う。

 

「ユウコ。痛いってば」

「あら、ごめんなさい」

 

背中に乗っかっているためうまく身動きが取れない。

キューピが床の上に立つとまた舞っている埃を吸ってしまう。

 

「でも無事でよかったな・・・は、は、ハクションなの」

 

くしゃみによる衝撃でまた床がバキッと壊れる。

 

「「「げっ!うわああぁあああぁあああああぁあああああ!!!」」」

 

その凄まじい絶叫は廃墟の外にまで響いていた。

 

 

 

「なんなの今の悲鳴?」

「分からないけれど地獄の底から響くようなそんな感じ」

「動物かもしれないけど・・・どこかで聞いたような気もするのよ」

 

ポツポツと雨が降ってきて、雷も降ってきそうな勢いであった。

 

 

「じゃああの木のところに」

「ダメ!雷の時に木の下にいるのはかえって危険よ」

 

世間でよく言う高い木の下にいれば雷の時は安全であるというのはまったく間違いだ。

落雷は高確率で高い木に生じ、このとき木は雷電流ルートになるが木の電気抵抗が高い。

その下、すなわち高い木のすぐそばに人が居ると、雷電流はほぼ導体である人体に分流する。

これを側撃といい、高い木の幹近くに入ることは危険性をむしろ増すことになるからだ。

 

「ということは雨宿りするためには廃墟に入んなきゃダメってこと?」

「ま、そういうこと。諦めるんだなまどか」

 

「そんなぁ・・・ふええええ」

 

ゴロゴロ、ドーーーーン!!!!どこかで雷が落ちたみたいだ。

三人は雨宿りを兼ねて廃墟の中に入ることにした。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。