魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第16話 「新人類は変な人」

 マミは先ほどまでニッコリとしていたがさやかが「ナイトメア」といった瞬間に表情が変わる。

心なしか太陽も雲に隠れて若干暗くなる。

さやかはもしかしたら自分が何か悪いことをしてしまったのかと脳内詮索する。

 

(えっ?どうしたのかな・・・私が何か悪いこと言ったのかな)

 

だがマミと今日、出会ってまだ2分足らずしかたっていない。

この際、考えるより聞いた見たほうが早い。

 

「どうしたんですかマミさん?」

「あらごめんなさい」

 

するとマミはまたニッコリと笑顔に戻る。

でも表情が変わった瞬間の恐ろしい笑顔は忘れることはない。

 

「あの・・・私何か悪いことでも」

「いえあなたじゃないの」

 

「えっ?」

「そう、問題なのは・・・あのナイトメアよ」

 

マミとナイトメアとの間に何かあったのだろうかとさやかは思う。

確かにいきなり襲ってきてむかつく奴らだとは思った。

でもそこまで気にすることはないと思うが。

 

「昨日私が病院に行った後に何かあったんですか?」

「恥ずかしいことだから放課後に鹿目さんと一緒に話すわ」

 

恥ずかしいこととはいったいなんだろうか。

 

(まさか!ナイトメアの奴らにあんなことを)

 

マミがナイトメアにされたことを想像する。

あんなことやこんなことを想像してしまう。

両親がいないことを馬鹿にされたのだろうか、それとも・・・

 

(まさか・・・)

 

その時、横からヌッと顔を出す二人の女生徒がいた。

 

「何を考えているんですかぁ?」

 

眼鏡ポニーテールのコンビがさやかの隣に音を立てずにあらわれた。

今まで二人の存在に気づかなかったのでびっくりして体勢を崩してしまう。

 

「な、なんだ?」

 

チヒロ「なんだと言った人がいる」

ミユキ「愛のあるとこ我らが現る」

チヒロ「百合よ育てて大空に」

ミユキ「薔薇よ大地に咲き乱れ」

チヒロ「二人の目標ただ一つ」

ミユキ「愛の形を同人誌に示せ」

チヒロ「チヒロ!」

ミユキ「ミユキ!」

チヒロ「コミケの参加は嗜好の集い」

ミユキ「我らの名前は新人類!」

 

どこかで聞いたことあるよう口上で現れたのは2年生ならだれでも知っている新人類。

都市伝説でコミケのネタになるようなところどこでも現るという噂があった。

でも今日その真実がわかった。

 

(あの噂は本当だ・・・)

 

噂うんぬんより最初に気になったのはその名乗り。

 

「その変な名乗りはどうしたの?」

「ああこれですか?フフフ・・・私たちは実に運がいい」

 

「運がいいって?」

 

さやかの頭の中に最悪の想像が浮かびこむ。

その最悪の想像とはもしかしたら昨日のさやかたちとナイトメアの会話を見られたという。

もしかしたら魔女の結界に迷い込んだかもしれない。

 

「実は昨日、コミケのネタを探してたら。変な名乗りを叫んでいる声が聞こえましてぇ」

「場所は分かりませんでしたわ。でもそれがまたミステリー」

 

「ですよね!分かりますその気持ちぃ」

「そうでしょ。たまにはミステリー物の萌えはどうでしょう?」

 

「それは斬新かもしれませんねぇ」

「はい。斬新ものを狙うならばホラー系の魔法少女なんてどうでしょう」

 

「ホラー系の魔法少女とはどのようなぁ?」

「つまり、設定は魔法少女なんだけど裏にはとんでもない秘密が隠されているみたいな」

 

全然関係のない話で話題がそれていく。

このままでは彼女たちのペースにのまれて時間がどんどん流れてしまう。

 

「そ・れ・で!話の続きは!?」

 

つい大声を出してしまいチヒロとミユキは目を驚きでピクピクさせている。

 

「ええその名乗りをよくよく聞いてみますとすごく素敵な名乗りだったんですぅ」

「アレは一度聞いたら忘れませんわね」

 

一度聴いたら忘れない名乗りここまで聞いたらもう確信だが最後に一つ。

 

「どこで聞いたの?」

「アレは確か・・・そう!見滝原総合国際病院の近くでしたわねぇ」

 

やっぱり昨日のあの時間チヒロとミユキはあの場所にいたのだ。

でもそうすると一つ問題が出てくる。

 

「名乗りを聞いた時に近くに誰もいなかったの?」

「それは分かりませんねぇ」

 

「それって?」

「見滝原国際病院の近くで秋葉原で買った新型盗聴器を聞いているミユキが聞いたんですよぉ」

 

さやかは余りのバカバカしさにずっこけてしまう。

てっきりあの時ナイトメアと同じ場所にいたと言う事を予測していたのに。

それが本当だとしたら、ナイトメアはほかの人には見えないと言う事になる。

それよりも中学生が盗聴なんかするもんじゃない。

 

「近くの会話のみ聞こえるように設定してたんで探したんですけれど見つかりませんでしたぁ」

「あんたたちね・・・ていうかどうして語尾を伸ばすの?」

 

さっきから気になっていたのはチヒロは語尾を伸ばすような言い方をすること。

 

「これはただのくせですよぉ」

 

癖だとしたら相当めんどくさい。

 

「そういう事で私たちも登場の名乗りを作ってみたんです」

「なるほど」

 

妙に納得してしまったが別のもどかしさもある。

でもこれ以上追及するとまた厄介なことになるからやめておいた。

 

「それよりも私たちが話があるのは・・・巴先輩、貴女ですよぉ」

「わ、私?」

 

急に話を振られたので動揺する巴マミ。

話を聞く以上この二人の行動は摩訶不思議でどうしていいものか。

 

「ナイトメアという人たちになにされたんですか?」

 

ミユキが雑誌記者のようにマミのそばに近寄ってくる。

 

「えっ?えっ?」

「とぼけても無駄ですよ。恥ずかしいことされたんですよね?」

 

「は、恥ずかしいこと?」

 

この二人、マミとさやかの話をすべて聞いていたのか。

コミケのネタ探しのためなら手段を択ばない、ある意味恐ろしい女たちだ。

 

「分かってます。私たちにお任せください」

 

何をお任せくださいなのか、マミには全然わからなかった。

 

「巴先輩がどんなことになっても決して非難したりしません」

「ちょっと待って。話が飛躍しすぎてるわよ」

 

「事実は小説より奇なりとも言いますがそこは私たち独自のオリジナル展開にします」

 

勝手に新人類ワールドに引き込まれてゆくマミ。

 

「それに美樹さんと鹿目さんのネタもあります」

「えええええええええ!?あの話まだ続いてたの?」

「あの話?」

 

昨日の件はマミには全く知らないこと。

 

「だからあれは誤解なんだって」

「分かっています」

「でもそれを別のキャラクターで同じネタを使うのが私たちの仕事ですよぉ」

 

もう何が何だか分からなくなってきた。

するとチヒロがさやかの首元に肩をまわしてきた。

 

「まぁ、あなたも私たちの本を買ってみたらわかりますよぉ」

「はぁ?なんで私がそんな・・・」

 

「サービスしときますよぉ。それにそんな私達は卑猥なものは書きませんからぁ」

「卑猥って!」

 

さやかのバッグの中に一冊の本を入れる。

 

「読みたくなかったら捨てても構いませんよぉ。では私たちはこれでぇ」

 

そのままチヒロとミユキは学校に向かって走り去っていた。

見滝原中学校2年生一番の仲良し変人コンビに好かれてしまったさやかとマミ。

魔女退治とナイトメア以外にも前途多難だった。

 

「美樹さんのお友達って面白い人ね」

「友達なんでしょうか?それに本当に面白いと思いますか?」

 

「そうね・・・・」

 

マミはそれに正直に答えることができず、さやかはため息をついてしまった。

 

「じゃ、じゃあ放課後にまた今日の魔女退治について話しましょう」

「はい!」

 

気づけばもう学校についていたのでそこでマミとはいったん別れる。

今日は早く学校についてしまったのが運のつき。

教室にいたのは同じクラスの新人類、チヒロとミユキだけだったので下らない話に延々と付き合わされるさやかであった。

 

 

 

「もう勘弁して・・・・・・・・・・・」


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