魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第15話 「妖しい隣人」

「あ、あなたたちなんで」

 

巴マミは目の前にいる人物に驚きで言葉も出なかった。

確かに今日はいろいろなことがあった。

自分に後輩ができるかもしれない嬉しさで後先を忘れていたのかもしれない。

 

「でもまさか・・・」

 

こんなところで再会するだなんて夢にも思わなかった。

でもおそらく相手も同じことを思っていると思う。

 

「なんでこんなところにいるの!ナイトメア」

 

自分の身長よりはるかに大きい、いや女の子の中でも高身長の人たちにも臆することなく言った。

三人はフッと鼻で笑うとこういった。

 

ミサト「何でこんなところにいるのと聞かれたら」

ユウコ「答えてあげるが世の情け」

ミサト「魔女の破壊を防ぐため」

ユウコ「世界の秩序を守るため」

ミサト「愛と真実の正義を貫く」

ユウコ「クールでシリアスな魔法少女」

ミサト「ミサト!」

ユウコ「ユウコ!」

ミサト「銀河を駆けるナイトメアの二人には」

ユウコ「ブラックホール絶望の未来が待っています」

キューピ「そうなの!」

 

名乗りを上げた三人。

マミは、この状況をあまり理解できていない様子だ。

 

「いや、こっちも全然訳が分からないんですよ」

「ていうかお前はここに住んでいるのか?」

 

ミサトもこの状況がうまくつかめていないらしい。

それもそのはず。

自分たちといざこざ寸前を起こした相手がまさかお隣さんだとはだれも思わない。

 

「そうよ。今日ここに引っ越ししてきたお隣さんってまさか」

「その通り。私達よ」

 

さすがのマミも後ずさりしてしまう。

話し声を聞いてやってきたキュゥべえも無表情ながら一概の驚きが見られた。

 

「まさか君たちがここに引っ越してくるだなんて」

「キュゥべえもここにいたのか」

 

キュゥべえの姿を見てミサトは心なしかニヤリとする。

 

「こんなところまで私のソウルジェムを狙ってきたのね」

「そんなはずないだろ」

「これは単なる偶然ですよ」

 

「偶然?」

「そうだ、別に私たちはお前を追っかけてここに引っ越し来たわけじゃないぞ」

「ええ。不動産屋に紹介されたマンションがたまたまあなたと同じだった。それだけ」

 

「それだけって・・・」

 

それにしては偶然ができすぎていると思いながらもこのまま反論を続けてもいたちごっこになるかもしれないので抑えた。

 

「ともかく、こんなところで巴さんに会えるだなんて嬉しいですねぇ・・・」

 

ニコッとしたユウコの表情に一瞬マミは恐怖すら感じた。

なんとなく高圧的なミサトよりこのユウコのほうがよほど怖いと感じる。

 

「今ここで私のソウルジェムを奪うつもり?」

「そんな野暮なことしないって」

「引っ越し初日から騒ぎを起こしてマンションを去るなんてことしたくありませんから」

 

せっかく苦労して見つけたマンションをくだらないことで手放したくはない。

 

「じゃあなんでここに来たの?」

「まさかあんたが住んでいるとは思わなかったからね」

「ミサトがちょっとお話があるそうで」

 

「話?お生憎様だけど、私はあなた達と話すことなんて何もないわ」

 

そのまま扉を閉められて鍵をかけられてしまう。

巴マミに出会ったことですっかり苦情の件を言い出すことができなかった。

 

「ちょっと待てよ!」

 

再びチャイムを押そうとするがその時、横のエレベーターから住人が出てきた。

このままだとよからぬ噂を立てられてしまうかもしれない。

 

「もうっっっ!なんでこうなるのよ」

 

仕方がないので自分たちの部屋に戻る。

ユウコは先に部屋に戻って興奮しているミサトに温かいお茶を入れてくれた。

 

「はい、ミサト」

「ありがとう」

 

お茶を飲み干すと「ふぅ」と小さく息をつく。

 

「まさか巴マミが隣にいたとは」

「ともかくこのままだとまずいんじゃないの?ナノたちの研究がばれてしまうかもなの」

 

それが一番の問題だ。

何度か巴マミの様子を見てみたが彼女がマルサのようなことをするとは思えない。

だが隣となるとあまり目立ったことはできないかもしれない。

 

「いいんじゃない。別に悪いことしてるわけじゃないし。彼女が学校いっている間にやれば」

「なるほどなの。わざわざ休日とかにやる必要ないの」

 

慎重にやればバレることはないという結論でとりあえずは安心した。

 

「それよりも私は苦情を言えなかったもどかしさが」

 

まだそのことを言っていたミサト。

 

「もういいじゃないですか」

「いやいやいや、私は一度決めたことをやりつくす女よ」

 

「へぇ~それは初めて聞きました」

 

ユウコは知っている。

たまにミサトが家事を手伝うとか言っても必ず中途半端で終わってしまう事。

言葉というのは本当に都合のいいものだ。

 

「それはともかく。どうにかしてねぇ・・・う~ん」

 

ミサトは考えた。

その末に思い付いた一つの案とは。

 

「そうだ!」

 

 

 

 

  ‐次の日‐

 

 

 

 

  現在時刻:07時35分

この日もいつものように学校に行くため、玄関を出てエントランスに向かう巴マミ。

すると掲示板に何かが貼ってあるのが見えた。

 

「何かしら?」

 

このマンションの掲示板は住民が自由に何かを張っていいことになっている。

広告、猥褻、中傷的なものだとすぐにはがされる。

だがお知らせ、注意・警告などなら、剥がされることはまずない。

 

「こ、これはいったい」

 

掲示板の内容を見て目を丸くするマミ。

そこにはワープロ文字でこう書いてあった。

 

『    8階の居住者の皆様へ

  最近夜中に

  「ティロ・フィナーレ」などと意味不明なことを

  叫んでいる住人がいるという苦情があります

  心当たりのある方はくれぐれもご注意ください   』

 

恐らくこれは自分に対していっているものに違いない。

マミが住んでいるのも8階だしこれは確定事項だ。

 

「だ、誰がこんなことを」

 

犯人は分かっている・・・こんなくだらないことをするなんてあいつらしかいない。

 

「ナイトメア」

 

言いたいことがあるならば素直に言えばいいもののこんな風にして張り出すだなんて卑劣極まりない。

ひしひしと怒りが込み上げてくる。

だがここで取り乱すわけにもいかず誰にも見つからないように紙を取り外してバッグの中にしまう。

 

「とりあえず学校に行きましょう」

 

学校に向かう間の信号を待っていると後ろから声が。

 

「マミさん。おはようございます」

 

そこにいたのはさやかだった。

 

「あらおはよう。鹿目さんは?」

「今日は早く起きちゃって、いつもはもう少し遅いんですけど」

 

照れくさそうに頭をなでるさやか。

 

「そうなの、じゃあ一緒に行きましょうか」

「はい。マミさんはいつもこんなに早いんですか」

 

「だいたいはね」

 

魔法少女でカッコいいだけでなく1人で早起きで学校に行く・・・

中学生になっても母親に起こされている自分と比較してもますます尊敬してしまう。

 

「そういえば今日も魔女探しするんですか?」

「私はね。どうする?美樹さんも来てくれる」

 

「もちろんじゃないですか、それにあのナイトメアの奴らにガツンとやるところを見せてください」

「ナイトメア?」

 

その言葉を言った瞬間にマミの周りに異様な雰囲気が流れる。

さやかは自分がとんでもないことをしてしまったと気付かなかった。


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