魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第14話 「私に後輩ができる」

  9月24日 現在時刻:15時24分

「マミさん。なんであいつらはソウルジェムを狙ってるんですか?」

 

学校が終わった帰り道。

仁美は例のごとく今日も塾なのでまどかとさやかはマミと一緒に帰宅している。

 

「分からないけれど、私のソウルジェムを狙っていることだけは確かね」

「マミさんはあそこで戦うことはできたんですか?」

 

もしあそで魔法少女に変身されてナイトメアとの戦いが始まったらどうしようという考え。

ミサトは氷を使い、キューピは何と言っても魔女。

そしてもう一人のユウコという人物はどんな力を持っているかわからない。

 

「でもマミさんなら簡単ですよね」

 

この言葉には同意の意見が込められているのかもしれない。

昨日あれだけの力を見せてくれた、マミがそう簡単にやられるわけがないという。

 

「相手がどんな力を持っているか分からない以上、油断はできないわ」

「そうですか・・・」

「でも大丈夫だよ」

 

まどかが明るく答えた。

 

「だってマミさん強いですし、あの人たちだってそんな悪い人には見えないような」

「えええええええ!!!」

 

さやかのドデカい声が街中に響き渡る。

周りの生徒たちがなんだなんだと振り向くので恥ずかしくなったまどか。

 

「さやかちゃん声が大きいよ」

「ゴメンゴメン。でもあいつらが悪い人に見えない?どうみても・・・ねえ」

 

確かに、ソウルジェムを狙いまどかたちを殺そうともしている。

 

「でもなんか話がずれちゃうっていうか、よく分かんないんだけど」

「まああの茶番を見ればね」

「でもそれがミスリードだとしたらやっぱり危険よ」

 

気づけばもうあたりはすっかり暗くなろうとしていた。

9月に入ると途端に日が落ちるのも早くなる。

 

「じゃあそろそろ帰りましょうか。あまり帰りが遅くなっても親御さんが心配するし」

「そうですね」

 

一応いつ魔女が現れるかわからないのである程度のところまではマミが送っていった。

さやかは病院に用事があるというのでそこまで来た。

 

 

  『見滝原総合国際病院』

 

 

群馬県の見滝原市にある大規模総合病院であり、関東地方では最もよく知られる病院のひとつである。

著名な人物や企業のトップなどがその病院に入院する場合は個室が用意される。

 

「私はここまででいいです」

「また上条君のところに行くの?」

 

「まあね」

「上条君とはもしかして美樹さんの恋人・・」

 

「違う違う違います!」

 

さやかは顔を真っ赤にして手を横に大振りしながら否定する。

 

「た・・・ただの幼馴染です」

「そうなの。ウフフフ」

 

小さく笑うマミにまどかもニッコリししてしまう。

それを見てさやかはボンっと顔をさっき以上に赤くさせて病院の中に入っていった。

 

「さやかちゃんは素直じゃないね」

「じゃあ行きましょうか。鹿目さんの家はどこ?」

 

「私の家はここのすぐ近くなんで。マミさんもあまり遅くなると危ないですよ」

「そう。じゃあここでお別れね」

 

「なんかお別れだなんて、また明日も会いましょう」

「ええそうだったわね。じゃあまた明日ね、鹿目さん」

 

手を振りながらまどかは病院の向こう側へといなくなっていった。

マミもここからバスに乗って家に向かった。

 

  現在時刻:18時21分

マミは両親がいないので一人暮らしなので、掃除も夕食もすべて一人で作っている。

でもそんな暮らしにもようやく慣れてきた。

たまにさびしくなる。

 

「どうしたんだい、マミ?」

 

今日の夕食はスパゲティ、面を煮込んでいると横からキュゥべえが声をかけてきた。

どうやらずっとニコニコしていたんで気になったらしい。

 

「何かいいことでもあったのかい?」

「分かる?キュゥべえもわかるでしょ」

 

最初キュゥべえもマミが何のことを言っているのかわからなかった。

でもその1秒後、なんとなく笑顔の理由がわかる。

 

「鹿目まどかと美樹さやかのコト」

「そうよ。もしかしたら私にも魔法少女の後輩ができるかもしれないの」

 

キュゥべえが思ったことは正解だった。

でも気持ちは分かる。

今までずっと一人で魔法少女としてやってきた彼女にとってそれはかけがえのないもの。

 

「よかったね」

 

夕食のスパゲティを食べ終わるとマミはこれからのいろいろなことを思い浮かべる。

 

(後輩を危ない目に合わせるわけにはいかない。私ももっと頑張らないと)

 

そのためにはどうしたらいいかを考えるマミ。

何分か考えた末にたどり着いた一つの答え、それは。

 

(まずはアレをもっとしっかり言えるようにしないと)

 

マミの言っているアレとは・・・そう。

 

「ティロ・フィナーレ!ティロ・フィナーレ!ティロ・フィナーレ!ティロ・・・」

 

これのことだった。

本人に言わせてみればこれはいわば、アイデンティティのようなものだ。

言わずして立派な魔法少女にはなれないのだ。

まああくまで本人談義だが。

 

 

 

 

 

 

 

丁度その30分前・・・

とある三人組が一つのマンションに引っ越してきた。

 

「やっと片付いた」

 

ミサトが大きく息を吸うとソファーに座り込む。

とあるマンションに引っ越してきたのだがその作業を業者に頼まずすべて三人でやった。

 

「まったくどうして引っ越し業者に頼まないんだよ」

「ナノも疲れたの」

 

「キューピは小っちゃくて足手まといになっただけじゃないのか?」

 

1メートルたらずキューピの力などたかが知れているので家具はすべてミサトとユウコが運んだのだ。

 

「なんてことを言うの。家具を転送したのはどこの誰だと思ってるの」

「それはありがとうってさっきもいいたじゃん」

 

実は春日部から引っ越すときに家具を一端全てキューピが作り出した魔女の結界に移送させたのだ。

そうしておけば盗まれることもないし心配はない。

そしてここに来たとき結界の門を少しだけ開かせて家具を部屋の中に運んだのだ。

 

「まあキューピのおかげである程度の楽はさせてもらっているけどな」

 

家具を部屋に並べるだけなので引っ越し業者は頼まないのだ。

 

「感謝するなら、文句は言わないでほしいの」

「さあ、ひと段落ついたことですし引っ越し蕎麦でも食べましょう」

 

台所で蕎麦を作ったユウコがリビングの机の上に置く。

 

「それにしてもよくこんな優良物件があったよな」

「ええ。家具を全部おいてもまだスペースはありますね」

「最近の不動産はもいいところあるの」

 

 

「研究機材は魔女結界に置きっぱなしですから出すときは手伝ってくださいね」

「え~!全部出せなかったのか」

 

「無理でしたね。あれだけの量の機材は結界以外に置くところはありませんよ」

「疲れるな。あれ重いんだよ」

 

「何言ってるんです。今までだってそうしてきたじゃないですか」

「そうかもしんないけど・・・」

 

「それにもうすぐあれが完成できるかもしれないんですから」

「あれね。成功するかな」

 

「しないと問題ですよ。それに他の研究だって山ほど残ってるんですから」

「はいはい、頑張ろう」

 

「二人ともナノの結界を物置と勘違いしていないの?」

 

的を射た発言に二人がギクッとする。

そういえばもしかしたそうかもしれない。

 

「ごめんなさいね。でもこれが私たちの目的なんですから」

「分かっているの。ナノもできるだけのことは協力するの」

 

「ありがとう」

 

いつしかそばも食べ終わり今度こそゆっくりすることができる。

ミサトとユウコがソファーに座り、キューピはユウコの膝の上で丸くなる。

 

「こうしてみるともう魔女じゃなくて猫だな」

「ウサギの耳がついているから猫じゃないですよ」

 

その時、どこからから声が聞こえる。

 

「隣でなんか大声で何か言っているみたいですね」

「なんだ?もう夜なのに」

 

ソファーが壁側にあるので悪趣味とは思いながら耳を近づけてみる。

すると女の人の声で何か言っていた。

 

「ティロ・フィナーレ!ティロ・フィナーレ!ティロ・フィナーレェェェ!!!」

 

耳を話すすと目をパッチリさせてミサトとユウコは見詰め合う。

 

「“ティロ・フィナーレ!”だそうです」

「そういえば昨日、あの巴マミとかいう女も言っていたな」

 

「この町ではティロ・フィナーレ!というのが流行っているんでしょうか」

「うん・・・というかそんなことはどうでもいいんだよ!」

 

ミサトが突然立ち上がる。

 

「夜なのに大声でそんな意味不明なことを言っているなんて。苦情言ってくる」

 

苦情を言いに玄関へ行こうとするミサトを止めるために袖をつかむユウコ。

 

「ちょっと待ってくださいよ。苦情って・・・引っ越し初日から変なイメージもたれちゃいますよ」

「でもこのままだと私たちは毎晩このティロ・フィナーレ!に悩まされるかもしれないんだぞ」

 

袖をつかむ手が弱まる。

 

「それは嫌かも・・・」

「だろ?ここは一発ガツンと言わないと」

 

そういって玄関のドアを開けて隣の部屋へと向かっていった。

我に戻ったユウコは後悔する。

 

「すみません。隣に引っ越してきたものですけれど」

 

最初から怒鳴り込むとトラブルに発展しかねないのでまずは敬語口調で。

チャイムを2回ほど押すとその部屋の住人が顔を出す。

 

「あの・・・ここのことでちょっとお話が・・・・・・」

 

住人の顔を見てミサトは言葉を失った。

相手もミサトの顔を見てどう反応していいかわからないような顔をしている。

なぜならその住人は・・・・・・・・・

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

部屋で小説を読みながらミサトの帰りを待っていると突然声が聞こえる。

なんだなんだと本を閉じて玄関の扉を開けてミサトのところに行く。

 

「どうしたんですか!あっ!あなたは」

「どうしてあなた達がここにいるの?」

 

 

なんとそこにいたのは黄色い髪に豊満な胸の少女、巴マミだった。


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