魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第13話 「マジカル頭脳パワー」

  9月24日 現在時刻:07時54分

まどかは昨日と同じ場所でさやかと仁美と待ち合わせしていた。

 

「ゴメン、遅れちゃった」

 

二人はすでに到着してまたまどかが一番最後になってしまった。

だけど怒った様子もなく笑顔で迎えてくれた。

 

「おはよう、遅いぞまどか」

「おはようございます。まどかさん」

 

手を振ったさやかはムムッと顔を前に近づける。

まどかの肩にピョコンと乗っかったのは昨日マミの家にいたキュゥべえだった。

 

「うえっ!ゲッ」

「どうかしましたか?さやかさん」

 

つい言葉を発してしまうさやか。

キュゥべえはかわいらしい顔で手を振る。

 

「おはよう、さやか」

 

まどかの近くにより、肩を顔の前に回すと小さく耳打ちをする。

 

「ちょっと。ついて来ちゃって大丈夫なわけ?」

「うん・・・大丈夫みたいだよ。仁美ちゃんも気づいていないみたいだし」

 

「そういえば。もしかして見えていないのかな」

「キュゥべえも私とさやかちゃんとマミさん以外は見えないって言ってたよ」

 

「へぇ~、でもよかった」

 

仁美に見つかるといろいろと厄介なことが起きてしまうので安堵する。

キュゥべえには気付いていないみたいだがちょっと疑問のマークが頭に浮かんでいる。

 

「あの・・・みなさん?」

「なんでもない、なんでもない。さやかちゃんに任せなさい」

 

何を任せるのかは知らないがなんとなくこの場を乗り切るさやか。

 

「まぁ、行こう」

 

肩をつかんで学校へと進んでゆく。

その時、さやかの頭の中にどこからか言葉が聞こえた。

 

『あと、声に出さなくても頭に考えるだけで会話ができるみたいだよ』

 

良く聞いてみるとそれは確かにまどかの声だった。

それは世にいう、テレパシーというやつ。

 

『ええっ!私達、もう既にそんなマジカルな力があるの?』

『いやいや、今はまだ僕が間で中継しているだけ。でも内緒話には便利でしょ』

 

用はこれはキュゥべえの力によるもののようだ。

 

『凄い、凄すぎる!私はこれを“マジカル頭脳パワー”と呼ぼう!』

『・・・・・・・さやかちゃんそれはだめだよ』

 

未知なる能力に頭の中お祭り状態のさやかにキュゥべえの言葉は上手く伝えられていない。

その上、悪くいけば偉い人に怒られてしまうような名前。

 

『えっ?どうして』

 

さやかは気付いていないようだがまどかはピンと来たようだった。

 

『君たちにはわからない、いろいろな事情があるんだよ』

『ふ~ん。さやかちゃんの知らない世界がまだまだあるんだな』

 

キュゥべえの説明に何となく納得した様子のさやかであった。

 

『でもなんか変な感じ』

「二人とも、さっきからどうしたんですの」

 

無言のままである二人に仁美はちょっと心配な目で見つめる。

 

「はっ・・・・・!!」

 

何かに気付いた様子の仁美は鞄を落とし、顔を真っ赤にして後ろに後ずさりする。

 

「言葉を交わさずとも目と目で分かち合う間柄ですの?」

「えっ?」

 

「まさか昨日の一日でここまで、これはまさに禁断の愛」

「いや、そんなんじゃ」

 

「ここまで急接近するだなんて、いったい二人の仲にいったい何があったんでしょう」

 

両手をほっぺに当ててカァ~と赤くなっていく。

まどかもさやかもさすがにそこまではいかない。

 

「ムムムムム・・・」

 

聞き耳を立てて何かを必死にメモっている女子生徒が二人。

眼鏡をかけてポニーテールの彼女たちは見滝原中学校の二年ならば誰でも知っているコンビ。

 

「まさかその二人がそんな関係にあったとは」

「これはいいネタが見つかりましたわね」

 

「夏のコミケが終わったと思いきやもう冬のコミケの題材が決まりましたね」

「さっそく学校で打ち合わせをいたしましょう」

 

一般的な女子中学生とは観点が全く違う、新人類と呼ばれる彼女たち。

造る漫画は一部でカルト的な人気を誇っている。

 

「ちょっとまって!」

 

まどかがメモに手を伸ばそうとしたが素早い動きで交わされる。

普段まったく運動しなさそうな彼女たちでもこのメモに関しては超人的な動きを誇る。

 

「このメモを渡すわけにはいきませんね」

「あなた達のこの禁断の愛を育む素敵な物語を壊しやさせません」

 

光る眼鏡をクイッと上げる。

 

「だから違うんだって」

「そうだよ。仁美ちゃんも何とか言ってよ」

 

でも仁美はすでにある意味で放心状態に突入しているため説明など到底できない。

 

「では私たちはこれで」

「大丈夫。情報は本番まで一切洩らしませんから」

 

「その通り。本を書くまで情報を外に出さない」

「作家、そしてマスメディアとして当然です」

 

思い出した。

同人作家以外にも学校内でのゴシップ雑誌を掲載しているマスメディアとしての顔もあるのだ。

ピューとそのまま走って学校に行ってしまった。

ちょうど、仁美も別世界から正気に戻る。

 

「確かにいろいろあったんだけど・・・トホホ、どうしてこうなっちゃうんだろう」

「でもいけませんわ。女の子同士で、それは禁断の・・・キャアアア」

 

学校に叫びながら走っていく仁美。さらにバッグを置き忘れている。

 

「バッグ忘れてるよ~」

 

でもその頃にはもう仁美の姿は見えなかった。

 

「もう今日のみんな、なんかさやかちゃんみたいだよ」

「それ・・・どういう意味?」

 

 

 

 

 

 

学校につくとそれはいつもと変わらない光景。

あの二人は、まだ何も口外してはおらずまどかとさやかを見つけるとOKサインをする。

何も言わなかったが絶対意味は理解できた。

この二人になにを言っても無駄なので、仁美に誤解を説明する。

 

「はぁ~。よかった、誤解が解けて」

「意外と手ごわかったよね」

 

まだムスッとしている仁美の目の前の席に座ったさやか。

肩の上に乗っかっているキュゥべえが気になる。

 

『ていうかさ、あんたはのこのこ学校までついてきちゃってよかったの?』

『どうして?』

 

理由がわからないのか首を斜めに傾ける。

 

『言ったでしょ。昨日のあいつはこのクラスの転校生なんだよ。それにナイトメアだってもしかしたらどこかに潜んでいるかもしれないし』

 

確かにナイトメアがこの学校にいないという確証はどこにもない。

身長が高かったのでもしかしたらマミと同じ3年生のクラスに転校しているのかも。

 

『命狙われてるんじゃないの?』

『むしろ学校のほうが安全だと思うよ。マミもいるし』

 

『マミさんは三年生だからクラスちょっと遠いよ』

 

2年生の教室は3階にあり、音楽室、芸術室を挟んだ5階に3年生の教室がある。

 

『ご心配なく。話は聞こえているわ』

 

この声は間違えなくマミの声。

テレパシーはある程度の遠さならば支障なく会話できるらしい。

 

『わ、マミさんッ!?』

『お、おはようございます』

 

いきなり声が聞こえたので戸惑ってしまう。

 

『ちゃんと見守っているから安心して。それにあの子だって、人前で襲ってくるようなまねはしないはずよ』

 

ならいいがと噂をすれば何とやら。

暁美ほむらが教室の扉を開けてやってきて、ギロリと二人を睨み付ける。

まどかはキュゥべえをギュッと握りしめる。

 

『気にするな、まどか。あいつがなんかちょっかい出して来たり、セクハラまがいの行為をしてきたら私がぶっ飛ばしてやるから』

 

ちょっかいならまだしも、セクハラはしないと思う・・・・たぶん。

 

『それにマミさんもいるし』

『美樹さんはともかくとして、私がついているんだから大丈夫』

 

ともかくと言われたことにショックで机にうつぶせになるさやかであった。

 

 

 

 

 

 

 

因みに、あの同人コンビが書いたとんでもない内容の本がどんな反響だったのか・・・

それはまた別のお話。


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