魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~ 作:Mr.モノクマ
第11話 「な、なんだって!?」
「私の名前は巴マミ。あなた達と同じ、見滝原中学の3年生。そして、キュゥべえと契約した魔法少女なのよ」
そういって変身したマミはまどかとさやかを襲った使い魔を一瞬にして倒した。
安心したと思ったら今度は、ナイトメアと名乗る三人組が現れた。
彼女たちはソウルジェムというものを狙っているらしい。
「痛い目にあいたくなければおとなしく渡しなさい」
マミを氷の槍のようなもので腕を攻撃してかすかな怪我をさせてしまう。
「ほら血が垂れ堕ちてるわよ」
「あなたたちも目の前の人がこれ以上傷つくのは見たくないでしょ」
ミサトと名乗る人物が作り出した氷の槍が今度はマミの心臓に向かって・・・
「やめて!!!!」
まどかが叫んだが時すでに遅し。
あたり一面に赤色の血の液体が飛び散る。
ピピピピピピピピピピピピピピ・・・・・・・・・
目覚まし時計の音とともに、私は目を覚ました。
「アレ?また夢オチ」
不意に部屋の扉近くの棚に置いてあるぬいぐるみに目をやる。
UFOキャッチャーやデパートで買ってもらったものの中に昨日見たのとそっくりなものが。
「おはよう、まどか」
ぬいぐるみの中にいたキュゥべえはかわいらしく挨拶をした。
「夢じゃなかった」
なんで自分の家にいるのかはわからないけれどまずは、洗面所に行って顔を洗わないと。
非日常な目の前の生き物より日常の習慣を優先したまどかであった。
洗面所で母親の鹿目詢子と一緒に歯を磨く。
「まどか、昨夜は帰りが遅かったんだって?」
昨日のことを言われて小さくなってしまう。
実はあの事件後、まどかとさやかはマミの家に行った。
その結果帰りは7時過ぎになってしまい母親はまだ帰っていなかったが父親の知久に注意を受けることになってしまった。
「うん・・・先輩の家に御呼ばれされちゃって」
「まあ門限とかうるさいことは言わないけどさ、晩飯の前には一方入れなよ」
「ごめんね、ママ」
後ろを見てみるとお風呂場の洗面器で優雅にくつろいでいるキュゥべえがいた。
(他の人には見えないんだ・・・ていうか凄い嬉しそう)
昨日キュゥべえが自分たちに言った言葉を思い出す。
魔法少女になるように契約をして、その代わりに自分の好きな願いをかなえてもらう。
「もしも・・・だよ」
「どうしたんだ?」
「魔法でどんな願いでもかなえてもらうって言われたらママならどうする?」
「え?願いねぇ」
「何かある?」
「そりゃあるさ、まどかの成績が上がりますようにとか」
「えっ?」
「まどかがもう少し早く帰ってきますようにとか、もう少し努力家になってくれますよう・・・」
「わぁわぁわぁ!もういいよ」
「まだいっぱいあるのに」
まどかは急いでコップに入れた水で口をゆすぐと台所へと逃げるように行った。
まさかこんなところで自分のことを言われるとは思わなかったのだ。
~さかのぼること1日前~
9月23日 現在時刻:16時00分
あの後、サトーココノカドーを一端でていき電車に乗って巴マミの自宅へと向かっていった。
マミの家は見滝原市の第一地区の中央マンションにあった。
地上20階建てで他のマンションよりかはなかなかいいものである。
「「な、なんだって!?」」
まどかとさやかはマンションの壁にひびが入るほど驚きの大声を上げた。
「本当にマミさんは魔法少女なの?」
「キュゥべえに選ばれた以上はあなた達も他人事とは言えないものね。ある程度の説明は必要かと思って今日は呼んだの」
マミからごちそうになった紅茶を飲みながらとてもご機嫌なさやか。
うんうん、なんでも聞いてくれたまえよ」
「さやかちゃん・・・それは逆」
マミが手の平から出したのは光っている綺麗な宝石のようなものだった。
「キュゥべえに選ばれた女の子が契約によって選ばれる宝石よ」
「な、なんだって!?なんていうんですか?」
「ソウルジェムよ。魔力の源であり、魔法少女である証でもあるのよ」
「契約って?」
「僕は君たちの願い事を何でも一つ叶えて上がる」
驚いた。部屋の静かな静寂とざわめきが訪れる。
なんでも願いがかなうなんて本当にあり、それが今自分の目の前にある。
「何だってかまわないよ。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
さやかは机を大きくたたいて立ち上げるとキュゥべえを持ち上げた。
「な、なんだって!?金銀財宝も、不老不死も、それにあんな事も・・・・!」
「あんな事って何?」
持ち上げたキュゥべえを机の上に乗っけると大きく空気を吸い込む。
「でもそれと引き換えに出来上がるのがソウルジェムだよ」
「そうそう。それって一体どういう・・・」
「この石を手にしたものは魔女と闘う使命を課されるんだ」
さやかはそこで、帽子を被り黒ずくめの衣装に杖を持った老婆を思い浮かべる。
小さいころからの先入観からして魔女というとそれを想像するのだ。
「あ・・・でも、戦わなきゃいけない魔女って何?魔法少女とは違うの」
「君たちが出会ったあの怪物は“使い魔”だよ」
「またわからない用語が出てきたよ」
どんどんその道の人しか知らない専門用語が出てきてさやかの頭を悩ませる。
「願いから生まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから生まれた存在」
「呪いってどんなの?」
「つまりマミのような魔法少女が希望を振りまく存在ならば、魔女は反対に絶望をまき散らす存在。
しかもその姿は普通の人には見えないからたちが悪い」
それを聞いてもまだ魔女のことを理解できないさやか。
やはり黒ずくめでリンゴを持っている魔女しか想像ができないのだ。
「みんなあんなのなの?」
「そうだね。それにみんな途方もなく強い。魔法少女はみんな、ああやって倒すことが仕事なんだ」
あのカイゼル髭のようにみんな不気味な格好をしているのか。
「世間でよくやる理由のはっきりしない自殺や殺人はかなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。
形のない悪意や恐怖となって人間を内側から蝕んでいくの」
淡々と語るマミに二人はゾッとする。
「そんな怖い奴らと闘ってるんですか」
先ほどだってもしかしたら殺されていたかもしれないのに。
その後もマミは説明した。
魔女が普段は結界の奥に身をひそめて人前には姿を現せないこと。
マミが助けに来なければ二人はあの場所から生きては返されなかったこと。
そして、すべてが命懸けなことも。
「だからあなた達も契約するかどうかは慎重に選んだ方がいいわ。なんでも願いをかなえてもらう代わりに死と隣り合わせの苦労があるのよ」
「「な、なんだって!?」」
願いが何でも叶うと言う事で契約する気満々だったさやかだったがちょっと躊躇う。
「悩むなあ」
「うんそうだね」
「美味しい話ではあるんだけどねえ、お笑い芸人ならぬお終い芸人にはなりたくないし」
こんな時につまらないギャグを飛ばすさやかに呆然するまどか。
その時、ハッとあのほむらと三人のナイトメアと名乗る魔法少女を思い出す。
話の本番はある意味ここからだ・・・