魔法少女まどか☆マギカ ~ミサトとユウコはマドカの敵~   作:Mr.モノクマ

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第9話 「闇の中で出会ったもの」

  9月23日 現在時刻:14時21分

「まさかこんなところでおまえに会えるとは思っていなかったよ、キュゥべえ」

 

改装中フロアの中央広場でボロボロの状態で横たわっているキュゥべえ。

尻尾の先が少しだけ凍傷のような傷を負っている。

窓からは少しだけ光が差し込み目の前の人物の顔を見えづらくしている。

 

「どうして・・・君たちはいったい」

 

すると窓から光が届かず顔がよく見えるところに三人はジャンプする。

 

「おや?今から名乗っとく?」

 

黒髪ロングヘアーで長身の少女はニヤリと笑う。

 

「いいよ。君たちのことはどの魔法少女よりも知り過ぎている」

 

ボロボロの身体を起き上がらせてキュゥべえは三人をじっと見つめる。

 

「相生ミサト、長門ユウコ、それに君はまだ魔女なんだねキューピー」

「私たちの名前を覚えていたの」

 

キューピは大きな翼で宙を舞うとそのままミサトの肩に飛び乗る。

真上と言っても重さは全く感じない。

1メートルの体格なのに重さと質量はほとんど感じないのだ。

 

「何やってる、すぐに降りろよ」

「君たちは3年前に、この町から失踪したと思っていたよ」

 

キュゥべえの頭に3年前のあの出来事が思い浮かぶ。

 

「その通りです。私たちは確かに3年前にこの町を出て行きました」

「あんたになにも言わずに」

「お前が失踪という言葉を使ったのには驚いたの」

 

「ええ。てっきり死んだと思っていたのにというと思っていましたよ」

「でもこの通り。またこの町に現れた」

「我らがナイトメアなの」

 

キュゥべえは分かっていた。

彼女たちナイトメアは決して自分のことを狙ってこの町に来たわけではない。

本当の目的はもっと別にある。

 

「ここであったが100年目と言いたいところだが」

「そうともいかないの」

 

ユウコが小さな笑い声をあげる。

ニヤリとしたその笑い声はある意味で恐怖さえも感じとれる。

 

「この町の魔法少女のこと、何か知っているのではありませんか?」

 

そっぽを向いて答えようとしないキュゥべえ。

 

「そういう考えですか・・・まあいいでしょう」

 

なにかすると思ったのでミサトとキューピは拍子抜けしてしまう。

 

「なんだよ、何か面白いことすると思っていたのに」

「3年前の屈服をここで晴らすのも悪くないの」

「それもいいですが・・・まだ早いです・・・」

 

その時、三人は誰かの雰囲気を察知したのでとりあえずここを後にする。

ただその際にミサトが巨大な氷を作り出してキュゥべえの上に落とした。

 

 

 

 

 

 

サトーココノカドーの地下駐車場の奥にある改装中フロア。

通路をしばらく行った先の中央広場でまどかは一人声のする方へと歩いていた。

まだ瓦礫や木材などがところどころにおかれて少しばかり危険だ。

窓枠から照らされる光のみがこの闇を唯一照らしてくれるものだった。

 

「どこにいるの?」

 

すると天井がミシミシいって、そのまま一部が崩れた。

同時に一匹の白い動物のような生き物が床に落ちてきた。

 

「あっ、あなたなの?」

 

まどかは急いでその白い生き物を抱きかかえる。

 

「凄い怪我してる、どうしたの?」

「タスケテ・・・」

 

体中が傷だらけでその声からしても今にも死に絶えそうだった。

すると、そこにさやかもやってきた。

 

「まどか?なにやってるの」

「さやかちゃん、どうして」

 

「いや、まどかが急に走り出したから心配で・・・ってうおおい!なんじゃこれ」

 

さやかはキュゥべえの姿を見てオーバーにリアクションをとる。

それもそうだ。

目の前にボロボロになった白い動物(?)が倒れていたら誰だって驚く。

ぬいぐるみにもみえる。

 

「どうしての?」

「いや、この子。ここで倒れてたんだ」

 

「この子って・・・それはそうとここは危ないから早く行こう」

 

まだ天井がミシミシいって今にも崩れそうだった。

確かにこのままここにいては危ない。

 

「うん、わかった。この子もつれて」

「いや~、でも本当にこの白いぬいぐるみはいったい何?」

 

「分かんない。わかんないけど、この子を助けないと」

 

 

 

「キュゥ・・・」

 

 

 

キュゥべえは弱弱しく言葉を発した。

 

「喋った!!」

 

気が付くと二人は先ほどとは全く知らない場所にいた。

道は覚えているはずなのに、非常口が全く見つからない。

 

「あれ?あたしたち迷ったの?」

「このあたりから来たはずなのに・・・何か変じゃない?」

 

壁や扉などが普通とは思えない違和感のあるサイケデリックところだった。

 

「どんどん道が変わってるぞ、どうなってるんだ?」

「何かいるよ」

 

まどかが指さした先にはカイゼル髭を生やした、毛玉のような外見をした生き物がいた。

なぜかドイツ語の歌を歌っている。

 

「冗談だよね?私悪い夢でも見てるんだよね?ねえ、まどか!」

 

カイゼル髭の集団がまどかたち向けて襲い掛かってきたその時、周りが赤い光で包み込まれた。

 

「あなた達、危ない所だったわね」

 

光の中から現れたのは見滝原市の制服を着て黄色い髪、そして手には同じく黄色く光った卵型の物体を持っていた。

 

「でももう大丈夫。キュゥべえを助けてくれたのね、ありがとう。その子は私の大切な友達なの」

「わたし、呼ばれたんです」

「スミマセンが・・・どちらさまで?」

 

見滝原中学校の制服を着ているのでおそらく同じ学校だと思うが顔は知らない。

 

「まずは自己紹介をしないとね。でも・・・その前に」

 

彼女は卵型の物体を宙に浮かすと身体が光に包まれた。

そして中世ヨーロッパの砲撃手のような、ブラウスとスカートにベレー帽やコルセットを組み合わせたクラシカルな雰囲気の服となった。

 

「使い魔ども、すぐに終わらせてあげるわ」

 

無数のマスケット銃を出現させ、一斉射撃でカイゼル髭(使い魔)を撃つ。

大爆発とともに全ての使い魔は消えた。

 

「よかった、あいつら消えた」

「やったねさやかちゃん」

 

二人で手を取り合って喜びあうが、なぜか黄色髪の少女はまだ険しい顔をしている。

 

「ありがとうございます。あなたの名前は?」

「私の名前は、巴マミ。見滝原中学校の三年生よ」

「マミさん。どうもありがとうございます。でも、どうしてまだ・・・」

 

そう、使い魔を倒したのにまだこの異様な空間から抜け出していないのだ。

だから普通とは違うこの展開にマミが険しい顔をしているのだ。

 

「おかしいわね。普通は元のところに戻るのだけど・・・」

「じゃあどういう事ですか?」

 

「もしかして、噂の魔法少女狩りの連中がこの近くにいて魔女を放出してるのかも」

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度その時、マミが使い魔をすべて倒したところを見た人物がまどかとさやか以外に三人いた・・・


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