Rebellion Fight of traitors   作:A.K

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chapter16「タッグトーナメント開戦」

 あれから一夏達は織斑秋人の正体……ヴェルバーerrorについての情報を与えられた。

 

 

 本来は星を滅ぼすアンチセルと呼ばれる捕食遊星の尖兵であるヴェルバー02であるアルテラなどを含む3体の存在がヴェルバーシリーズなのだが、織斑秋人はそのヴェルバーシリーズにおいて本来存在しない筈のバグであり正確な能力でさえ不明なのだ。

 

 しかしながら過去のアルテラ……巨神アルテラから解析された情報により現状の織斑秋人の力が分かった。

 

 

 1……完全並列未来予測。自分に有利な未来を得るにはどのような行動が有益かを知る能力である。言うなればゼロシステムに似せた能力である。

 

 2……完全技術模倣。他者が持つ特別な力を能力保持者により完全再現を可能とする。

 

 3……優性遺伝改造。生物や物質の持つ優れた因子や遺伝子能力をより素晴らしい領域へと自由にはね上げる。簡単な話で言うなら自己改造スキルの魔改造版である。

 

 4……生命循環。アンチセルが持つ魔力吸収の上位能力。魔力や物質だけでもなく物理による攻撃なども魔力や生命力などにして変換し取り込み、なおかつ他者に分け与えたり物質創造など非常に強力な万能の力の行使が可能。

 

 現在対応可能なのは生命循環である。魔力吸収の上位版なのだが、これは攻撃を無力化するのではなく受けたダメージをある程度時間をかけて桁外れで膨大なエネルギーとして変換する為に攻撃だけは与えられるのだ。 しかしあらゆる攻撃が効くのはかつての一夏との戦闘で判明してるが、エネルギー変換の時間がどれほどなのか不明なため現時点における最大にして最悪な突破口である。

 

 

「まあ、今は目の前の戦いに集中しますか……!」

 

「行くよ一夏!」

 

 

 織斑一夏は現在学年別タッグトーナメントにて、目の前のシャルロット・デュノアを倒すべく行動を開始していた。

 

 

 ここまでに至る今日のあらすじを語るとしよう

 

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 今から三十分前、前回から更に時は進み6月中旬の晴れた日に学年別タッグトーナメントは開幕した。

 

 

『これより学年別タッグトーナメントを開幕する、司会を務めるのは、私こと平行世界の織斑千冬ことチッピーと』

 

『1年1組副担任をやっている山田摩耶です!』

 

『実況はアンチスパイラルとこの僕、アドヴェントが進行するよ』

 

『今回のこの大会は企業に対する宣伝も兼ねた技術力比べだ。企業に所属する者はより一層努力する様に』

 

 

 それらの開幕宣言の後、一年と二年と三年の参加者は一斉に持ち場に付いた……待機室に向かっただけなのだが。

 

 

 会場であるアリーナには世界各地からの企業の視察団や民間からの見学者が来ていた。その中には一夏達の極東支部のカモフラ企業でもある仙豆カンパニーの役員たちの姿があった。

 

 副社長の八雲紫、経理担当アグラヴェイン、警備担当のリディ・マーセナスと補佐のモードレッド…etc..の名だたるメンバーが揃っていたがアグラヴェインは今日も鎧姿なので目立っていた。

 

 トーナメントは1クラス2チームに分けられており、1〜3年までの各クラスが4組なので全部で24チームのトーナメントとなる。使用する機体はISでもIFでも構わないため之までにない戦略も取れるのが今回の目玉でもある。

 

 

 ついに迎えた第一試合は1年4組AチームVS3年1組Bチームである。

 

 

 1年は簪が制作した打鉄《超弐式》と学園に貸し出されているVF-11B《サンダーボルト》のISとIFの合同チームに対して、3年は打鉄とラファールのチームだった。

 

 開始から即座に4組は開幕弾幕を張った。超弐式とサンダーボルトは内部に大量のミサイルを格納してあるため空間制圧戦闘には向いている。その数二機合わせて280発。これでもまだ一割ほどの火力なので、ここから更に二機はミサイルをばらまきながら接近する。

 

 サンダーボルトは『ハワード GU-17 多目的ガンポッド』を量子格納庫から取り出し粒子弾と実弾を混ぜつつラファールを狙う一方で、簪は打鉄と戦闘をする。

 

 サンダーボルトに使われているこのガンポッドは、前作のGU-16がその前の15からのコストカットの銃剣廃止の弱体化に対して、グレネードランチャーの追加や銃剣の再設置に粒子弾と実弾の同時射撃可能といった強化改修を行ったものだ。その為火力不足がちなサンダーボルトにおいてかなりの救いとなった。

 

 一方の簪の超弐式はGGGからの技術提供によりGSライドとJジュエルを搭載した多目的複合兵装薙刀『加具土命』で打鉄の近接ブレードを切り溶かしていた。加具土命はGストーンとJジュエルの共進現象を利用したエネルギー変換を利用し、物質とぶつかった瞬間に超高温に変化し文字通り切り溶かし尽くす。この機能は後の話でナインボールに勧められて搭載したとは本人の弁。

 その後は言わずとも4組が圧勝をした。しかしながらそれでも機体性能の差がありつつも共倒れギリギリの接戦を繰り広げた3年は気に入られたのか、アグラヴェインにスカウトされていた。だがその顔色が酷かったので心配されていた。

 

 

続く第二試合は今行われている一年一組AチームVS一年一組Bチームである。

 

 

 Aチームは、獅子王凱の《ガイガー》と織斑一夏の《破黒》。Bチームはシャルロット・デュノアの《ラファール・リヴァイヴカスタムII》とベジータの《ゼフィランス》だった。

 

 

「行くぞ凱!貴様の力を見せてみろ!」

 

「わかったぜベジータ!」

 

 

 ガイガーとゼフィランスは互いに近接武器を展開しながら殴り合っていた。ビームサーベルとジェネシック・クローは互いに干渉波をまき散らしながら鍔迫り合いを繰り広げ、それからベジータはビームライフルを取り出して射撃を開始した。

 

 ベジータはガイガーのスペックは既に知っている。ガイガーには射撃装備はこの形態では使えないが一発しか装備していないため射撃戦でやれば多少有利になるのは目に見えていた。だが、相手は勇者の王。ただでは済まないことも頭の中では理解している。故にガイガーの動きに合わせたスピードでマシンガンも取り出して頭部のバルカンも放ちながら攻撃を開始した。

 

 それに対してガイガーは腰のブースターを変えて、更に出力を上げてより高速で動き回る戦法にした。本来のガイガーの空間機動速度はマッハ1だが、腰のブースターを『本来のガイガー』にしてある為にその速度はマッハ1をはるかに上回るマッハ3へと上昇した。

 

 

 面白くなってきやがったぜ……!とベジータも思いライフルとマシンガンを格納し、ビームサーベルを2本展開してベジータもさらに出力を上げて超音速戦闘を開始した。

 

 俺も始めるか……。そう思い一夏もシャルロット・デュノアを視線に収めて戦闘を開始した。

 

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「一夏ってあの光景見慣れてるの?」

 

「まあな、生身で音速移動する奴とかもいるけどな。それより少し弾幕が薄いぜ!」

 

 

 シャルロットがベジータと凱の戦闘を見ているのに対し、一夏は忠告をした。会話の時に弾幕が薄くなってることに気がついたのだ。

 

 55口径アサルトライフル『ヴェント』の弾幕を掻い潜りながら、61口径アサルトカノン『ガルム』の砲身をダガーナイフで破壊しながらエネルギーフィールドを即座に解放し爆発しシャルロットを吹き飛ばす。

 

 反撃と言わんばかりに予備のヴェントを展開しながら、予備のガルムを投げつけてその弾倉に攻撃してきた。一夏は即座に危険を察知したが迷わず突進、直後に発生した爆風に突っ込み隠し武器が搭載されたシールド目掛けて殴りつける。

 

 IF上位3機種の中で桁違いの格闘能力を持つ破黒の手刀は、爆風による加速と多段式瞬間加速による直進で凄まじい破壊力となりラファールのシールドと内部のパイルも纏めて貫ぬく。

 

 

「まだ、まだだー!!」

 

 

 即座に誘爆したシールドを破棄、個人としての特殊技能である高速切替(ラピッド・スイッチ)を使用して試作型『全弾一斉射撃型散弾砲』を構えて放つ。これは超至近距離で使うことを想定した散弾……拡散数は軽く300を超えている。

 

 もろに直撃した破黒だったがシャルロットの想定を上回り、少し動きを止めただけで即座に脚部に装備されている膝部パイル機構を展開した膝蹴りを当てに来た。

 

 即座に残った格納武器を全て展開して盾がわりに出したが、膝が当たると同時に世界が歪んだと思うほどの空間の歪みが直進して爆風をかき消しながらシャルロットを大地に叩きつけた。それでもシャルロットはまた破黒に突撃して行く。

 

 シャルロットはこの時、既に武装を全て失った。基本的にラファールは近接装備はパイル限定の空飛ぶ火薬庫。故にシャルロットはやったことが無いステゴロ戦闘を始めたものの、破黒の左腕のパイル機構を利用したパイルナックルを寸止めとはいえその衝撃波を喰らい地面に落ちた。

 

 

 

「痛いな……けど絶対防御が無かったらもっと危ないんだよね?」

 

 

 土煙の中、シャルロットは空に漂う破黒と、とうとう殴り合いに発展したベジータと凱の姿が見えた。愕然としたレベルの差を見せつけられていたシャルロットは自分がよく生きていられたな……と頭の中で考えて降伏信号を送信しシャルロットは負けた。

 

 各パーツが軋んでいるのを見た一夏はすぐにピットに連れて行き、到着した瞬間IFの専用通信に緊急連絡網が表示されていた。

 

 

『緊急事態発生、学園各地に高次元転移反応。到着まであと3分!!』

 

 

 網膜ディスプレイに襲撃までのカウントダウンが始まった。

 

「シャルロットは直ぐに緊急警報をここにはいない生徒に知らせて、直ぐに学園地下のシェルターへと避難させろ!」

 

「何が起きたの!?」

 

「敵襲だ、しかもかなりヤバい奴だよ……最悪学園とここ近辺が地図から消し飛ぶかもな……!」

 

「わかった……とにかくシェルターに送ればいいんだね?」

 

「頼むぞ……シャルロット!」

 

 

 二人は同時に行動を開始した。シャルロットは校舎全域に流れる緊急警報を流して、即座に避難を開始させた。現場ではターレスと早苗にアムロが避難誘導を開始していた。

 

 

『緊急事態発生、緊急事態発生!!当学園に高次元転移反応を確認、レイヴンズネスト及び各警備部隊と職員は即座にISとIFを展開して事態の対処に当たってください!!これは訓練ではありません、警戒レベル赤……敵襲です!!』

 

 突然発生したエネルギー反応に対して戦闘を行った2機は即座に戦闘を中止し即座に緊急警報を通した対応をした。

 

 ベジータはすぐ様学園の警備部隊に連絡をとった。だが既に異常が発生していた。

 

 

「おいナインボール!」

 

『分かっている。敵は無人ISの大軍と所属不明兵器だ!我々───g──っちノイ────死ぬ──────y─っ!!』

 

「くそ、……足柄そっちはどうだ!?」

 

『こ───足柄、────わね……反IF同盟とか────団のお出ましよ─────!─────────』

 

 

 大規模なジャミングによってIFとISに搭載された通信以外は使えなくなっていた。即座に動き出した警備部隊と視察に来ていたカンパニー社員等の落ち着いている人々のお陰で何とか学園地下のシェルターへの避難は40秒で出来ていた。

 

 極東支部所属の戦士達は一分一秒早く避難させることができるように訓練されていた為に出来た事だ。

 

 

「凱、本社からの連絡はあるか!?」

 

「本社からネクスト部隊が今出撃した!……これは?」

 

 下からの接近情報を見ると、咲夜のクロノスとブロリーとフランがやって来た。

「ブロリー、フラン、それに咲夜もか!」

 

「へっへっへ、ベジータ……よく頑張ったと褒めてやろうとは思わないブロリーです」

 

「こんな時でも変わらんなお前は……まあとにかく聞け!襲撃者は所属不明の兵器群と無人ISの大軍……そして反IF同盟とかいう連中だ!」

 

 

 既にベジータのセンサーには凄まじい数の反応が周辺地域を含めてもうすぐ万にも届かんばかり増殖していくのが機体センサーに映し出されていた。

 

 現在のIS学園はナインボール部隊と主任率いる防衛隊、大和たち艦娘部隊、仙豆カンパニーからの支援部隊、学園教師チーム、専用機持ち部隊などに分かれており本来の世界より対応はやりやすくなっていた。

 

 ここまでの用意をしたのは凱の要請があったから出来たことだ。学園に入学してから教師や生徒達などを呼んで様々な勢力をあつめていざという時の防衛線を張れるようにしたのだ。

 

 後は何処までやれるか……それだけを考え凱は抗う事にした。これまで戦ってきたように……これからもこれからも。

 

 

「無人IS……つまりモビルドールのISバージョンって事でいいの?」

 

「恐らく……例のヴェルバーerror……織斑秋人の差金だろう……そして偽物の篠ノ之束……中に他の連中もいるかもしれんがとにかくまだ転移反応はまだ増えやがる……!『連絡です!』なんだ山田!」

『学園グラウンドにて先程連絡をもらったネクスト部隊と生徒会長が敵勢力交戦中!……所属不明勢力上陸!亡国企業と名乗り学園防衛に手を貸すと言っています!』

 

「そいつらは味方だと連絡しろ!『了解です!』」

 

 既に学園のあちこちで戦闘が始まったようだ……ここにいないメンバーも戦闘しているのだろう。

 

 

「ッへ、俺たちもうかうかしてられないな……『転移反応きます!』ブロリー、フラン!機体を展開しろ!」

 

「来い、ジ・Oォォオオオオオオ!!!!」

 

「行くよエピオン・プロミネシア!!」

 

 

 ブロリーは専用色にしたジ・Oを、フランはガンダムエピオンの専用改修機プロミネシアを展開した。

 

 同時にアリーナの中央空間が歪み『巨大なクジラが飛び出してきた』。それは紫色をしており全身に必要以上に取り付けた砲台などを生やした怪物だった。その目は澱んだ紫色に染まりきっており現れると同時に全身の火器をこちらに向けてきた。

 

「ダニィ!?」

 

「何だと!?」

 

「なんでこいつが!?」

 

「G.T……!?」

 

 

 凱の呟きは直後に響いた爆音の如くの咆哮に消し飛び、代わりに砲撃がアリーナへと叩き込まれた。

 

 G.T……高位次元生命体シーマの最高戦力が牙を向いたのだ。




 偽りの平和は唐突に終わりを告げ剥き出しの悪意が牙を向けた。


次回「THIIMA」


 翼は焼かれながらも彼らは足掻かなければならないのか?

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