Rebellion Fight of traitors 作:A.K
【注】今回はFate/GrandOrderのネタバレなどが含まれるためにあらかじめの警告させてもらいます。
あれからというもの、シャルロットはあらかじめの予定であったIFのパイロットスーツの新型データを届けることに成功してからは学園生活を送りながらも一緒に来たラウラ・ボーデヴィッヒのメンタルケアを他のメンバーと共にやっていた。
何があったかは現地に侵入したニンジャ達に探らせているがまだ分からない。メンタルケアについては全員の協力もありラウラ自信も、ある程度は慣れていたがその1週間後に容態が急激に悪化、現在は保健室に作り上げた集中治療室にて治療中である。
それから更に数日経った現在、突然だがIS学園の織斑一夏と獅子王凱は現在、破黒とガイガーを展開して月へと向かっていた。
「この世界の《ムーン・セル》を調べてきてくれないか?これはクラッシャー隊の隊長である一夏と宇宙活動に慣れている獅子王凱の2名による特務とするため口外は禁止する」
その
バックアップはカンパニーが秘密裏に配置したジャミング衛星により、月表面は何の代わりもない映像が世界各地に流れているだろう。(国際宇宙ステーションは予め侵入していたパルパレーパのパレッス粒子で対処済み)
作戦時間は次の日になった瞬間にカンパニー本社にて始まった。
カンパニーの地下からスキマ空間を展開し、紫の専用機の幻妃のレールガンに弾丸として一夏と凱が乗り込み火星近辺宙域に展開されたスキマから地球上から観測されない位置からの電撃突入作戦である。
作戦開始から2時間後、月面の指定座標に到着した2機はよく見ると何らかの人工物質と思われる黒い塊を確認し作業を開始した。
「よし、ポイントはここだな?凱、準備は出来たか?」
「任せろ!座標軸固定!ディバイディングドライバァァァアアアッッッ!!!」
ジェネシック・ガイガーには今回の為に急遽制作した携行式ディバイディングドライバーを装備しており、2機が通れるほどの湾曲空間を発生させたのだ。
月の中心部に繋がるその穴を通りしばらくすると奥に巨大な青い光を放つ物体が見えた。ソレは正方形でその空間の中に浮かんでいる。しかしどう見ても地球製では無かったのだ。
「これが……ムーンセル……!」
地球からの魔力などを吸い上げてそのシステムを稼働させて記録を繰り返す外宇宙製の超演算機……それがムーンセルである。SE.RA.PHと呼ばれる特殊な電脳空間を形成し生活も可能という究極のシェルターとも言うべきだろう。
「神の演算処理機、星に干渉するコンピュータ……なんて言われているがこの世界では聖杯戦争も聖杯大戦も起こせないから只の宇宙の地球観察機械だけど今回のターゲットはこれじゃない。……この黒い欠片だな。構成物質もかなり特殊な物だがPS装甲程の頑強性はあるけどジェネシックオーラには弱いようだな……開けるぞ!」
ジェネシッククローでこの部屋に似つかわしくない非常に巨大な黒い物体……ムーンセルに突き刺さるピラミッドの様な妙な物体を粉砕し、その中身で特に光っていた時には青く、時には緑、時には赤く光る石の様な箱を回収した。
「よし回収完……っ散開!!」
破壊した物体が即座に再生し光の鎖らしき物体を大量に発射してきた為、2人は反撃を開始した。
「これがコイツの防衛システムの様だな……!」
「一夏、分かってると思うが今は脱出するのが先だ!ジェネシック・クロー!」
脱出口に向かいながらもジェネシック・クローで鎖を消滅させれば、次は一夏がナル光線砲でソフトとハードの両方のシステムを停止させていく。
途中に人型の光る人形みたいなのもいたがジェネシックオーラや素手でも粉砕できたのですぐに消滅した。
「よし、ここまでやれば後は良いだろう……急いで離脱するぞ!」
凄まじい速度で再生した黒い欠片の一部が石の箱を持つガイガーを狙うも、箱を一夏に渡した瞬間にギャレオンの口から放れた高濃度ジェネシックオーラで消滅させられた。その隙に2人はムーンセルから離脱と同時に隠していたガトリングドライバーの重力レンズで空間に蓋をし、更に途中でパルパレーパを回収しながら大気圏を突破してIS学園に帰還した。
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「で?今は寝不足だと?一夏よ……すっかり気が抜けているではないか!」
「落ち着け、やっとまともな青春が迎えられるようになったんだ。大目に見てやれスカサハ」
徹夜でここまでのあらすじを語った一夏は、盛大に寝不足な為に欠伸をしているが、かなり前に一夏を鍛えたスカサハにはだらけているのではないか?と少し納得がいかないようだが同じく寝不足な我らが勇者王の凱に宥められていた。
「というかまだ戻らなくていいのか?」
と言うのもスカサハはコウマの単一発動能力で転移された存在だが任意で極東支部に戻れるようなのに、何故かこのIS学園に留まっていたからだ。
因みに役職としては極東支部ルーン魔術科専門教師・チャージスピア戦闘訓練名誉顧問の二つの役所を持っていたりする。
「それなら大丈夫だ。今の新人の神機使い達はすっかり基礎的な技術は叩き込んだしセタンタもいる……私はすっかりサポートをするだけさ。そういえばお主たちがこっちに来てからだが、何やらアメリカの空母やフランスの水上機母艦等の2カ国の艦娘やら日本の新しい艦娘等も来たり、新しい英霊が到着したりしているが特に問題ではなかったからな……因みに来た英霊が神霊、しかも女神なんだが……問題じゃないだろ?」
「「確かに問題じゃないな」」
数年前のまだ第二世代神機使いができたばかりの頃よりはまだましな話だったので二人は納得した。あの頃はまだ対アラガミ装甲もまだ不安定で資材も不足気味だったのは懐かしい話である。
「あとこれは業務連絡としてお前達2人と他数名だけに伝えておく……フェンリル極東支部は本日未明、階級《人類悪II》ティアマトらしき反応を確認したそうだ」
ティアマト……エクストラサーヴァントクラス『ビースト』の一体であり、古代メソポタミアの創造母神でもあるが様々なことから神々に見捨てられ怒り悲しみ戦争を起こし、最期は遺体を二つに割かれその身は星の大地へと変換された哀しき女神である。
ビーストとは人類悪とも呼ばれる存在であり、本来の聖杯戦争の英霊はこのビーストと戦うための決戦兵器だったとされる。
ビーストには合計で7体とされておりティアマトはその中のII……『回帰』を司る存在であり、大量の聖杯の泥であるケイオスダイトを使い相手を 自分の子……眷属に変えてしまうのだそうだ。その精神はただ単純で生命持つ者を愛したいが、人間はただ単に自分を殺しに来るのでは?だから怖い…身を守る為に向かってきたら殺さないと…という怯えが強すぎた存在なのだ。
「ティアマトが!?それは本当なのか!」
「本当だ……今の所はクレイドルとブラッドの特殊部隊と私達英霊がその行方を追ってはいるがまるで何かから逃げてるような移動痕跡が見られている……念のために覚えておいてくれ」
それから数時間後の午後の最後の授業が終わった後、学園の港にて鍛錬をしていた一夏と天子はふと世界が揺れたのを感じ、そして知り合いが一人と一匹が並行世界から消えたのを確認した。
「Drロマン……いやオリジナルの魔術王ソロモンか……そして災厄の獣キャスパリーグ……ビーストⅣもか……」
「聞いていたけどあっちは決戦が終わったようね……確か幻想郷と極東支部からも人員を派遣していたらしいけど上手くいったのね?」
本来の歴史なら一年ほどかかる人理修復は極東支部の介入により、約半年程になっていたようだ。その為極東支部等で暇を持て余していた部隊がカルデア支援部隊として派遣された。そして先日遂に最終決戦が始まり決着がついたようだった。
「多分な……だけど大変だろうなあっちは。あっちの世界では半年近くも時がすぎているから魔術教会や聖堂教会も大慌て、更に国連も緊急会議をしなくちゃあいけない……下手したらアイツは冠位を与えられ、マシュも拉致られかねん……まあそうしたらカルデアや極東支部が黙っていないだろうし大丈夫だろうな」
「まあカルデアなら何とかなるわよ……さて一夏、続きをやるわよ!」
そう言いながら打鉄のブレードを生身で居合抜刀してくる天子に対して、一夏は片手ナイフで応戦していた。互いに応戦を繰り返す中で一夏は天子の癖に対して即座に反撃を行った。 比那名居天子は天人としての身体特性と非常に優れた戦闘力等のスペックとしては若手として高いレベルで纏められていた。だがそれが仇となるのだ。
「オラァ!!」
「ッ痛ぅ!!」
本来のこの世界の住人である凰鈴音と天子は悪い癖が同じ……攻撃内容が顔に出るのだ。
素早い攻撃なら顔を引き締め、後ろに回るなら下を向く、強い一撃なら息を殺し目つきが悪くなる。これらが簡単な一例である為に、一夏はとりあえず両足のアキレス腱や全身の筋肉の筋を浅く切り落とした。そこから崩れ落ちる瞬間にステップ3回分の距離を一息で接近しその時のエネルギーを掌底の一撃として放つ。
「極東流・詰の型《三間一撃》……ってな!」
とっさに防御の構えをした天子はブレードを盾にしたが突きの一撃で砕かれそのまま海面へと激しく弾き飛ばされ海底へと激突したが、即座に切れたアキレス腱などを再生させて海面から飛びだし陸に戻り訓練が終わった。
「し、死ぬかと思ったわ」「すぐに傷を再生させているから皮肉にしか聞こえん……何だあれ?」
あれからの後廊下を歩いていた2人は職員室前に貼られていた張り紙を見た。学年別タッグトーナメント……というイベントである。一夏は横にいたクラスメイトの鏡ナギに話を聞くことにした。
「ナギ、このタッグトーナメントというのは?」
「あ、織斑くんも来たんだ!これはまあ企業に対する宣伝かな?ほらテストパイロットとかさ……今はこういうので就職にも関わるからやるんだよ。私たち1年はまだ純粋にどれ位しっかりと操縦出来るか何だけど、2年と3年は就活みたいなものだから張り切ってるんだよ」
「なるほどね……まあ確かに聞けば大切な事だけど腕鳴らしには良いわね」
「だな……さて『お知らせします、織斑一夏くん織斑一夏くん今すぐ生徒会室に来てください』ちょっと行ってくる!」
急に言われた放送で言葉を遮れるも生徒会と聞き即座に壁や天井を足場にして即座に到着した。
部屋にいたのは楯無や簪、クラスメイトの布仏本音とその姉である布仏虚、そしてコウマと凱にベジータだ。
「来たな一夏!」
「凱やベジータさんは生徒会の手伝いか?」
「まあな、それよりもコウマがこの世界におけるムーンセルに引っ付いていた物からとったあの箱の解析が終ったから聞いてくれ」
全員が座った所で今回の要である箱が置かれた。
「コイツはムーンセルを取り込もうとした捕食遊星ヴェルバーのユニットの一つ……まあとりあえずコイツは……そのヴェルバーの使者の方舟のキーパーツだ」
ヴェルバー……極東支部等で以前から観測されていた危険な人口遊星。詳しい事はコウマが口を閉ざしているのでまだ分かっていないが一夏達はとても危険なものだと理解していた。
「舟?ではこの箱は何のパーツ何ですか?」
「コウマくんの代わりに説明するわ。これは簡単な例えだけどコックピットなのよ。しかもパイロットは量子分解されて保存されていると言ってもいいわ」
「しかもパイロットがな……」と言いつつIFを通した中のデータ……正確にはコックピットの中にいたのは一夏達が知っている人物であった。
褐色の肌を持ちそして特徴的なその白い髪の毛と一体化したような白いヴェール……一夏は即座にその正体を悟った。
「アルテラ!?いやちょっと待てなんでこんなに大きいんだ?」
「アルテラ?」
「フン族の戦闘王アッティラの事だ」
「アッティラは男性だったのでは!?」
「だがこれが現実だ……彼女がアッティラだ」
「なんでこんなに大きいの〜?」
中にいたのはアルテラ……戦闘王アッティラとも呼ばれている人物がそのまま巨大化した存在である。
「彼女の本来の大きさがこれだ……そして彼女から得られたのが……織斑秋人の正体」
コウマはアルテラから得られた情報を表示した。
「星を滅ぼす流星……捕食遊星ヴェルバーの使者であり我欲に目覚めた怪物。そして本来存在しない世界を滅ぼす者”ヴェルバーerror”……それがやつの正体だ」
自分の復讐相手がこの世界の全てを滅ぼす存在であることであることを呆気なく言われ一夏は目の前が暗くなった。
語られた復讐相手の真実、そんな一夏達はタッグトーナメントの為にパートナーを決め参加したのだが……
次回「タッグトーナメント開戦」