Rebellion Fight of traitors   作:A.K

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えー……本来この話は夏に出す予定だったのですがゴタゴタでこんな時期に……久しぶりなので文章が安定しているかどうか……それではどうぞ!


specialchapter5「因縁を断つ者」

 残暑残る暑さの中……その2人は歩いていた。

 

 2人は自然公園を通りながら海沿いを歩き続けるが、その2人はこの世界の人間ではない格好と荷物の量をしていた。

 

 

「ったく、俺らの世界がいかに危険かわかるな……それで、こんなんで良かったのか?この遅めの御中元?」

 

「うん、竜馬君たちからお願いされたからね。それにしても深海棲艦と艦娘……片や太古の船の怨念、片や過去の大戦の戦艦たちの転生体らしいけど実に気になるね!『シオ』と同じ進化の袋小路に迷い込んだのかな?それに彼女達に螺旋力やゲッター線があるのかどうかも気になるしね……あとオラクル細胞もね」

 

 

 「あんたの本職……マッドサイエンティストでいいだろ?」と呟くのは極東支部最高戦力の1人であり過去に行われたマーガナルム計画───生まれながらにしてアラガミと対等の力を持つデザインベビー開発計画───唯一の生き残り……ソーマ・フォン・シックザールだ。黒く焼けた肌に白を基本とした夏用の服に白髪……それと大量の御中元であるそうめんと竹を背負っていた。

 

 隣を歩くのは極東支部の頭脳であり、多次元世界最高ランクの指揮官であり科学者である東の賢者の名を持つペイラー・榊極東支部長である。常に閉じているその狐目は起きてるのか寝ているのかよく分からないのだ。服装は白衣に複数のメガネを首にぶら下げ、下駄を履いている。

 

 

「しかし海はいいねぇ!すべての生物はここから生まれ、そして進化を繰り広げていた……だがそれでも離れられない命の泉とも言える……!「黙ってろ博士、それに今回はメンタルケアの為に来たんだろうが」ごめんごめん……と、ここがラバウル鎮守府だね?ここまで10kmぐらいだね……今日は真ドラゴンの姿はないようだね」

 

 

 今回二人が来たのは、平行世界の艦これであり真ゲッタードラゴンがシンボルとなるラバウル鎮守府におけるメンタルケアであった。

 

 レンガ造りの建物なんて石作りの建物が大好きなデミウルゴスの餌だろうな……と的外れ的な考えをしていたソーマは微かな別の呼吸音……2人ほどの息を聞いていた。

 

 

「さて、そこに隠れている2人……案内を頼めるか?(英語で会話をするが、都合上日本語表記とする)」

 

 入口である門の近くに隠れて出てきたのは、二十歳前半の女性……欧州か北米方面の人種の為にソーマは英語で会話を始めた。

 

 一人はアメリカンコミックで登場しそうな胸元が開いた大胆な服装をし、目には☆がありグラマー体型であり、頭にはレーダーの様な何かを載せている。

 

 そんな彼女の後ろに隠れているのは、貴族のような高貴さを持ち優雅なドレスのような服装をし、服の上からも分かるほどのスタイルをした女性だ。しかし車椅子に乗っている為脚が弱いのだと考えた。

 

 

  「貴方は……誰ですか?」と視線で言ってるのを二人は理解した。

 

 この世界の事を知っているソーマと榊はやっぱりかと、目の前で縮こまる2人に対して思った。この世界では男が少ない。故に下手な対応をしたら裁判沙汰にされてしまうためにこんな対応をされるのが当たり前なのだ。

 

 

「あー……そんなに縮こまらなくていい。俺はソーマ・フォン・シックザール。ここで臨時のカウセリングをする者だ。となりの狐目はペイラー・榊……東の賢者なんて大層なあだ名があるが只の科学者の1人だ」

 

「私がペイラー・榊さ。ふむ、2人のその艦装からするに、アメリカのアイオワとイギリスのウォースパイトだね?ここの鎮守府の事は聞いてるかい?」

 

 アイオワとウォースパイト……彼女達はかつての大戦で対立していた国家『連合国』からの初めての艦娘である。そして……今回の依頼のターゲットでもある。

 

 

 数分後、非番で待機していた青葉がやって来て今回の予定を説明された後にソーマがウォースパイトを、アイオワを榊博士が担当することになり二手に分かれた。

 

 

 ソーマside

 

 

「顔が紅いが大丈夫か?」

 

「え、えぇ……有難うございます……!」

 

 

 ソーマはウォースパイトの車椅子を押して移動していた。レンガ造りの建物にしては近代技術……というよりゲッター線由来の技術を見ながら移動していた為にも何時の間にか顔が紅くなったウォースパイトに気が付かなかった。

 

 ウォースパイトからしたらソーマはとんでもないイケメンであり、しかも異性相手に何といえばいいかわからずにいたので恥ずかしくもなっていた。

 

 だが外に出て遊んでいる駆逐艦たちの姿を見て、後ろめたい感情を持っていたのをソーマは既に気づいていた。

 

 

「やはり羨ましいのか……自由に走れるあいつらが」

 

「はい……やはり羨ましいです。だけど私はあの時敵として戦った私がいて喜ぶのでしょうか?」

 

 

 かの大戦の事は未だに引きづっている艦娘も少なくないのをソーマも知っている。過去は簡単には拭えないのをソーマも理解しているので同情にも似た感情を感じた。

 

 だからこそ言うのだ。誰だって変われるのだ……だがすぐにとは言えないが少しづつでも変われるのだ。

 

 

「喜ぶさ……あいつらも新しい仲間が出来て嬉しがっている。だが、きっかけが無いんだ。だからこそきっかけを作ればいいんだ」

 

 

 「かつての俺もそうだった」という小さく呟かれた言葉をウォースパイトは聞き逃さなかった。

 

 

「俺は昔から生まれながらにして得た力で生きてきた。だが他の連中からしたら異常な力だ。故に生まれながらにしての呼び名は『バケモノ』。そして8歳の頃か……初めて戦場に出た時からついた名は『死神』。どちらも縁起じゃねえ名前だ……中には物好きな奴がいてよく出撃したが目の前で死んだ」

 

「そして誰とも関わるのを辞めたんですか?」

 

「そうだった……んだが3年前に来たあいつらが関わってから変わったさ……まあ簡単に言えば馬鹿でお節介な神様と愉快な仲間が落っこちてきて全員を結んでいった。荒んだ心も、涙に濡れた心も、悪意に砕かれた恋心もな……そして一人の少女に後押しされて今の俺がいる」

 

 

 だから今度は俺が誰かを救う。前を向いていけと言っていたあの白き少女との約束の為にも。

 

 

「だからきっかけを作る。何のためにでもなく……誰かの為に。誰かを救うためにきっかけを作る……それが今の俺たちのやる事だ。そういう事だから外行くぞ」

 

「え、えぇ……外!?けど私じゃあ……」

「だからこそ……日本の夏名物で交流する」

 

 

 ソーマの目は面白いものを見せるようなピエロを連想させる気配を垂れ流していた。

 

 

 30分後、外ではやたら長く半分に割かれた竹……そしてそこに流されている水……それらは柱に支えられている。

 

  「お前らちゃんとあとの奴らのこと考えて取れよー?」

 大声で叫ぶソーマが白い麺をそこに流し、艦娘や憲兵達が箸でそれを取り麺つゆに入れていく……

 

 そう……ソーマが言っていた名物とは流しそうめんの事である。

 

 

「しかし、なんだ……これもアイツ(コウマ)の想定内って訳か?博士の方はどうだったんだ?」

 

「まあね……僕の方はコミュニケーションにおける円滑な関係作りが原因かな……っと思っていたけど……やっぱり過去の怨念かな?」

 

 

 榊博士が見た先にはソーマが手配した駆逐艦達や他の艦種のメンバー達のお陰で会話に参加しているウォースパイトとアイオワだった。

 

 だが幻想郷に行ってからかの影響なのか、悪霊に取り憑かれているのが見えていた。特にソーマはとびきり強くどれほどの数がいるのかもさえ見えていた。

 

「……これも想定内だな。しかしこれはまずいな……博士、今日の夜に除霊を行うから準備を頼む」

 

「わかった。僕も竜馬君たちに連絡はしておくから頼むよ」

 

 

 

 深夜の丑三つ時……ソーマは1度極東支部に戻った後に装備を整え、竜馬達に用意してもらった部屋にいた。

 

 

「除霊対象の遺伝子物質……皮膚を溶かした物を塗りこみ、ルーン魔術でさらに補強、憑依体による対象の暴走を考慮し純銀、聖水、護符を錬成し作り上げた鎖で固定。神機接続……イーブルワン解除、続けてヘルサイズ極を接続。」

 

 

 その部屋で行われていたのは神機を利用した除霊の準備である。更に除霊対象の2名は特殊な鎖で固定。万全の布陣で望むための行為である。

 

 

 接続された元ブレードのサイズであるヘルサイズは本来のオレンジ色からすぐ様に純白の鎌へと変わっていた。ソーマの神機はとある事件の影響から取り付けた装備が純白の強化物質の特性を与えられていったのだ。

 

 

「ええっと、一つ聞いていいかしら?」

 

「なんだウォースパイト?」

 

「そ「駄目だ」即答!?」

 

「こうでもしないと完全に除霊できない。それに艦娘である時点で既に危険なレベルで取り憑かれてから猶予もない。覚悟を決めろよ……!」

 

「さあ来なさい!meも覚悟を決めたわ!」

 

「アイオワは決断が早いな……じゃあいくぞ!」

 

 

 ウォースパイトが何かを叫んでいるようだが無視を決め込みながら、神機に力を込めた。

 

「我狩るは古の亡者にして哀れな命、冥府に還さんが為にその迷いを裂き、今宵に別れを告げて消え失せよ───という訳でいい加減に地獄に落ちろこの馬鹿野郎ぉおおお!!」

 

 振り下ろしたその鎌は──────正確には鎌型神機の打撃部分─────を二人の腹に叩き込んだ。

 

 

「「AAAAAAAAAAAAAAA!!!???」」

 

 

 神機使いの……手加減がかなり入っているが重い一撃で何とか体が耐えているが意識が消し飛んだアイオワとウォースパイトから吹き出した憑依悪霊の群れに見えた特別濃い色の核を今度は本気の刃の部分で両断した。

 

 この魂はこの世に対する憎悪で生み出されていた。他者を憎み尊厳を踏みにじりあの世に引きずり込もうとするのは、かつての戦争の被害者だろう。だがそれでも生きるものに対する危害を加えるなら自分たちの敵故に慈悲はない。

 

 

 

 

「除霊……完了。あとアフターケアの回復球だな」

 

 

 このソーマ式除霊は極東支部にふらりと来たボギー愛子という凄腕の物理特化型の除霊師がソーマに宿る除霊師の才能を見抜き生み出されたある意味強力な異能能力である。

 

 

「こ、怖い……!」

 

「あれだけは喰らいたくないな……」

 

 

 一部始終を目撃していた水無月と既に気絶していた伊26や天龍は脚を震えながらも部屋の片付けを手伝いに行った。

 

 翌日目覚めたアイオワとウォースパイトは身体のだるさと常に身を締め付けていた虚しさが無くなっていた。

 

 この2人は昨夜の事でソーマが直したということを理解したが、やはり感じた事は死神は嫌いだが……白い死神は好きだと言うことを呟いていたのを竜馬が聞いたそうな。





タッグトーナメントが近づく中、一夏と凱はとある調べ物をしていた。それはこの世界の異常に迫る事である。

次回
「遊星」

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