Rebellion Fight of traitors   作:A.K

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X「世界とは無限の可能性がある……この話もその一つだと考えているんだ」

響「specialchapter2、クロス・エンカウント・オブ・バカ&バトルシップガール。始まるよ」

X「ところでなんで鍋を被ってるの?」

響「マイブームだからさ」


specialchapter2「クロス・エンカウント・オブ・バカ&バトルシップガール」

 初日の夜、コウマの部屋で夕食を食べた後のことである。メイに自分たちのことを説明し終えてから艦娘の説明をした後メイの一言にコウマが呟いた

 

 

「え?俺が艦娘と出会った時の話をして欲しい?」

 

 

 使った食器を洗いながら返事を返したコウマは昔の話を迫られ頭をひねる。

 

 

「はい!食堂の皆さんとすごく親しい関係だったから気になったんです」

 

「確に私も兄さんと仲がいいのは知ってるけど、どうしてであったのかまでしか知らないから……」

 

「師しょ……コウマさ……コウマがどうやって信頼関係作ったのも青葉からはまだ聞いてなかったからなぁ」

 

「一夏〜青葉って誰?」

 

「艦娘版文」

 

「なるほどなぁ……イメージが付いた」

 

 

 ついでに文のイメージが強いと言ったら、周りのやつも大変だなと勇儀が呟いた。

 

 

「私とターレスさんは知っていますよ!」

 

「俺達はあっちに行ったからな」

 

「元気があっていい奴らだったろ……まぁ話しておくとしようか」

 

 

   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 全ての始まりである彼女達《艦娘》と会ったのはおよそ半年前の事だ。

 

 

 極東支部で発生した《フライヤ》を中心として発生した3年前の『エイジス島』における《エイジス事件》以来、人類史2度目の《終末捕食》が発生してその一連の事件で仲間を二人失ってから六日後、幻想郷では半年後のことだった

 

 ~幻想郷の妖怪の山《河城工場》~

 

 にとりと束に頼まれて次世代型ISの試作パーツの材料を届けた時、左耳につけた通信用トランスサーバーにブラッド副隊長であるシエルから連絡が来た。

 

 このトランスサーバーは一度に二人まで同時に、電話での会話が可能となっている。

 

 

「こちら、ブラッド1。ブラッド2のシエルか?何かあったのか」

 

❮こちらブラッド2・・・隊長、榊博士から至急の電話です❯

 

「わかった。そういえば・・・シエル、今度暇があったら買い物に付き合ってもらえないか?」

 

❮・・・!はい……!では、接続を追加します❯

 

❪久しぶりだねコウマ、幻想郷では半年ぶり・・・極東支部(こっち)ではまだ六日ぐらいかな?❫

 

 

 そう、元々いた極東支部と幻想郷では時間の流れがとても違うのだ。幻想郷での半年が極東支部の六日。

極東支部の一日が幻想郷での半年になる。

 

 これは、八雲紫が時間的バランスを取るために行ったのである。他にも極東支部の人間は幻想郷では肉体の老いが非常に緩やかになり、幻想郷での生物が極東支部では肉体の老いが非常に緩やかになるように設定されているのだ。

 

 

❪さて、今回の連絡は六日前の終末捕食の影響で、《旧東京湾》上空で最近になって巨大な時空振動が観測されるようになったんだけど調べてくれないかな?❫

 

「了解です、シエル……霊夢たちの面倒を見てくれないか?下手するとかなり時間がかかりそうだから」

 

❮わかりました、でも……絶対に帰ってきてくれますか?❯

 

「俺を誰だと思っていやがる?必ず帰ってくる……約束するさ」

 

 

終末捕食の影響で次空振動が多発している旧東京湾を、局長からの依頼で翌日に調査した際、大時空振動が発生し異世界に飛ばされた

 

 そこは 極端に男女の人数と思考バランスが可笑しくなったあべこべの艦これと呼ばれた世界……平行世界のパラレルワールドに、ゲッターチームと民間軍事プロバイダー《S.M.S》にマジンガーZ(真)と共に突如転移……ラバウル鎮守府に流れ着いた。

 

 

 そこにいた彼女たち艦娘を指揮する提督が、道具として非道的な扱いをするクズ提督達──珍しい女版クズ提督──を追い出したばかりの時だったのだ。

 

 しかもそこの艦娘達は『男』を見たことなかったので、見える人間全員がクズ提督と同じにしか見えない・・・それで襲われるも交戦の意思もない事を示すために、代表としてゲッターチームとコウマが攻撃をすべて生身で受け止めた後に、とある艦娘の為にコウマが自ら左目と心臓を抉って渡した。

 その為今の左目は義眼であるが、オラクル細胞と本人の細胞で作った2代目の左目でもある。そして心臓も二代目である。

 

 

 その後は彼女達のカウンセリングを中心に、新しい仲間を増やしつつ他のクズ提督が運営する《ブラック鎮守府》を制圧した後、仲間を増やしながらラバウル鎮守府にて半年を過ごした。

 

 そして4ヶ月目を迎えた時に、嘗て追い出されたクズ提督達が戻ってきた。

 

 なぜあんなことをした?ゲッターチームの竜馬とコウマと甲児は怒りを顕にしながら叫んだ。

 

 さて、ここまでの話を語ろう……

 

 *

 

 コウマと竜馬は一番最初に艦娘を発見し、そしてコウマと兜甲児はブラック鎮守府のやり方を真っ先に発見した男でもある。

 

 竜馬が発見したのは、艦これの世界に転移して所属不明知的生物の大規模な群れと交戦・・・捕獲してから翌日のことだった。

 

 

「大将、こいつらの名前は深海棲艦という奴らしいぜ」

 

「凱、それは何処から連絡が来たんだ?」

 

「十蔵博士……もといスーパーコンピュータ『おじいちゃん』がハッキングして入手したんだ」

 

「十蔵博士なら仕方ないな」

 

 

 竜馬達が乗る真ゲッター1は、周辺海域の調査を行っていた……そして建物(ラバウル鎮守府)を発見して、帰ろうとした時・・・海流に流されている少女達を発見する。

 

 VB─6(ケーニッヒモンスター)で地図を作るために一緒に来ていたコウマは、少女達を救助した。

 

 誰もが重症だったが、マクロスクォーターで直ぐに治療された後に見た彼女たちの目は死んでいた・・・いや、怯えていたと言ってもよかった程だ。

 

 会話ができた電と吹雪と名乗った2人のおかげで、先日捕獲した深海棲艦と対をなす存在である戦艦の生まれ変わりと言える存在《艦娘》という存在であることが判明。

 

 そして彼女たちは提督に追い出されて、行くあてもなくずっと歩き続けてきたのだ。

 

 その間にも深海棲艦と戦い続けて、ついに限界になりあの様な漂流状態に陥ったのだ。

 

 この時救助したのは・・・

 

 電(暁型4番艦)

 如月(睦月型2番艦)

 吹雪(吹雪型駆逐艦)

 曙(綾波型八番艦)

 潮(綾波型駆逐艦10番艦)

 秋月(秋月型駆逐艦1番艦)

 島風(島風型駆逐艦)

 雪風(陽炎型八番艦)

 伊58(潜水空母)

 響(暁型2番艦)

 龍驤(龍驤型一番艦)

 瑞鳳(祥鳳型二番艦軽空母)

 加賀(加賀型空母1番艦正規空母)

 雲龍(雲龍型1番艦正規空母)

 武蔵(大和型戦艦2番艦)

 長門(長門型1番艦)

 陸奥(長門型2番艦)

 高雄(高雄型重巡洋艦1番艦)

 愛宕(高雄型重巡洋艦2番艦 )

 金剛(金剛型1番艦)

 榛名(金剛型3番艦)

 霧島(金剛型4番艦)

 

 どのメンバーもとても優秀なのに、どうしてこんな事ができたのか?とても不思議に思う。

 

 だが、電と吹雪の話によると高雄から霧島までは意識を失うまでにはいなかったと言う。

 

 なら何故いたのか?それについては直ぐに目を覚ました霧島から話を聞いた。

 

 なお、事情聴取はまだパイロットスーツを着たコウマが担当した。尚女性寄りのマシンボイスを通しているので女の子だと思われるだろう。

 

 

「さて、あなたの名前を教えてください」

 

「私は……金剛型4番艦の霧島です」

 

「霧島さんっと……「あ、呼び捨てで構いませんよ?」じゃあ霧島でいいや、では質問をするよ?なぜ貴女はあそこにいたのでしょうか?」

 

「私達は捨てられて、そのまま轟沈確定の状況下で戦いに行かされて、勝ってもそのまま轟沈してくるように言われていました」

 

「随分と巫山戯た話だな……不満はなかったの?」

 

「だけど、それで比叡や他のみんなが助かるだけでも良かったのです。私や榛名お姉様と金剛お姉様の3人で決めたことですから……」

 

 

 外見からして、まだ高校生か大学生位の年齢だろう。それなのに自ら死に行ったのは、とても辛く……とても強い心がなければ到底不可能だろう。

 

 

「若いのに……苦労したな、だけど手遅れになる前に救助できてよかったよ」

 

「その件については、お姉様方を助けてくれて本当に有り難うございます……!今更なのですが、なぜ子供がこんな所に?しかも女の子なのに少し声も低いし……しかも若いのにって……?」

 

 

 霧島からしたら頭に全体に付けるマスクを付けた子供にしか見えなかった。コウマの身長は普段の時点ではとても小さかった。

 

 そう、身長が143cmしかないのだ。

 

 そして、子供にしか見えない顔……キリッとして言葉使いもしっかりしていたのだが子供にしか見えなかった

 

 

「そういえば、ヘルメットつけてたけど俺……男で、小さくても君達より年上なんだけど?」

 

 

 パイロットの補助ヘルメットを外した、それによって本当の声と素顔を晒した事によって女の子だと思わせて男である事と、年上であることをばらせば少し履きが抜けるかな?と思ったのだが・・・

 

 

「ア、アイェエエエエエ!?おおお、男の子!?男の子!?ナンデ!?」

 

「そ、そんなに驚くことか!?つうか、これでも大人だよ!」

 

 

 少し時間が経過してから冷静になった霧島から、さらに話を聞いてまとめた結果を報告すると……

 

 彼女たちは捨て艦=特攻と同じ切り捨て行為で送られてきた他の鎮守府出身で、帰る当てもなくさ迷っていたところ、襲われていた吹雪達を助けようとしたが、最終的にはあのような事になったという……。

 

 その後、霧島からそのヘルメットを付けたままでいた方がいいと言われたのでまたかぶり直した。

 

 理由を聞くと、この世界では男が極端に少ない為に女性が男性に対する免疫が低下、性的興奮などが極度に高まったりするのが艦娘では、その影響が一番高くなってしまうからだそうだ。

 

 まぁ、耐性をつければ普通に接することは一応可能らしい。

 

 しかも、彼女達艦娘のステータスである《運》が上がるという噂があるらしく、男がいることを知るとどこまでも探しに来るという。

 

 吹雪たちを見たが、顔を真っ赤にして混乱していた。霧島の言っていたことが理解できた気がした。

 

 三時間後、今居るところが鎮守府の目の及ばない安全圏に有る、高度10000mにある超弩級機動兵器《真ゲッタードラゴン》の中にある可変航空強襲空母クォーター(400m)級マクロス型戦艦《マクロス・クォーター》の中にいると知った時には意識を取り戻した艦娘全員が涙を流していた。

 

 そして、お腹が減っているだろうから皆で食事をしようと提案した時、なぜ助けようとするのか?と愛宕が質問をしてきた

 

 愛宕は足を酷く損傷しており、下手をすると2度と歩けないほどであった為に応急処置の為に、オラクル細胞性の鎮痛剤で痛みを和らげていた

 

 

「私達はバケモノですよ……?あなた方(人間)と食事をするなんて許されないてはいなのに……」

 

「バケモノ?・・・霧島、どういう事だ?」

 

 

 あの後、「わたし達についてわからないことがあれば、ぜひ聞いてください!」と言われたから霧島に聞いてみた

 

 

「私達は、人の姿を持ちながらも前世である戦艦の力を持っていましたから、バケモノとも人間の姿をした兵器と呼ばれてきました」

 

「だから、130年前の船の名前を継いでいたのか・・・!なるほど……納得したよ。けど、それだけでバケモノと呼べないだろ?」

 

 

 130年前と言ったのは、現在の極東支部の暦が2075年……太平洋戦争集結から130年経ったからである

 

 

「・・・いいんです、今までずっと呼ばれていましたからもう諦めてますから」

 

 

 愛宕を含む他の艦娘の表情は、全てを諦めたような顔をしていた。 そんな時コウマは付けていたヘルメットを外して言った

 

「少し……そのままでいるか目ぇ瞑って耳も塞いでろ、下手すると『吐くぞ』」

 

 その言葉と共にコウマの体が聞くだけでも嫌になる音で包まれていく、肉が蠢き、骨が砕かれ、何かが潰れたりくっついたりする音が響く。

 

誰かがその姿を見たのか悲鳴が聞こえ、「何なんだこれは!?」と長門の声が聞こえた。

 

 

 長門の視線にいたコウマの姿は、先程までの子供の身長ではなく、長門よりも大きな身長になっていた。

 

 この時、長門は目の前の子供だった筈の人物からひどく懐かしい感覚がした。嘗て戦争の時に一緒に戦ったあの人間の異性の感覚をだ。

 

 その判断が本物であることを長門は理解した。

 

 

「ククク……これは柄じゃねえな。まあこの身体には久しぶりに戻ったな……前になったのは《終末捕食》以来か?」

 

 

 そこには、長門にとって見たこともない軍服らしき服装をした『男』がいた。

 

 

  ヘルメットもなくなって、あるのは右目につけた片眼だけのメガネのような物を付けているだけだ。それによって、堂々とした覇気を纏う顔をしたコウマの素顔が見られた。子供の様な高い声ではなく、大人の様に低い声をしていた。

 

 この時の身長は189cm、とにかく差がありすぎたのだ

 

 

「しっかし、元に戻ると体が痛むんだよな……まあいいか」

 

 

 そう、この時の姿こそコウマの本当の姿である。普段のコウマの姿は子どもの姿であるが、これは無駄に力を消費するのを防ぐためである。

 

 今の姿は力を解放可能となる《実力解放状態》と言えるのだ。しかし、姿を戻すときは兎に角痛む。骨格まで変化するのだから体中が痛むのは当たり前である。

 

 

「さて、愛宕さん?君は《バケモノ》だと自分は認めたことはあるかね?」

 

 

  くるりと回りながら愛宕の方向を向いたコウマの顔は、答えを求める無邪気な子供のような狂気を孕んでいた。

 

 

「私は……ワタシタチは……「声が小さい!!」っひ!?」

 

「怒鳴ってしまい悪いとは思っている、だがハッキリとした意思があるなら、大きな声で言えるはずだ……お前は、いやここにいる全員に聞くぞ、お前らはバケモノか!?自らの意思で自らをバケモノと言ったのか!?」

 

 

 その場にいる全ての艦娘を見ながら叫んだ。

 

 

「お前達がいた場所では自らの意思を封じられたといってもいい筈だ……しかし、お前達に意思を持つものならある筈の『心』が有るのなら考えてみろ。誰もが夢を見た筈だ、誰もが幸福を願ったはずだ、誰もが祈った筈だ、誰もが諦めない意志を持った筈だ、誰もが自分が自分であろうとした筈だ……!」

 

 

 少し間をとり、愛宕の方を向いて一言呟いた。

 

 

「改めて聞こう……君は『バケモノ』と認めたか?」

 

「認めたことは、今まで一度もないです・・・一度もないです!」

 

 

 その叫びは心からの言葉だったのだろう……愛宕の目には強い意志が見える。

 それを聞いてコウマはやれやれと、溜息をつきながら言った。

 

 

「それでいいんだよ、認めるな……そこで認めちまったら一生そこに残されちまうからな」

 

 

 愛宕の目の前まで歩いたところで、愛宕を抱きしめた。壊れそうなガラス細工を壊さない様に触れる職人の如く。

 

 

「え・・・?」

 

「お前達をバケモノと呼んできた奴らは、艦娘(おまえら)を全く理解してないぜ。こんなにも暖かい心を持って生きる奴がバケモノだと?笑わせてくれるぜ『鉄は涙を流さない』『涙を流すのは心がある証だ』」

 

 

 ポタリ・・・ポタリと愛宕の目から涙が溢れていた。

 

 自分を抱きしめている異性の心音と自分の心音による温もりが伝わってくる。

 

 それだけで、自分を苦しめてきた何かが溶けていくような気がした。

 

 

「本当に……本当に私達は……救われていいのですか?」

 

「当たり前だ、救われちゃいけない奴なんて何処にもいないよ。『救われない奴なんてこの世に存在しない』。だからこそ俺は善も悪も救うのさ……!」

 

 

 それを聞いて、静かに震えながら愛宕は聞いた。

 

 

「このまま泣いても……いいのですか?」

 

「泣いてもいいさ、それがバケモノではなく『人間』である証なのだから。それは誰もが手を出せない特権なのだから」

 

「うぅぅ……うわぁああああん!!!!」

 

 声を押し殺して泣いた、これまで溜め込んだ苦しさを全て吐き出すために 。赤子のように泣いた……それを受け入れる様に受けた愛宕の心の傷をコウマは受け入れ取り込んでいた。

 

 全ては裁定のための糧とするために。

 

 

「怖かった……あの人達が怖かった!何もしてないのに……!」

 

「苦しかったろう……だが此処ではそんな真似はさせないよ。それに此処……真ドラゴンの中にいる人達も皆を受け入れるのに賛成してくれたんだ」

 

 ❪その通りだ❫と室内のありとあらゆる所から声が響いてきたのと同時に空間ディスプレイが映し出された。映し出された人物は濃い緑短髪で全身を赤いタイツのようなもので覆った青年だった。

 

 

「アナタは誰デスか?」

 

❪確か金剛と言っていたな?合うの初めてだったな……俺は號。苗字はない。正直に言うと俺もお前達みたいなものだ❫

 

「私達……と同じ?」

 

❪……俺も人造的に生み出された人間。インベーダーと呼ばれる宇宙バクテリアの塊の怪物と、進化を促す放射線《ゲッター線》と、とある人間の細胞を使って生み出された人間だ❫

 

 

 言い終えると同時にディスプレイは消えたが、自分たちと同じ……いやそれ以上の生まれた理由を持った人造人間と自ら明かした言葉が忘れられなかった

 

 

 そして頭の中に映し出されたのは巨大な三機の戦闘機から構成されたロボットが怪物と戦い、傷つきながらも立ち向かい……とてつもなく巨大な龍と共に惑星サイズの怪物を切り倒し、空間に空いた巨大な口の中に光を纏いながら突っ込んで消滅した光景。そしてカプセルの中で浮いていた今見た青年の姿……

 

 

「號は今言ったように人造人間……まあゲッター人類と呼ばれる人造人間だ。宇宙の災厄……1億2千万年に1度現れる破壊の権化《バアル》の一体である『インベーダー』から地球を守るために生み出された……此処には號みたいな人類や宇宙を守る宿命を持った奴らが集まっているんだ」

 

 まあ俺もその中の一人だがなと涙を拭き取りながら言った。しかもちゃっかりと髪を整える道具をどっからか取り出して愛宕に対してトリートメントまで始めてやがる。

 

 

「ついでに言うけどここにいる人間は、力を悪質に使うような人間じゃないよ。お前たちを受け入れてくれる。ここでは君達も衣住食は守られる……さて、これから皆の歓迎会だ!」

 

 歓迎会の一言で、ドアから竜馬たちが入ってきた。竜馬達を見てそれぞれが感じたのは、今頭の中に浮かんだ映像の人物がいた……つまり本当に起きたことであることを実感させたことである。

 

 

「目が覚めたか……今からお前らの間は為の歓迎会をするから付いてきてくれ!」

 

「歩けない奴は言ってくれ、俺たちが運んでいくか補助サポートパワードスーツ《EX-ギア》を足に付けてくれ!」

 

 

EX-ギアとは、マクロスの世界での次世代型可変戦闘機(VF)の新型操縦桿及び、緊急時の射出機能等を含んだ対Gスーツという名のパワードスーツの事である。

 

次世代型であるVF-25等では、このスーツによって遠隔操作が可能である。

 

IFF(生存・所属識別信号システム)や、飛行用のウィングユニットと動力としての熱核ターボエンジンを搭載。足の裏にはローラー型の自走走行パーツがあるので、足での負担を軽くできる。

 

 

軍事用と民間用の二種類が存在し、今回は民間用を使った。識別方法は、全体の装甲の量である。

 

この後、EX-ギアとS.M.S隊員の協力のおかげで食堂に運ぶことができた

 

 

コウマは歩けない愛宕を背負って運んでいった。

 

 

「私・・・重くないですか?」

 

「重いよ」

 

「・・・うぅ、やっぱりEX-ギアで歩きますよ……」

 

「だが、この温もりと重さが一つの命の重さでもある。それを今は感じたいんだ」

 

「・・・!?あぅぅ...///」

 

「やっぱりさ……若いんだから笑顔が一番だぜ?「少しいいですか?」君は高雄だったか……どうした?」

 

 

 EX-ギアを装備して来たのは愛宕の姉である高雄だったが、その顔は赤かった。

 

 

「えっと……で、出来たらでいいんですけど、私もギュッてされたいなぁ……出来たらでいいですから……でき……はぅ///」

 

「おおっと!?『因果形成・阿修羅の機械腕』」

 

 

 気絶してしまった高雄の為に、虚空から阿修羅の並列思考をコピーした機械腕を展開した。この腕は肩から生やしている……背中は愛宕を乗せているので、高雄は腕の前で、所謂お姫様抱っこで運んでいった。

 

 少しは免疫を付けていたようだが、長くは持たないようだ。なんだか幸せそうな顔をしている……

 

 

「ふむ、龍驤……さん。とりあえず高雄さんの為にもやって置いとくべきかな?」

 

「それより……血をドバドバ垂れ流しにしてるけど大丈夫かいキミィ!?」

 

 

 異性関係でまだ慣れてない人相手だと吐血してしまうんだよね、とコウマは笑いつつ血を吐いた。

 

 

 歓迎会を開いてる中で龍驤が教えてくれたのだが、食べ物を食べるのは6日ぶりだったそうだ。これは生物が何も食べなくて生きて行ける日が7日なので、本当にギリギリだったことが明らかになり、それ以前でもろくな食事は無かったという。それと愛宕と高雄の事で弄られた。

 

 

 ~マクロス・クォーター艦内食堂~

 

 

 此処では艦娘の空腹を満たすために料理の経験があるものによって、歓迎会をやっていた。

 

 

「本当に食べていいんですよね?気分が高揚します……!」

 

 

 空母加賀は目の前にあるご馳走に目が離せない、ろくな補給も食事も無き生活をしているがためだった。

 

 

「ああ、たっぷり食べてくれ!弁慶特製カレーだ!」

 

 

 それを作るのはゲッターチームの一人車弁慶だ。彼はゲッター3のメインパイロットを務めていたが、元は先輩の巴武蔵の後釜の予備パイロットだったのだ。

 

 

「弁慶!武蔵から追加のお代わりだ!」

 

「はいよ!あ、武蔵先輩!秋月って子に水を頼みます!」

 

 

 あいよと返事をしながら急いで水を配りに行った弁慶を見て、竜馬も料理を一人の少女へ運ぶ。

 

 

「えぇっと、これは?」

 

「ラーメン、俺が作ったんだ。確か吹雪だったかお前?」

 

「……はい、なんでしょうか?」

 

 

 少し間を開けて竜馬は笑顔を浮かべて呟いた。

 

 

「いい目をしているな・・・気に入ったぜ」

 

「・・・え?」

 

「お前は鍛えればとことん強くなると見えた。まぁ先にラーメン食って栄養を取れよ!」

 

 

 竜馬はこの少女に眠る可能性を見た。そして類稀な強い意思を見出したのだ。だからこそ元気になってもらいたかった。幸せを噛み締めてもいいのだと理解させるがために。

 

 

「あ、ありがとうございます!ええっと貴方は?」

 

「流竜馬...ゲッターチームのリーダーだ。宜しくな吹雪」

 

 

 ゲッターチームは、普段からかなり量があるものを作っているのでボリュームのあるものを中心に作っていた。その中でリーダーである流竜馬は吹雪に可能性を感じた。

 

 ついでなのだが、地味に武蔵が二人もいるので大変だったという

 

 

「同じ名前だったとは・・・私が生まれた時代の後だからか?」

 

「そうかもな、人生って何が起きるかわからないよな」

 

 

 一方で、くろがね旅館で働いていた男子高校生の兜甲児も様々な料理を作って、S.M.Sメンバーはそれを運んでいた。彼の腕は正に天下一品の料理を作り出すのだ。

 

 

「いい食べっぷりだぜ……!」

 

「「びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛ぃ゛」」

 

「今の声は誰だ!?」

 

「金剛と霧島だな……アルト、ミシェル、ルカ、次の飯できたから持っていけ!えっと・・・榛名だっけ?特製オムライス持ってきたぜ!」

 

「は、榛名には・・・もったいないですよ……?」

 

「もったいなくても、お前らは頑張ったんだ・・・今は誰も文句は言わないよ!」

 

「初めてあった私たちにも優しいんですね。で、できたらお名前聞いてもいいですか?」

 

「俺は兜甲児、『黒鉄の城』マジンガーZのパイロットと熱海のくろがね旅館のバイトをやっている高校生だ。よろしくな!」

 

「金剛型戦艦3番艦の榛名です……!こ、こちらこそ宜しくお願いします!」

 

 

 その光景を長門や陸奥などのメンバーと食事をしていたジェフリー・ワイルダー艦長とS.M.SVF隊隊長であるオズマ・リーが見ていた

 

 

「だいぶ打ち解けたやつは打ち解けたみたいだが、食料がどんどん減っているけど大丈夫なのか艦長?」

 

「彼女たちは、ろくに食事も与えられなかったのだ。それを考えればやすい物だろ、オズマ?」

 

「ふっ……そうだな、さて・・・なくなったから追加のパインパイでも焼くか!」

 

 

 コウマが彼女たちから聞いた話で、この世界では男の数が激減した為に男を見る事すら奇跡である事が判明した。

 

 ジェフリー艦長は食事を続けていた目の前の二人に聞いた。長門と陸奥だ。

 

 

「どうかね?ここの空気は?」

 

「そうね……同じ人間とは思えないくらいにここの人は優しいわ」

 

「私もだよ。わたし達を受け入れてくれる女性や、もう記憶の中でしか目にすることができなかった男性とこうして話すことが嬉しくてな……」

 

「そうか、なら暫くここで体と心を癒してくれ……!」

 

 その後しばらくの間、複数のメンバーでメンタルケアを行う事になった・・・今では親しくなった長門に陸奥と武蔵や愛宕と高雄、如月に島風、響と電もこの時に仲良くなった。

 

 この時に愛宕の足の手術を行った……リハビリには高雄と一緒に行い今ではすっかり歩けるようになった。

 

 

「コウマ……さんの足の骨を混ぜた!?」

 

「愛宕の骨に適合するのは俺ぐらいしかないからな……それに俺は自己再生できるから問題ないな。それに……それぐらいの事をしないとやばかったんだ」

 

 

 暫く経った時に自分達が異世界から来たことを説明した……空飛ぶ航空戦艦や格納庫にあるVFなどを見てある程度理解していたという。

 

 

「つまり・・・コウマがわたし達と同じように、アラガミと呼ばれる最悪の怪物から人類を守る最強の戦士ゴッドイーター。それに竜馬達はその”ゲッター線”とやらに選ばれた人間で、號はそのゲッター線で誕生した新人類。マジンガーが遥か太古の光の神《ゼウスマジンガー》の右腕で、S.M.Sが遥か遠くの宇宙で宇宙生物と共に戦った戦士、本当にわたし達の知ってる知識とはかけ離れてるな」

 

 

 長門が言いたいことも分かる。この世界でさえ深海棲艦なんて者がいるのに、箱を開けばまだまだ序の口レベルの驚異だったのだから。もう侵略者ホイホイ?と陸奥の言葉にあながち間違いない。とジェフリー艦長も頷く。

 

「まあな……この国(日本)は超がつく程、色んなものが生まれたりするから兎に角侵略される。特にアラガミなんて世界中から集まるからそのあたりの技術も高いから他の支部……というより本部からも狙われる……まあいくつかの支部とは仲良くしてるけどな」

 

 

 ある程度日が過ぎた頃……長門から提督になってくれないか?と言われた。

 

「私が知る限り、私たちを導いてくれる人は貴方達しかいないんだ・・・頼む!」

 

「わかった・・・だが一つだけ聞かせてくれ、他に候補者はいるのか?」

 

「ゲッターチームと呼ばれているあの4人とジェフリー艦長にお願いしてある・・・」

 

 

 どうやらゲッターチームとジェフリーもお願いされたようで、ラバウル鎮守府で問題を解決して元の世界と時空を繋げるまでの間だけ提督としてやる事にした

 

 

「どうやらお前も頼まれたんだってなコウマ・・・」

 

「弁慶は・・・彼女達のことをどう思っている?」

 

「そうだな、あいつらは幸せになって欲しい……それだけだ。武蔵先輩も俺と同じ考えだった・・・」

 

「俺も今回は協力させてもらうぞ、あいつらは人として生きる事が許されていなかった・・・なら人並みの幸せを与えることは許される筈だ……竜馬、お前はどうする?」

 

 

 それ聞いて竜馬は怒りを滲ませながら叫んだ。

 

 

「決まってるじゃねえか・・・あいつらを泣かせた奴等をぶっ飛ばす!!」

 

「我々は人間として、彼女達を苦しめた分の苦しみを一緒に受け止めないといけないのだ。部下の苦しみを知らないで提督はできないのだから……!」

 

 

 この時から……クズ提督達に対する怒りがふつふつと沸き上がっていた。彼女達を道具扱いし、尊厳も与えず苦しみだけを与え続けたやり方に怒りを覚えた。

 

 これにはS.M.Sの隊員達も怒りを顕にした。人を守るために必死に戦った彼女達を蔑むその行為は、元新統合軍としても、軍人としても許せなかったのだ。

 

 ラバウル鎮守府についた時に、そこにいたクズ提督と金剛達がいた鎮守府の提督は追い出されて一つになっていたが、高雄型重巡洋艦3番艦の真耶率いる人間に対する穏健派と、金剛型2番艦である比叡の率いた反人間派の真っ二つに別れた戦争が勃発寸前だった。

 

 その時に起きた事件の後でコウマは本来の左目を失い、ゲッターチームと甲児共に自ら砲撃や爆撃を生身で受けてみせコウマは、3ヶ月ほど意識を失う重体となった。

 

 

 なぜそうなったのか?それはコウマが叫んだ言葉が始まりである。

 

 

「人間に恨みがあるなら俺達に全部ぶつけて来い……お前たちが持つ力の全てで!!」

 

 

 と、宣言したのが原因でもあったのだ。

 

 激しい攻撃の中で腕がちぎれかけようが、炭化しようが、オラクル細胞の恩恵で凄まじい速度で再生し元に戻っていくが精神だけはどうにもならない……

 

 始まってから既に6時間は経った頃には、遂に立つことも難しくなった。

 

 それでも、爆撃を、砲撃を、拳を、脚を、機銃を、魚雷を、機雷をぶつけられても倒れる事はなく全ての武装が切れるまで……恨みを全てぶつけられるまで立ち続け……遂に限界になった。

 

 

「や、やった……?「それは……フラグだぜぇ?」い、生きてる!?」

 

「お前達の力は……こんなものじゃねえはずだ。もっと打ち込んで来い!」

 

 

 爆発でクレーターが幾つもある焼け野原の真ん中に、竜馬が、隼人が、弁慶が 、甲児が、とっくに意識を失って倒れている前に、既に体の殆どが炭化して倒れる寸前のコウマは、比叡の方へ歩きながらも既に声も出すのも難しくなったその首からありったけの声で、放たれ続ける砲撃の中叫びつづけた。

 

「貴方なんかに……貴方なんかに何がわかる!!「ああ、わかるさ!!」!?」

 

「確かに……仲間、友、姉妹を傷つけられて嫌な奴はいないさ。だが、原因である人間が、誰でもあんな奴らじゃないんだよ!」

 

 

 炭化した部分が剥がれ落ちて再生途中の肉体から血が噴き出す。それでも歩みを止めなかった。右腕、喉、顔の右側、左足……歩く度に血が溢れ出す。

 

 

「だk……ら信sてkれ……俺tちg信じるniんげnを……人間のかn…u…性を……頼むh……叡……!」

 

 

 体中から溢れた血が靴を濡らし、血の足跡を残しながらも比叡の元にたどり着いた。だが、その足取りは死にかけた人間とは思えない威圧を出していた。

 

 もう、喉から溢れる血のせいで声も聞き取れなくなっている。それでもコウマの目には憎しみは無かった。むしろ泣いていた……彼女達の苦しみを分かち合いたいからだ。

 

 

「許sないなra……оれが、人間のm⑅ね……iた罪を受けyう……sれが、先に生きた者のsきniんなnоだから……!」

 

 

 そう言いながら倒れた

 

 朧げながら見えたのは、その場に居た人々が駆け付けてきた事と、ごめんなさいと泣きながら謝り続けた比叡の声だった。

 

 

(あーあ、泣かせちまったな……謝んないとなぁ……)

 

 

  それを最後に意識を失った。

 

 それから3ヶ月後、目を覚ました時に見たのは島風と如月に伊58と愛宕……そして長門に曙に潮と響に甲児達だった・・・目には涙が溜まっていた

 

 

「・・・おいおい泣くんじゃね「「「「「提督(コウマ)!!」」」」」びっくりしたなオイ!?」

 

「3ヶ月も目を覚ましてなかったから、心配しちゃいますよ・・・!」

 

「よかった……本当に生きてて良かったよ!」

 

「みんなが待っているんだから・・・待たせないでよクソ提督!」

 

「みんな本当に心配していたんだぞ!」

 

 

 ああ……また心配かけちまったなぁ……って前にも言ったかこれ

 

 

「心配かけて本当に済まなかった。だが3ヶ月も眠っていたのか……道理で目が覚めるわ髪が伸びるわ爪も伸びるわ……少し切り落とさないとな」

 

 

 おかげで伸びた髪の毛が腰の辺りまで付いていた

 

 

「・・・甲児、ここは何処だ?あと何か温いな?」

 

「此処は、艦娘の皆が使っている風呂の中にある集中医療室だ。ここのお湯は機械とかの治癒能力を高めるのがわかったから機械が肉体レベルで混ざってるコウマにはちょうど良かったんだ……まあコウマからしたらまだ温い温度だけどな」

 

「なるほど……って、だから裸だったのか俺は!?」

 

 自分の姿を見てコウマは狼狽えた……顔面以外が緑色の湯の中に浸かっているからだ。

 

「まぁ、定期的に湯からは出していたぞ?」

 

「なんで?を付けた!?あとなんで長門たちは顔が赤いんだよ!?」

 

 

 ザバァと音を立てながら湯の中から上半身を起こした。

 

 その体はその身長と外見から考えられないほど引き締まった筋肉が見られるが、その上には今までに受けた古傷が色濃く残っている。それに……その背中には焼き爛れた跡が残っているが誰もがそれを口にすることは無かった。

 

 

「アタシが説明するよ」

 

 

 長門の後ろから出てきたのは人間友好派であった摩耶であった。それを見てコウマは三ヵ月前の記憶を便りに目の前の人物と照らし合わせ理解した。

 

 

「君は……高雄型重巡洋艦3番艦の摩耶だったね?愛宕から聞いていたよ、俺は神威コウマ……コウマと呼んでくれ」

 

 

 互いに手を差し出して、友好の握手をした。コウマはなぜだか分からないが無意識に信頼できる人物と認識したのだ。

 

 

「随分と話しやすい奴だな……、コウマは・・・まあアタシのことは知ってるようだし私の方は自己紹介はなしでいいか?「いいぞ」じゃあ・・・話を戻すと日替わりで意識を失っていたコウマの身体をその『高速修復剤』の湯の中から出して体を拭いていたんだけど……」

 

 

 高速修復剤とはこの世界独自の薬剤であり、性能が高ければ数時間以上も修復作業をしないといけない艦娘も極短時間で復帰させられる仙豆みたいな物なのだ。

 

 だが、艦娘が直接浴びるととんでもない快楽を感じてしまうために薄めて使用しているというが、時々直接浴びる根性試しみたいなことをする奴がいるそうな・・・

 

 

「ど根性試し?とゆうかそれなんか危なくないか?」

 

「それは……うん、私も思ってるから……!」

 

「もしかしてやった事あるのか?」

 

 そう言いながらも、摩耶は顔を赤くしながら言葉を続けたが、コウマは何かしら不吉な予感を感じた

 

 

「なんだか、嫌な予感がするんだけど・・・まあ説明してくれ」

 

「ああ、実はよぉ・・・体を拭いてる時に見ちゃったんだ・・・お前の『ナニ』を」

 

 一瞬考えた後その意味を知った

 

 

「え・・・?見たの?もう一人の俺見られたの?」

 

「・・・ごめん、実はアタシも見ちゃったんだ///」

 

「(真耶さん、あんたもかよぉぉおおお!?)ひひひひ、響達は見てないよね?」

「・・・・」

 

「いいいい、電と曙と潮は見てないよね!?」

 

「・・・ななな、なんのことでしょうかかかか」

 

「・・・うん、その……ごめん……私は忘れるから……」

 

「・・・すごく・・・大きいです///」

 

「ごごごご、58は見てないよね!!」

 

 ゴーヤはサムズアップして答えた

 

 

「安心してください!ゴーヤはみんなが見たことを聞いただけでち!」

 

「・・・なら、安心したぜ……「話がしたい奴がいるからとりあえずここから出るか」確に何時までも此処にいるのは不味いな……服は・・・あー、そうだったな……あの時に吹き飛んじまったんだ。仕方ないあれを着るか……みんなは外に出てくれないか?・・・愛宕は残ってくれ」

 

「何でしょうか?」

 

「まだ、身体が余り動かなくてな……手伝って欲しいんだ」

 

「わ、わかりました!」

 

 コウマの一言で愛宕以外の全員が外に出た後、部屋の中から骨が折れるような潰れたような……バキボキと凄まじい音と悲鳴が外に響いてから1.2分した後に風呂場からコウマが出てきた。

 

 

「いやはや、この正装を身につけるのも久しぶりだな?」

 

 

 その姿は黒を基調とした服装であり、灰色を多く含んだ水色の部分も所々に見られ、所々には金色のラインが入り右手首には黒と金色と白を基調とした大きな腕輪が付いていた。

 

 頭には右目に耳に取り付けた小型ディスプレイを取り付けて、左耳には耳に被せるようにできた白い通信機器が取り付けられている。

 

「変わった……いや、かなり上質な服だな?」

 

「お、久しぶりに見たな……『ブラッド隊制服』じゃないか!」

 

「これが、ブラッドの制服・・・」

 

「『ブラッド』・・・長門が言っていた提督の所属する部隊の事よね?」

 

「実質、おぺれーたーと呼ばれる人と神機使いを合わせて5人だけの編成らしい。」

 長門はブラッドの話も聞いていたがどうも信じられないと思っていたらしい。まぁその中の神機使いが世界の命運を握っていたなんて聞いたら誰でもそうなる。

 

 

「さて、俺に話があるというのは誰だ?」

「それなんだが、比叡なんだけど……まぁいいか。比叡入ってくれ!」

 

 

 摩耶の声で近くのドアから一人出てきた……金剛姉妹の一人である比叡だ。しかし、その顔はとても青く、窶れていた。

 

 コウマはその顔の状態と、腕にできている青いような黒いような点を見て叫んだ

 

 

「栄養失調を引き起こしてやがる……!比叡、お前は絶食でもしていたというのか!?」

 

「金剛お姉様を助けてくれた人を……殺しかけたのに、呑気に食事なんてできないですよ……」

 

「・・・なら、謝罪なんてするな。代わりに、俺が眠ってる間に起こったことを教えてくれ……先に食事を摂ってからの話だが」

 

 

 その後、食事をさせた比叡の話によると、あれから色々あったらしく周辺のブラック鎮守府を壊滅させて仲間を増やしていた事が甲児達がやっていた事であることを知った。

 

 さらに海外艦が着任した事や、人体実験のために誘拐されそうになった龍驤達を助ける為にゲッターチームが戦ったこと、私利私欲の為に艦娘を悪用するのを目撃した甲児がマジンガーで乗り込んで艦娘を助けた事……

 

 前提督が保身の為に秘密裏に実行しようとした際に、対深海棲艦兵器開発の為の非合法な実験の為に地下深くに閉じ込めていた妙高型重巡洋艦達や、空輸されて新型兵器の実験台にされそうになっていたラバウル鎮守府の赤城と瑞鶴、翔鶴、天龍、蒼龍、北上、大井、をS.M.Sのスカル小隊とピクシー小隊によって救出された事も全部教えてもらった。

 

 途中で何度か衝突したが、人を信じれるようになったことを聴いてホッとした。

 

 

 しかし、比叡の顔を見た時に分かったが彼女の左目がそこには無かった。

 

 コウマは思い出した。彼女が元々いた鎮守府で受けた暴力で、左目を潰されたのだ。金剛から聞いたことを思い出して、その場で左目を移植手術させることを決めその場で……

 

 「うぬぅ……おおおおおお!!!」

 

 

 ブチンと左目を自ら抉り出したのだ。

 

 その後、オラクル細胞も無事に適合した比叡は左目を取り戻した。手術後あの時のことで怒らないのか?と聞いてきたが……あっけカランに気にすんなという。

 

 

「あの時の事はあの時に終わったんだ。前を向いて生きようぜ・・・なぁに心配するな、俺の目は再生するんだ・・・あの時も見たろ?俺の体が再生するのを・・・」

 

「で、でも私は貴方を……!「ストップ、そんなにメソメソするんじゃねえよ。償うんだったらカレーを食わせてくれないか?」・・・え!?」

 

「金剛から聞いたぜ……カレーが得意なんだって?ぜひ食べたいと思っていたんだ!比叡カレーは衝撃的な味だと聞いていたからさ!」

 

「わかりました・・・それが償いになると言うのなら、比叡カレーを存分に味わってください!」

 

 その日の夜、件の比叡カレーが出てきて全員で食べたのだが、コウマ以外は全滅してしまった。

 

 

「これは、なかなかの味だな……!」

 

「へ、ヘーイ提督〜なんで、他のみんなは倒れるのに提督はぶ・・・ガク」

 

「・・・電ー?みんなー?・・・赤城?加賀?長門?愛宕?」

 

 

知ってる奴を呼んだのだが、死屍羸痩としていた。

 

 

「まったく……こんなに美味しいのになぜ気絶してしまうのだ?なぁ比叡?」

 

「……ブクブクブク」

 

「あれ?比叡?ひえーい?」

 

 

その翌日の朝に初めての大型建造を行なった結果、大和がきた。

 

「いきなりやまとさんができました」

 

「これはこううんです」

 

「やってやりました」

 

「皆、よくやってくれた!今日から三日間は有給休暇とするからゆっくり休んでね」

 

「おお、はじめてのおやすみです」

 

「わがしょうがいにくいはなし」

 

 

 後でお菓子を用意しよと小人を見ながら考えた。

 

 足元でワイワイ騒いでいる小さな小人は妖精と呼ばれている超高技術文明生命体である。艦娘の装備である艦裝を制御したり航空機のパイロットをやったりと多種多様な彼らだが、特徴的なのが異常な程の高い技術を持つ事だが……流石に認識転移システムやフォールド航行技術は理解出来ないところがあるようだ。

 

 妖精たちがいなくなってから大和に向かって挨拶をする。流石に緊張しているだろうか?

 

 

「君が大和だね?俺が此処にいる提督の1人である神威コウマだ、よろしく頼むよ……ってなんで抱きつくの?」

 

「なんだか……暖かいんですよぉ……」

 

 

 一瞬箱入り娘!?と思ってしまった……確か武蔵の話では凛とした人だったと聞いていたが……なぜこうなった!?どう見ても世間知らずのほんわか系女の子だよ!?

 

 

「(笑顔がいいなって……い、いかん!鼻血が吹き出そうだ!ここは素数を数えるんだ。胸が当たって……集中出来ぬぅ……!)暖かい?俺がか!?」

 

「とても落ち着きます……優しい人なんですね!」

 

「……俺が優しい……か、ならこいつだけは覚えてくれ」

 

 

 頭に?を浮かべた大和の顔を見て、頭を撫でながら言った。

 

 

「例えお前達が化け物と呼ばれても俺の方が化物だ、俺に関わりすぎると死んじまうぞ」

 

 

 *

 これまでの事を思い出していた・・・この世界で起きた全てのことを。

 楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、怒りを顕にしたこと……本当に色々あった

 そして、目の前で命乞いをするクズ提督一派に情けは無用と判断した。

 

 こいつらからしたら艦娘は、『都合のいい道具』『自分たちより綺麗なのが気に入らない』『バケモノに感情はいらない』『食事を与えなくて済む家畜』・・・それで彼女達を泣かせてきたというのなら、容赦はいらない。

 

  コイツラはこんな怪物を受け入れてくれたアイツらを泣かせた。アイツらとともに過ごしたこの鎮守府を滅ぼそうとした。

 

 燃え盛る港、破壊尽くされた鎮守府、艦娘たちのうめき声、今もなお侵攻を始めているブラック鎮守府の私兵やブラック派閥の大本営の軍勢、それら全てを糧とてしその怒りをエネルギーへと変えて、全てを焼こう。

 

 いざと言う時のために要請していた味方の陸軍も囲まれていた……嘲笑うのは自分達こそ絶対的な権力と信じて止まない外法の者達。

 

 この時ほど世界を焼きたいと思ったことは無かった。故に……外法の者には外法の力で消し去るべし。

 

  だからバケモノになってやった。全てを喰らい滅ぼす『八百万の荒ぶる神々』に。

 

 体が裂ける、人の身から全てを喰らう破壊者へと体を変える。世界が震える、渦巻く紫炎に全てが飲まれる

  港が燃える・・・八百万の名を継ぐ荒ぶる神々の龍によって、クズ提督たちだった物が焼かれている。

 

 

『あいつらがバケモノだというのなら、バケモノをバケモノが助けても問題はなかろう?』

 

 

 右腕の腕輪(P53アームドインプラント)で制御されていたオラクル細胞が体を取り込み変質させる

 

 

 その姿は、多くの神機使いの成れの果てである《スサノオ》と神速の龍のアラガミ《ハンニバル神速種》と氷の龍帝《カリギュラ》に神機兵が融合した存在。

 

 《神機兵神融種》

 それがコウマの専用機《原王》の元の姿であり、コウマがアラガミ化した姿である。

 

 

「アイツらをナカセルナァァァァアアアッ!!!!」

 

 

 怒りが紫炎となり全てを飲み込んだ。オラクルの弾丸が一人ひとり逃さずに殺してゆく。肩の部分から捕食形態の口が飛び出して次々と喰らい、神機兵の丸い頭から龍に近い頭になった頭部からオラクルの火の塊を吐き出し消し炭にへと変えていく。近づいてきた奴は頭からかぶりつき次々と喰っていった

 

 

 その光景を見ていた長門は嘗てコウマが言っていたとある怪物の名を思い出した。西暦2041年に現れる地球のリセットシステムであり全てを喰らう荒ぶる神々。

 

 

「あれが……アラガミ!?」

 

❪そうだ、あれが俺達が戦ってきた相手で最も最悪の存在《アラガミ》だ❫

 

 

 VF-25sバトロイドからオズマの声が響いた。機体はすすや誇りだらけで黒ずんでいた。

 

❪あのアラガミは神機使いが暴走した時に現れる、どの系統にも属さないアラガミ……しかもコウマの姿はまさに複数のアラガミの特性を生かした形状変化になっている!❫

 

 オズマの言葉で、大和に対して言っていた言葉を……あの時聞いてしまった言葉の意味を知ってしまった。

 

 

「禄な回避運動も出来ないか……!権力でクサッタニンゲンドモメ!」

 

 

 そして鎮守府の上空に飛び上がり、そこから檻らしき物を付けた車が走っているのを見てその中身を見た瞬間、その車両の目の前に跳躍。中にいたのは行方不明になっていた電と補給艦である間宮だった。

 

「ヴォオオオオオオオオッ!!!!」

 

「ば、化け物だ!!」

 

「う、撃てェええええ!!!」

 

 拳銃等の火器を喰らうが、大抵は当たる前にオラクル細胞に侵食され何のダメージも与えずに消えていく。

 

 

「イナズマ……マミヤ……マモル!」

 

「まさか、提督……!?」

 

 

 檻を神機兵専用神機で切り裂き、左腕で抱えた。

 

 

「フタリトモ、タスケニキタ!カエ───!?」

 

「か、艦娘ごとバケモノを殺せぇー!!」

 

 

 護衛部隊のロケットランチャーが頭に集中的に打ち込まれたのだ。ハンニバルの頭の一部である兜の一部が吹き飛んでいくのが見えた。そして鮮血が飛散る。

 

 

「オォォ……」

 

「提督さん!」

 

 

 電の叫びが聞こえなくなってきた……左眼を損壊、右耳の鼓膜が破壊され聴覚も損失してしまったのだ。だが、相手の口の動きでなんといっているのかは理解出来ている。

 

 

 神機兵神融種は本来のオラクル細胞の力《オラクル以外の物質攻撃を遮断する》をカットしている。そのため頭の装甲が一部吹き飛んでしまったのだ。

 

 

「私達のことはいいから……提督もうやめてください!」

 

「イヤダ!マタクリカエセトイウノカ……シオヤロミオミタイニ、また仲間を失えというのか!?」

 

 

 間宮の静止を振り切り神機を展開、チャージされたオラクルリソースから弾丸を形成し撃ち落としていく。

 

 攻撃を食らう度にオラクル細胞のアラガミが全てを喰らえと意識を潰しに来る……その為、言葉がぐちゃぐちゃになってしまう

 

 右腕に炎でできた剣を形成、その場にいた敵勢力をなぎ払った。

 

 

(アラガミに飲まれるな……フーリンカザン、チャドー、そしてフーリンカザン……!)

 

 

 以前夢の中で出会った老人……ドラゴン・ゲンドーソーからの教えの呼吸法《チャドーの呼吸》で精神を安定させて、アラガミに飲み込まれないように半ば取り込まれていた意識を取り戻していく

 

 

「臓物撒き散らしながら燃え尽きるがいい……!」

 

 

 間宮と電を回収したのと同時に跳躍し半ば崩壊したカリギュラと同型のブースターを展開、更に肩部の捕食形態の口からエネルギー弾丸を乱射し全滅させた。

 

 

「持ってくれよ……この身体……!墜落なんてゴメンだぞ……」

 

 

 ガレキの山と化した鎮守府に戻った瞬間に、アラガミ化も解除された。しかし体は殆どが結合崩壊の影響で骨が丸見えになってしまった。

 

 それだけに留まらず、体の一部が神融種と一部と同じ姿になってしまった。

 

 

「は、ハハッ……大和・・・愛宕・・・比叡、例えお前達が自らをバケモノに定義したとしても、”俺”の方が化物なんだよ。この姿こそ、世界を滅ぼすアラガミ(八百万の荒ぶる神々)だ」

 

「それでも、貴方はわたし達を受け入れてくれた!」

 

「ならそれが、大本営で偽善者とよばれる事となってもか?」

 

「貴方は自分を過小評価しています・・・!」

 

「もっと周りを頼ってください……!」

 

 ふと、 これに似たような言葉を前にも聞いたことがあった。今は懐かしき月にいるアイツに言われたな。

 

 

『一人で抱えちゃダメだよ・・・コーマは一人じゃないよ?』

 

 

そうだった……大切なことを忘れる寸前だったな。ありがとよ《シオ》……やはり俺はまだまだ未熟か……

 

 

「その通りだな……二度も似たような言葉を聞くことになるとは、馬鹿だなおr────」

 

 

 バン・バン・バン……知覚がゆっくりと感じ弾丸が突き進むのが見えた。

 

 

 その時火薬が弾けた音が三度響き、目の前で二人が崩れ落ちた……世話になったこの世界に来てからの仲間である愛宕……そして娘と言っていい初めて建造した艦娘の大和だった。

 

 

「大和!!愛宕!!二人共しっかりしろ!!」

 

「て、提督……ごめんなさ……い」

 

「嘘だろ……目を、目を開けてくれよ大和!」

 

「大和さん!愛宕さん!」

 

「私はいいから……大和さんを!」

 

 

 愛宕は腹から、大和は心臓のある場所から弾丸が二発飛び出したのを見て、その後にいると思われる発砲者の姿を見た。

 

 薄ら笑いを浮かべながら拳銃を構えていたのは提督の正装服をきてなおかつ海軍大将の肩書きを持つ人物。

 

 そしてこの鎮守府の前提督であり、海軍に多大な出資をして多大な発言力を持つ大室財閥当主の大室真子だった。

 

 

「化け物が……人間に逆らうからよ!ざまあみ────」

 

「貴様ぁぁぁあああっ!!!!」

 

 

 長門を筆頭にその場にいた人々が前提督を押さえ込んだ。激しい怒りを燃やしていた。

 

 

「離しなさいよこのバケモノども!!私が誰だか分かってるの!?わたs「黙れであります……このクソ野郎!」陸のバケモノが何喋ってるのよ!」

 

 

 最も怒りを顕にしたのは陸軍から来たあきつ丸だった。彼女からもしてもこの鎮守府の仲間を撃たれて許せないという感情がある。

 

 

「貴様みたいなのがいるから、こんなことが起きるのでありますよ……!」

 

「人間様に向かって何言ってるのよ、ここにいるヤツら全員解体して「なら、お前の顔を先に解体してやるよ!!やれ、あきつ丸!」「了解であります隼人殿!」ひぃ!?」

 

 

  あきつ丸が空中に放り投げた真子を待ち構えていたのは、真ゲッター2から飛び出してきた殺意全開の神隼人である。

 

 

「目だ!」

 

「目がぁぁぁぁぁああ!!」

 

 目が潰され、どす黒い血が吹き出てきた。

 

 

「耳だ!」

 

「痛い痛いいいいいいい!!!」

 

 

 次は耳が削ぎ落とされ、両側からの痛みに苦しむ。

 

「鼻!!」

 

「オブァァァァァァァアア!!!!」

 

 

 最後は鼻をやられ呼吸困難に苦しみ血が口の中からも煽れ出す。隼人の武器はその体である。嘗てはテログループを率いてはやとの校しゃを作り出す男の唯一の武器なのだからその破壊力は人間なんぞ盾にもならん。

 

 隼人の特技である顔面破壊3コンボをくらい、虫の息である。だが最後は……

 

 

「てめぇが赤城たちを誘拐したのは知っているんだからな」

 

「ここでテメェを終わらせてやる!」

 

 

 愚か者を見下ろすのは黄色の巨人……ゲッター3と真ゲッター3である。

 

 

「ば、バケモノォ……!」

 

 

「「お前が化物だろうが!大雪山おろしぃぃぃぃ!!!」」

 

 

 誘拐事件に対して最も怒りを燃やしていた弁慶と武蔵の真ゲッター3とゲッター3の二機同時の大雪山おろしだった。

 

 

 ネギトロめいた肉塊は海に落ちて沈んでいった

 

 この後、腹を撃ち抜かれた愛宕の手術を速やかに終えた後に大和の損傷した心臓の代わりにコウマが自らえぐり出した心臓を使い手術を終えた

 

 コウマは心臓を自ら生成するために一週間の休眠状態に入り、残ったメンバーは負傷者の治療や鎮守府の立て直しを行っていた

 

 休眠状態から戻った時に愛宕と大和もリハビリを終えて執務室で合流した

 

 

「二人とも……良かったぜ」

「提督は大丈夫なんですか!?」

 

「大和は知らなかったわね?提督さんは再生能力を持ってるのよ、私の足も提督の骨の一部が移植されてるの」

 

 

 愛宕にやった足の手術は既にダメになった骨の一部を自ら移植して大地の七属性《重力》によるコーティングで結合性能を強化したものだ。足の一部程度なら1.2分ほどで再生可能である

 

「じゃ、じゃあ私の今の心臓も!?」

 

「心臓なら1週間で再生可能だな……さて、今の状況資料を知りたい……あ、二人とも今日は資料を運ぶくらいの仕事でいいよあとは俺がやるからよ」

 

「で、でも提督はまだ」

 

「なぁに半年フル徹夜するよりはまともだろ?」

 

「……ええぇぇ?」

 

 その言葉で固まった二人を見ながら書類整理を開始した。この後、大本営から今回の騒乱に関する書類の整理、陸軍への協力感謝状などを送ったりした。前提督大室真子の行った行動が大室財閥も関わっていたことが判明し、現在家宅捜索中であること……

 

 あれからというもの、大和はよくくっ付いてくる。愛宕も後ろを任せるほどの相棒と呼んでもいい関係になった。比叡は家事などでよく手伝いながらも、仲良くしてくれた。

 

 大本営には今回の事件以降、ラバウル鎮守府には複数の男性提督の着任の正式な許可を貰った。今回の騒動に対する謝罪もあるのだろう……まだ残っているブラック派閥から何かやられたら全面戦争をするだけだ

 

 さて、4ヶ月目からの翌日に一時的とはいえ正式な提督になった為にこの挨拶をするとしよう。

 

 

「神威コウマ、本日を持ってラバウル鎮守府に着任しました!そして全員に言っておく」

 

 

 ポケットから大きな達筆の文字が書かれた額縁用の紙を出した。

 

 

「『何事でも全力でやれる馬鹿であれ!!』以上!」

 

 

 半年目に元の世界とこの世界が、《ギャレオリアロード》で結ばれたことによって、世界間の時間の流れが追加され、この世界で幻想郷と極東支部の時間関係が、精神と時の部屋と似たような関係になった。

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「とまぁこんな感じだな……」

 

「「「「「「「……」」」」」」」

 

「え、ええと……どうした?」

 

「兄さんまた無茶したのね……」

 

「しかも、アラガミ化していたのかよ……」

 

「こうでもしないと俺はやっていけないぜ!」

 

「あのぉ……なんで心臓を自ら生成するんですか?なんで再生するんですか?ゴッドイーターてもしかしてかなり強いんですか?」

 

「おじいちゃんのいつもの事ですよ、メイさん!それにゴッドイーターは頭と腕輪がやられない限りほぼ無敵です!」

 

「早苗……ここまでの奴らはほんの一握り度からな?」

 

 ふと霊夢が思い出した

 

 

「そういえば兄さんのルームメイトは?幽香じゃないみたいだし」

 

「幽香なら凱と一緒だ」

 

 

 ルーム状況は、早苗&ターレス、凱&幽香、一夏&勇儀&お空&お燐、ベジータ&咲夜&ブロリー&フラン、シモン&ヴィラル&本音&簪、アムロ&天子&霊夢……となっている。

 

「じゃあ一体誰なんだ?」

 

 ターレスが首を捻った……このメンバーじゃなければ誰だかわからないのだ

 

 

「それなんだが「提督ー!!」こうなる訳だぁッ!?」

 

 腹に突っ込んで来たのは大和だった

 

「ええと、つまりコウマのルームメイトは……」

 

「うん、大和なんだよ」

 

 

 苦笑しながら一同は大和を見た。どう見たって完全に懐いてる

 

「まるで夕立みたいだな」

 

「ですね」

 

 

 ターレス達は夕立を思い出したようだ

 

 

「……兄さん」

 

「なんだ?」

 

 

 悟りを開いたような目で霊夢は言った

 

 

「部屋を血だらけにしないでね?」

 

「できたら善処する」

 

 

 大和を撫でながら答えた

 

 

 ~夜中~

 

 

「えへへへ、ていとくぅ〜」

 

「(煩悩退散・煩悩退散!!平常心を……そうだフーリンカザン、チャドー、そしてフーリンカザン……)」

 

 

 ベッドの中に潜り込まれた……そもそも別のベッドで寝ていたのにこの始末である。パジャマ越しで温もりが伝わってくるのだが、理性がヤバイ。

 

 

「(俺は……生きて帰ってみせるぞ!(ギュッ)っん?)」

 

「提督……私の……好きな人。何時までも一緒です……!」

 

 

 あ、もうダメだと鼻の中からあふれる液体の流れで理解した

 

 翌日、部屋の外まで血が溢れかえっていたとさ

 

 

「駄目だったぜ」

 

『お前らしいな』

 

「この血の量はおかしいでしょ」

 

 大和が引っ付いたままのコウマがお茶を飲みながら呟き、ナインボールもグレネードランチャーを整備しながら呟き、アドヴェントが頭を抱えながら呟いた。




ナインボール「学園内を掃除しているのは……嘗てのナインボール軍団。その中の数体をレンタルさせてみたいんだが……」

ヴィラル「却下」

凱「なんでだよ?血の池地獄になった廊下もすっかり元どうりになったじゃないか!」

ヴィラル「あいつらは掃除以外の時、学園の外に出て食料調達やってもらってるから無理だ」

ナインボール、凱
「「え?」」

(2015/09/28 21:22:20)本文一部修正

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