Rebellion Fight of traitors   作:A.K

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ナインボール『この話はこの学園のとある日常を映した光景である』


chapter12「学園の日常」

 a.m.4:00。IS学園のある人工島と本土を結ぶモノレール駅と、その周辺の町ではまだ早朝なのに忙しなく動いている人々……否、ロボットたちがいた。

 

 

『現時点をもって学園内と学園周辺地域掃除を終了する、各員直ちに学園に帰還せよ。尚、まだ早朝のため静かに行動せよ……以上』

 

『『『『『『『『了解、帰還する』』』』』』』』

 

 

 見られたロボットはナインボール……学園所属の警備部隊《レイヴンズネスト》のナインボール部隊だ。1機1機のカラーが違う。その手にもってるのは箒やちりとりやゴミ袋等の掃除道具……地域清掃の一環として定期的に行っているのだそうだ。

 

 彼等が次々とブースターを吹かして学園へと飛んでいく姿は、最早この辺りでは名物化している為に写真で取られているのだが彼等は気にしない。

 

 気にしないのはなぜか?彼等はナインボールなのだから気にする必要は無いのだ。

 

 そして先頭を飛ぶ機体は赤。IS学園技師兼教師を務めているナインボール一番機である。この間天気がいいので革命を引き起こしたあの赤である。

 

 

 a.m.6:00。学園の朝が始まる時間。

 

 

「カカロット……ラリアットーーーーッ!!!」

 

「ギャアアアアアアアアアアアア……!!」

 

「逃げるんだぁ……!「逃げられるとでも思っていたのか?」ふぉおおおおおお!?」

 

「避難する準備です!「どこに行くんだぁ?」(ポーヒー)ハァァァァ!?」

 

「すっきリーです……ハッハッハッハッハッ!!」

 

 朝のチャイムがわりに響くのはキィーンと音が鳴りながら校庭にそそり立つ岩盤に叩き込まれる体育教師孫悟空の絶叫、生徒の一人であるベジータのお約束の岩盤浴、ゼロ距離でトラップシューターを直撃され岩盤に叩き込まれる十六夜咲夜の三名の悲鳴とその後に響くブロリーの笑い声だった。

 

 

「朝から元気だなあいつら」

 

「凱さんおはよう!」

 

「おう!みんなもおはよう、早く朝飯食べようぜ!」

 

「凱は朝から元気ね〜ふぁぁ……」

 

 そんな光景を廊下の窓から見ていたのは超進化人類の獅子王凱と四季のフラワーマスターの異名を持つ風見幽香だ。廊下ですれ違う他の生徒たちと挨拶を交わしながらも食堂に向かっていた。

 

 

「おいおい、ちゃんと寝たのか?」

 

「寝てるけど朝は弱いのよ……私は和食セットにするわ」

 

「俺は牛丼セットだな」

 

 

 予めメニューを決めていたふたりは直ぐに注文を頼み空いている席に座った。

 

 

「あ、凱さん幽香さんおはようございます!」

 

「あら早苗、ターレスは?「後ろだ後ろ」そこにいたのね」

 

「ここでの生活もだいぶ慣れたか?」

 

「流石になれるわよ……まああれには慣れないけどね」

 

 

 幽香が指を指した先は……食堂の調理室である。

 

 

「足柄、パンは焼けたか!?「あと少しよ!」大和、米はあとどれくらいある?「あと5合です!」なら追加で20合は炊いておけ!響、魚の貯蔵は?「まだだいぶあるよ、焼いておくかい?」頼む!電と武蔵は野菜の調理を頼む、俺は肉を焼く「「わかった!(のです!)」」Italiaは今日のセットメニューの下ごしらえは終わったか?「終わりましたー!」一夏!夕飯のメニューの下ごしらえは?「既に完了済みです!」よーしあと少しだ!全員気を引き締めておけ!「「「「「「「はい!(おう!)」」」」」」」」

 

 その中ではバイトとして来た艦娘たちに混じり戦場と化している中で料理や配膳を進めている一夏とコウマの姿があった。

 

 

「まあ、あれは仕方が無いですね」

 

「そういえばカンパニーの方で収入がある筈だと思ったけど、コウマは使ってないのかしら?」

 

「ああ、それなら食堂でのバイトの収入とカンパニーでの給料で生活費を貯めてるぞ」

 

「何処の口座に送ってるのよ……「博麗神社の口座だ」わかったわそれならわかる」

 

 

 博麗神社の生活費等はまず霊夢が依頼で受けた分、コウマが神機使いとしての依頼での報酬などで貯めていたのだが後任の新人たちの仕事を減らしてはならないということで自ら仕事を減らしてバイトを中心にしたりなどしていた。

 

 それでも全く使わなかった分の貯金が溜まっていたから何とかなるが、激戦を繰り広げた神機のメンテナンスと強化改修の費用や、神社の修復費用等もある為にこうしてバイトをしているのだ。

 

 一夏も神機のメンテナンス費用や将来のことを考えての訓練を兼ねている。因みに将来の職業は食堂を経営することだそうだ。

 

 

「となりいいかい?」

 

「アムロと……確か「相川清香です……初日は有難うございました」相川さんね?まあ改めて言うけど私は風見幽香、人間じゃなくて花の妖怪……まあ大妖怪って言われてるわ」

 

「私たちとあまり変わらないけど、人間じゃないんですね」

 

「フランは吸血鬼、お空は八咫烏、お燐は火車、勇儀は鬼、天子は天人、早苗は現人神、悟空やベジータにブロリーにターレスは宇宙人、アムロとバナージは新たな人類の形、凱は進化した人類、コウマは原典の生物、一夏はサイボーグ……まあパーティーの時でも言ったけどやっぱり実感わかないかしら?」

 

「はい……やっぱり実感しませんね。おとぎ話で登場するような存在が本当にいると考えても私たちとなんにも変わらないんですね」

 

 

 他の席で賑やかに食事をするブロリーたちの姿を見て相川は少し笑いながら席に着いた。

 

 

「そういう事をしっかり考えて言うことが出来るのは、いい事だよ相川さん」

 

「そうなんですか?」

 

「気持ちを偽って何も言わずに溜め込むより、正直に言って正しいと思ったことを成せばより成長することが出来るってことさ……ボク達も早く食べようか」

 

「はい!」

 

 

 時間は飛び、a.m.10:35。国語の時間だ。担任は伝説のイレギュラーハンターであるXだ。

 

 X自身が低身長なのだがサイバーエルフの時の力を流用した技術ですこしだけ浮かんでいるのだ。

 

「では今日は古典をやるよ。では『平家物語』の始めの部分で有名な箇所はなんと呼ばれてるかわかるかな?」

 

「はい『祇園精舎』です!」

 

「正解!鷹月さんの言う通り、祇園精舎だね。ではこの祇園精舎で登場する『沙羅双樹』に深い関わりがある人物は知ってるかな?「はい」じゃあヴィラル」

 

 

 手を挙げたのはヴィラルだった……因みにメガネをかけてるが、結構似合っていた。

 

 

「仏教の開祖ブッダ。沙羅双樹はブッダが亡くなった時に白い花を突然開花させたと言われている話が残されている」

 

「ブッダ?確かとある町でイエスと一緒に暮らs────」

 

 カミナの発言を首を絞め落として止めたのは一夏だった。

 

 

「カミナさん……それ結構天界とかの最重要機密事項ですからあまり言わないでくだいよ「いや、言ってもいいだろう」凱さん!?」

 

「この1年のみんななら信用はできると思うぜ……けど今は授業中だから聞くのは休み時間になってからだ。みんな前の方を向いてれ!」

 

 

 数秒後にカミナは起きたが特に問題もなく、普通に授業は終わった。

 

 

 p.m.12:00。昼の時間である。厨房にはまたもやコウマや一夏たちもいるのかと思ったのだが……本日はまだ見慣れない光景になっていた。

 

 

「しかしさぁまだ慣れねえもんだなー」

 

「カカロット、貴様まだ慣れてなかったのか?」

「けどよベジータ、ナインボールが飯を作ってそれを渡す中で人が何人かいるならわかるけどよぉ?『全員ナインボール』なんて慣れたくてもなれねえぞぉ!?」

 

 

 そう、調理室を覗けば複数のナインボールが料理を作っているのだ……しかも美味いしカロリーも抑えられているという親切な作りだ。

 

 まあ見た感じではロボット食堂とも呼ばれてもおかしくはないが。

 

 

「まあ、それもそうだな」

 

「コウマ、おめぇかなり食べるな!」

 

 

 コウマの座る席には複数の……というより軽く20以上はあるのでは?と思うほどのメニューの料理が置かれていた。

 

 

「なぁに、グルメなだけさ。それに今から本社の方でいろいろあったらしいから、その分動く為のエネルギーの摂取だ。既に山田教員にも連絡はしてあるから問題もない」

 

「何かあったのか?」

 

「どうやら”シーマ”らしき機械生命体と”ベルサー”の残党勢力らしきものが発見された為に、対策会議を行うそうだ」

 

「なに?シーマとベルサーといえば、どちらもこの世界のものではないはずだが、なぜいるんだ?」

 

 

 シーマ……『ダライアス』と呼ばれる世界線で確認されている機械生命体。高度に発達した文明を監視するものでもあるが、非常に危険な技術系統を持つ文明を攻撃することからある程度の存在からの警告とも呼べる。

 

 名前の由来はとある惑星系列の軍が『死を司るもの』として呼び始めたのがきっかけ。シーマ自体には意思はなく蜂の巣の様なネットワークで連絡をしている。さらにこれらの姿が海洋生物型である事が共通している。シーマと人類は遥か太古に戦いそして退けた後、数百年後にベルサーから入手した《バースト機関》を使用した事から再びシーマと戦闘になるが対話によりシーマとの戦争は集結したとされる。

 

 

 ベルサー……『ダライアス』の世界線で現れる知的生命体。宇宙は我がものというような思考をしているために貪欲に侵略を繰り返す。様々なテクノロジーを持ちシーマに似た兵器群をも作るがこれも盗用した技術であり、既に滅んだ技術も使っている……その為過去より弱くなっているという報告もある。

 

 

「たぶんアンチスパイラルが担任戦の時に、零落白夜と螺旋力を混ぜたスカルブレイクを放った時に平行世界の境界に穴を開けて、その穴に落っこちてきたというのが大方の予想。現に極東支部で艦娘でドイツの未完成空母のGraf Zeppelinと日本軍の練習艦である鹿島が世界線を超えて来てしまっている。この2人も反螺旋状の光に飲み込まれて来たという証言を持っている」

 

 

 そう言うと食事を始めたコウマを見ながらベジータは食事をしながらも聞いたことから様々なことを予測していた。

 

 

「(たぶんコウマはベルサーとシーマの技術が流用されるのを恐れている。シーマはクアンタムシステムでなんとかなるとしても、問題はベルサーだ。現れたやつらの技術が防御が薄く攻撃に特化しているとしたら様々な勢力が襲いかかるだろうし……一番の問題である篠ノ之束のクローンが何をしてくるかわからん)まったく……前途多難だな」

 

「ん?どうしたベジータ?そんなに悩んだ顔してよぉ?」

 

「まったく貴様は呑気だなカカロット。そういえばイネルフェルトはあれからどうなんだ?」

 

「ああ、実はよぉ……オラ英語苦手なんだよ」

 

「まったく、ISの影響で俺達が話している日本語が世界の公用語になったのを忘れたのか貴様!?」

 

「あっ……そういえばオラすっかり忘れてたぁ〜!」

 

「まったく……あとその弁当はなんだ?また食べる気か貴様?」

 

「ああ、イネルフェルトと約束をした日からイネルフェルトの体調が悪くなって食堂にも来れないからオラが持っていってるんだ。アメリカにはオラから連絡するから大丈夫だ!」

 

「そうか、なら早く行ってやれ」

 

 

 言い終わった時には悟空とコウマの姿は既になく、ベジータは教室に戻ることにした。

 

 

「変わることも修行か……俺も変わったな」

 

 

 何処かの本で見た言葉を思い出して苦笑しながらベジータは食堂から姿を消した。

 

 

 p.m.22:30。本日の授業も終わり夕飯も食べ終えて、風呂も済ませほとんどの者が宿題か好きなことをするなどをして過ごす。

 

 この学園では消灯時間は決められてないが早寝をする者は既に寝始めている時間だ。

 

 そんな時間に整備室に光が灯っていた。

 

 

「一夏何やってるの?」

 

「ああ、簪か。神機の定期チェックさ……ふん!」

 

「まああたい達は神機使いだからメンテナンスもできるようにしないとね。簪は専用機のチェックかい?」

 

 

 一夏とお燐は互いに神機の動作チェックと故障がないかをチェックしていた。簪は専用機の細かいデータテストの最終チェックのためにここに来たのだ。

 

 

「うん、お燐にも話したけど最終チェックは私の感覚でやるしかないから……」

 

『まあ無理だけはするな。それに明日は体育があるから休んだほうがいいぞ……簪は私の方で見ておくからもう休め』

 

「わかった……じゃあナインボール先生おやすみ」

 

「簪も早くねるんだよ」

 

「うん、二人ともおやすみなさい」

 

 

 二人が出て行ったのを確認してから、簪はへなへなと座り込んだ

 

「あーなんでこんなに緊張しちゃうんだろう……!」

 

『しかし最初よりは慣れてきただろ?』

 

 

 ナインボールは簪が一夏に好意を示しているのを理解してからは、彼女の相談役になっていた。その為か、簪も相談事をナインボールに話すことが多いのだ。

 

 

「うん……そうなんだよね。先生は何か緊張することはあるの?」

 

『私か……ないな。あとエネルギー伝達プログラムのチェックだけだな』

 

「うん……システムオールグリーン。できた……!私の専用機《打鉄超弐式》!」

 

 

 最後のシステムチェックが完了して空間投影図のエネルギーメーターが緑色に染まった。遂に簪の専用機が完成したのだ。この最後のチェックはすべてのパーツからの誤差チェックまでもが一人でやりたいという簪のために行われ遂に達成したのだ。

 

 

『やったな……専用機の基本データのまとめは私がやっておくからお前はもう寝ておけ。あと……恋は全力でもお前はお前なんだ。他の誰でもない自分を忘れるなよ?お前はお前でいい……私から言えるのはここ迄だ』

 

「……あ、有難うございます……!おやすみなさい!」

 

 

 顔を真っ赤にして落ち着きがない様子で部屋から出た簪を見て、ナインボールは目の前に鎮座する超弐式を見て呟いた

 

 

『さて、ここからどんな風に人は変わるのやら……だからこそ人間は面白い』

 

 

 ネストよ、もしも聞こえてるなら聞くがいい、貴様がどこかで恐れていた人間の可能性はとても愉快で……それでいて尚も、憧れるものだったぞ。

 

 夜風を浴びながらナインボールは月夜を眺めていた。

 

 

 こうしてまた日は終わり、陽はまた昇る。

 

 さあ、今度はどんなことが起きることやら?

 

 人が動いても動かなくても世界は歩き続け、それでいて善も悪も飲み干していくのだ。




 予告……次回Episode3突入!!

 有るべきだった物語は形を崩して新たな形で進んでいく。

「ボクの名前はシャルロット・デュノアです。よろしくお願いします!そしてはじめまして獅子王凱さん……!」

「君がデュノアか!ボルフォッグとコウマからよく聞いていたよ」

「それと……ロボットと結婚って良いのか悪いのかわかりますか?」

「・・・へ?」

「ロボット×美少女のカップル・・・新しい・・・惹かれる・・・漲ってきたぞぉ……!」


フランスの貴公子シャルロット・デュノア……新たな世界を開いて参戦

そしてもう1人の少女の元に勇者が来た


「新しく同室になった獅子王凱だ、君は?」

「ら、ラウラ……ボーデヴィッヒ……生まれてきて……ごめんなさい……!」


苦しみの果に殻に閉じこもる無垢なる少女を勇者は救うことが出来るのか?


「あっくんとほーきちゃん以外は死んでもいいからさとっとと消えてもらう!」


偽りの天災がついに牙を剥く!!


「馬鹿な……!グレートシングだと!?」

「あそこにいるのはマザーホークか!?」


縛られ牙を向く宇宙の大鯨と母なる銀鷲


「助けて……助けて……!」

「ラウラー!!」

「ボルフォッグ……僕に勇気を……!」

「守って見せます……子供たちの未来を!」


 集いし勇者!


「「シンメトリカル・ドッキング!!」」

「博麗霊夢……《神楽》、あんたらを退治する!」

「風見幽香……《フラワーマスター》、敵を消し去ってあげるわ……!」


 誰かの為にその命を燃やさんと歩き続ける戦士達!

「俺は、ラウラを救いたい……だからこそ戦う!」

 そして、一人の少女を救うために偉大なる勇ましき者の王がついに蘇る!


「ファイナルフュージョン・承認!」

「了解!ファイナルフュージョン!プログラム・ドライヴ!!」

「ファイナルゥゥ……フュージョョョョョン!!!!」


 偉大なる勇ましき者の王は新たな姿で再び蘇る!


「見せてやる……本当の勇気の力を……!」


次回Episode3『勇者王転生!!』

chapter13「その名はシャルロット」

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