氷雪の魔王と愉快な帝具使い達の話   作:椿リンカ

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社員1「・・・シリアスか?」
社員2「タイトルでお察しくださいだろ」
ロッドバルト「まぁ、この次の回予定がギャグ予定ですので」
社員4「でも正義の味方ってことは・・・」
社員3「・・・まさかとは思いますがね」



正義の味方じゃない前篇

「お前のせいで何度も死んだ」

「お前なんていなければ」

「なんで生まれてきたんだ」

「自分のやったことが正しいと思ってるのか」

「お前は正しくなんかない」

「よくもあの人を殺したな」

 

反響音のように声が響いてくる。何人もの大人や子供の声だ

あぁそうだ、故郷の村で言われたんだった。魔王だったからいっぱい言われて、当然だけれど、それでも今の両親が辛そうな顔をするのが、それが嫌で

いつのまにか、ループしてきた時に投げかけられた言葉が混じる

 

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい

勝手に救うだなんておこがましいことをしてごめんなさい

あまりにも自分勝手でごめんなさい

生まれてきてしまって、ごめんなさい

 

それでも私は、私のしたことを否定しちゃいけないんです

もしも否定したら、私は自分のしてきたこと全部が無駄だったと思い知らされてしまう

何度も繰り返してきて、犠牲になった人たちの死が無駄だったと認めてしまうことになるから

やったことを責められるのなんて当たり前のことだ。全部受け入れたらいいだけだから

 

 

 

目が覚めた

・・・何度か見たことのある夢だけれど、慣れる気配は一切ない。

もう一度寝ようと思ったけれど、気が立って眠れないな・・・ちょっと散歩、行こう。多少気がまぎれたら、もう一度眠れるはずだ。

ベッドから降りて適当に着替えていると背後から誰か降りてきた。振り返るとそこにはゴズキさんが立っていた。どうやらこちらの警護をしていたらしい。それもそうか・・・危険種で勝手に出かけたことがあるから、大臣も警戒してるのだろう。

 

「どこ行くんだい、嬢ちゃん」

「嫌な夢を見たので、少し散歩に」

「って言って、逃げるわけじゃあねぇよな」

「そんなことしませんよ。なら、2人で散歩に行くならいいですよね?」

 

私がそう答えると、ゴズキさんは顎に手をやって少し考え込んだ。

・・・そもそも、逃げようと思えばいくらでも方法はある。魔王の力を、存分に使えばいいだけなのだから。それが嫌だから、何もしないだけであって・・・

・・・本当、なんか自分が嫌になってくるなぁ

 

「そんならいいぜ。どうせなら帝都の見回りも兼ねて外を回ってみるか?」

「・・・宮殿の中じゃなくていいんですか?」

「かまわねぇさ。夜の街ってのも乙なもんだぜ」

 

そう答えて、軽々と私を横抱きしてテラスへと移動する。少し肌寒い気もするが、耐えれないほどではないだろう。ゴズキさんは軽々と屋根や木の上などを移動していき、簡単に宮殿の外へと出ることができた。

 

「さてっと、それじゃあ夜の散歩と洒落こむか」

「・・・ですね」

 

二人で並んで歩く。ゴズキさんとの間に会話が無い。というか、どういう会話をすればいいのか分からなくなってくる。

世間話というのもちょっとおかしいし、「いい天気ですね!」なんて夜中に言う言葉ではない。

アカメちゃんたちのことでもいいかもしれないけど、わりと一緒に過ごすことも多いから今更だろう。

 

「なぁ、嬢ちゃんよ」

「はっはいぃ!」

 

うわああああ、声が裏返って変な声になった、恥ずかしい死にたい。

恥ずかしさで俯く私にかまわず、ゴズキさんは話しかけてくる。

 

「変な能力があるとか、エスデス将軍たちとしか分からねぇ話題があるとか、んなこたぁどうでもいいんだけどよ。俺が気になるのは、嬢ちゃんがガキに見えねぇってことなんだ」

「はっ・・・はい・・・」

「最初は背伸びしてるもんだと思ってたんだぜ。でもそれにしちゃあ堂が入りすぎてる」

「はい・・・」

「・・・試験開始前、俺と対峙した時の嬢ちゃんは明らかに人を殺したことのある目をしていた」

「・・・」

 

どうしよう。言葉が出てこない。やけに喉が渇いてくる

 

「・・・殺したこと、あるのか」

 

その一言に、答えることができない

重たい空気の中で私は必死に答えを探した。いくらでも誤魔化すことはできるし、誤魔化さないとループしていたことを説明しなくてはいけない。そうなると必然的に私が魔王だったことを言う必要性が出てくる。

きっと理由はどうあれ、嫌われたり忌避されたりする可能性が高い。そこまで被害妄想が及んでしまって、守りに入ってしまう。

 

あぁ、なんて自分は弱いのだろう。なんて自分を誤魔化しているんだろう。

本当に自分のしたことを否定してはいけないと思うなら、素直に話したほうがいいのに

私は結局、自分が一番好きなのだろう。自分が傷つきたくないから、知られたくないんだ。

 

「・・・あ、の」

「・・・」

 

どういえばいいんだろう。こんな時にどういう顔をして、どう答えたらいいのかよく分からない。

どうやって答えるのが一番正しいのだろう?

 

「・・・その・・・えっと・・・」

「・・・」

「・・・私、は・・・・人を・・・」

 

殺したことがあるんです

 

殺したことなんてありません

 

どちらを答えるか迷ったところで、男たちが争う声が耳に届いた。この近くであることは分かるが、こんな夜中に言い争うような状況はあまり良くないことなのだろう。

ゴズキさんも気が付いたらしい。お互いにアイコンタクトして現場に急いだ。

 

 




社員1「・・・」
社員2「・・・」
社員3「・・・」
ロッドバルト「みなさん、どうしました?」
社員4「コメントが出来ないだけアル」
ロッドバルト「そうですか?それでは、次回お楽しみに」

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