企業戦士アクシズZZ   作:放置アフロ

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(前回のあらすじ)
(※ナレーション:明日 修道(あした・しゅどう)

浜子(ハマーン)は怒り心頭だった。でも、バカ社員がやった捨て身の漫才で同士討ちという最悪の事態は免れた。
 《ガザ》の嵐が再び吹き荒れ、吹っ飛ぶモビルスーツ(M S)。あれ? ストーム・フォーメーションはどうしたの?
 その頃、とらわれた麻里(マリーダ)は・・・・・・!」 





23 オデッサ(6)

 連邦軍MSパイロット、ベルナルド・モンシア曹長は単機、小隊からはぐれてしまった。

 彼のMS、陸戦型《ジム》は川の流れにそって下っていた。水深はMSの膝まで。モニターのステータス表示に浸水は現れていない。

 

「なんでこんなことになっちまったかなぁ。酒でも飲まなきゃやってらんねぇよ」

 

 なし崩し的に《ミデア》から降下が始まり、モンシアの小隊はバラバラになった。なぜ、川を下っているかというと、作戦実施の直前まで川岸に沿って待ち伏せするシミュレーションをやっていたためである。同じような結論に至った友軍と、どこかで合流できるかもしれない。

 予想は当たった。

 川岸の林に連邦軍で使われるケミカルライトをナイトビジョンが感知した。隠密機動でゆっくりと近づく。どうも対MS特技兵の分隊、5名ほどが車座になっているのが見えた。

 

「おいおい、緊張感ねーな。見張りも立てねーで何やってんだ?」

 

 ようやく、《ジム》の足音に気づいたのか、背を見せていた一人が振り向いた。

 

「あぁん?」

 

 兵士の肩越し、もう一人、小さな人影がいた。少女だ。輪の中心に座らされているようだ。

彼女の顔をズーミングしたモンシアは一瞬呆気に取られたが、徐々ににやついた笑いが広がっていった。

 《ジム》を停止させ、モンシアはコクピットハッチを開放した。下の特技兵に向け、口に手を当て、

 

「おいおい、楽しそうなことしてんじゃねぇか。条約違反、いやいや犯罪じゃねぇのか?」

 

 変な表現だが『小声で叫ぶ』。

 

「そんなんじゃねぇよ。ただのゲームさ」

「ま、何でもいいけどよ、上には黙っておいてやる。後で俺にもヤら・・・・・・」

 

 ザワザワとした風が木々の間を駆け抜けていった。だが、それは風ではなかった。

 側方から高速接近した巨人が赤熱の刃を《ジム》の腹に突きこむ。切っ先は反対の脇腹部から、にょきり、と顔を見せていた。

 落下したモンシアは「あつっ!」と言う間もなく、絶命していた。

 衝突で倒れる《ジム》。腹を打つ地響きと舞い上がる土ぼこり。

 その向こうに巨人のシルエットがうっすらと見え隠れしていた。肩から尖ったスパイクを見せている。

 

 

 

 

 少女は後ろ手に拘束された上、口に物を詰め込まれ悲鳴も上げられなかった。

 

(ち、違う。お兄ちゃん(マスター)じゃない)

 

 麻里(マリーダ)は戦慄する。MSは左肩からのびるスパイクに何かをぶら下げていた。理解してうめく。

 

「ん! ぅ・・・・・・」

 

 貫いた《グフ》の頭部だった。土ぼこりが去り、月明かりを受けた姿を確認できる。

 MSのドクロをたずさえた真紅の騎士。それは《R・ジャジャ》。

 ようやく姉・風美(プルツー)の言葉の意味を思い出す。

 

 

(自分が宇宙世紀でやったこと忘れたわけじゃないだろ? いくら転生したからって、時空を超えて恨んでいる人間だっているかも知れないだろ?)

 

 

(そ、そうだ。とうとう見つけられたんだ。私を、・・・・・・殺しに来たんだ!)

 

 

 

 

「とうとう見つけたよ。観念しな、うるさい子供めェ」

(さぁ、さっさと首をはねちまいなっ!)

 

 コクピットでつぶやく木矢良(きやら)すみれの脳内では、キャラ・スーンの意識がわめいていた。

 特技兵は逃げる者、腰を抜かす者で、反撃できない。

 木矢良はビームライフルの照準レティクルを生身の麻里に合わせる。唐突に、精神交感とでも言おうか、怪現象が起きた。全天周モニターの正面から宇宙が広がってくる。

 宙空に浮かぶ重MS《ゲーマルク》が見える。そして、その巨体にアクティブカノンが命中。激しい爆発が木矢良の目を焼く。周囲を飛び回る量産型《キュベレイ》の中で、砲身が焼けている一機を認めた。肩に【12】というマーキングが見て取れる。

 そして、木矢良はNT能力で嗅ぎ取った。似たような匂いをしているが、こいつらはひとりひとりが微妙に違う。

 

「こいつだ。やっぱりお前が」

 

 気づけば、木矢良は《R・ジャジャ》のコクピットに戻っており、モニター下方には両膝を、ぺたん、と地に着けた来栖麻里の姿が映し出されていた。

 

(なにをビビっているんだい。早く早……)

「うるさいんだよ、てめぇは!」

 

 けしかけるようにキャラが騒ぎ、動きを止めていた木矢良が一喝する。

 

「こいつは、楽な死に方はさせてやらない」

 

 暗い声音と共に、ヒートバヨネットの出力を最弱にする。刃は煌々(こうこう)と輝くオレンジから、ほの暗い赤へと変わる。だが、それでも熱量はすさまじい。近づけば衣服は燃え上がり、皮膚は焼けただれる。

 

「アタシにやったように、焼き殺してやる。ただし、……」

 

 木矢良は残忍に笑う。

 

「じわじわと、ね」

 

(逃げなきゃ!)

 

 恐怖で身動きできなかった麻里は、必死に立ち上がろうとした。しかし、とっさに足をひねり、転ぶ。結束バンドで後ろ手に縛られた彼女は、もがくばかりで起き上がれない。

 

「いい格好だねぇ。まるで幼虫じゃないかい」

 

 地面を這いつくばる麻里を見て木矢良は嘲笑う。殺人と復讐の羽化をした成虫の顔だった。

 いつの間にか、麻里の口をふさいでいた物はどこかに外れた。しかし、恐怖に顔を歪ませる彼女が発するのは、

 

「あ、あぁ、……」

 

 言語にならない音だった。

 ようやく、木に身をこするようにして上体を起す。振り向いたときには、ゆっくりとバヨネットの先端が迫っていた。おびただしい熱が麻里の顔面を、むわっと舐め回してゆく。思わず顔をそらし、後ずさるが背中に木がぶつかった。

 不意に、連邦兵が照明弾を打ち上げた。

 《R・ジャジャ》のモニターはナイトビジョンの単色から、色のある世界へと切り替わる。

 

「さぁ、おびえろ、泣き叫べ、命乞いしろ!」

 

 ズーミングした麻里の横顔を映し出す。ゆっくりとその顔が正面に向けられる。おびえていた。震えていた。涙していた。

 そして、頬や栗毛にはべっとりと白濁した欲望が付着していた。それを見た木矢良の中で、少しずつ化学変化が始まった。

 

「うるさいガキが……くそっ、こんな。畜生……子供を」

(殺せ殺せ、ハマーン様に楯突くものはすべて!)

 

 また前世の憎悪が脳のひだから、むくむくと頭をもたげる。

 葛藤の中で《R・ジャジャ》のバヨネットは揺れる。揺れながら、さらに麻里へ近づいた。

 そしてまた、精神交感が起こった。順不同に二人の記憶が交錯し始める。

 

 

 

 

(あ、あの、来栖麻里です。ア、アルバイトの。よ、よろしく、お願い、してください、ませ!)

(アハハ! なに緊張してんだい。アタシは木矢良すみれ。見ての通りただの掃除屋さ。ま、仲良くやろうじゃないか!)

 

(どうだい麻里ちゃん、洗い立てのタオルはいいだろっ! フワフワしてさぁ!)

(は、は、は、ははいぃぃぃ! とっても、フワフワして、天国まで逝けそう、です!)

 

(マスタ、死んじゃったの? なんで? どうすれば、……私たち、どうすればいいの?)

 

(言ったろうが! アタシはさ、キャラ・スー……)

 

(マスタ……、ううん、真島お兄ちゃん。……大好……)

 

(淫売屋の女将も掘り出し物見つけたなぁ。まったく、ちっちゃい体して、エロいねぇ。しっかりはめ込んじゃって、こんなにきつくちゃ……うッ……ふぅ、抜けなくなるかと思ったぜ。次は口だ)

(・・・・・・はい、マスタ)

 

 

 

 

 栗毛を焦がす直前で、バヨネットの動きは止まった。

 木矢良の脳内ではいまだ残りかすが騒いでいた。

 

(敵だ敵だ~! あははっ、早く殺せ~! アタシは猫目のキャラ……)

「うるさいって言ってんだろ!」

 

 木矢良は麻里の中を見た。同じことを麻里もしたはずだ。途切れ途切れにしか分からない記憶。だが、その情景を目にし、精神がリンクしたとき、お互いの気持ちを彼女たちは知った。

 

「アタシはそんなシケた名前じゃない! アタシは北多摩キャッツアイ、三代目クイーン、木矢良(きやら)すみれだぞっ!」

 

 元・レディースの木矢良が、ついにキャラ・スーンの魂を追い出した。

 外部スピーカーをオンにする。

 

「ざけんじゃないよっ! このクソヤローども、よくも麻里ちゃんに変なことしやがったな。お前ら、一人も生かしておかないよ!」

 

 

 

 

 至近距離からリジーナが発射された。コンマ数秒という刹那の中、下から突き上げるような弾頭を、《R・ジャジャ》は上体をそらす最小の動きでかわす。

 

「次弾装てん!」

 

 ガンナーは叫ぶが、装てん手は《R・ジャジャ》の足元で腰を抜かしていた。

 一瞬の出来事だった。

 《R・ジャジャ》は右脚を高々と上げ、腰を抜かした兵士を踏みつけた。

 

(ああああ!!)

 

 予想されうる大惨事に、麻里は思わず顔をそむけた。

 わずかに、目測を誤ったそれは装てん手の目前50センチの地面にめり込んだ。彼は着地の衝撃で(大を)お漏らししながら2メートルほど噴き飛び、気絶した。

 

「こんにゃろー!!」

 

 一人が機関銃を乱射する。頭部モノアイに当てるつもりなのだろうが、

 

(そんなことより、は、早く逃げて!)

 

 麻里の願いも虚しく、彼は《R・ジャジャ》のつま先で蹴飛ばされる。MSにとっては小石につまづくか、ちょこんと触れる程度だったが、ゆうに4メートルは飛んだだろうか。

 

(あわわ、だから言ったのに! そっちが悪いんだからねっ! 木矢良さんに楯突くから)

 

 経験者・麻里は語る。いや、語っていないが。

 木矢良は兵を踏み潰そうとするが、中々上手くいかない。

 

「ええぃ、まどろっこしいねぇ!」

 

 一旦は引いたヒートバヨネット付きビームライフル、その砲口を足元に向ける。

 麻里は人間がビームで蒸発されるという未来のビジョンを見たような気がした。

 

「き、木矢良さん! は、早く助けてくださ~い」

 

 そんな蒸発死なんて見たくもない! 必死で立ち上がった麻里は、走るハトのような不恰好な体勢で《R・ジャジャ》に近づく。

 

「チッ! 命拾いしたね、クソヤローども」

 

 ライフルのトリガーから指を離し、膝をついた《R・ジャジャ》が左手を地に下ろす。麻里を素早くコクピットへ招き入れた。

 

「気をつけな、この変な椅子動くよ! 挟まれないようにするんだよ!」

(この人、リニアシートのことを覚えていない? 記憶が完全じゃ・・・・・・)

 

 木矢良は《R・ジャジャ》を飛翔させ川を横断。ホバー走行で一気に駆け、砲火が少なそうな地帯まで進める。放棄された集落があり、エレカ用電気ステーションの裏手に機体を潜ませた。

 

「痛かったろうに」

 

 サバイバルキットを探し当て、ハサミで麻里の結束バンドを切ってやる。

 

「うぅ、ありがとうございます」

 

 小さな眉根が寄せられた麻里は、縛られていた指や手首をさすっていた。

 木矢良は突如、母性が湧き上がってきた。その大きな胸に抱いてやろうとして、いまだ麻里の顔が汚れていることを思い出す。

 

「ほら、麻里ちゃん、顔をお見せ。拭いてあげるから」

 

 ウェットティッシュを手に取る。しかし、

 

「う~ん、おいしぃ♪ ほぇ?」

 

 麻里は木矢良へ小首をかしげる。頬についた白い液体を指でからめとり、口にくわえていた。恍惚とした表情をしている。

 

「なっ、なにやってんだい! やめなっ!」

「え、えっ? これ、ボソボソ、ですよ」

「そうだろうとも! 嫌だったろうに、辛かったろうに……。あんな男たちの汚い精……え、なんだって?」

「えーと、ですから」

 

 

 

 

 時間は少し遡る。

 

「わかった!」

 

 麻里が両手を叩きそうな勢いでうれしそうな声を上げる。実際には結束バンドで縛られているから、それは無理だが。

 

「演説中にあっち向いてホイするギレン・ザビ!」

「な、なに~!?」

「うわっ! その発想はなかった」

「で、答えはどうなんだ、ルイス!?」

 

 車座になってジェスチャーゲームに興じる麻里と連邦兵たち。麻里を捕らえた後、待ち伏せにリジーナを設置したが、一向に敵が現れず、退屈だったので暇つぶしをすることにした。

 

 

「なぁ、あの娘、仲間外れにしたら可哀想だから、入れてあげようぜ」

「そうだよな。この戦争だってそういう些細なことから、エスカレートしたんだよな。コロニー落としだって、最初はコロッケ落としだったのに・・・・・・」

「それにジェスチャーゲームでハブるのは南極条約違反だろ。俺たちは鬼畜ジオンとは違う。戦争でもルールは守らないとな」

「あの、……すみません。そんな気を使っていただいて。できれば、この拘束も取っていただけると、……」

「よーし! 始めるぞ。最初は俺だぁ!」

 

 黒人兵士は担いだ誘導弾を地面に置くと、立ち上がった。

 

 

 麻里の答えを聞き、ルイスは顔面蒼白となった。いや、黒人だからホントは顔色は分からないが。

 

「せ、正解だ……」

「うおおぉぉぉ!」

「す、すげぇ」

「この娘、超能力者かよ」

 

 兵士達が戦々恐々とする中、麻里は「えへへ」と少し得意気にはにかんだ。

 

「しょうがない。正解者には豪華プレゼント、俺のブラックマグナムを……」

「ル、ルイス! お前まさか」

 

 黒人兵士はズボンをごそごそとやりだした。麻里は嫌な予感がした。

 

「な、何する気!? や、やだ……すごく、大きい」

「いいからしゃぶれよ」

 

 呆然とする麻里の栗毛を鷲掴みにすると、取り出した黒く、長く、そして極太の棒を彼女の口に突き込む。

 

「きゃっ! んぐっ、んむ・・・・・・。 クチュヌチュ」

 

 第三者から見れば、後ろ手に拘束された少女が黒人兵士から口に無理やり突っ込まれているという、背徳感あふれる構図であった。

 棒の表面はグニュッとした反面、中は骨が入っているのかと思われるほど、カッチカチであった。

 息苦しさに麻里の瞳は涙にあふれる。

 

「アハハ! どうだ、こいつの味は? 旨いだろ?」

(ぬるぬるして……、生温かくて・・・・・・。激甘だよぉ)

 

 無論、それはチョコバー(※商品名:ブラックマグナム)である。

 

「硬かろう、太かろう! これはコーヒーでふやかしながら食うものなのだ!」

「ルイス。お前よくそんな長いモン、ポケットに入れておいたな。チョコが溶けたりしないの?」

「普通はそう思うだろ、スティーブ? けど(つう)は違う。周りがとろけてフニュッとしたぐらいが実は旨いんだよ。そりゃそりゃー!」

 

 ルイスは麻里の頭を押さえたまま、小刻みかつ激しくスライドさせる。

 

「んッ! ふぅっ、ひゃぅ」

 

 口腔の奥一杯にまで突き込まれる。そして、引かれる。舌をかき回され、アメリカンな甘味が麻里の理性を麻痺させた。

 

「ん゛―――っ! えっ、けほ! えほッ……っ! ハァハァ。あ、甘っ!」

「フハハ! 最高だろ? 舌を狂わせるマグナムは!」

「あ、甘すぎるよ・・・・・・グス」

「フンッ。その割には旨そうにくわえてたじゃないか。チョコのコーティングがしっかり舐め取られてるぞ」

 

 羞恥責めに麻里はまた泣きそうになった。

 

(泣いてはダメ! 命令じゃないんだから。あぁ、お兄ちゃん(マスター)、早く来て)

 

「よ~し! 第二問、俺が行くぜ」

 

 続いてスティーブと呼ばれた白人兵士が、機関銃を置いて立ち上がった。

 

 

 しばらくして、

 

「中国人が作った《グフ》? じゃなくて? え、急いでペンキを買って? はぁぁぁ! 分かった! 中国人が青いペンキで塗った《ザク》! どう?」

 

 スティーブは医者から余命宣告された患者のような顔をしていた。

 

「なんてこった! ファッキン・ジーザス・クライスト! 正解だぜ」

(な、なにをくれるんだろう……?)

 

 意外な才能を見せる麻里。彼女の胸中は期待と不安がないまぜになった。

 

「しょうがねぇな」

 

 ため息しつつ、スティーブが取り出したのは、

 

「れ、練 乳(コンデンスミルク)!? そ、そんな……(大好物です!)」

「たっぷりたっぷりかけてやるからな♪」

 

 チョコのコーティングが舐め取られたブラックマグナムに、練乳を三重四重とかけ回す。チューブから発した濃厚な白濁汁が、重力にしたがってチョコ棒の先端を、にゅ~、と垂れていた。

 

「お、お願いもう・・・・・・(は、はやく~、もったいない)」

 

 涙目で麻里は何かを訴えるが、

 

「うぐぅ、む―――! チュパクチュ」

 

 再度突っ込まれる。麻里の口角からは白いものがあふれ、こぼれ落ちる。

 

「ワハハ、嫌がってる割には吸い付いてくるなぁ。舌は素直と見える。・・・・・・うッ! 上手いぞ。ふ、ふぅ……。まるで(練乳が)搾り取られそうだ。たっぷり味わうが・・・・・・」

 

 そのときだった。ズーンという振動と重低音が大地を伝って響いてくる。近い!

 

「う、わっ!」どぴゅ~。

 

 驚いたスティーブは持っていたチューブを思いっきり握る。ほとばしった液体は麻里の栗毛に、そして顔に発射された。

 スティーブの背後、川から上陸した《ジム》がすぐそばまで近づいていた。

 

「おいおい、楽しそうなことしてんじゃねぇか。条約……」

 

 

 

 

「と、いうわけなんですよー」

「……」

 

 長い話を語り終えつつ、麻里は顔についていた最後の練乳をこすり取って舐めた。木矢良は黙して聞く。

 

「あーあ、チョコバーもったいなかったなぁ・・・・・・。半分も食べてなかったのに、どっかに落っことしちゃって・・・・・・あぁ」

(やっぱこいつむかつくわ! ブッ飛ばしてェ!)

 

 むくむくと脳裏からキャラ・スーンが帰ってきた。

 

 

 




(次回予告)
(※BGM「アニ×じゃな~い?」、ナレーション:明日 修道(あした・しゅどう)

♪デ、デ、デ、デ~ン♪

「再登場の赤い彗星、フェンリル隊とタッグを組んだ。
 MSはやっぱり赤い《ズゴ・・・・・・えっ、それなの?
 やよいと合流したアクシズ軍団だけど、後がいけなかった。
 またまた登場、KYな連邦軍。
 次回、アクシズZZ『オデッサ(7)』
 いつまでオデッサ続くんだよ~!」



【来栖麻里の死亡フラグが折れました】



(あとがき)
 セ、セー……フトぉぉぉ!!
 アクシズZZは読者の予想を裏切り、期待も裏切る!!
 いや、だって今回は期待をかなえちゃったら、間違いなく、

R-15 → R-18

 行きですがな。



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