Fate/Next   作:真澄 十

52 / 56
Act.50 親子

 貴方を倒す。それは互いにとって、確たる決意であり、不退転の覚悟であった。

 凛にとって、それは排除しなければならない障害であった。聖杯を破壊するという目的を阻むのであれば、それが誰であっても取り除かねばならない。

 かつて共闘したこともある。だけど、今となっては、彼は敵だ。倒さねばならない敵なのだ。敵に、なってしまったのだ。

 殺さない自信など、微塵もありはしなかった。相手は代行者である。そもそも勝てる見込みが希薄だ。殺すつもりで戦わなければ、殺されるのは自分である。ならば、持てる全てを以て、全身全霊で当らなければならない。

 殺さないという贅沢は、この相手では享受できそうもない。ある意味ではサーヴァントと同等に考えなければならない相手だった。

 

 ふと目線をやれば、そこには妖しく輝く光の柱。きっと、あれが聖杯の「本体」なのだろう。ここに彼が居たことと、彼の口ぶりから考えて、聖杯戦争には必須のものだということは測り知れる。

 ならば、そこに辿りつかなければならない。こんな馬鹿げた戦いに終止符を打つためにも、繰り返さないためにも。それを阻むのであれば、戦わなければならない。

 

 もはや和解の余地はなく、その時間もない。ならば帰着は至って単純。力を競い、勝った者が己の信念を通す。

 古今東西、最もシンプルな問題解決法だ。

 

「――Anfang」

 

 凛は冬原を睨み、その指先を彼から逸らすことなく呟いた。体中に魔力が迸り、右手の魔術刻印が光を帯びる。

 そのまま冬原にガンドを浴びせた。もはや乱射に近い。渾身の魔力を込め、直撃を受ければ昏倒では済まない威力のそれは、怒涛の勢いで彼に殺到した。

 だが彼は、一息のままにそれら全てを打ち落とした。いや、打ち落とすなどという生易しいものではない。それは字のごとく――打ち砕いていた。

 

「――わたしたちはさまざまな議論を破り、神の知恵に逆らって立てられたあらゆる障害物を打ちこわし、すべての思いをとりこにしてキリストに服従させ、そして、あなた方が完全に服従した時、すべて不従順な者を処罰しようと、用意しているのである」

「……コリント人への手紙、だったかしら?」

「あら、よく知っているわね。ちょっと意外だわ」

「魔術師でも、新約聖書くらいは読んでいるものよ」

 

 そう言うと彼は自分の手のひらを開き、凛に見せた。その手には大層美しい指輪が嵌められていた。だが、それがただの装飾品ではないことは明らかであった。何故なら、それはこの薄暗闇の中で淡く光り、その神秘の力を隠そうともしていなかったからだ。

 

「聖パウロの遺骨を混ぜ込んだ銀の指輪よ。先ほどの聖句もびっしりと刻んである。――神の愛に即さぬ奇跡は、この指輪に触れた途端に霧散する。この指輪程度では大した力ではないし、サーヴァントほどの相手には効かないけれど、ガンド程度ならば十分」

「……切り札を持ち出してきたって訳ね」

「忘れているの? 私は代行者。あらゆる魔術師と悪魔を皆殺しにする使命を帯びた、神罰の代行者。この程度の備えは当然でしょ?」

 

 だったら、と凛は聞き取れない程の速度で詠唱を始める。ポケットから宝石を取り出し、それに秘められた魔力を解放せんとする。

 一節、二節と淀みなく詠唱を進める。そして残り一節になったところで、狙いに定めていた冬原が、凛の視界から掻き消えた。

 いや、そうではない。実際は冬原が地面の岩を殴りつけただけだ。だが、ただの一撃で岩は粉微塵となり、その粉塵が舞い上がり、彼の姿を完全に覆い隠した。

 恐るべき一撃であった。あれをまともに受けては、骨が折れるだけでは済まされないだろう。内蔵まで破裂することは間違いない。まるで戦車砲の一撃であった。

 

 そして彼がその粉塵から身を現し、凛がその姿を捉えたとき、すでに彼我の距離は相手の息が聞こえるほど詰められていた。

 しまったと言う暇すら与えず、冬原は顔面にその鉄塊のような拳を放つ。すんでのところで凛はそれを避けた。そしてガンドで反撃しようと腕を向けたが、それを見越していたかのように腕を掴まれる。

 拙い。拳を脇の下、神経が集中している部位に叩きこまれるまでの間に思考できたのは、その一言だけだった。

 

 拳が人体の弱点に的確に叩きこまれる。その音は、もはや拳で人を殴る音ではなかった。まるで鈍器で殴りつけたかのような、重々しく凶悪な音である。

 

「が……あ……」

 

 ようやく口から絞り出せたのは苦悶の声。目を限界まで見開き、口からは唾液が零れ落ちる。だが、意識を失うことは無かった。よろよろと覚束ない足取りであるが、しっかりと二本の足で立っていた。

 だが凛もこのまま一方的にやられるつもりは毛頭なかった。苦悶に染まっていた顔には次第に闘志が蘇る。

 凛は冬原の追撃が来る前に、自分を掴む手を逆に掴み返した。そして体の外側に向かって捻り上げる。抵抗すれば腕を折り、抵抗せねば地面に叩きつける、凛が放ったのはそういう技だ。

 だが冬原はその捻り上げる力に逆らうことなく体を回転させ、そのまま地面に叩きつけられる寸前で体制を立て直し、そのまま着地する。全く危なげないその所作は、凛が技をかけ損ねたかのようにすら思えた。

 

「身体強化……驚いたわね、今の一撃を耐えるとは。死んでもおかしくなかったのよ?」

「殴り合いも、昨今の魔術師には必須科目なのよ」

 

 冬原はくすくすと笑い、「何それ」と呟いた。

 そのまま掴まれた腕を振り払い、少しだけ凛から離れて拳を構える。ならばその格闘技がどこまで通じるのか、試してみると良いとでも言いたげであった。

 それに答えるように、凛もまた己の構えを取る。

 

「中華の流れを汲む拳法ね。詠唱を伴わない魔術では指輪の守りを突破できず、かといって詠唱を許す私ではない。格闘戦の選択は間違いではないわ。でも、私の土俵で戦って、勝ち目はあるのかしら? 万に一つ、それとも億に一つ?」

「ゼロではないのなら、試す価値はあるんじゃない?」

「その意気やよし。相手してあげるわ、かかって来なさい魔術師!」

 

◇◆◇◆◇

 

 衛宮士郎が目を覚ました時には、既に切嗣も冬原もその場から離れていた。眠っていた時間は十分ほどであったが、焦りを覚える程度には時間を浪費していた。

 今は一刻を争う事態であることは、痛いほど理解している。不意打ち気味であったとはいえ、手を拘束しているとはいえ、失神している暇など許されてはいない。そんなことは百も承知である。

 だからこそ士郎の行動は早かった。すぐさま短剣を投影し、指を拘束している結束バンドを切断した。これで十全に戦える。そして辺りを見渡し、監視の目が無いか確認した。士郎にはそれを見つけることが出来なかったが、状況を鑑みれば教会側の監視があるだろうことは容易に想像がつく。見つけ出して切嗣の行き先を聞きだそうと思ったが、当てが外れてしまった。

 

 だが、行き先に心当たりが無いわけではなかった。昏倒していたものの、いくつかの会話は耳に入っている。完全に気を失うまでの、白濁した意識の中で、しっかりと彼らの会話は耳に入れていた。

 そんな状態での聞き耳のため確証こそ無いが、彼らは柳洞寺に向かうと言っていた筈だ。ならば、士郎もまたそこに行かねばならない。そこで聖杯を降臨させるつもりなのだろう。

 猶予はどれほど残っているのか分からない。一時間はあるかも知れないし、もう五分もないかも知れない。

 

 士郎は手のひらに浮かんだ汗を、擦りつけるようにして服で拭った。

 それでも汗はとめどなく滲んできて、何とも不快だった。

 

 士郎は大きく深呼吸する。まるで自分の覚悟を定めるように、深く力強い呼吸だった。

 ただ一度だけのそれを終えると、士郎は大通りに向かって駆けだした。この公園は人通りが少なすぎる。とにかく大通りに出て、車を拾わねばならない。

 とは言っても、もはや車の往来すら途絶える時間帯であった。タクシーを運よく拾えるかは、運否天賦の賭けである。それも分の悪い賭けだ。しかし、そうと分かっていても、そうするしか手段はなかった。

 大通りに出てみたが、やはり車は走っていない。額に脂汗が滲み、唇が渇く。

 

 徒歩で行けない距離ではないが、時間がかかりすぎる。だからと言って、その辺りの民家に侵入し、車を奪うのは出来れば避けたい手段だ。倫理観や正義感の話ではない。それで騒ぎになれば、かえって身動きが取れなくなってしまうからだ。

 八方ふさがりになり、右往左往する。この間にも貴重な時間は失われ続けている。

 落ちつけと何度も自分に言い聞かせるが、焦りはもはや抑えられる程度を超えていた。

 立ち止まっている暇は無いと自分を説得し、この際柳洞寺まで走ろうと決意し始めたころ、視界の隅にそれを見つけた。

 それは路肩に鎮座する乗用車であった。黒塗りのため気づくのに時間がかかったが、一度気づいてしまえば無視できない存在である。路上駐車のうえ、周囲に人影は無い。拝借したところで、騒ぎになりようが無い。

 まさしく天の恵みであった。

 

 しかし、士郎は懐疑的であった。

 こんな近場に、こんなにも都合よく車が置かれているなどとあり得るのだろうか。切嗣や冬原ならば、ここを離れる前に、こちらの足になる物を潰しておくのではないだろうか。

 こちらを足止めする意図があるならば、こんなものを放置するわけがない。これは、罠だ。

 一度でも脳裏に根付いた疑惑の種は、決して頭から消えることはない。それは根を伸ばし枝を広げ、思考を支配し始めた。

 絶対に信用ならない。しかし、それでいて無視できるものではなかった。

 もしも、本当に見落としていたのであれば。見つけていたが、何らかの事情で放置せざるを得なかったとしたら。もしそうであれば、これほど今の士郎を後押しする存在は他にないだろう。

 そう思うからこそ、慎重にその車を調べた。外観、タイヤ、車体裏、そしてウィンドウ越しに内部を観察する。目に見える限り、何か細工をした様子は無かった。

 しかもあろうことか、どうやらキーが刺さったままになっていた。つまりドアもロックされていないと考えられ、この車を奪取することは非常に容易な状態であった。

 

 ますます罠に思える。外からは見えない位置に罠を仕掛けている可能性は十分にある。キーを回したとたんに車が炎上する等、あらゆる事態が想定される。

 それでも、刺さりっぱなしのキーは魅力的に過ぎた。これさえあれば、事態は一気に好転する。

 

 ええい、ままよ。虎穴に入らずんば虎児を得ず。リスクを冒してそれを踏破してこそ、勝利は得られる。

 そうやって自身を鼓舞し、意を決しドアノブに手をかけた。一度だけ周囲を見渡し、人が居ないことを再び確認する。

 細心の注意を払い、ドアを開けた。拍子抜けするほど、難なくそれは開いた。とりあえず、ドアに罠は無いようだった。

 まだシートに座るようなことはせず、体を車外に置いたまま中を調べる。石を投げ込んでみたり、士郎の魔術で物体を解析してみたりしてみたが、特に異常は見当たらなかった。

 これは、ひょっとすると、ひょっとするかも知れない。

 

 士郎は覚悟できるまで入念に、しかし迅速に調べたのち、革張りのシートに腰を下ろした。やはり、何も異常はなかった。

 すぐに脱出できるよう、ドアを開けたままキーを回す。エンジンは小気味よい唸りを上げ、計器も正常に動作を始めた。

 入念に調べたことが徒労に思えるほど、いたって通常の車であった。

 

 ドアを閉め、アクセルを踏み込む。加速の良い車だった。

 異常が無いのであればと、そのまま柳洞寺に向かう。往来の途絶えた道は思いのほか走りやすく、速度規制を超過した速度で街を駆け抜けた。

 

 今のところ、何の障害もない。だからこそ不安になる。

 本当にこの車は、単に見落とされていただけなのだろうか、と。

 

 ◇◆◇◆◇

 

 士郎が柳洞寺に辿り着いたとき、そこは不気味な静寂に包まれていた。聞こえるのは木々のざわめきだけ。士郎は周囲に気づかれないよう、参道よりやや離れた位置に駐車していたが、その必要はなかったかも知れない。

 不自然なほど人の気配がなく、かえって圧迫感を覚える。士郎はにじむ脂汗を拭い、慎重に石畳を歩み始めた。

 

 目に魔力を循環させ、視力を底上げする。月明かりも星明りもない暗闇であっても、士郎にとっては十分であった。

 だからこそ気付けたが、石畳に蹄の跡が複数あるのを見つけた。それも二頭や三頭のものではなく、十を数えるほどの蹄跡であった。

 サーシャスフィールが持つ姉妹兵のものであることは、疑う余地がなかった。ならばこの先で待ち受けていると思うべきだ。

 だが、士郎よりも切嗣が先に柳洞寺へ向かっていたはずだ。ならば、姉妹兵と切嗣が戦闘していると考えて然るべきだろう。その気配がないというのは、一体どういうことなのか。

 もしや、既に決着した後なのだろうか。決着がついているとすれば、勝者は姉妹兵と考えるべきだろう。切嗣は優れたアサシンだろうが、彼女らの戦闘能力と頭数の前では勝機は殆ど存在しないと言っていい。いや、切嗣が遠方からの狙撃に出たのであれば、姉妹兵たちが全滅する可能性も十分ある。あの白装束は、この暗闇の中であっても目立つだろう。

 

 ――ならば急ぐ必要がある。この静寂も、狙撃戦となったために、姉妹兵が息をひそめていると考えれば得心がいく。

 息が荒くなる。決して疲労によるものではない。

 だがそれを飲み込み、士郎は山門へと急いだ。可能な限り、木々に身を隠しながら。

 手に中華剣を投影し、いつでも戦闘に移れるようにする。

 あらゆる事態を想定し、慎重に行動する。狙撃を受けたとしても、対処してみせる。もしいきなり目の前に現れたなら――現れたなら、どうすればいいのだろう。

 士郎は少し迷って、自分の心中を知った。

 

 ああ、そうか。こんなにも心がざわめく理由がようやく分かった。

 親父が敵として現れたなら、俺はどうすれば良いのだろう。士郎の心に巣食う不安や疑惑の種の根源は、この一念に他ならないのであった。

 どんな顔をすれば良いのだろう。どんな話をすれば良いのだろう。

 それとも、語り合う言葉すら持たずに戦うことになるのだろうか。あるいは、戦わずに済むのだろうか。

 その考えをはっきりと意識してしまった今、考えれば考えるほど、胃が縮むような感覚に襲われる。

 自分は本当に、義父と戦うことができるのだろうか。先ほどのオフィスビルでの戦闘とは状況が違う。あのときは、相手が何者かなんて知らなかった。

 相手が何者か知らないからこそ、気兼ねなく戦うことができた。でも、今は敵の正体を知ってしまった。

 不思議なものだ。知らない敵ほど簡単に殺してしまおうと思えるのに、それが知人だと知るや否や、その考えが恐ろしいものだと思える。相手が誰であろうと、その命の重みに変化などあろうはずも無いのに。

 

 あの神父は言っていた。私たちは、敵と語りあわねばならない。

 セイバーにそれを教えられていた筈なのに、それを実践できているとは言い難いことだった。いや、そもそも易々と実践できるようなことではないだろう。でも、最大限の努力をしていたのかと問われれば、閉口せざるを得ないのもまた事実だった。

 俺の正義って何なのだろう。

 敵を打ち砕くことが正義かと言われれば、それは違うと思う。俺はただ、苦しんでいる人を救いたいだけだ。もう誰も悲しまないで済む世界が欲しいだけだ。

 

 セイバーの言葉を全て信じているわけではない。セイバーにはセイバーの正義があって、その姿を俺に見せてくれただけ。大層なことを言ってはいるが、俺に道を示そうなんて事は、本当は考えてなどいないのだろう。

 ただ、見失ってしまった己の正義を、俺を通して取り戻そうとしているだけなのだ。それを知っているからこそ、多少説教じみたことを言われたって、甘んじて聞き入れよう。

 でも、これだけは言える。俺の正義と、セイバーの正義はイコールで結ばれるわけではない。

 

 だからこそ、士郎は彼自身の正義を見つけなければならないのだ。きっとそれは果てしない道で、きっと立ち止まってしまうこともあるだろう。

 だけど、それを見つけたとき、士郎は義父の前に、胸を張って立てる気がしたのだ。

 正義を志しては見たものの、その正義が何なのかは曖昧だった。人を救いたいなんて胡乱な考えでは、きっと彼はまた迷ってしまうだろう。

 

 かつて出会った、未来の彼のように。最近知り合った、ふざけた態度の裏に苦悩を隠した剣士のように。

 そして、彼の義父のように。

 

 今思えば、かつてのアーチャー(エミヤシロウ)は、こう伝えたかったのではないかと思うのだ。私のようには決してなるな。二度と迷うことのないように、己の道を貫け。

 不器用なヤツだ。道を誤った己を踏破させることでしか、それを伝える術を持たないなんて。

 語る言葉を無くしてしまった男の、あの憐れであり、それでいて大きな背中を忘れることができない。

 

 ならばきっと。――ああ、そうだ。始めから道は示されていたではないか。

 俺は語る言葉を無くしてはいけないんだ。

 

 きっと、士郎は剣を捨てることは出来ないだろう。それは戦場にあって己を守る道具であり、己の意志を貫く手段だ。

 だがそれでも、最後までこの口から語る言葉を無くさないでおこう。剣に語らせてはいけない。きっと、セイバーが言いたかったことはこれなのだろう。剣によって正義を称するなと言いながら、彼が剣を捨てられないのも同じような理由だろう。

 

 先ほどまでが嘘のように足が軽くなる。山道を登り続け、気が付けば、既に山門は目と鼻の先だった。

 そのときには既に、不思議と胸のわだかまりは消えうせていた。

 

 山門を見やると、何とも不思議な光景が広がっていた。白装束の女性たちが、山門や木々に身を隠し、じっと息をひそめていた。彼女らには見覚えがある。サーシャスフィールの姉妹兵たちだ。

 彼女たちはしきりに境内の方向を窺っている。士郎もまた木陰に隠れて、彼女たちの人数を確認した。十数人というところか。見れば、彼女らの馬もまた物陰に退避させているようだった。

 もうしばらく様子を見ようかと思っていたところ、彼女らの一人が士郎に気付いた。士郎は己の失態を毒づくよりも先に、剣を構えて臨戦態勢を整える。だが、彼女は得物のハルバードを構えるわけでもなく、ただ付近の姉妹兵たちの士郎の存在を伝えただけだった。そして士郎に向かい、手の甲を上に向けた状態のまま上下させる。姿勢を低くしろ、と伝えているようだった。

 士郎は怪訝な表情を作ったまま、それに従う。彼女らに戦う意志が無いのであれば、士郎もまた戦う理由はない。例えそれがライダー陣営の兵士であったとしてもだ。

 そもそも冬原が、此度の聖杯戦争の勝者はアサシンであるとはっきり宣言している。ならばライダーも敗北している筈であり、彼女らはこれ以上戦う理由が無いはずなのだ。話くらいは聞く余地がある。例え、彼女らには言語能力が無いとしても。

 

 姉妹兵の一人は、士郎が自分の指示に従ったのを確認すると、今度は指先を軽く動かす。こちらに来いと伝えていた。

 今度も士郎はそれに従う。士郎が近寄っても、彼女たちは警戒する訳でもなく、ただ当然のように士郎を安全な物陰に隠した。

 これまでの状況を鑑みて、平時ではないことぐらいはすぐにわかる。きっと、アサシンからの狙撃を受けているに違いあるまい。狙撃手に睨まれたとき、遮蔽物に隠れるのは常套手段だ。

 士郎は周囲にしか聞き取れないほどの声量で、姉妹兵の一人に問いかけた。

 

「一体、どうしたって言うんだ」

 

 彼女たちは答えない。いや、答える術を持たない。

 しばし考えたのち、問いかけられた一人が足元に落ちていた小枝を拾い上げた。そしてそれを使って、何やら地面を削って絵を描いているようだった。士郎はポケットから携帯電話を取り出し、その明りで地面を照らす。明りが無くても見えるが、彼女は多少の光源がなければ正確な絵が描けないだろう。

 

 やや大きめに書かれたそれは、どうやらこの柳洞寺の見取り図のようだった。彼女たちが境内の詳細を知るはずもないので、やや簡略化されていたが、すぐにそれと察することができた。

 士郎は、これは境内の見取り図かと彼女に確認する。彼女は短く首肯した。

 自分の意図が伝わったことを確認した彼女は、その見取り図の一角に新たな絵を描き加えた。それは池がある場所だった。

 書かれた絵は、杯のような絵だった。その絵の下には「Heilige Gral」と書かれている。ドイツ語で聖杯という意味である。

 士郎は驚きを隠せなかったが、声にだけは出さないように飲み込んだ。既に聖杯が降臨しているというのか。ならば、今すぐ聖杯が使用されてもおかしくない。

 思わず飛び出そうとする士郎を、彼女は肩を掴んで押しとどめた。その細腕からは想像もつかないほど強い力だった。

 士郎の視線を強引に見取り図に向けさせた後、彼女はさらに一つの絵を描いた。それは山門とは逆方向の屋外を起点とし、山門方向へ伸びる一本の矢印だった。そしてその矢印の傍にも単語が添えられる。「Schnepfe」と書かれており、ドイツ語で狙撃という意味だった。

 

「アサシンが狙撃をしているんだな? だからここに身を隠すしか無かった?」

 

 彼女は首肯する。やはり、想像していた通りの事態であった。

 あの絵からすれば、アサシンは境内にはおらず、自分たちと同じように木々の奥から狙撃をしているようだった。場所は、ちょうど境内を挟んで向かい側。この暗闇では、木々に隠れる狙撃手を見つけることは困難だろう。

 士郎は彼女に負傷者の有無を聞いた。だが彼女は首を横に振った。助からないという意味なのか、負傷者はいないという意味なのかと聞いたら、どうやら後者のようであった。

 狙撃しているにも関わらず、負傷者はいない。とすれば、単に聖杯に人を近づけたくないだけだろうか。

 意図がよく分からないが、とにかく狙撃されているのならば聖杯を破壊するのも難しい。どうにかして、切嗣を無力化しないといけない。

 

 士郎は物陰から身を晒さないようにしながら、山門の影まで移動した。そして小ぶりな手鏡を投影する。剣以外の投影は苦手だが、全くできないという訳ではない。特殊な礼装でない限りは、十分な代物を投影することができる。

 手鏡だけを物陰から出し、境内を観察する。池の方向には、たしかに聖杯らしきものがあった。黒い泥を溢れさせながら、池のやや上空に浮遊している。あれが聖杯で間違いないだろう。池の周囲は瘴気のような霧に包まれていた。

 次にアサシンの姿が見えないものかと木々の方向に鏡を向けた瞬間、突如その鏡が砕けた。投影の限界ではない。物理的に破壊されていた。

 なんと目ざといことか。どうやら狙撃銃によるものではなく、アサルトライフルによる狙撃らしい。銃声は一発のものではなく、数発立て続けに聞こえた。そして、発砲音からすれば、二百メートルは離れた位置に居るはずだ。その距離から、この暗闇の中で小さな手鏡に命中させるとは。

 さすがは暗殺者。魔術師殺しと言われただけのことはある。一筋縄でいく相手ではない。

 

 だが士郎には不思議な確信があった。

 切嗣は自分を撃たない。言葉も交わさず、遠方から一方的に撃ち殺すようなことはしない。

 だって、親子なんだ。例えそれが義理であっても、言葉すら交わさずに殺すなんて悲しいことを、切嗣がするとは思えなかった。

 だからこそ、士郎は思いきった行動に出る。付近にいた姉妹兵が止めようとしたが、士郎はそれを仕草で制止した。大丈夫だから、と。

 

 士郎は物陰から飛び出て、境内の中心に佇んだ。撃つなら撃てとでも言うかのように、堂々とそこに居座る。

 そして、境内どころか柳洞山全域に響くかのような声で、父に語りかけた。

 

「じいさん! 俺、まだ話したいことがあるんだ! 出てきてくれないか!」

 

 大声で叫んでみたものの、帰ってくる言葉はない。しかし、銃弾もまた飛んでくることは無かった。威嚇射撃すらなく、ただ冷たい静寂のみが響き渡る。

 やはり撃ってこない。話し合うことはできる。

 ならば士郎は、根気強く待つことにした。

 ややあって、不意に人の気配を感じた。気配の遮断をするつもりは無いようだ。その気配の元、暗がりの奥から男の声が聞こえる。間違えるはずもない。切嗣の声だった。

 

「……じいさん、か。懐かしい呼び名だね」

「……記憶は、戻ったか?」

 

 その暗がりから男が現れる。使い古したコートに、無精髭。何かに疲れたような、何かを諦めたかのような、生気が抜けた瞳。口には煙草が咥えられており、手にはコンテンダー。

 先ほどと何ら変わらない、切嗣の姿がそこにあった。

 

「ああ。何もかも思いだした。士郎、君のおかげさ。最後のひと押しはあの神父だったけど、君の声が無ければ思いだせなかっただろう」

「じいさん、思い出したなら分かるだろ。聖杯を使っちゃいけない」

「そうかも知れないね」

 

 そう言うと、切嗣は肺に貯めた煙を吐き出す。

 士郎は、その姿にあの日の彼が重なった。安心したと言い、逝ってしまったあの日。何故かはわからない。理由など分かるはずがない。それでも、そう感じたのだ。

 

「あの神父は、七年前の記録を僕に見せてくれた。十七年前に僕は聖杯を壊したと思っていたけれど、今回も含めて既に二度も聖杯は現れてしまっていたんだね。……僕のやってきたことは、本当に、無意味なことだった」

「そんなこと……!」

「無い、なんて言えるかい」

「言えるさ! 俺はじいさんに救われたんだ! 無意味だったなんて、言わないでくれよ……!」

「そうだったね、すまない。でもね、アレだって僕がしくじらなければ、起こらなかった災厄だ。君をこんな風にしてしまったのは僕に他ならない」

「それでも、じいさんは俺の父親なんだ!」

「……ありがとう。僕は良い息子を持った」

 

 切嗣は煙草を捨て、踵でもみ消した。

 火が消えたとき、切嗣の目には何かの決意の色が見えた。誰に何と言われようと、己の信念を貫いて見せる。不退転の覚悟がその瞳には宿っていた。

 

「士郎。まだちゃんと答えを聞いていなかったね。改めて聞くよ。君の正義って、何だい」

「……まだ、うまく言葉にできない。それでも良いか」

「君の言葉で聞かせてくれ」

「さっきさ、じいさんに言ったよな。剣を以て正義を称してはいけないって。でも、やっぱり剣を捨てることは出来ないと思うんだ。

 この世には暴力が満ちていて、それに対抗するには言葉だけじゃ足りないと思う。襲い来る理不尽を退ける力も必要なんだって、俺は思うんだ。

 でもさ、だからと言って、力でねじ伏せるだけじゃ、結局その『理不尽な暴力』と変わらないんだよな。だからさ、俺は――やっぱり、話し合いたいんだよ。何でこんなことするんだ、他に方法は無いのかって」

「それに応じる相手ばかりではないだろう」

「そうだな。でも、最大限の努力はしたいんだ。無血革命を目指す正義の味方が居たって良いと思うんだよ。相手を殴るだけが正義の味方じゃないって、確かめてみたいんだ。

 それって、多分俺にしか出来ないことなんだと思う」

「そうか……君は、ちゃんと正義の在り方を見つけることができたみたいだね。僕は戦うことでしか、己の正義を示せなかった。僕と違う道を選んでくれたことは、嬉しく思う」

 

 そう言うと、切嗣は士郎に銃口を向けた。指は既に引き金にかかっている。

 狙いは正確だった。外すつもりは無いのだろう。威嚇すらせず、一瞬で命を奪ってみせると、その銃口は如実に語っていた。

 

「じいさん……?」

「士郎、僕は語り合う術を持たない。僕は戦うことでしか、己の正義を示せない。

 僕は聖杯を使う。君がいくら言葉で訴えようと、必ず使う」

「そんな……! 分かっている筈だろ、聖杯は災厄でしかないんだぞ!」

「そうかも知れないな。これは破壊すべきなんだろう。でも、どうやって? 僕は十七年前に、確かに聖杯を壊した。でもこうやって聖杯はまた降臨している。これをいくら破壊したって、きっと無駄なんだろう。

 だったら為すべきことは明白だ。聖杯に、聖杯戦争の終焉を望めばいい。単純明快な答えだろう?」

「やめろ! そんなことをしたって無駄だ! 聖杯は暴力の塊に過ぎない。それを望めば、きっと周囲を蒔きこむ災厄が起こる!」

「……そうかも知れないね。でも、今後に聖杯戦争の犠牲になる人の数を考えれば、百年もたたずに帳尻が合うだろう。それに、それは杞憂に終わるかも知れない。

 すまない、士郎。これが僕のするべきことだ」

 

 そう言うと、切嗣は士郎にコンテンダーの銃弾を放った。

 士郎はとっさに二振りの中華剣で急所を守る。銃弾は心臓を守った干将に命中し、あっけなくそれを砕いた。だが幸いにして、仮にも宝具に命中した弾丸は直進することができず、弾道を大きく逸らす。コンテンダーの大口径は、士郎の肩をわずかに掠めただけだった。

 

「士郎、まだ剣を捨てないと言うなら、僕と戦え。その剣を僕に突き立ててみせろ」

「やめてくれ……やめてくれ、じいさん!」

 

 切嗣は素早く空薬莢を排出し、新たな弾薬を込める。

 淀みなく再装填を完了させ、再び狙いを定める。その所作には、一切の躊躇が見られなかった。

 

「戦わないなら、このまま死ぬだけだ。襲い来る理不尽を退けてみせろ」

「……クソッ!」

 

 もはやヤケクソに近い。それでも、相手が自分を殺めようとするならば、戦わなければならない。

 死んでも良いなどとは思わない。義父が自分に銃を向けたことが悲しくても、それを受け入れることなどできない。

 投影したのは、一振りの剣。それは、折れず、曲がらず、決して欠けることのない、不屈の剣。必ず貫き通してみせるという意志を孕んだかのような、美しく、そして砕けることのない剣。

 『絶世の名剣(デュランダル)』――その剣ならば、銃弾すら退けてみせるだろう。不屈の剣が、ただの銃弾などに阻まれる筈もない。

 士郎は銃口から予測される弾道にデュランダルを構える。音速を超えて飛来する弾丸を見切ることなど、士郎にはできない。だが、単発式の銃から放たれた単独の弾丸ならば、防げない訳ではない。

 ロー・アイアスではなく、あえてそれを選んだのは、立ち止まることはないという意志の表れか。それとも、不屈の意志の代弁か。

 

 切嗣が弾丸を放つ。その銃弾は吸いこまれるように、デュランダルに命中した。

 しかし、今度は砕けない。その剣は大口径の弾丸を受けてなお、威風堂々とその鋭さを誇り、銃弾を弾き飛ばしてみせた。

 

 士郎は駆ける。切嗣に向かって一直線に、その目に涙を溜めながら。

 どうして、親子で殺し合わなければならないのか。

 いくら己の胸に問いかけても、答えは返ってこない。胸を締め付ける苦しみに後押しされるように、士郎は剣を握りしめた。

 

 切嗣は、コンテンダーに起源弾を込める。士郎の剣が届くよりも、再装填して弾丸を放つほうか幾分か早い。

 襲い来る切っ先に動じることなく、正確無比の狙いを士郎の眉間に定める。

 さようなら、士郎。

 誰にも聞き取れないような声で呟き。引き金に指をかける。

 

 そして切っ先が切嗣に届く刹那の前、切嗣は引き金から指を離した。

 

 士郎の剣の切っ先は、切嗣の胸を貫いた。

 わずかに遅れて、抉った胸から血があふれる。それに呼応するように、切嗣はその場に倒れた。

 

「じいさん……?」

 

 士郎は、切嗣がわざと刺されたことに気付いていた。そもそも切嗣ならば、今の単純な刺突を回避できない筈がない。回避してくれと願って放った一撃だったのに、切嗣はそれを拒否した。

 だからこそ、士郎は困惑していた。

 何故だ。どうしてわざと死ぬようなことを。

 

「これで、いいんだ。……子供の道を望んで閉ざす親など、居るわけがない」

「何で! 何でこんなことを!」

 

 士郎は切嗣のコートに大粒の涙を落した。

 その涙は流れる血にさらわれ、すぐに見えなくなってしまった。静かに微笑む切嗣の口からも、血が流れていた。

 士郎はアヴァロンを投影しようとした。アヴァロンの力ならば、まだ回復させることができる。ここでお別れなんて御免こうむる。まだ、話したいことが色々あった。

 切嗣の昔話、切嗣が死んでからの十年余り、そしてこれからの話。

 だが切嗣はそれを察したのか、士郎の手を強く握り、それをも拒絶した。

 

「僕はもう、静かに眠りたいんだ……。僕は通常のサーヴァントじゃない。だから、死ねばもう解放されるかも知れない。……確証は、ないけどね」

「でも、こんなやり方……!」

「最善ではないだろうね。もしかしたら、士郎を殺してしまったかもしれない。でも、こうでもしないと、君は僕に剣を向けてくれないだろう? どうせ誰かに殺されるか、自害しなければならないのなら、僕は君に看取ってもらいたかったんだ」

「馬鹿野郎! 大馬鹿野郎だよアンタ……!」

「本当に、ね。だからこそ、こんな事になってしまった。わざわざ車を置いて、士郎をここに導いてまでやる意味があったのか分からないけれど、最後の時間を過ごすなら君だって思ったんだ」

「クソッ……クソッ!」

 

 士郎は自分を責めていた。こんなことになったのは自分のせいだと。

 七年前、確実に聖杯を壊しておけば。切嗣の銃口には、その実殺意など微塵も無かったことに気付けていれば。切嗣の苦悩を知ることができたのであれば。

 士郎は零れ落ちる命を押しとどめようと、必至に傷口を押さえた。服が血で汚れるのも構わずに、ひたすら懸命に。

 

「まあ……やり方は不器用だったけど、次の世代に道を譲るのも、道を作ってやるのも、じいさんの役目さ。もう、僕の影を追い回す必要はない。だから、自分の道を歩んでくれ」

「ああ……誓う。俺は正義の味方になってやる。それは、じいさんの選んだ道とは違うけれど……胸を張って、そう言えるようになってみせる」

「ああ……安心した」

 

 それは、いつかと同じ言葉。

 切嗣の顔は、これから消えゆく者とは思えないほど安堵に包まれたものであった。既に体の末端は消え始め、存在が胡乱になり始めている。

 士郎は切嗣の手を強く握った。

 

「……だからじいさん、安心して眠ってくれよ」

「そうするよ。最後に、僕のお願いを聞いてくれないか」

「ああ、なんだって聞いてやる」

 

 切嗣は最後の力を振り絞り、聖杯を指さした。

 

「あれを、今度こそ眠らせてやってくれ。あれは可哀想なやつなんだ。二度と呼び醒まされることのないように、今度こそ、眠らせてやってくれ」

「ああ……誓うよ。こんな戦いは二度と起こさない。聖杯も二度と現れない」

「ありがとう……。ああ、頭痛が消えている。こんなにも心地いいなんて。

 そろそろ僕は行くよ、士郎。アイリとイリヤが呼んでいる」

「ああ、二人に、よろしくな」

 

 そうして士郎は、最大限の笑顔を作り、切嗣を見送った。

 そこに残されたのは、荘厳な輝きを放つ一振りの剣のみ。士郎はそれを握り、聖杯の前に立った。

 手には黒塗りの弓。それにデュランダルを番え、引き絞った。

 

「もう二度と会うことは無いだろ。じゃあな」

 

 士郎の周囲には、ありとあらゆる剣の群れ。士郎は、今の己に発揮できる最大限の火力を以て、切嗣の願いに応えようとしていた。

 切嗣が聖杯の器に吸収されたことで、完成に近づいたのだろう。聖杯の背後に、何やら黒い孔が開いた。それは夜の闇の中にあってもなお、色あせることのない暗黒の孔だった。

 だが、そんなことは関係ない。

 切嗣がそれを願った。ならば何が起ころうとも斟酌する必要もない。

 

 士郎がデュランダルを聖杯に向けて放つ。聖剣は、当たり前のように聖杯に突き刺さった。そしてそれに続くように、投影した剣が立て続けに殺到する。聖杯も、その背後の孔すらも、跡形も残さぬと言うように。

 

 そして、ひとしきりソレらを浴びせた後、士郎はその剣たちを破壊した。『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』――十を数える剣たちの爆発は、聖杯と孔を完膚なきまでに凌辱した。

 

 その爆風と砂煙が晴れたとき、そこには既に何も存在していなかった。そこに池があったことすら、もはや分からない。もちろん、聖杯も孔も、欠片すら残ってはいなかった。

 やり遂げたという達成感は、思いのほか空虚のものだった。

 士郎はその場に座り、しばし空を眺めるのであった。

 




 あと二~三話+プロローグで終わると思います。あともう少し、丁寧に仕上げたいところ。
 今までもそうですが、もう好き放題やっていますよねぇ。こういうのがお嫌いな方には受け入れてもらえないかも?

 次は一週間後を目標に投稿したいと思います。乞うご期待!

twitter:@mugennkai

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。