MUV-LUV ALTERNATIVE ACE   作:もち猫

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注意!!
このお話は時系列を全く無視したifのお話です。
チョコが手に入ったり、居る筈の無い面子が出てきますが大らかな心で見てください。
無理ならブラウザの戻るを押してください。

では、本編へどうぞ。




閑話「バレンタイン協奏曲」

 

20XX年2月14日 相馬原基地食堂

 

side・黒川

 

いつもの席で食事を取っていると幹也が近づいてくる。

手には料理の載ったお盆と、可愛らしい包装がされている手のひらサイズの箱を持って。

 

「幹也、その手に持ってるのは何?」

「チョコだ。そこで御手洗に貰った。」

 

チョコ?チョコ、チョコ、チョコ、チョコ………。

 

「……あぁ。そう言えばバレンタインデーだっけ。」

「何だ、それ?」

 

初めて聞いたのか、不思議そうな顔で尋ねてくる。

 

「俺の聞きかじった話はローマ帝国時代にキリスト教司祭だったウァレンティヌスが居たんだ。」

「ふむ。」

 

幹也が聞き入っている。

良く見ると回りも聞き入っているように見える。

 

「で、その彼女が当時皇帝だったクラウディウス2世が兵士達を秘密裏に結婚させた罪で処刑されて、

その日が女神ユノの祝日だった事からウァレンティヌスがヴァレンタインになったと言われている。」

「結婚させただけで処刑か。残酷だな。」

 

幹也の言っている事も一理あるが、若者を戦場に出す今の日本も残酷だろう。

口に出して言えないが。

 

「当時は愛する人を故郷に残した兵士の士気が下がるという理由で、ローマでの兵士の婚姻を禁止していた。

まあ、これも諸説ありだろうがな。」

 

実際、紀元前の話なんて改ざんし放題だ。

それこそ、神様が居たって言える時代だし。

 

「で、日本では1958年頃に流行して、1970年代後半にチョコを送る風習が出来たんだ。

もっとも、その後にBETA戦争が始まって、今じゃ見る影もないがな。」

「なるほど。で、お返しはどうすればいい?」

 

相変わらず真面目に考えてる幹也。

……少しからかってみるか

 

「さぁ。気前良く結婚指輪を渡して『君が好きだ、結婚してくれ。』とお返しすればどうだ?」

「殴って良いか?」

 

幹也が握りこぶしを握り振るおうとするので、手で制す。

流石に冗談は通じんか。

まぁ、本気で考えてるようだし、まじめに答えてみるか。

 

「でも正直な所、彼女の気持ちだってお前には分かってるんだろう。」

「それは……。」

 

実際、幹也は鈍感ではない。

だが、他人の好意にどう答えて良いのか分からないだけだろう。

まぁ、俺も大して変わらないがな。

 

「後悔だけはするなよ。後悔なんぞ、するもんじゃない。

ま、大陸組の経験談だ。」

「すまん。」

「良いさ。因みに、お返しは1ヶ月後の3月14日が通例となっている。

その時にでも答えを出しとけ。

ま、相談なら乗るさ。親友だしな。」

「了解。」

 

 

 

食堂を出て少し歩くとチョコを2箱持った神田少佐と出会う。

 

「ん、黒川か。」

「あ、神田少佐。人気ですね。」

 

少し冷やかし交じりで言うあたり、俺も性質が悪いな。

 

「チョコを貰ったが、これは一体なんだ?」

「ヴァレンタインですよ。」

「何だ、それ?」

 

赫々然々赫々馬々←ヴァレンタインに関して説明中。

 

「と、言うことです。」

「ふむ。バレンタインデーか。奇怪な風習だな、おい。」

「因みにそれは、春原中尉と小尾原中尉ですか?」

「そうだ。

所で、お返しはどうすれば良いと思う?」

 

さっきは幹也だったからからかえたが、神田少佐をからかう度胸はない。

と言うか、仮にも上官。そんな事は出来ない。

故に神妙な顔つきで考える。

 

「なら、休暇にでも食事に誘われてみては?」

「良いかも知れないな。ありがとう、黒川。」

「いえいえ。では、失礼します。」

「あぁ。」

 

神田少佐と別れて俺は部隊の待機室へ向かう。

 

 

今度は日高大尉が籠にチョコを入れて歩いていた。

 

「あれ、日高大尉、それは?」

「あら黒川。ほら、今日がバレンタインでしょ。だから中隊の奴らに配ってるの。」

「お優しい事で。」

 

間違いなく何か細工しているんだろうな。

笑顔が不自然なくらい怖い。

 

「あ、これ、あんたの分ね。」

「どうも。他には誰に?」

 

残りは3つ。後は誰だろう。

 

「後は七瀬と神田少佐、川平ね。」

「因みに、外れは?」

 

何か入っているのを前提に尋ねる。

すると日高大尉が黒い笑顔になる。

 

「強力!!ウォッカ入りね。」

 

『強力!!』と強調するから、相当強いんだろうな。

 

「じゃあね。」

「はい、武運を。」

 

さて、川平辺りかな?不幸な生贄は。

心の中で十字を切り、戦士たちの冥福を祈り、部隊の待機室へ向かう。

 

 

 

「はい、お父さん。」

 

入室して早々にリアからチョコを貰う。

包装用紙に包まれた、星型のチョコだった。

 

「ん?チョコか。」

「そう。三人で作ったから食べてね。」

「つくったよ。」

「まあ、その、何だ。味に自信は無いが。」

 

リアとイーニァは明るく笑い、クリスカは照れている。

微笑ましい光景に頬が緩む。

ある意味、地獄の中の平和の一時だな。

 

「ありがとう。」

「黒っち。チョコあげる。」

「敏行、チョコよ。」

 

今度は大咲に八神からも貰う。

……食べきれるかな?

 

「ありがとう。それより、どうしてこんな事が始まったんだ?」

「さぁ。」

「知らないわ。」

「そうか。」

 

まあ、深く突っ込まないでおこう。

突っ込んだら負けのような気がするし。

 

「しかし、伊隅姉妹は大変そうだな。」

「確か外出許可を取ってチョコを届けに行きましたよ。」

 

八神が知っていたのか、答える。

俺はリア達のチョコを摘みながらふと思う。

 

「恋は盲目なり、とはよく言ったものだ。」

「あら少佐。愛は力なり、ですよ。」

「そうかもな、八神。」

 

リア達のチョコはミルクチョコで、甘くて美味しい。

大咲のチョコはビターで甘さ控えめで美味しい。

八神のチョコはココア味が混じっていて、美味しい。

日高大尉のチョコは大咲と同じでビターだが、美味しい。

しかし、甘いな。

こりゃ、コーヒーが欲しいな。

 

「大咲、すまないがコーヒーを頼む。

豆は新しいのが届いてるから、それを使ってくれ。」

「了解。」

 

そう言うと大咲は給湯室へ向かう。

 

「さて、食べるか。」

 

俺はチョコを摘みながら今後の予定を構築していく。

 

 

この後、川平が顔を真っ赤にして歩いているのを見かけた。

ご愁傷様だな。




作者はチョコ無しです(;-_-)
例年通りですね。アハハハハ \(;-▽-)/

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