MUV-LUV ALTERNATIVE ACE   作:もち猫

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軍曹的な口調が出来ないorz
ハートマン軍曹、俺に力を(/-△-)/

文才も欲しい。
誰かくれ~。


第4話「教育中」

3日後……2001年3月11日

 

side・大咲

 

「遅い、遠足気分か!お母さんの弁当がそんなに恋しいか!!」

 

外から罵倒の声が聞こえる。

声の主はこの部隊の隊長、黒川敏行少佐。

そして哀れな生贄は5人の新入りたち。

 

「軍は貴様らに玩具を与える慈善団体じゃない。戦術機一機がどれだけするか知っているだろ!」

「お前達がこの部隊に居る限りは甘えは許さない。死すらも許されない。」

「倒れるな、走れ!!貴様を助けて誰かが死ぬんだぞ!!それでも良いのか!!」

「戦術機の性能は人の性能だ。自分が出来ないことが戦術機で出来ると思うな。」

「誰が休んで良いと言った!貴様の家訓は倒れろとでも書いているのか!全員5週追加だ。」

 

可哀想とは思わない。前日に似たような事、言ってたし。

しかし、前線で女を捨てた私が言うことじゃないけど。

 

「もう少し、優しくできないのかね?。」

「何を?」

 

隣のあっきーが反応した。

口に出たのか。失敗失敗。

 

「いえいえ、軍曹口調もどうかと思ってね。」

「あの丁寧で上品な言い回しのこと?」

「まあ、そうだね。まだ卑猥な言葉を言ってないだけ上等か。」

 

皮肉の効いた言い回しにあっきーが少し呆れてる。

 

「そうね。流石に乙女に向かって○○○○は不味いわね。」

「……あっきー、今のは流石に酷いよ。」

「そうかしら?早めに経験していれば、黒川も……。」

「それは不味いって。私達じゃないんだから……。」

 

嘗ての暴挙を例に挙げるが、思い出して考える。

若さゆえに暴走した青春の1コマ。

 

「……止めようか。傷口を抉るだけだよ。」

「……確かにそうね。」

 

頭を振りかぶって記憶を消す。

お互い古傷は触りたくないものだ。

特にあの記憶だけは厳重に保管し地中に埋めておきたい。

 

「思ったんだけどさ。」

「何?」

「何であんな事したんだっけ?」

「記憶から削除したから覚えてないわ。」

 

さいですかと小さく言うと、仕事に戻る。

ふと書類を書いていて疑問が湧く。

 

「ところでさ、この書類の提出っていつまでだっけ?」

「今日中よ。名前書いて判子押すだけだから簡単よ。」

「そっか。03、今日の昼は01に奢らせるよ。」

「了解、02。」

 

こんな割の合わないことをさせるんだから、覚悟してるよね、くろっち。

 

 

side・黒川

 

 

ん、何だか殺気と寒気が……気のせいか?

 

「し、少佐。」

「ん?」

 

伊隅中尉が息を切らしながら呼吸している。

 

「ぜ、全員、か、完走しました。」

 

頃合いか。

 

「全員、午前の訓練は終了だ。昼食後、第2会議室で座学をみっちり行う。

遅れれば廊下にバケツを持たせて立って貰うから、そのつもりでな。」

『サー、イエス、サー。』

「さて、今日まで俺たちの訓練をよくこなした。ご褒美に、今日の昼食は全て奢りだ。

好きなだけ選べ。質問は?」

『サー、イエス、サー。』

「さてリア少尉補、大咲大尉と八神大尉を呼んで来い。あいつ等にも奢るからと言えばホイホイ着いて来

 

るから。」

 

それ以外にも理由があるが、言わなくてもいいだろう。

 

「サー、イエス、サー。」

「じゃ、行くか。」

 

俺は先頭を歩いてその後ろを新人達がついてくる構図に、鴨の親子を思い出し薄く笑う。

 

「どうかしましたか?」

「いや、何でもない。」

 

伊隅少尉の質問をはぐらかす。。

流石に鴨の親子みたいだとは言えない。

 

「さて、今日は何にするかな?」

 

数少ない娯楽の1つ、昼食選びに物耽る。

 

 

 

食堂で隊員全員の食事代を払うと、空いている席へ適当に座らせる。

 

「4500円か。結構減ったな。」

 

とりあえず、財布が軽くなったことを無視して席を探す。

だが流石に昼の繁忙期。何処の席も満席で込んでいる。

 

「敏行、こっちだ。」

 

誰かが俺を呼ぶ声が聞こえた。

辺りを見回すと、手を振っている人を見つけたので、とりあえずその席へ向かう。

 

「ここだ、敏行。」

「幹也か。」

 

俺は幹也の目の前に座る。

 

「流石に込んでいるだろう。」

「あぁ。娘達の席は有ったが俺の席が無かった。」

「ご愁傷様だな。ま、たまには良いだろう。」

「まあな。部隊に男が一人も居ないから結構大変だぞ。」

 

俺は合成生姜焼き定食をご飯に乗せて一口で食べる。

合成だが、この大味は味を気にせず食べられる。

 

「そうか。それは災難だったな。」

 

幹也が突いている合成親子丼もなかなか美味しそうに見える。

やっぱり他人が美味しそうに食べると、美味しそうに見えるな。

 

「一口交換、どうだ?」

「生姜焼き1枚と交換なら良いぞ。」

「乗った。」

 

俺は匙で親子丼を一口食べ、生姜焼き1枚を皿に乗せる。

 

「明日は親子丼だな。」

「俺も明日は生姜焼きにするか。」

 

ご飯を食べていると幹也が何か聞きたそうな顔をしていた。

何だろう?

 

「何だ?」

「なぁ、お前の部隊の編成は副司令の匙で決定したんだろ。

……何かあるんだろ。」

「だろうな。昼行灯の異名は伊達じゃないぞ。」

「あぁ。」

 

とりあえず茶を濁すように逃げる。

するとまた妙な間が空く。

 

「ところで、新型機はどうだ?」

「数日後に、厚木経由でここに来るらしい。」

「ふむ。」

「それと幹也、あれは新型機ではない。試作機だ。」

「そうだったな。」

 

また妙な間が空く。

周囲の騒音が一段とうるさく聞こえる。

 

「なぁ。」

「何だ?」

「単刀直入に聞く。今後、お前の部隊が外国製の戦術機で編成すると言う噂は本当か?」

 

これには流石に手が止まる。

現状ではそこそこ情報制限がしかれている情報が流出している。

だが脳裏に万年水虫の副司令の顔が浮かぶ。

そして意図的にやっている事に気付く。

 

「……事実だ。多分、対米国思想の仮想敵部隊として機能するだろう。」

 

正直、こちらとしては苦渋の決断だった。

今までは過去の歴史からAHは対ソ連を念頭に置いた構想が多かった。

その最たる例が富士教導隊の仮想敵部隊だろう。

しかし今回の仮想敵は米国、ひいては戦後を意識したつもりだろう。

 

「結局、人類の敵は人類か。」

「そうだな。だが、この戦争の先などと腑抜けた考え方では、この世界に先はない。」

 

本音をハッキリと言うと、幹也が微妙な顔をする。

 

「手厳しいな。」

「事実だろう。」

 

お茶を啜り、一息つく。

 

「……さて、行くか。」

「ん、何処に?」

「座学。」

「あぁ、なるほど。」

 

とりあえず、部屋に戻って資料を引っ張り出すか。

新人共に教える内容を頭で纏めながらお盆を下げる。

 

 

side・大咲

 

「BETAは基本的に複数の種類があり、光線級を除く全ての種類に纏まった共通点はありません。」

「……他にも未確認種がいる可能性も否定できないわ。」

「光線級の存在が戦場の風景を一変させたとも言えるし……。」

「戦場で冷静になれない者は死と同じ。状況を冷静に把握し、最後まで生に執着しなさい。」

 

一通り説明し終えたので前を見ると、数名、頭から煙の様な物が見える。

まあ、本当に見えるわけじゃないけど。

 

「さて、リーリア少尉補。」

「はい。」

 

パソコンを操作し光線級、重光線級の画像を映す。

 

「重光線級と光線級のインターバルは?」

「重光線級で36秒、光線級で12秒です。」

「よく出来ました。基本だから覚えておいてね。」

 

リアちゃんを座らせ、要撃級と突撃級の画像を映し、伊隅少尉を指差す。

 

「さて、伊隅少尉。」

「は、はい。」

「要撃級と突撃級、撃破優先度が高いのは?それと、その理由は?」

「優先度が高いのは要撃級です。

理由は、要撃級の高い定常円旋回能力と攻撃力、それに対人感知能力が原因です。」

「概ね合ってるわ。

あと蛇足だけど、攻撃用のあれは前肢ね。あれはある意味、光線級よりも確実な脅威よ。

要撃級の一撃は撃震でも大破は免れないし、陽炎や不知火なら一撃よ。

実際の映像がこれ。」

 

映像をスクリーンに映し出す。

そこには、要撃級の一撃で大破する陽炎の姿が映し出された。

その光景に一同絶句する。

 

「まあ、実際まだこれは良い方。死んだなんて感覚が無いから。

撃震だったら大破の後、戦車級に群がられて貪り尽くされるからね。

生き地獄って奴ね。」

 

手元のパソコンを操作し、戦車級の画像を映す。

 

「さて、最後は今出た戦車級。

こいつらの対応は近づかれる前に殲滅あるのみだけど、取り付かれたらまず慌てないこと。

そして突撃砲だけで倒さないこと。理由はIFFの都合上、味方に銃口が向けられないのよ。

ついでに老婆心からだけど、短刀の訓練は怠らないでね。

短刀は対戦車級の最大の武器だからね。」

 

喋る終わると伊隅中尉が手を挙げた。

 

「伊隅中尉。」

「大尉、短刀はどうすれば上手く扱えるんですか?」

「それは経験だよ、伊隅中尉。シュミレーターでも実機の訓練でも良いからとにかく経験する事ね。

経験こそが人間の最大の武器だからね。」

 

全員が頷く。

素直で良い子達ね。本当、あれの部下とは思えないわ。

 

「さて、今日で基本訓練は終わり。後は日々訓練ね。」

 

本を閉じ、パソコンの電源を落とす。

 

「それと、明日からはシュミレーター訓練も出来るから、暇な時にしなさい。

許可は取らなくても構わないわ。

ただし、書類だけは書いておいてね。誰が何時どれだけ使ったか知りたいから。」

「え、そんなに簡単で良いんですか?」

「まあ、この部隊の成り立ち自体が特殊だから、問題ないらしいよ。

詳しいことは少佐か副司令に聞いて。以上、解散。」

『ありがとうございました。』

 

号令と共に解散する。

さて、夕飯は何にしようかな~。

 

 

side・????

 

「しかし豪華ですな。試作機をタダで入手できるとは。いやはや、その手腕を習いたいものですな。」

 

パナマ帽を被った男の言葉に椅子に座った男は釣竿を振るまねをする。

 

「まあ、餌をばら撒いて食いついたら焦らずに引く。釣りと同じだよ。

ところで、アラスカのサーモンって美味しいの?」

「えぇ。特に今回のは大物でして、脂が乗って美味しいですよ。」

「それは楽しみだ。」

 

傍から聞けば特に特徴の無い会話だが、二人の表情は笑っているが、目は全く笑っていなかった。

 

「えぇ。あ、そう言えば……。」

「どうしたんだい?」

「いえいえ、物語が脚本通りに行かないと思いまして。」

 

しかし男は振り向く訳でもなく、ただ薄い笑みを浮かべる。

 

「それが人生だよ。決められた道や変わらない日常に何の意味がある?

人は変化の中で進化する。それは人として酷い間違いであり、正しい物だよ。」

「これは手厳しい。では、私はこれで。」

 

パナマ帽を被り直し、男は部屋から出て行こうとする。

 

「今度は葉巻が欲しいな。」

 

椅子に座った男は唐突に口を開いた。

パナマ帽の男は特に表情を変える事無く、振り向く訳でもなく。

 

「葉巻ですか。何処が良いでしょうか?」

「ラングレー辺りが美味しいんじゃないの?お願い。」

 

疑問系のお願いにパナマ帽の男は苦笑する。

 

「高いですよ。」

「それはいずれ精神的にお返しするって。ほんじゃ、お願い。」

「はいはい。」

 

そう言うと男はまるで煙の様に部屋から消えた。

 

 




感想を頂いたのでそこら辺を直し中。
しかし、どうにも上手く行かないorz


2012年11月09日、矛盾を発見したので修正しました。

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