MUV-LUV ALTERNATIVE ACE   作:もち猫

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リアルで筆が動かず、久々の投稿。
しかも本編がががが……。
マジで才能が欲しいorz




第19話「各所の動き」

side・後藤

 

ドックで機械が動く音が響く。

 

~舞鶴造船所~

 

本来ならBETAの京都侵攻の際に放棄された拠点の一つだが、BETAが北進したお陰でそこまで被害が及ばなかった拠点の一つでもある。

そこで大型戦艦が建造されていた。

いや、正確には建造が再開されたという方が正しい。

 

「しかし、よくこんな船が残ってましたね。

てっきり舞鶴だから沈んでるのかと思いました。」

「まぁ、本来は建造途中で頓挫した物を保管していただけだがな。

ついでに、ここは早い段階で放棄されたから無事だったんだよ。」

 

俺はスペック表を見ながら答える。

 

紀伊級戦艦3番艦【甲斐】

 

全長 308m

全幅 39m

機関出力 268,000馬力

最大速力 31ノット

基準排水量 85,000t

満載排水量 103,000t

主砲 45口径20インチ砲 3連装 2基

開発中の新型砲 各1基

兵装 60口径6インチ砲 3連装 2基

OTT62口径76㎜単装砲 8基

高性能20㎜機関砲システム"ファランクス" 6基

RAM近接防御誘導弾 2基

Mk41垂直誘導弾発射システム 128セル

装甲 レーザー蒸散塗膜装甲

艦載機 新型対地攻撃ヘリコプター【ヘルハウンド】2機

 

予定投入予算:約4兆円(戦術機:約100億円)

 

 

正直、「戦術機何機分だよ!!」とか「これ作るくらいなら陸上戦力を充実させろよ!!」とか言われそうだ。

まぁ、この戦艦はある計画に必要だから建造しているのである。

しかもその計画自体、明星作戦の直後から始動していた。

そしてこの廃墟でコソコソ造ってきたが、ようやく全体の約80%が完成した。

残りを急がせても例の日時までには間に合いそうだ。

問題は、例の日時にどう運用するかだろう。

 

「ったく、頭痛いわ。」

 

戦艦建造の対価として虎の子の新型の対地ヘリコプター【ヘルハウンド】を提出した。

こいつは今後の計画のために必要だが、どうなることやら。

正直、あそこに回されれば間違いなく今後の計画に支障をきたす。

 

「まぁ、最終兵器のままでいてくれたら、どれだけ楽だか。」

 

とりあえず、12月までには完成しないとな。

火種は燻ってるし。

あとの報告如何では計画の前倒しもあり得るし。

 

「工廠長、納期は12月中旬までだが、間に合うか?」

「っと、待ってください。」

 

ふと、目の前にいた工廠長に確認を求める。

工廠長は手元のスケジュール表を捲りながら確認している。

 

「ギリギリですね。主砲を例の物に換装するのでマッチングがどうなるか……。」

「スマンが、頑張ってくれ。間に合わないと、今後の計画にズレが生じるからな。」

「分かりました。けど、アレらはどうなってるんですか?」

 

工廠長は砲身のない主砲を指差す。

 

「第1主砲は届いているから、問題ない。

第2主砲は制御プログラムが届けば、完了だ。」

「早めにお願いしますね。」

 

でないと主砲がない戦艦が出来上がりますよ、と工廠長は笑いながら作業場に戻っていく。

俺はスケジュール表を開いて今後の予定を記していく。

 

「さて、間に合うかな。」

 

軽く頭を振り、考えを振り払う。

 

「いや、間に合わせんとな。紳士たるもの、時間厳守でなければな。」

 

俺は今後の予定を話すために通信室へ向かう。

 

side・沙霧

 

「奸賊、榊は戦艦建造に費用を回した!!

市民の暮らしも考えることなく、だ!!」

「榊め、あろうことか殿下を蔑ろにするばかりか国政すら私物化するとは!!」

「沙霧大尉、いつ決起するのですか!!

これ以上、奸賊榊を自由にしていては国が滅びます!!」

「大尉!!」「大尉!!!!」

 

周囲から賛同の声が聞こえる。

しかし、周りが熱くなればなるほど自分は冷静で居られる。

まず、決起すれば間違いなく相馬原のかの部隊は我々と対峙する。

その際、こちらが数では圧倒的有利な位置にいるのは間違いない。

 

「諸君、落ち着きたまえ。確かに決起することは必要だろう。

しかし、時期を違えては我々の敗北どころか国力の衰退を招く。

加えて、彼らの目がこちらを向いている間は動けないだろう。

今はまだ臥薪嘗胆の時期だ。」

『……。』

 

騒音は無くなり、全員が冷静な目でこちらを見てくる。

まだ、みんな冷静で居るな。

これならまだ大丈夫だ。

 

「されど、決起することを前提に進めることは誓う。

駒木くん、富士は何と言っている?」

「は、富士教導隊は1個中隊ほどですが、我々の思想に賛同してくれました。

決起の際は力になって貰えるはずです。」

『おぉ。』

 

周囲から驚きと希望の入り混じった声が聞こえる。

確かに富士教導隊の技量は高く、有事の際には力になってくれる。

その戦力が1個中隊も戦力になるのだ。

こうなっても仕方が無いか。

 

「飯島くん、厚木の方はどうだ?」

「は、厚木基地はほぼ全員が沙霧大尉の考えに同調しておりました。

なので上手く行けば力を借りることもできます。」

 

これも朗報だ。

これで空挺作戦を決行することが可能となる。

あとは、時期だな。

 

「諸君、決起の日は近い。

だが、間違っても目的を違えてはならない。

我々の目的は榊の排除と殿下の復権だ。

決して、民間人の血を流してはならない。

いいな!!」

『おー!!』

 

 

side・????

 

勉強会が熱気を帯びる中、男は廊下を歩いていた。

 

「こりゃ、マズイな。」

 

ふと、男のポケットが震える。

男はポケットから通信機を取り出すとスイッチを入れる。

 

「もしもし?」

『……。』

「えぇ、最悪の事態です。」

『……。』

「え、しかし……。」

『……。』

「本当にいいんですか?

……は……ですよ。」

『……。』

「……了解です。」

 

男は通信機の電源を切るとホケットに仕舞う。

そして頭を掻く。

 

「訳分からん。」

 

男は少し考えるが、途中でやめる。

 

「まぁ、いいか。」

 

所詮は命令で動いていた身。

向こうがイイと言うのならイイのだろう。

なら、深く考えても意味がない。

男は考えをどう脱出するかに切り替えた。

 

 




えー、検定取るのでまた更新時間が遅くなりますが、お許し下さい。

ではでは。

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