小悪魔日記 ~悪魔に『小』がつく幾つかの事情~   作:puripoti

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第10.5話(了) - Hatred - ずっとこの時を待っていた

 かつて我が雇い主、パチュリー・ノーレッジかく語りき───人間という生き物を重く見る必要はなくとも、しかしてそれが積み上げてきた《営み》までは軽んずるべからず。

 正直なところ、今も昔も───そしておそらくはこれから先も───人というものを特別に視たことも重く視たこともない私ではありますが、それでも眼前に広がる光景を目の当たりにすれば、その言いにも頷かざるをえませんでした。

 

 パチュリー様から命ぜられた“お使い”のため、再び新大陸の東(つまるところ“ふりだし”の港があった場所)へと足を運び、そこで“なんやかんや”と影に日向に立ち回り、数ヶ月がかりのお仕事を終えて雇い主が待つ西へと舞い戻った私を迎えたのは、出発する前の無意味にだだっ広いのと静かなことくらいしか取り柄のない不毛の具現とでも云うべき大平原の面影を微塵も残さぬ、騒々しさと活況と人混みとで溢れる街並みでした。念の為に断っておきますが、場所を間違えたのではなく、私が留守にしていたわずかな時間でここに街が出来ちまっていたのです。

 

 事情が事情とはいえ、たかだか数ヶ月であの殺風景な野っ原がよくもここまで変わるものです。これもまた人間のバイタリティがなせるわざかと半ば呆れ混じりに感心した私は、埃っぽい街路には似つかわしからざる、(ぜい)を凝らした特級品の馬車の御者台から辺りを見渡して街の様子を観察しました。

 

 活況に満ちた、と言えば聞こえはいいものの街並みはどうにも雑多というかごみごみしく、道行く輩にいたってはどいつもこいつも堅気とは言い難い、有り体に云うなら両手の指じゃ数えきれないくらいの傷を脛にお持ちか、さもなきゃ生まれた時から貧乏神との仲睦まじい二人三脚でいらっしゃるらしい風体の方々ばかり。そんなのが大通りのあちらこちらで真っ昼間からお酒をきこしめしているのか赤ら顔しながら“くだ”を巻いたり殴り合いしたりゲロを吐いたり立ち小便をおぶっこきあそばされ、耳を澄ませば少し離れたところから悲鳴やら命乞いの声やら銃声やらも聞こえてくる。もしかしたらこの街に入ったときから“ちらほら”見える地べたに横たわってらっしゃる人影も、お昼寝をされているのではなく誰ぞからあの世逝き片道切符の押し売りをされた方なのかもしれません。

 

 もうこの時点で真っ当な感性をお持ちの人物なら今すぐにでも回れ右してしまいそうな光景ですが、そこら辺はもう致し方なしと諦めるしかありません。なにせ今ここで起こっている事柄を考えれば、この界隈をうろつくようなのにろくな輩がいようはずもないのですから。

 

 しかしこうも“ごちゃごちゃ”した街並みだと、パチュリー様のお住いがいずこにあられるのかを探すのも一苦労です。どうしたものでしょうか。困ったものだと“ぼやき”ながら観察を切り上げた私が馬車から降りると、横合いからいかにも粗暴な感じの男性の声がかけられました。これは着いて早々、面倒事ですか。

 

 鬱陶しさを隠さずに振り向けば案の定といいますか、そこにいたのは出で立ちといい態度といい紳士的という単語とは逆ベクトルに位置していらっしゃる、でかい図体くらいしか取り柄のなさそうな輩が数人ほど厭らしい笑いを満面に浮かべておりました。なお先にも述べましたが、ここは街の大通りというべき場所なので周りには大勢の見物人がいらっしゃってはいるのですが、誰も彼もがこちらを見て見ぬふりをしてるかさもなきゃ目の前の連中と同種の“にやにや”笑いをへばりつかせているのみ。まあ、こんな掃き溜めに人徳義侠なんてもんを期待するなんざ、寸借詐欺師による『すぐに返す』というセリフを真に受けるのと同じくらいの不毛さではありますが。

 

 とはいえ、これはこれで手間が省けたと思えば丁度いいか。そう思い直した私は、お使いに出した小悪魔の帰りを待ちわびていらっしゃるであろう(自分で言っててなんですが、ありえない話です)パチュリー様のお家が何処にあるのかを彼らに訊ねることにしました。

 

   *

 

 知性とか教養とか道徳とか倫理とかいった、“人間性”とやらを保証する上での不可欠要素(少なくとも自称・賢い方々はそのように主張する)をご母堂の腹ン中にでも置き忘れたかのごとき奴原どもに声をかけたりかけられたりすること十数回。話しかけるその度に、ろくすっぽ人の話も聞かんとドブ臭い息を吹きかけてこちとらのお胸やお尻に手を伸ばしてくる阿呆の股座を蹴り飛ばしたり脳天へ鉛弾を進呈したりしてグズの家系を絶って差し上げるという世間様への無償奉仕活動を行いつつ情報を収集し、半刻ばかりを無駄にした後にようやっとパチュリー様のお住いに到る手がかりを掴んだ私は再び馬車に乗り込み、ほこりじみた街から出るのでした。

 

 特に急ぎもせず馬車に揺られることしばし。郊外の野っ原にさびしく“ぽつん”と存在する、薄汚れた街のそれとは対象的に小奇麗でそこそこ大きなお屋敷に私は到着しました。

 すべての窓という窓が大きくて頑丈そうな鎧戸で締め切られたそのお屋敷の門には『ローザ・ディオール』と記されたプレートが掛けられています。表向きには、お家騒動のどさくさで害されそうになったところをを間一髪で逃れ、新大陸にまで落ち延びたやんごとなきお血筋のご落胤という“ふれこみ”のそれがこの地におけるパチュリー様の肩書であり、私はローザ・ディオール様お付きの小間使いという設定を与えられておりました。

 

 あまり手入れはされていないらしく、軽くきしむ門扉をくぐった私は馬車を倉庫に仕舞い、餌と水をやった馬達を厩に繋いでお屋敷の扉に向かいます。オーク材をつかった重厚な造りの扉には、ちょうど私の目の高さに古風なホロスコープが飾られており、その真ん中を掌で押すと中の発条仕掛けが小気味よいノックの音を響かせ、ついでに鍵が解錠されたので私はノブを回して邸内へと入りました。

 

 後ろ手に扉を閉めると同時に内外の位相に手が加えられ、外界から完全に切り離された“本来のお屋敷”の中へと招かれたのを確認した私はちいさく呪文をつぶやいて身体のあちこちを埃をはたき落とすような仕草で叩き、それまでのカウボーイシャツやデニムのパンツという典型的な開拓民スタイルから、お気に入りのシルクのブラウスにフレアスカート、お揃いのベストという“いでたち”に装いをあらためました。光の屈折率を変化させて魔法の鏡(ただし受け答えはしてくれない)を作り出し、服装におかしなところがないかをチェック。うん、問題なし。ウィンクを飛ばして鏡を消した私は主の部屋に向かうべく歩きだしました。

 

 広くて豪奢な、けれども仄暗くて寒々しい玄関ホールを抜けて階段を上がり、足元を幾度もすり抜けていく猫くらいの大きさの影を無視して奥へと進んでいく。途中、視界の端っこに何度か映った、複数の肉食獣にでも襲われた生き物の残骸のようなものは、《お屋敷》のセキュリティに引っかかった間抜けな泥的あたりの成れの果てでしょう。ご愁傷様です。さきほどの扉、解錠の仕掛けこそ原始的なものではありますが、扉とドアノブ自体に防護と識別のシステムが《印刷》されているので、許しを得ぬ者が不用意に開けようものなら生命身体魂魄の保証は一切できかねるのです。

 

 遠近感が掴みにくい薄闇のせいで、建物の中を歩くというよりは、それと知らずに巨大な生き物の腹の中にでも誘い込まれていくような気分で歩を進めていくと、行き止まりのドアに辿り着きました。なお門扉をくぐってからここまで来るのに体感時間ではおよそ四半刻ほどかかってはおりますが、実際には数分と経過してはいなかったりします。

 

 年期を感じさせる青銅のドアを私は軽くドアノッカーで叩いてから開けました。

 

「お帰りなさい」

 

 扉を開けた向こう、いつも通り椅子に腰掛けて書物に目を通しているパチュリー様はこちらを見もせず、素っ気ないお声を放り投げられました。これでも数カ月ぶりの対面のはずが、まるでついさっき別れたばかりの相手に出会ったかのようなそのお姿に、感心さえ覚えながら私も素っ気のない挨拶を返します。

 

「それでは頼んでおいた“お使い”についての報告をしてもらおうかしら」

 

 ───といっても、『街』の様子を見りゃ首尾は上々なのが判りきっているけどね。こちらのセリフを聞いているのかいないのか(おそらく“どうでもいい”ので聞き流しているだけでしょうが)、特にねぎらいの言葉もなく“おつかい”の成果について訊ねられた私は懐からここ数ヶ月分に渡る行動やそれらに伴う世情等の動向についての詳細なデータが詰まった情報塊を取り出し、魔力を込めたそれを小鳥の形にしてパチュリー様に向かわせました。

 

 情報塊を取り込んだパチュリー様は軽く目をつむり、数瞬の間を置いてから満足気に頷かれました。

 

「結構、実によくやってくれたわ」

 

 おそれいります───などといっても、大したことをしたわけじゃないですがね。折角のお褒めの言葉を私は無味乾燥に肩をすくめてやり過ごしました。これは別に謙遜でも、ましてや照れ隠しでもなんでもありません。なにせ本当に大したことをしたわけじゃないので。

 

 実のところ私が仰せつかった“お使い”というやつ、時間こそかかれどそこまで難しいものではなかったりするのでした。なにせ大まかにやったことといえば、パチュリー様からいただいたお駄賃(例の金塊)を東部に持ち込み、それをお金に替えて派手にばら撒きまくって遊んでいただけなのですから。当然、それ以外にも“あれこれ”やってましたが、ほとんど餓鬼の使いみたいなもんでした。

 

 そうやってダラダラ遊び呆けているとあちらこちらから欲望で目ン玉をギラつかせた連中が、地面に落っことしたお菓子に群がる蟻ん子よろしくやって来てはその金をどうしたのかと訪ねてくるので、その都度でかい声で“ここ”で金の鉱脈を見つけたのだと馬鹿正直に(少なくとも連中はそう思ってたことでしょう)語って聞かせてやったのです。ご丁寧に鉱脈があると思しき場所の詳細までおまけして。

 

 そこから先はもう私が一々どうこうする必要もありませんでした。

 バラ撒いた話のネタは衆生の口から口へと伝播して、その過程で尾鰭(おひれ)と胸鰭ついでに背鰭、おまけとばかりに脚まで生えて一人歩きを始めた挙句に千里万里を駆け抜けて、その結果、噂に食いついた欲深どもがこの不毛の地へと大挙して押し寄せる原因となったのです。

 

 かくてめでたく黄金狂時代を迎えたこの地は大陸中の一攫千金の夢を抱えた阿呆とぼんくらの吹き溜まりになっちまったという次第でございます。いい歳こいて、旨い話にゃ裏があるてな理屈さえも心得ぬばかちん共には付けるお薬ありゃしないのがよく判るお話ですね。

 

 無論、名にしおう《魔女》パチュリー・ノーレッジともあろう者が酔狂で、ましてや恵まれない貧乏人へ銭ばら撒くなんて益体もない慈善事業のためにこんな大仰極まる仕掛けをするはずもなし。この騒動の裏には冥府魔道の悪鬼でさえ匙を投げるがごとき悪辣な事情が潜んでいるのですが、現状ではそれが実を結ぶにはいたらず、私は事の起こりであるご主人様へこれからの予定と行動について訊ねました。

 

「特には何もせんでいい」

 

 しかし返ってきたのは予想外のお言葉でした。よろしいのですかね? パチュリー様のお考えに異論を挟むつもりなぞ毛頭ございませんが、それでも私は不審に眉根を寄せずにはいられませんでした。

 

「構わんよ。あなたも疲れたでしょう、しばらくは骨休みと思って好きに羽根を伸ばしていればよかろうよ」

 

 なんとまあ、稀代の魔女のものとは思えぬ慈悲深きお言葉ですこと。毒気を抜かれたような気分でいる私を嗜めるようにパチュリー様は続けられました。

 

「まだまだ仕込みは始まったばかり、当分の間は私もあなたも手持ち無沙汰になるわ。なにせ───」

 

 家畜てのは肥えさせてから喰うものだからね。口元に微かな笑みをたたえながら嘯かれるパチュリー様でした。

 

 ではお言葉に甘えまして、当分の間はのんびりとさせていただきましょうか。望外の長期休暇をいただいた私が満面に笑みをたたえていると、ここではじめて書物からお顔を上げたパチュリー様が釘を刺されてきました。

 

「とはいえ、気を抜かれてもらっても困る。あなたに頼んだ“お使い”そのものはまだ終わっていないのを忘れぬように」

 

 悉皆承知、そこら辺は抜かりございませんて。

 

「結構。では帰ってきて最初の仕事を頼もうか」

 

 お茶ですね、少々お待ちください。打てば響くように応える私へ“にやり”と笑いかけ、パチュリー様は再び書籍に視線を落とされました。

 

   *

 

 こうして私らが新大陸にお引っ越しをしてからしばらくの───具体的には暇潰しのためにお屋敷の庭先へ植えた桃の木が実をつけるくらいの───時が経ちました。

 

 その過程で街の郊外にひっそりと佇むばかりであったこのお屋敷の位置は気がつけば街の外れとなり、次の年の瀬を迎える頃には街の中心からやや離れたへと変化し、そして今や街の裏路地へと追いやられている始末。まったくもって端倪すべからざるは旺盛なる人の営み。今もなお刻一刻と巨大化し蠢くその様は、まるで街という巨大な生き物が人と人の抱えた際限のない欲を糧として成長しているのかのようでもあります。

 

 なお、念のために注釈をつけておくと、『街』が存在している一帯の土地は全てが『ローザ・ディオール』の所有地であって、当然のことながら余所者が“のこのこ”やって来ては勝手な開発をするなど許されざるものであり、またここで生まれたすべての利権(建物の地代や各商店の利益、産出される金にいたるまで)に対してディオール家にはそれなりの配当を要求する権利もあるはずなのですが、次から次へとやってくる欲ボケ共はそんなことなぞお構いなし。ローザ・ディオールことパチュリー様もそれについては一言も口を差し挟まないので、ボンクラ連中ますます調子に乗って勝手気ままに振る舞うときたものです。

 

 結果、現在の巷におけるローザ・ディオールことパチュリー様の評判というのは、自分の土地を無法者やゴロツキにいいようにされて文句の一つも言えぬ、無力で愚鈍な地主という程度の扱いでした。知らずにいるということこそが無上の幸せであるというのは世の常あるいは真理であるらしい。

 

 なお、せっかく植えた桃の木ですが収穫を目の前にしてアホ共によっていたずら半分にかっぱらわれ、植えた私の口には一つも収まらぬまま切り倒され引っこ抜かれておりました。残念無念、あとでおぼえてやがれ。

 

   *

 

 そんな状況が一変したのは、衰えることのない人口の流入と増加に対応するべくそろそろこの辺りに鉄道が敷かれるのではないかという噂が衆生の間に飛び交い始めたある日のことでした。

 

 突如として、この大陸の中央にある(位置的には東の端っこですけれど)裁判所をはじめとしたお偉いさんによって、今の今まで無視されっぱなしであった『ローザ・ディオール』が保有する土地に関する利権に関する諸々が認められ、現在この地に居住する不法居留民(この町の住人全員)はここで得られたすべての利益をローザ・ディオールへと還元すべし(つまるところ没収)とのお達しが発せられたのです。

 

 今更、説明する必要もないかもですが、これこそ私がパチュリー様から仰せつかったもうひとつの“お使い”の結果なのでした。

 中央のお偉いさんや金持ち連中へ大量の金をちらつかせてかけあい、ここを開発することで得られる莫大な利潤を餌として言質を取り、時期を見てすべての権限を以てこの地における我々の権利を強制的に執行させる確約を取り付けたという次第です。

 

 言葉にすると一見、難しそうな話ではありますが、実際のところ確たる理屈と一緒に目に見える形での利益さえ示してやれば、人を説得することにはさほどの労力は必要ないので、文字通りガキの使いで済ませられるものでしかありませんでした。

 

 これらの知らせを寝耳に水とばかりに驚いたのは街にあふれるボンクラ連中。言わば自分らが汗水垂らして貯めてきた小金が、なんの苦労もしないで居残っているだけの(少なくとも連中の主観においては)奴原に横合いから掻っ攫われちまうのですから堪ったもんじゃなし。ましてや法で定められているのだから大人しく従えと言われたところでYESと頷くほど殊勝な輩なはずもなく、少なからぬ連中が金を持って“とんずら”しようとしたのですが、ちょうどこの近くを通りがかった新興の開拓地における治安維持を名目に東部から派遣されてきたお役人と兵隊さん達にとっ捕まって、なけなしの財産はおろかよせばいいのに抵抗した馬鹿は命まで没収という憂き目に遭ったものです。

 

 無論、そのお役人連中がこのタイミングでやって来たのだって私らが手を回した結果ですが。頸部の関節が“かちこち”に固まったお偉いさんの首を縦へスムーズに振らせるための潤滑剤として結構な量の鼻薬を嗅がせる必要があったものの、それで得られるものの価値を考えるのなら安いものだとパチュリー様は意にも介されませんでした。まったく、相も変わらぬ太っ腹さには感服する他ございませんね。

 

   *

 

 そんなこんなの騒動があってから数週間ほど経ち、街の連中が私らに向ける視線(ただしパチュリー様はお屋敷に引きこもって一歩たりとも出ようとしないので、向けられるのは私のみ)に込められた成分が侮りや嘲弄から害意・殺意のそれに化学変化を起こしたある日のティータイム、パチュリー様は思い出したようにこんなことをおっしゃいました。

 

「連中の堪忍袋の緒もそろそろ限界かな」

 

 でしょうね。白磁のティーカップにお茶を注ぎながら私は短く応えました。最近は街に出る度に露骨な舌打ちや罵声を浴びるなんてくらいは可愛いもの。道を歩けばガラが悪いのに絡まれるわ、買い物をしようとすれば商店の連中がお前らに売るものなんか無いとばかりの態度を取るわと、不便この上ないですから。

 

 付け加えると“ささやか”ないやがらせとして門扉に卑猥なイタズラ書きがされてたり、生け垣が荒らされたり、やめときゃいいのにお屋敷に侵入した馬鹿が警護用として放している“もの”に頭からガリガリ齧られてたりと、気の休まる暇がありゃしません。

 

「まあ、それは大変ね」

 

 淹れたてのお茶を差し出しため息混じりに“ぼやく”私へ、大変さの元凶様はカケラの興味もなさそうな口調で相槌を打たれました。ええ、大変なんですよ。他にも商店の連中の機嫌がすこぶる悪くなったせいで、パチュリー様にお出しするお茶もあと少しで底をつきそうなくらいですから。

 

「まあ、それは大変ね」

 

 先程のセリフと口調も内容もまったく同じだと言うのに、それがもの凄まじい邪悪さに満ち満ちていると感じたのは何故か。

 

「ならいい加減、その難儀の大元に始末をつけることにしようか」

 

 ティーカップを優雅にくゆらせ、“くす”と嗤われるパチュリー様を半ば呆れたように眺めながら、私はチョコレートチップを散らしたマフィンを齧りました。これはまた悪いことを考えていらっしゃるのですね。

 

「あんたがそれを言いなさんなよ。頭に『小』が付く悪魔めが」

 

 ごもっともで。

 

   *

 

 ───で、始末をつけた結果が、かくのごとき有様というわけです。

 

   *

 

 燃え盛る玄関のエントランスホールに到着した私は、事ここにいたるまでの経緯を思い起こして小さな溜め息を吐きました。同時にお屋敷の最期もいよいよ近づいてきたらしく、頭上から炎に包まれたでかい梁やシャンデリアが落ちてきたので、それをハエでも追っ払うようにはたいてやり過ごしていきます。

 

 凝った装飾が施されたオーク材の大きな扉を前にした私があらためてため息を吐き出していると、右隣のパチュリー様が微笑まれました。見惚れるほどに艶やかな、目を背けたくなるほど毒々しい《魔女》の笑み。

 

「溜息をついてばかりだと幸運が逃げ出すそうな」

 

 そりゃあ困りものですね。精々、気をつけることにしましょうか。ぼやきながら玄関のドアノブに手を伸ばした私でしたが、どうやら熱によって鍵やら蝶番に歪みでも生じたらしい様で、ノブを何度動かしても扉は一向に開きませんでした。

 

「そらみたことか」

 

 意地悪く“にまにま”笑う魔女のことはひとまず置いておくとして、淑女らしくドアを開けることを諦めた私はパチュリー様に脇へと退いていただき、えいやっと気合を上げて扉を蹴っ飛ばしました。

 

「まあ、乱暴ね」

 

 勢い良く吹っ飛んでいく扉を見送ったパチュリー様がたしなめるようにおっしゃいますが、文句はむしろあそこで“たむろ”してるアホ連中にでも言っていただきたい。唇を尖らせながら私が指差した先では、この街中の“そこかしこ”からやってきたらしいアホたれ共が手に手に得物を構えている様が見えました。

 

 それらを気にすることなくお屋敷の外へ出ると、連中は下卑た笑みでもって私達を取り囲み“なんやかんや”と言葉をぶつけてきます。すぐ後ろで“ごうごう”と燃え盛るお屋敷のせいで、何を言ってるのかまではまったく聞き取れませんでしたが(というよりも聞く耳なんぞは端から持つ気にゃなれません)。しかし何を言っているのかまでは判らずとも、何が言いたいのかは判ります。大方、オーソドックスに殺してやるだの死ねだのといった語彙力の貧弱さを自ら露呈するが如き低俗下劣な罵倒にはじまり、果ては思春期の娘さんが耳にした日にゃ顔を赤くするどころかその場で卒倒する事うけあいの聞くに堪えない罵倒雑言罵詈讒謗でしょう。ああいう手合のやることなすことなんてもんは、所詮はそんなもん止まりです。ああ、嫌だ嫌だ。

 

 他人様の土地に図々しく乗り込んで我が物顔でのさばった挙句、お宝までふんだくっていこうとした盗人同然のろくでなしが身から出たサビともいえる終わり方をしただけだというのに、それを理解もせんで他人に責任をなすりつけ鬱憤を晴らそうとする。実に救えない、無様な構図です。そもそも現段階では私らをローストウィッチや小悪魔のグリルにしたところで、今更何ひとつの益さえもたらされんというになんでこんなことをするのか。空っぽの脳天に欲塗の血液が上った手合というのはこれだから度しがたい。

 

 四方八方から、しかも至近距離で浴びせかけられるダミ声に心底“うんざり”となりながら私はスカートのポッケに手を入れ、忍ばせておいた鉄砲を取り出しました。もちろん鉄砲の大きさはどう考えてもポッケの容量に収まるものではないのですが、今更ながらのことなので抗議詰問は一切お受けいたしませんのであしからず。得物に気がついたらしい馬鹿の何人かが血相を変えましたがもう遅い。無言のまま撃鉄を上げた私は寸瞬のためらいもなく銃口を目の前の、集まった群衆の中でも一際ガタイの良い、ついでに頭の悪さも群を抜いていそうな馬鹿のニヤけ面へと向けました。

 

 鉛玉をくらった馬鹿その1がひっくり返るのが早いか、私はその右隣で固まっている馬鹿その2、その3へと銃口を移動して次々に鉛玉をお見舞いしていきます。狙いは当てずっぽうもいいところですが、どうせこの距離に加えて相手は沢山、さらには総身に知恵が回りかねていそうな図体した連中が撃ってくれと言わんばかりに密集しているので外しっこありません。引き金を絞る度、今まで恥ずかしげもなくマヌケ面を晒していた連中がぶっ倒れていく光景は私に笑えてくるほどの爽快感をもたらします。

 

 おそらく予想だにしていなかった返礼を叩き込まれた連中が我に返り、蜘蛛の子を散らすように逃げ出したところで弾切れになりました。私が銃口から立ち上る硝煙に満足の吐息を吹きかけていると、パチュリー様が柳眉を不愉快の形にひそめておいででした。ひょっとしたら発射時の音や煙がお気に召さないのでしょうか。

 

「仮にも《魔法使いの弟子》があつかう得物じゃあないわね」

 

 左様で。私は結構好きなんですがね、こういうギミック付きのアイテム。あえて何も言わず肩をすくめた私は弾切れになった鉄砲のフレームからシリンダーを抜き出し、代わりにあらかじめ用意しておいた弾薬や雷管を装填済みのシリンダーを装着します。その途中、残っていた連中からの反撃で何発かの鉛玉を頂戴いたしました。どうやら逃げたのではなく、単に距離をとっただけのようです。“銃弾で撃たれても死なない程度”の魔力を有している今の私にゃなんの痛痒も感じさせるものではないのですけれど(見栄をはらず正直に言えば、ほんの“ちょっぴり”だけ痛くはあります)。

 

 十秒ちょっとで再装填を終えた私が“ぐるり”と周りに視線を巡らすと、思っていたよりも多くの“ばかたれ”が残っているらしいのが見て取れました。大人しく尻尾を巻いてりゃいいのにとは思ったものの、情けや容赦をかけてやるだけの理由もありゃしないので、私は雁首揃えるおポンチ共へと七面鳥撃ちよろしく鉛玉を浴びせかけていきます。

 

   *

 

「……お遊びはもう、ここいらで“おひらき”になさい」

 

 パチュリー様が呟いたのは、ポッケに用意された弾が尽きた頃でした。それを聞いた私は用済みになった鉄砲を近くにいたごろつきの顔面に投げつけ踵を返しました。こちらが徒手空拳となったのを好機と勘違いして掴みかかってきたのが何人かいたので、そいつらの顔面や股座を片っ端から淑女的に蹴っ飛ばしておきます。血泡を吹いて悶絶する阿呆連中をよそに、私はパチュリー様の右隣に戻ってその足元に置いてあった例の鞄を手に取りました。

 

 いやぁ、こんなにスッキリしたのも久しぶりです。実に晴れやかな気分で“ひとりごちる”私をやや疲れたようにパチュリー様は見やりました。

 

「良かったわね。それならもう思い残すこともないでしょう、そろそろここを発ちなさい」

 

 はあい。では、お先に失礼させていただきますね。短く断りを入れ、パチュリー様に一礼した私は魔力を込めた背中の羽を一振り(羽はカモフラージュされているので、パチュリー様以外には見えておりません)、一気に十数メートルほどを飛び上がります。空へと舞い上がった私の姿を目の当たりにした阿呆連中が驚愕の面持ちでこちらを指差して“なんやかんや”言っておりますが、今更なにをと思わずにはいられません。さっきから何発も鉄砲玉の直撃を食らっているのに“ぴんぴん”している時点でおかしいとは考えられなかったのでしょうか。

 

 いい加減、呆れ疲れていると、こちらを見上げるパチュリー様と目があったので“ぷらぷら”と手を振っておきます。応答なぞは期待していなかったのですが、何の気紛れかパチュリー様は私に向けてちいさく手を振り返してくださいました。珍しいこともあるものです。こりゃあ、明日は雪か鉄砲玉が降るかもしれません。くわばらくわばら。

 

 軽く身震いした私が身を翻し街の外に向かうべく羽をはためかせるのと同時に、突如として空気の流れが変わりました。……いえ、物理的には気流も気温も何も変わってはいないのですが、今この場における気配のようなものが明確に《変化》を起こしていたのです。

 

 これは急がないといけません。この後に何が起こるのかを察した私はわずかながらの焦燥とあるったけの魔力を羽に込め、脱兎のごとくにその場を逃げ去ります。見たままなら凪の海のごとく穏やかに、しかしてその実態は“ごうごう”と荒ぶる《何か》の気配が満ちる不可視の嵐、その中で、なぜだかパチュリー様の静やかな声だけが鮮明に私の耳に届けられたのは、さて、気のせいであったのでしょうか?

 

   *

 

「ご苦労様……と言いたいところだけれど、貴方達には消えてもらう」

 

 貴方達は知らないだろうけど私の計画はここで、貴方達の強い欲望と命を以ってついに完遂されひとまずの終焉を迎える。

 

「そしてこれから貴方等はなんの手助けも救いもなく、ただひたすら、死ぬだけよ。どこまでもがき苦しむか、私はここから見届けさせてもらう」

 

   *

 

 ───いよいよもって死ぬがよい───

 

   *

 

 手向けのごとく投じられた一言を引き金に眼下の大地から膨大な魔力が噴き上がるのを感じましたが、私は振り返ることなくただひたすらに、悪徳紊乱(びんらん)の街から逃れる篤実なる人のごとく上へ先へと飛び続けました。おそらくは“それ”を目にしてしまったが最期、彼の御仁の細君と同じ末路を私も辿る羽目になるのですから。

 

   *

 

 ───そしてさようなら───

 

   *

 

 その日、黄金色の欲に塗れた街が、地図の上から姿を消した。

 

   *

 

「ここはね、魔法の研究と“ねぐら”の確保も含めた将来の投資のために、かねてから目をつけていた場所だったのよ」

 

 一夜明け、ほんの少し前までの狂乱が嘘のように静まり返った街の『跡地』にて、パチュリー様は事の次第についての説明をしてくださいました。それを聞きつつ馬車から降りた私は“まっさら”になった街───もとい、ただの平野を見渡しました。

 

 やって来た日にまで時間を(さかのぼ)ったのかと錯覚するような、地平線の彼方までなにひとつ遮るものなき大地だけの世界。つい昨日まで、ここに沢山の人達が住み暮らし狂騒の日々を過ごしていたというのに、それこそが夢か幻かはたまた蜃気楼であったかのごとく、四方八方全方位見渡す限り片っ端からくまなく根こそぎなにもかもが消え去って、もはやペンペン草も生えちゃいない荒涼とした有り様です。

 

「地相学的にわずかな初期投資をするだけで天文学的なリターンが見込める“おたから”物件でね。先に住んでた連中が各種魔薬の原料になる動植物に詳しいのも魅力の一つではあったの」

 

 ところがどっこい好事魔多し、そこにやってきた阿呆の“いらんことしい”によってすべては台無しになったのだそうで。

 

「元の住人達にゃ新しい土地を用意するから、そこへ避難しろとは忠告してたのよ」

 

 地上げついでの親切だったのだけれど、連中どうにも頑固でねえ。先祖代々の土地を離れるくらいなら、この地を枕に死ぬのを選ぶときたもんだ。肩こりをこじらせたようなお顔のパチュリー様でした。必要とあれば自分の名前に姿形はおろか血肉さえも放り捨ててきたこの方にとって、事物やしがらみへの執着なんぞというものは理解の範疇にはないのでしょう。

 

 結論だけ言えば紆余曲折の末に住人連中は枕並べて仲良く全滅。その後の開拓と称する環境破壊等によって、土地の霊的構成要素の内の2種───木と金───の地相的バランス(そのままの意味ではなく要素としての《木》と《金属》における一番判りやすく、かつ抽象的な意味合い)が乱れに乱れまくったのだとか。

 

「今回の一件は、すべてその歪みを是正するために行った、云わば広域における《儀式魔術》の一環よ」

 

 金が出たという噂をバラ撒き、人を集めて物流を生みそれを足がかりにして経済を回していく。その結果として金の流れを目当ての人が集まり、人の集まりがさらなる金の流れを生じさせる循環を整えた。消え去ったアホ共は気付いてさえいなかったことでしょうが、実は連中が苦労して稼いだなけなし小銭の使い途である各商店(雑貨に宿屋、酒場娼館等)にしてからが、裏では私らの息がかかった連中だったりしていたのです。知らぬこととはいえわざわざこんな辺境くんだりまでやって来て、せっせと掘り出した金にはじまり終いには命まで貢いでくれるとは……いやはや連中、見た目や素行はさておいて働きアリも頭が下がるほどの働き者揃いであったらしい。

 

 かくしてパチュリー様は土地の差配と権利を、表向きアウトロー気取りの連中に握られている無力な地主を装いながら、裏では産み出される権益のことごとくを“がっちり”と握り拡張していく街の構造そのものにさえ手を回し、終いには『街』が用済みになった時に備え、すべてを処分するための儀式魔術を起動させる《陣》としての機能を持たせるように各種施設の配置をしたのです。

 

「術の励起に必要な《金》の氣はそこらに溢れている、大量の“どくろ”は以前から連中がこさえてくれていた───」

 

 総仕上げとして《太陰》が中点に差しかかる日を選んで阿呆を暴発させ、連中の生命を引き金にした術でもってお越しいただいた“もの”(《こちら側》の物理法則に則ったかたちで観測される)にひと暴れしていただき余計な氣を形成する部分を根こそぎ吹き飛ばして、ここいら一帯の陰陽周気のバランスを取ったのだそうです。

 

「土地の黄泉返(よみがえ)りとでもいうのか、見立てが正しければ10~20年くらいで元の良好な地質を取り戻す」

 

 ついでとばかりに溜まりに溜まった陰気も消え、金につられてノコノコやってきた大陸中の馬鹿も“ひとまとめ”になって消えたから、しばらくはこの界隈も静かなものでしょうよ。気怠げに説明するパチュリー様でした。ここまで話していただければ、残りの“からくり”にも気が付きます。これらの結果として、かねてよりパチュリー様がおさえておいた広大な土地もこれから先の開発により天井知らずに値を上げていくという筋書きなわけです。無論、これから新しくやってくる真っ当な開拓者連中に関しても、ライフラインやインフラの首根っこを押さえることで意識させざる隷属を強いるのを忘れてはいない。まわりくどさはあるものの、どこまでも周到というか悪辣なその抜目のなさに私は舌を巻く思いでした。

 

「さ、これでしばらくはこの土地に用はない。さっさと日出づる処に帰るとしましょうか」

 

 もはや言うべきこともなしと馬車に戻られる小さな背中へ私は声をかけました。あ、そうだパチュリー様。ちょっとこれを見て下さいよ。

 

「あー?」

 

 面倒くさげに振り返るパチュリー様へ、私は満面の笑みとともに懐から取り出したものを見せびらかします。

 

 えへへ、綺麗でしょう。私が得意気に手にしていたのは純金製の鉄砲でした。

 フレームが純金なら照星は小粒のダイヤ、握りの部分にいたっては象牙という成金の悪趣味ここに極まれりといった“こしらえ”のそれは、こちらに来てから時間が余りがちであった私が手慰みとしてパチュリー様からお小遣いとして貰った金塊の一部を使ってこしらえたものだったりします。

 

「また酔狂なもんを」

 

 パチュリー様は思わずといった風情で吹き出されました。おやおや、この方のこんなところを拝めただけでも、こいつをこさえた甲斐があろうというものです。いい気分になった私はお天道様の輝きを弾いて煌めく鉄砲のフレームに頬ずりなぞをしてしまいます。ふふん、黄金銃を持つ女として大陸中に名が轟いてしまうかもしれませんね。

 

「それはない」

 

 というよりも、飾っておく以外の用途でそれを使うのは絶対にやめなさい。言いながら笑いをこらえきれぬご様子のパチュリー様からのお達しに、私は唇を尖らせずにはいられません。えぇー、どうしてですか。

 

「あなた、その手の工業素材としての金の価値がどんなもんか忘れているわね」

 

 ───あ。

 

 言われてはじめてそれに思いいたった私は間の抜けた声を上げてしまいました。言うまでもなく金というのは数ある金属の中でもかなり“やわ”な部類に入るものであり、美的ないし流通的価値はさておいて硬度や耐熱性等の、頑強さを第一に求められる工業製品を形成する素材として必要とされる数字が致命的なまでに足りていないのです。

 当然、そんなもんで造った鉄砲の耐久性なんぞは推して知るべし。おそらく一発撃った時点でフレームが“おしゃか”になるのは避けられず、最悪の場合“ずどん”と引き金絞った次の瞬間、ひん曲がったフレームやシリンダーのせいで火薬の圧力やら熱やらが行き場を失い暴発した挙句、吹っ飛んだ鉄砲の破片によって撃った本人がその餌食になっちまうことでしょう。

 

「迂闊ね」

 

 あまりの間抜けっぷりに言葉を失い固まる小悪魔へ、愉快げな魔女の声が浴びせかけられました。返す言葉もございません。精々出せたところで死に損ないの蚊が鳴いたような“ぐう”の音くらいですね、ぐぅ。

 

 なんとも冴えない結果にしょげかえっている私とは対象的に、心底から愉しげに笑うパチュリー様は何を思ったか私の手から鉄砲を“ひょい”と取り上げられました。

 

「しばらくの間、預かっておくわ───楽しませてくれたささやかなお礼として強化加工を施してあげる」

 

 口元に手を当て、なおも“くつくつ”と笑うパチュリー様を、ついつい不審げな眼で私は眺めてしまいます。なんともはや、至れり尽くせりなことで。

 

 頭に小が付くちんけな悪魔の不躾な視線を意に介すこともなく、魔女が“にやり”と笑って言ったとさ。

 

「仕事の対価に物惜しみはしないもの」




登場人物

小悪魔

黄金銃の名前をキングリボルバーにしなかったのも迂闊すぎる

パチュリー・ノーレッジ

使用したのは金の氣を歪めたブラックホールボンバーだそうな

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