ドラゴンボールZ ~未来の戦士の戦いの記録~   作:アズマオウ

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更新相当遅れました。お詫び申し上げあげます。

復活のF見ました。パワーのアンバランスとかが気になりましたが楽しかったです。面白い。
ドラゴンボール超楽しみです。


ではどうぞ。


少女との出会いと……
よくわからない転校生


 

「えー、それでは転校生を紹介します。孫悟飯君です」

 

 オレンジスターハイスクールのとあるクラスにて新しい仲間が入ってきた。私、ビーデルは頬杖を付きながらその転校生を見ていた。私も一応学生なのでここで勉強している。

 転校生の性別は男だ。厳しそうな風格を持っていて、筋肉もガッチリしている。顔には傷が目立ち、武闘家なのか疑ってしまうほどだった。しかし、世界最強の格闘チャンピオンが父親である私でも、あのような武闘家は見たことがない。強い武闘家ならば天下一武道会に出場しているか、父の弟子にでもなっているはずだ。

 まあ思い違いかもしれない。私はふうと息を吐いて転校生の方を見つめる。すると、隣席の友人であるイレーザがヒソヒソと私に話しかけた。

 

「ねえあの子結構かっこよくない?」

 

 あの子とは転校生を指すのであろう。私は思わず気になって容姿を見た。確かに整った顔はしている。だが、別に恋愛に興味がある訳じゃないし、父親から婚約条件として『父より強い男としか結婚は許さない』と言われているので結婚は不可能である。父親よりも強い存在は、この世には存在しないのだから。

 そんなわけで、私には彼がかっこいいか、好みであるとかどうでもよかった。

 

「うーん、まあどっちでもいいわよ。それになんか厳しそうなオーラが漂っているしね」

 

 私がそういうと、イレーザはそれに同意した。

 

「まあね。でもなんか強そうじゃん? そりゃあビーデルやお父さんのサタンには敵わないだろうけど」

「そうね……ま、ともかくどうでもいいわ」

 

 私はそういうと机に伸びるようにして、目をうっすらと閉じた。視界にぼんやりと映る青の服装はいたってシンプルなものだった。一枚のシャツにジャケットを羽織っている。下半身は長ズボンで、靴は革靴である。ただ、どうも本人は窮屈そうな表情をしている。普段こういう格好になれていないのかもしれない。まあ、だとしても私には関係ないが。

 転校生は先生に促されて教壇に立ち、口を開いた。

 

「孫悟飯です、よろしく」

 

 自己紹介はそれだけである。しかし、皆礼儀として大小様々な拍手を返した。転校生は黙ってそれを受け止め、先生から指示された席に座った。そして、その席がーーー私のとなりだった。

 

「……」

 

 複雑だ。何で転校生がこんなところに……。

 転校生は黙って荷物を机の脇において先生の方を向く。私はじっと転校生を見ていたが、先生がではと切り出したので、慌てて前を向く。

 

「では、授業を始めます。教科書P.107を開いて……」

 

 ぱらっと紙が捲られる音が一斉に響いた。私もそれに倣い授業モードへと切り替える。しかしーーー隣の転校生だけは違った。転校生は、早速寝ていた。

 

「なっ……!?」

 

 流石にこれは驚いた。転校初日に寝てしまうとは……。しかもかなり深い眠りのようで、起きる気配はない。皆あきれた顔で彼を見る。しかし、全く起きる気配を見せない。

 

「悟飯君! 起きなさい!!」

 

 先生は声をあげて転校生を起こそうとした。しかし、起きるどころか鼾が響く始末だ。これには先生も立腹した。当然だ。嘗めているとしか思えない。先生はずんずんと地鳴りのするようなほど不機嫌な足取りで転校生のもとへと向かい、揺すり始めた。すると、う、うぅんという謎の言語を話しながら起き上がった。眠気眼で辺りを見渡し、クラス全員の注目が集まっていることを知った彼はその原因を探る。そしてそれが、怒っている先生にあったということを知った。

 

「やあ孫悟飯君。転校初日に居眠りした気分はどうだ?」

「…………や、やべ」

 

 次の瞬間、ものすごい剣幕と怒声で先生は叫んだ。その結果……彼は廊下に立たされた。

 全員の笑いを背中に受けながら転校生は出ていき、バタンとドアがしまると、先生が静粛にと皆を静めた。

 私は呆れながらドアの方を見た。今頃後悔していることだろう。だが、こればかりは転校生が悪い。授業中に寝ることはともかく、転校初日に熟睡するのだ。何という胆力の持ち主なんだろう。まあどうでもいいことだけど。

 その後の授業は寝ることもなく普通に取り組んでいた。ただ、体育の授業で8メートル跳躍を疲労した時は驚いたが。

 

 学校が終わり、家に帰ると私はすぐにトレーニングルームへと向かった。家は屋敷といっても差し支えがないほどに大きく、部屋は50ほどある。中でもトレーニングルームはかなりの広さで、最大300人が入れてしまう程だ。

 今日も何十人ものの格闘家達が己の腕を磨きにここに来ていた。全員が私の父親のミスターサタンの弟子だ。

 私が部屋に入るとみんなが一礼した。私も礼をして返し、さっそくサンドバッグに向き合ってパンチを叩き込む。サンドバッグは鈍い音を立てながら大きく後方へ揺れ動き、手応えの大きさを伝える。

 やがて振り子運動にしたがって戻って来る。タイミング良く拳を突きリズムに合わせて叩き込む。強烈な打撃を二度も喰らったサンドバッグは先程よりも遠くに吹っ飛ぶ。

 

「まだまだっ!!」

 

 ごうっと音をあげて重いサンドバッグが迫る。すっと腰を落とし、右足を引く。時間の感覚が緩やかになり、サンドバッグの動きが止まっているように見える。

 

ーーー今だっ!!

 

 左足で踏み込み、右足を思い切り振る。全力で放つ蹴りがしっかりと腹に命中し、確かな歯ごたえが体中に伝わる。

 バァン!!

 その瞬間、天井に設えたサンドバッグを固定する金具が悲鳴をあげた。それに伴い、サンドバッグは慣性の法則に従って凄まじい速度でまっすぐ壁に突き刺さった。

 他の格闘家達の唖然とした視線を一度に受け止め、息を大きく吐き出す。私は得にうれしくない。何故なら、自分の父親だってできるからだ。父を超えることを目標に修行しているのだから、それくらい出来なくては話にならない。

 私はサンドバッグを倉庫にしまってトレーニングルームを出た。タオルを被り、リビングルームにあるスポーツドリンクをコップ一杯に注いで飲む。カラカラの喉が甘い液体によって優しく刺激され、快感が生まれる。思わずプハァと大きく吐き出すように叫ぶとソファにどすんと座り込む。

 目の前のテレビに目が行き、何となしにリモコンを手にとってスイッチを入れる。するとニュース番組が流れていた。

 

「……人造人間か」

 

 現在世界中を騒がせている原因の人造人間。嗜虐的に人間を殺し、町を破壊する化け物だとは聞いている。現に今、ニュースでどこかの地域が破壊されたことが報道されている。ニュースキャスターも悲壮に満ちた表情を隠せない。

 けれど、私はそこまで怖いとか、世界は終わりだとは思っていない。何故ならーーー。

 

『人造人間は本当に怖いです……』

『ええ、ですが我々にはあの人がいます。そう、世界最強の格闘チャンピオン、ミスターサタンが』

『そうですよね!! 皆さん、サタンが倒してくれるまでどうにか耐え抜きましょう』

 

 私のパパが、近いうちに人造人間と闘うことになっているからだ。噂ではすでに果たし状まで送っているとか。いや、パパの性格からして絶対に送っている。パパは好戦的なのだ。悪い癖だ。

 

「おお、ビーデル帰っていたのか」

「ただいまパパ」

 

 突然リビングに父が来た。父は私のとなりに座ってテレビに視線を移す。

 髪型はかなり大きいアフロで、胸毛はかなり生えていて、腕はかなり太い。隣に座っていても存在感はでかい。

 父はテレビ映像ににやりと笑い、缶ビールを空ける。

 

「フム、私の奴らに対する死刑宣告の場面か。なかなか決まっていたな」

 

 パパはにやりと笑って持ち込んだ缶ビールを呷る。

 パパは相当な目立ちたがり屋だ。だからマスコミにしょっちゅう出るし、大声を張り上げて何かしらを宣言したりもする。そのたびに私は恥ずかしい思いをするのだが、父の強さは十分に分かっているので目を瞑っている。女遊びにはさすがに怒るが。そのせいでママは出て行ってしまった。

 

「そろそろ奴らを倒したいのだがな……何処にいるのかさっぱり分からん」

「そうよね……この町にきっと来るからその時を待つしかないわ」

「そうだな。明日にでもテレビ局に連絡してここに来るように言うか。市民達は安全なところへ避難させればいい話だ」

 

 正直危険だと思った。

 確かに父は強い。けれど、おびき出して果たして勝てるのか。確信が持てない。

 何しろ相手は軍隊の最強兵器ですら通さないほどの強固な体を持っている。普通なら、世界チャンピオンであるとはいえただの人間である父が勝てるわけがないと考えるだろう。

 でも、それしかすがるものがないのだ。父が妙なカリスマ性を持っているということは差し引いて、人造人間に駆逐された人類の希望が父になったのだ。

 だったら娘として、人間として、父を応援すべきだ。あまり尊敬できる人じゃないけれど。

 だから私は反対しなかった。出来なかった。

 

「うん? ビーデルどこに行く?」

 

 気付けば私はテレビから離れていた。特に何の用事も無いが、適当に自室に行くと行って去った。

 私が行き着いたのはトレーニングルームだった。人数はさっきよりも増えていた。サンドバッグを蹴る音が重なって聞こえる。私もそれを用意し、再び連続攻撃を浴びせる。パンチ、キック、エルボー、突き。様々な技が炸裂する。埃がばっと散っていき少し咳込む。けれどもう慣れた臭いだ。

 けれど何処か歯ごたえが無い。サンドバッグも思ったほど飛ばない。心の靄が全身を覆っているようで上手く体が動かせない。

 

(人造人間……嫌な予感がする……)

 

 悪寒がフッと体の奥から込み上げてきた。

 良くはわからないけれど。

 大切な何かを取られてしまいそうな、そんな気分だった。

 ちょうどその時だった。

 

 パパの、決闘宣告がラジオから流れた。

 

 気づいたときにはサンドバッグを遥か遠方に蹴り飛ばしていた。壁にめり込んだサンドバッグを他人事のように見つめていた。

 

 

 

 

 

 そしてーーー遥か彼方にはすでに脅威が迫っていた。

 

「へぇ……面白そうだな。18号少し相手してやるか?」

「地球人じゃあ楽しめそうに無いけどねぇ……ま、いいか」

 

 ニッと笑う黒い二つの陰。

 面白いおもちゃを見つけたという感覚のみで、二人は殺戮を求め、地を蹴って飛んでいった。

 

 

 

 




更新早めにします。

では感想などお待ちしております。

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