「そういや、シスコン会長。授業はいいのか?」
「ねぇ。キミの中で何で私はシスコンになってるの?そんなこと、一回も言ってないよね?後、授業は別に問題ないわ」
今更何を言ってんだ、この女。
「でも、そうなんだろ?」
「……いや、そうだけど。て言うか、先輩に対する尊敬が感じられないんだけど?」
「そんなものないからな、学園最強(笑)」
て言うか、俺が誰かを尊敬したことなんて一回もないな。尊敬されたことはあるけど。
「……お姉さん、泣くわよ。後、その(笑)って何なの?」
「いや、俺の方が強いからな。つまり学園最強ではないと言うことだ。そんなヤツは(笑)で十分だろ」
「へぇ。それは凄い自信ね。そこまで言うならお姉さんと戦ってみる。もちろん、模擬戦だけどね」
なるほど。この女は負けず嫌いのようだな。俺には分からない考えだな。俺は勝っても負けても面白ければ関係ないからな。
「戦う理由がないな。それにめんどくさい」
「さっき、あんな大口たたといてお姉さんに勝つ自信がないのかな?」
何か妙に挑発的な言い方だな。やっぱり、さっきの発言にはムカついているようだな。
「勝つ自信がないわけじゃない。ただ、戦っても俺に得がないだけだ。まぁ、俺に得があるなら戦ってもいいがな」
「ふぅん。だったら、賭けをしましょうか。勝った方が負けた方に一つだけ何でも命令が出来る、っていうのはどう?もちろん、Hな命令でもいいわよ」
Hな命令はさすがに無理だな。他の女と仲良くするぐらいなら大丈夫だが、そこまでしたら黒が怒るからな。俺は大丈夫だが、かなりめんどくさいことになる。
「ふむ。それならいいか。俺が勝ったら……そうだな。協力してもらおうか」
「協力?何をすればいいの?」
「学園のイベントの時とかに面白くなりそうことを企むから、それの手伝い。後は、情報提供だな。男性操縦者なんているんだ。何らかのトラブルがおきても不思議じゃない。そういう時に状況を掻き回すために情報が欲しい」
協力者がいて損をすることはないからな。それが生徒会長だっていうなら尚更だ。
「前者はむしろ私から頼みたいくらいね。私も色々企むのは好きだからね。でも、後者はさすがに無理ね。掻き回さられたら、たまったものじゃないわ」
まぁ、当然か。片方、通っただけでもラッキーだしな。
「仕方ないな。で、シスコン会長の命令は何だ?」
「とりあえず、私の呼び方を変えてもらおうか?」
「そんなことでいいのか?」
「いや、これは命令とは別のお願いよ。さすがに学園最強(笑)やシスコン会長は嫌だからね」
この女を的確に表現した、いい名前だと思うだがな。
「分かった。俺に勝ったら、それも聞こう。で、本題は?」
「貴方には生徒会に入ってもらうわ」
「は?何で?」
「貴方の能力なら役に立つでしょうし、危険人物の監視も出来る。一石二鳥ってわけ」
なるほど。確かに効率的で良いアイデアだな。まぁ、仕事はめんどくさそうだけど、その分色々出来そうだ。
「いいぜ。その条件で殺ろうか」
「……字が違うわよ。でも、自信満々ね。そんなにキミのISは強いのかしら?」
「いや、弱いな。機体性能はかなり低い」
「いや、深夜。私、弱くないからね。これでも第三世代機並の性能はあるから」
そうだったのか。ウサギの研究中の他の機体と比べると最低レベルだからな。まぁ、趣味で作った物らしいから仕方ないか。
「そんな調子でお姉さんに勝てるの?」
「問題ない。他に優れている要素があるからな」
その要素が俺の趣味にあうものだからな。戦いようによってはちーちゃん以外には勝てるだろう。
「ふぅん。まぁ、いいわ。それよりも今日は仕事があって無理だから、試合は明日ね」
「了解。さてと、それよりも早く、次の場所を案内してくれ。もうすぐ、昼飯の時間だから、それまでに回れるだけ回りたいからな」
「分かったわ。次は生徒会室に案内するわ。生徒会に入るなら知っておく必要があるでしょう?」
もう勝ったつもりか?だが、全力を出すつもりはないしな。どうしようか?
案内が長引いて遅れたせいで食堂がいっぱいで席が空いてないな。どうしようか?
ちなみに黒はまた指輪になって寝ている。ISだから食事の必要はないし、人の多い場所は苦手だそうだ。
「ん?」
空いている席を探してると、いっくんから逃げるようにして離れていく女子生徒を発見した。
「詰め寄ってきた女子を酷い振り方でもしたのか?例えば、俺は二次元にしか興味がないんだ、とか」
「いきなり現れて何言ってんだ!そんな訳ないだろ!箒が追い払ったんだよ」
ああ、なるほど。そういうことか。
「ふぅん」
「何だ、その意味深な表情は?別に深い意味はないぞ」
しまった。さっきまでシスコン会長といたせいで、キャラが少しうつってしまった。
「そうだ。深夜、束さんに色々教えてもらったんだよな。それを俺にも教えて貰えないか?このままだったら、何も出来ずに負けてしまう」
「おい、一夏。それは私が教えると言っているだろ!」
「断る。めんどくさい」
「おい、私の話を聞け」
めんどくさいな。こいつにはウサギの妹ということ以外に興味がないし。
「そう言えば、まだお前の愛称を決めてなかったな」
何にしよう。ウサギ妹は微妙だし、ポニテも駄目だな。髪型を変えられたら、また新しく考えないといけないし。
「そうだ。侍娘にしよう」
「だから私を無視するな」
「侍娘、少しは静かに出来ないのか?」
「やっと、私と話す気になったか」
何か常にイライラしているように見えるな。本当にウサギと姉妹なのか?全然似ていない。
「いっくんには侍娘が教えたらいいだろ。俺に教えるつもりはないからな」
「そ、そうか。それなら良い」
「何が良いんだ、箒」
やっぱり鈍感だな、いっくん。
「それよりも何で教えてくれないんだ?」
「他にすることがあるからだ」
嘘だがな。
「そうだ。変わりとは言っては何だか明日の放課後、模擬戦するんだ。それを見に来いよ」
「模擬戦?誰とするんだ?」
「生徒会長とだ。お互いに本気を出すつもりはないが、勉強になると思うぜ」
「分かった。見に行くぜ」
その後、昼食を食べ終わると、いっくん逹は授業のために教室に、俺はまだ回っていない場所の見学に向かった。
現在、夕食を食べ終わって暇なので漫画を読んでいた。
研究所にいた時に色々教えたので黒も漫画に興味をもっており、隣で漫画を読んでいる。
「ねぇ……。噂で聞いたんだけど、お姉ちゃんと模擬戦するって本当?」
かんちゃんが部屋に戻ってくると、いきなり聞いてきた。
にしても、もう学園中の噂になってるのか。やっぱり女子の情報網はすごいな。
「そうだけど。それがどうかしたか?」
「何で、そんなことになったの?」
「俺みたいな怪しい人物をほっとけないんだと。それで話している内に模擬戦をすることになったんだ。かんちゃんも見に来る?」
理由の半分以上は妹を心配してだと思うが。まぁ、真実を言う必要はないだろ。
「行かない。って、それは!」
いきなりかんちゃんが大声を出した。びっくりした。大声、出せたのか。
「うわっ!いきなり、どうしたんだ?」
「そ、それ。私が好きなアニメの原作」
「ん?アニメが好きなのか?だったら、色々あるぞ」
俺は家から持ってきていたアニメのDVDを見せる。
「凄い!この初回限定版、私が買い損ねた物だ。うわぁ、まだ買っていない物が他にもいっぱいある。これ、借りてもいい?」
いきなり元気になったな。さっきまでのテンションとの違いに、さすがの俺も驚いた。まるで別人だ。
その後、三人で朝までアニメを見たり、語り尽くしたりした。
朝まで、そんなに仲良くなかったのに一瞬で親しくなれるとは。アニメの力は凄いな。
「分かってない。この作品は主人公が良いの」
「 違う。悪役が一番良いだろ。悪の美学を持っていて格好いいだろ」
「いや、ヒロインでしょ。この健気なところが可愛いんでしょ」
やっぱり、アニメで仲良くなるのは難しいのかもしれない。
次回、セシリアの前に何故か生徒会長と戦います。
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