ISに告白された少年   作:二重世界

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第5話 生徒会長

「お~。ヒハランとかんちゃん発見~」

朝食を食べるためにかんちゃんと一緒に食堂に来て、食券を買って並んでいたら、のほほんさんとその他二名と出会った。

 

「ん、おはよう。のほほんさん」

 

「おはよう……、本音」

「え~。いつの間に飛原くんと仲良くなっていたの?」

 

「私達のことも紹介してよ」

その他二名が俺とのほほんさんが仲良く話しているのを驚いている。

 

「ん~。いいよ~。ヒハラン、この二人は私の友達でクラスメイトだよ~」

なるほど。つまり、俺のクラスメイトでもあるわけか。

 

「私の名前は相川清香です。よろしく」

 

「私は鷹月静寢です。よろしくね」

 

「こっちこそよろしく。ところで相川だったか?趣味とかあるか?」

 

「え~。もしかして、私に興味があるのかな?でも、飛原くんは恋人がいるでしょう。困っちゃうな~」

困るとか言いながら、思いっきり嬉れしそうな顔をしているな。

 

「いや、そういう訳じゃない。ただ、愛称を決めたいだけだ」

 

「愛称?」

 

「俺は人には基本的に愛称をつけることにしているんだ。でも、名前から思い付かなかったから趣味を聞いたんだ」

 

「……ああ、なるほど。そういうこと」

何か残念そうな顔をしているな。まぁ、どうでもいいか。

 

「出席番号一番!ハンドボール部!趣味はスポーツ観戦とジョギングだよ!」

気を取り直して言ってきた。だが、聞いたのは趣味だけなんだが。何で必要のないことまで言ったのだろうか?

 

「よし。決まった。スポーツ処女とツッキーだ」

 

「……ちょっと間違えてない?それ、セクハラ」

かんちゃんからの鋭いツッコミ。昨日、弄ったせいで機嫌が悪いようだ。目が笑っていない。

 

「……分かった。スポーツ少女だ」

 

「ところで二人も一緒に食べない?」

のほほんさんから食事に誘われた。これはチャンスだ。

 

「いいぜ。かんちゃんもこれを機に友達を増やす努力をしよう!」

 

「余計なお世話」

そう言って、俺をつねってきた。地味に痛い。

 

「かんちゃん、機嫌が悪そうだね~。どうかしたの?」

 

「別に……」

唯一の友達にまでそんな態度だから、ぼっちなんだろうな。

 

「昨日、あの後、中途半端な時間に起きたせいで眠いんだろう?」

そのせいで俺も目が覚めたから、かなり眠い。後で寝るか。

 

「余計なことを言わなくていい……」

 

「かんちゃん、そんな冷たい態度とっていたら友達できないよ~」

 

「……そうね」

一応、友達の言うことは聞くみたいだな。

 

「そういや、黒ちゃんはどうしたの?」

 

「今は指輪になって寝ている。どうも朝が苦手みたいだ」

昨日はすぐに寝たんだかな。もしかして、擬人化していられる時間に制限でもあるのか?いや、ただ、だらしないだけだな。

 

話している内に順番がやってきたようだ。俺は和食定食を受け取った。

 

「どこか空いてないか?」

 

「あ、おりむーだ~」

 

「え、織斑くん。誘わない?」

 

「……あれが織斑一夏」

かんちゃんが凄く怖い顔でいっくんを睨んでいる。どんな恨みを持っているんだ?

 

「のほほんさん、あそこが空いているから早くいこう。かんちゃんが怖い」

 

「そ、そうだね。かんちゃん、行こうか」

その後、かんちゃんが不機嫌だったり、回りがうるさかったりして大変だった。

まぁ、視線はいっくんの方に多く集中していたな。後、すでに他の人と一緒にいるから声をかけてくる人もいなかった。もし一人だったと思うと恐ろしいものがあるな。

 

 

 

「深夜、デートね」

 

「ただの学園見学だ」

現在、朝食を食べ終わって、昨日出来ていなかった学園見学をしている。すると、途中で黒が起きてきて一緒にまわっている。人に迷惑をかけないために授業で使われている場所は行けない。まぁ、そこは後でまわればいいだろう。

 

「……ん。誰かつけてきてるわよ」

 

「誰か分かるか?」

 

「さすがにそこまでは分からないわ」

さぼっている生徒だとは思えないな。それだったら、俺が気付かないわけないし。何者だ?

 

「とりあえず、人気のないところに移動するか」

 

「え!?人気のないところに連れ込んでなにする気?」

 

「俺に露出趣味はないから、人の見てる前で何かするわけないだろう」

とりあえず、校舎裏に行くことにした。さすがに授業中にそんなところにいるヤツはいないだろう。

 

「まだついてきてるか?」

 

「きてるわよ」

 

「おい。俺達をストーカーしてるヤツ出てこい」

大声で呼びかける。

 

「あら。よく気付いたわね。ちゃんと気配は隠していたのに」

扇子を持った怪しい女が現れた。ただ者じゃなさそうだな。ちなみに扇子には『見事』と書かれている。

 

「……黒はISだからな。ハイパーセンサーがあるんだよ」

 

「ああ、そういうこと。そういや、そんな噂も聞いたわね」

 

「で、あんたの名前は?何で俺達をストーカーしたんだ?」

 

「いやぁ、一回に何個も聞かれても答えらないわよ。私は聖徳太子じゃないんだから」

何個も、って二つしか質問していないんだが。ふざけたヤツだな。

 

「……それ、深夜には言われたくないと思うけど」

最近、黒は俺の考えていることが分かるようになったらしい。まぁ、常に一緒にいるわけだから、当然といえば当然なのかもしれない。

 

「お姉さんの名前は更識楯無。IS学園の生徒会長をしているわ」

更識?ああ、なるほど。そういうことか。

 

「つまり可愛い妹が男と同室ということで、妹大好きのシスコンとしては心配になって調べにきたわけか」

 

「ええ、そうよ。よく分かったわね。って、違うわよ。そ、そんな訳ないでしょ」

おお、ノリツッコミか。やるな。

 

「そんな焦った様子で言っても説得力ないぜ」

 

「い、いや。本当に違うから」

 

「……分かった。じゃあ、本当は何のようだ?」

もうちょっと弄りたかったんだが仕方ない。

 

「分かったように見えないけど。まぁ、いいわ。世にも珍しい男性操縦者なのに、昨日まで全く情報が入ってこなかったことが不思議でね。生徒会長としては、そんな怪しい人物をほっとける訳ないでしょう」

何か言い訳臭いな。まぁ、これも一応本音なんだろうが。

 

「なるほど。で、何が知りたいんだ?俺に答えられることなら答えるが」

 

「そうね。まずは貴方のことね。昨日の今日だから、大したことは知れなかったけど一応調べてみたのよ。分かったことだけでも、貴方がただ者だとは思えないわ。何者?」

 

「何者、って聞かれてもな。ISが使えること以外は普通の高校生のつもりなんだが。それよりも織斑一夏の方がとんでもないだろう。何たってブリュンヒルデの弟なんだから」

 

「織斑一夏くんはそれ以外は普通みたいじゃない。それよりも、貴方のことよ。中学時代に色んなジャンルの大会で優勝しているでしょう。運動でも文科系でも勉強でも芸術でも何でもありとあらやるジャンルで。明らかに普通じゃないわ。ただ、団体競技には出てなかったみたいだけど」

中学時代は面白い物を探して、色々やったんだよな。全部、簡単ですぐに飽きたが。

て言うか、たった一日で、よく調べたな。こいつこそ何者なんだよ?

 

「そうだな。俺は色んな才能を持ってるが、人と合わせる才能はなかったんだ。で、それが何なんだ?そんな異常な人物が大好きな妹の側にいるのが不安なのか?」

 

「いや、あのね、お姉さん、真面目に話しているからふざけないでくれると有難いんだけど。それとも、キミは真面目に話すのが嫌いなのかな?」

 

「よく深夜のことが分かったみたいね。じゃあ、私達はデートに戻るわ」

 

「いやいや、じゃあ、じゃあないよね。もうちょっとお姉さんに興味を持ってもいいんじゃない?」

何だかめんどくさくなってきたな。

 

「そうだ。今度、代表候補生と戦うのよね。特別にお姉さんがコーチしてあげてもいいわよ」

そこまでして、俺のことを知りたいのか。めんどくさいが相手の思い通りになるのも嫌だな。

 

「必要ない。コーチしてもらわなくても俺の方が強いからな」

 

「生徒会長っていうは、学園最強の称号なのよ。教えてもらって損はないと思うけど」

 

「必至だな、学園最強(笑)。そんなに俺のことが知りたかったら教えてやる。その変わりに学園を案内しろ」

 

「(笑)って何!?まぁ、いいわ。分かった。じゃあ、今から案内してあげるわ」

嬉しそうな顔をしている。どんだけ妹を心配しているんだ?




今回、少しだけ深夜の素性が明らかになりました。今後の物語に影響するか分かりませんが。

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