「なぁ、何で全裸になる必要があるんだ?」
「こういう時に服が脱げるのは定番だろ」
俺は様式美を大事にするのだ。
「ところで織斑一夏くん。一回戦の時よりもリアクションが薄いね」
「そりゃあ、いっくんが巨乳好きだからだよ。あんな男と大して違わないまな板には興味がないんだね」
「そんな当たり前のことはいいから、早くどいてくれないか」
抱き付かれてる首がそろそろヤバい。
「おい、俺の巨乳好きは共通認識なのかよ!」
「誰が男と大して違わないまな板なのよ!ブッ飛ばすわよ!」
「図星を突かれたからってキレないでください」
「うるさいわね!まだ成長するわよ!」
いや、どう考えても無理だろ。
「じゃあ、三回戦の選手、入場してください」
「ちょ、まだ私の話は終わってないわよ!」
「その話は後にして早くどいてください。次の試合が始められません」
「くっ!」
貧乳は、こっちを睨みながら退場した。
「「セットアップ!」」
そして次の選手が入場してきた。
「待ってました!遂に簪ちゃんの出番です!イェーイ!」
妹の出番にテンションが上がるシスコン。
「お姉ちゃん、恥ずかしいから黙ってて」
そのシスコンを冷たい目で見る妹。
「何か最近、簪ちゃんに蔑まれるのが気持ちよくなってきたわ」
物凄く幸せそうな顔をしている。変態が感染してきているようだ。
「……え~と、目覚めてはいけない何かに目覚めた変態は無視して紹介に入ります」
何故、俺の周りは変態が多いのか謎だ。
「まずは更識簪選手。水色を基調としたシンプルなデザインが非常に良く似合っており素晴らしいです。まさしくシンプル イズ ベスト。これぞ、魔法少女と言った姿です」
ちなみにデザインはかんちゃんが自分の好きなアニメの主人公をベースに考えた。
「……深夜も褒めなくていい」
「いえいえ、褒めているわけではありません。事実を述べているだけです」
さすがアニメ好き。ラウラには劣るが素晴らしい出来だ。
「しっくんはあの簪、って女の子には優しいよね」
「そりゃ、同室だからな。それに親友候補でもあるし」
「へぇ、あの子が。それは楽しみだね」
出来れば引きずり込みたいんだよな。
「次は武器の紹介です。簪選手は今までの選手とは違いオリジナル。性能も多彩で強力な武器です」
かんちゃんの武器は、これまた魔法少女と言った感じの杖だ。まぁ、能力はえげつないが。
「次はシャルロット選手の紹介ですが何と言うか、あざといです!簪選手と同じくシンプルなデザインなのですが物凄くあざといです!」
「同じことを二回も言わなくていいよ!」
「大事なことなので二回、言いました」
似合ってはいるんだが、このあざとさは何だ?大きなお友達には人気が出そうだが、女子には嫌われそうな感じだ。
「他の皆さんはどう思いますか?」
「あざといわね」
「あざといね」
「似合ってて良いと思うぞ」
やっぱり男にはウケるけど女には駄目だったか。
「何なの、これ!?恥ずかしいから早く試合を始めてよ!」
そう言われると、もっと弄りたくなるな。でも、時間もないしな。後で新聞部が撮ってる写真を使って、いつもの仕返しに弄るか。
「では最後に武器の説明をします。武器は二丁の拳銃で、他にも色々な能力があります」
「簪ちゃんの試合だから今回は私が試合開始の合図するわね」
「好きにしてください」
「では試合開始!」
試合開始と同時にシャルの先制攻撃。拳銃からエネルギー弾が発射される。
「……無駄」
だがエネルギー弾は、かんちゃんの杖に吸収された。
「……え~と、今の何?」
「簪選手の杖はエネルギー攻撃を吸収することが出来ます」
「それじゃあ僕、どうしたらいいの!?僕にはエネルギー攻撃しかないんだよ!」
「頑張ってください」
これ以外にかける言葉が見付からない。
「次はこっちの番」
今度はかんちゃんがシャルに向かってエネルギー弾を発射した。
「僕だって頑張るよ。プロテクション!」
シャルの前に障壁が現れてエネルギー弾をガードした。
三回戦にして、やっと魔法少女バトルになったな。
「じゃあ、次はこれ」
かんちゃんの杖の先から刃が出てきて槍みたいになった。そしてシャルに向かって伸びた。
「もう一回、プロテクション!」
「それは意味がない」
かんちゃんの杖は障壁を吸収して、そのままシャルに直撃した。
「し、しまっ!」
「そして、これで終わり。シュート!」
零距離でシャルに吸収した分を上乗せしたエネルギー弾で攻撃した。
『試合終了。――勝者、更識簪』
「じゃあ、新聞部の皆さん。いつもより多めに写真を撮っておいてください」
「え!?この試合って写真、撮ってたの!?」
とりあえず大事なところだけ手で隠してツッコんできた。
「大丈夫です。ネットに画像を流したりしませんから」
「そんなことまで考えていたの!?」
「だから、しませんよ」
さすがにそこまでやるとシャレにならないからな。
「……なぁ、魔法少女姿ならともかく、裸を撮るのはやめた方がいいんじゃないか?」
「問題ない。学園から許可は貰ってる。それに販売は身内だけでやるから大丈夫だ」
「学園は何を考えてんだ!?後、そういう問題じゃないだろ!」
「うるさいなぁ。禿げるぞ」
「禿げねぇよ!」
まぁ、いっくんが禿げようが禿げなかろうが俺には関係ない。
「じゃあ、本選は休憩を挟んで二十分後に行います」
さて、この休憩時間が忙しいな。
「じゃあ、いっくん。よろしく」
「……は?」
「さぁ、休憩時間が終わりまして本選が始まります!本選は織斑一夏の変わりに男と大して違わないまな板、凰鈴音がゲストに来ています」
「ねぇ、あんた。私にケンカ売ってるんでしょ?そうなんでしょ?」
不良にしか見えないな。
「ところで深夜くん。何で織斑一夏くんじゃなくて貧乳ちゃんが、ここにいるの?」
「あんたもか!あんたも私にケンカ売ってるの!ちょっと胸があるからって調子に乗ってんじゃないわよ!」
若干、涙目になってきている。
「その理由はアリーナ中央をご覧ください」
アリーナの中央には予選を勝った三人+いっくんが立っている。
「では、本選の説明をします。ルールは簡単。一番最初に
「おい、今、ターゲットと書いて俺と読まなかったか!?」
「ああ、だから、いっくんの代わりに絶壁ちゃんが来たんだね」
「もう我慢できない!あんたら全員ブッ飛ばす!」
貧乳が暴走してISを展開しようとしている。
「狭いところで暴れないでね、絶壁ちゃん」
だが、その前にウサギに取り抑えられた。
「くっ!」
もう完璧に泣いてる。何か苛めたくなるな。俺はドSではないんだがな。
「では変身してください」
「「「セットアップ!」」」
そして四人が魔法少女に変身した。半分は妖精だが気にしない。
「一夏まで私を馬鹿にするの!もういいわ!あんたを殺して私も死ぬ!」
やり過ぎたか?何か壊れてヤンデレ化してきたが。
「いきなり何を言ってんだ、鈴。――って何だ、これ!?何で俺が女になってるんだ!?」
そう、いっくんは変身して体も女になった。ちなみに胸は結構、大きい。
今、誰かが鼻血を出しながら幸せそうな顔で倒れた気がしたが気にしない。
「元々デバイスはこのために作った物ですから」
俺が実験でやった時は黒が鼻血を出して倒れた。ISに血はないはずなんだが。そしてクロエが顔を赤くしていたのが気になった。
「ちなみに胸のサイズはちーちゃんと一緒だよ。やったね」
「だから何なんですか!?」
本当に何なんだ?
「ターゲットのデバイスは攻撃機能が一切ありません。代わりに機動力と防御力が高く設定してあります。選手は思う存分タコ殴りしてください」
「ちなみに束さんが遮断シールドの強度を十倍にしてあるから、どんなに暴れても大丈夫だよ」
「ちょ、そんなに危ないんですか!?」
「では、魔法少女バトル本選『ターゲットを壊せ』開始!」
「おい、何だ、その物騒な名前は!?俺の安全は保証されてんのか!?」
いっくんがウダウダ言っている間に侍娘が攻撃態勢に入る。
「一夏、見苦しいぞ。覚悟を決めろ」
そして侍娘は火属性魔法攻撃をした。て言うか、詠唱なしかよ。ズルいな。
「うおっ!あぶねぇ!」
だが、いっくんはそれを避けた。
「くっ!本当に機動力は高いみたいだな」
「だったら、今度は私。シュート!」
「私もやるぞ。破道の七三『双蓮蒼火堕』」
かんちゃんとラウラの同時に遠距離攻撃をした。
「ちょ、容赦なさすぎだろ!」
二人の攻撃を避けた先では侍娘がエクスキャリバーを構えていた。
「逃げずに男らしく戦え!」
「無茶言うな!俺には攻撃機能がないんウワッ!」
いっくんが喋ってる途中で思いっきり地面に叩き付けられた。
「って、そんなに痛くない。本当に防御力は高いんだな」
痛みだけは食らうようにした方が良かったな。
「油断禁物」
今度はかんちゃんが杖を槍にして伸ばして攻撃した。
「うおっ!」
それをギリギリで避けて空中に逃げた。
「待っていたぞ、嫁」
「ちょっとぐらい休ませろ!」
大変そうだ。俺なら適当にやられて終わらせるな。どんなに逃げても最後には攻撃を食らうんだから。
「ターゲット。少しぐらいはダメージを食らっても大丈夫だから避けるな。避けてばかりでは面白くない」
「ふざけるな!俺に公開リンチにされろって言うのか!」
切り札を出される前に殺られた方が良いと思うんだけどな。
「そういや、貧乳が静かだな」
「うるさいから気絶させておいたよ」
「助かる」
「生徒会長として、これを見逃していいのか迷うところね」
「保健室にでも連れていけば大丈夫だろ」
その後、手が空いているスタッフを呼んで保健室まで運ばせた。
十五分後
「ターゲットしつこいな」
「そろそろ終わらせて次の撮影会に移りたいね。早く箒ちゃんの写真を撮りたいよ」
「私も簪ちゃんの写真を撮りたいわね」
ちなみに、この後の撮影会ではラウラの写真を撮った後、俺も撮られることになっている。
「ということで、アレ使っていいぞ」
「分かった、お兄ちゃん」
ラウラが顔に手をかざすと仮面が現れた。
「あれがラウラ・ボーデヴィッヒの切り札『虚化』だ。一時期的に能力を数倍に跳ね上げることが出来る最終奥義。エネルギーの消耗が激しいから長時間の使用は出来ないのが弱点だ」
「じゃあ、箒ちゃんも切り札、使おうか」
「分かりました」
侍娘の聖剣エクスキャリバーに凄い力が集約していく。
「あれが箒ちゃんの切り札『エクスカリバー』。紅椿のワンオフ・アビリティー『絢爛舞踏』の応用でエネルギーを増幅、それを発射する最強の技だよ。弱点はないね」
色々ツッコたいが、まず作品が違わないか?
「じゃあ、簪ちゃんもゴー」
「……言われなくてもする」
かんちゃんの杖にもエクスキャリバーと同じく凄いエネルギーが集約されていく。
「あれが簪ちゃんの切り札『スターライトブレイカー』。周りの人のエネルギーまで集めて発射する究極奥義。発動まで少し時間がかかるのが弱点ね」
こっちのエネルギーを吸収する、ってことはラウラの攻撃力が少しとはいえ下がるんじゃないか。
「ちょっと待て!普通に説明を聞いてたけど俺、ヤバくないか!?」
かなりヤバいな。
「月牙天衝!」
「エクスカリバー!」
「スターライトブレイカー!」
いっくん目掛けて物凄いエネルギーの塊が向かっていく。
「ちょ、さすがに、これは洒落にウワァァァー!」
極大の攻撃に避けることも出来ず、モロにダメージを食らう。
『試合終了。――織斑一夏の死亡を確認』
「……は?いや、さすがに死んでないよな!?」
いっくんの死亡を告げるアナウンスにさすがの俺も焦る。そんなことになったら魔王が暴れて大変なことになるぞ。
攻撃の衝撃で土煙が出て、いっくんの生死をすぐに確認できない。
「勝手に殺すな……」
土煙が晴れるとボロボロの織斑一夏が現れた。血は出ており、立つのも厳しそうだが大きな怪我はないようだ。いっくんのデバイスは防御力が自慢なのに、こんなことになるとは。予想外だ。
後、何で、あんな訳のわからないアナウンスが流れたんだ?システムの誤認識か?
「じゃあ、これにて魔法少女バトルは終了。結果は三者引き分け。最初に言われていた願いは無理だけど、後で教えてくれたら簡単な願いなら叶えます」
何事もなく平和に終わって良かった。
「では、決着は次回につけるとして三十分後に撮影会を開始します」
「ちょっと待て!俺の救助はなしか!?て言うか、次回って何だ!」
「試合は終わったんで早く戻ってください。デバイスのチェックもあるので」
観客がドンドン退場していく。
「なぁ、箒は助けてくれるよな?」
「男なら自分で立て」
侍娘は本当に、いっくんのことが好きなのだろうか?
「え~と」
「悪いな、嫁。私はこの後も用事があって忙しいのだ」
「……そのまま死ねばいい」
さて、俺は次の撮影会の準備をするか。
「たっちゃんも手伝ってくれよ」
「もちろん」
「じゃあ、束さんはデバイスの様子を見てくるね」
そして俺達も中継室から出ていく。刹那っちは撮影会が終わってから回収するか。いっくんは魔王が回収するから大丈夫だろ。
鈴を苛めるのが楽しかったけど、話の本筋から離れるので途中でやめました。
さて番外編一発目が終わり、ラストまで数話。残りも頑張っていきます。
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