ISに告白された少年   作:二重世界

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第31話 水着

週末の日曜日、俺はラウラと黒の三人で水着を買うために駅前の『レゾナンス』に向かっている。『ここで無ければ市内のどこにも無い』と言われるほどのでかいショピングモールだ。俺も漫画やDVD、コスプレグッズ等を買いによく行く。

ちなみにラウラについては本当の妹みたいに思えてきて銀髪ロリと呼ぶのに違和感を覚えたので普通に名前で呼ぶことにした。

 

「あれは何だ?」

ラウラが指差した方向を見ると不審者にしか見えない貧乳とパッキン女がいた。物陰から何かを観察しているようだ。

 

「そっか、やっぱりそっか。あたしの見違いでもなく、白昼夢でもなく、やっぱりそうか。――よし、殺そう」

そう言うと貧乳はISを部分展開した。

 

「街中で何を物騒なことを言ってるんだ?」

 

「なっ!何で、あんたがこんなところにいるのよ!?」

 

「こ、こんなところでどうしましたの!?」

いきなり現れた俺達に二人が驚いた声を上げた。

 

「俺達は臨海学校のために水着を買いに行くところだ」

 

「あれは嫁とシャルロットか?」

ラウラの視線の先には、いっくんとシャルがいた。二人が見ていたのはこれか。

 

「二人も買い物に行く途中みたいだな。で、それがどうしたんだ?」

 

「……いや、何か二人が妙に仲良そうに見えるから」

 

「デートかもしれないと思ったわけだ」

シャルはいっくんのことを好きじゃないし違うと思うが。単純に臨海学校の準備だろ。

ん、良いこと思い付いた。

 

「いや、有り得るかもな。いっくんが前にシャルと一緒にいる時が一番落ち着くと言っていたからな」

趣味がなければ気を使える良い奴だからな。それに他のメンバーと違って暴れたりしないし。

 

「なっ!それは本当なの!?」

 

「それは本当のことですの!?」

 

「ああ、いっくんは俺と違って静かに暮らしたいタイプだからな」

嘘は言っていない。

 

「お兄ちゃん、それは本当なのか?だったら私のアプローチも実は嫌がれていたのか?」

 

「大丈夫だ。いっくんは基本的に静かなのが好きなのは本当だが、皆と楽しく遊ぶのも好きだからな。それに俺がやり過ぎないように調節しているから心配するな」

貧乳とパッキン女には聞こえないようにラウラに言う。

 

「そ、そうか……。それは良かった……」

安堵しているラウラも可愛いな。たっちゃんやウサギがシスコンになるのも理解出来る。

 

「それよりも速く行かなくていいの?二人とも行っちゃうよ」

 

「よし、面白そうだからつけるぞ。どうせ目的地も一緒だろうから問題ないだろ」

そして俺にとって面白くない展開になりそうになったら邪魔するか。

 

「それよりも合流して一緒に行った方がいいのではないか?」

 

「遠くから見ているから知れることもある」

 

「そういうものか。よし、では嫁を尾行するぞ」

 

「私を無視して話を進めるんじゃないわよ!」

 

「……もう諦めましたわ」

完全に忘れた。

 

「で、お前達はどうするんだ?」

 

「もちろん行くに決まってるわよ!」

 

「その通りですわ!」

面白くなってきたな。ただ問題を起こして、ちーちゃんの罰をくらうのだけはゴメンだから気を使わないとな。

 

 

 

 

いっくん達をつけるとレゾナンスの水着売り場に到着した。

 

「いっくん達も水着を買いに来たのか」

男女で来る買い物じゃないと思うが。

 

「げっ!」

 

「ん?黒、どうかしたか?」

 

「アマゾネスと無駄おっぱいがいた」

教師陣までいたのか!

 

「……よし。貧乳達を囮にして隠れるぞ」

 

「隠れる必要があるのか?」

 

「いや、ちーちゃんに見つかったらめんどくさいことになる」

 

「水着を買いに来ただけで怒られるのか?」

 

「……ん?そう言われれば、そんな気も……」

ちーちゃんに隠れて行動する癖がついてしまったが、確かに今回は何も問題をおこしていないな。

でも面白そうな状況だし何か出来ないかな。

 

「おっ!いっくんがシャルが着替えている更衣室に間違えて入ってしまったぞ」

 

「な、な、な、何!?それは本当なの!?」

一人言を言う感じで言ったのによく聞こえたな。凄い地獄耳だ。

 

「ああ、足が滑って入ってしまったようだ」

 

「あいつはまたそんなことを!――やっぱり殺そう!」

 

「そうですわね。ここらでお灸を据えるのもいいかもしれませんわね」

二人が物凄い勢いで、いっくんを襲いにかかった。にしても毎回よく騙されるな。恋は盲目というヤツか?

 

「よし、深夜。私達も一緒に更衣室に入って着替えましょう」

 

「いや、さっきのは嘘だ」

ちーちゃんのいる状況でそんな危険なことが出来るわけないだろ。

 

「何をやっているんだ、馬鹿者共」

一瞬でちーちゃんに見付かっていた。

 

「いや……千冬さん、あの……」

 

「織斑先生が何でこんなところに?」

 

「水着を買いに来ただけだ」

何でこんなに水着を買いに来ている人が多いんだ?

 

「それでお前達は何をしているんだ?こんな人の多いところで問題で起こされると困るんだが」

 

「え、え~と……その飛原に騙されて……」

 

「よぉ、こんなところで何をやっているんだ?」

何となくふざけたい気分だ。

 

「何、今初めて会ったみたいな登場の仕方をしてんのよ!」

 

「ん?何言ってんだ?今、来たところだぞ。頭は大丈夫か?」

 

「あんたに言われたくないわよ!」

 

「おい、凰。外で騒ぐな」

ちーちゃんが頭に手を置いて疲れた様子で言っている。仕事で疲れているのだろうか?

 

「いや、深夜がラウラをけしかけたおかげで学園の設備がよく壊されているせいだと思うよ」

 

「その件については生徒会として俺も苦労している」

 

「写真で買収して、ほとんどサボっているでしょ」

都合の悪いことは聞かない。

 

「今はプライベートだし、面倒なことはするなよ」

 

「失礼な。俺は一切、問題を起こしたことはないぞ」

 

「おまえ以上に問題を起こした奴はいない」

直接的な被害は一回も出していないはずだが。多分。

 

「で、こんなところで何を企んでいるんだ?」

 

「俺が常に何かを企んでいるとでも思っているのか?今日は水着を買いに来ただけだ」

 

「そうだったのか。まぁ、騒ぎだけは起こすなよ」

 

「あれ?皆、揃ってどうしたんだ?」

いっくんとシャルがこっちに気付いてやって来た。

 

「ねぇ、深夜。この水着はどうかな?」

さっきから静かだと思っていたら水着を探していたのか。自由な奴だな。

 

「いや、それ水着なのか?どうみても紐なんだが」

 

「これぐらい過激にして深夜を誘惑しようかと」

いや、いつも裸も見てるから露出が高いだけで誘惑されるわけないだろ。

 

「だ、駄目ですよ!そんなハレンチなのは!」

マヤマヤが顔を赤くしながら注意している。いい歳して純情だな。だから彼氏がいないんだろう。

 

「よし。それは、かんちゃん用にネタとして買っておくか。他はないのか?」

 

「じゃあ、これならどう?」

次に出してきたのは水着というよりも猫の着ぐるみみたいなヤツだ。のほほんさんのパジャマと同じような感じだ。

 

「深夜の趣味に合わせたんだけど、どうかな?」

 

「……いや、確かに好きだけど。て言うか、それは水着なのか?」

 

「水着なんじゃない。水着売り場に売ってるわけだし」

確かにそうなんだが本当に水着なのか?前にパジャマ売り場で同じような物を見たぞ。

ここにマトモな水着はないのか、と周りを見てみると震えながら水着を選んでいる貧乳とパッキン女を見付けた。何があった?心配になってシャルを探してみると普通に、すでに選んでいた水着の会計をしていた。

そして、いっくんの方を見ると、ちーちゃんが水着を選ばせていた。そのために二人を排除したのか。

しかも結構、露出の多くてエロい水着だな。何か色々とアウトだろ。

とりあえず関わってはいけない気がしたので俺も水着を選ぶことにした。

 

「おい、黒。これとかはどうだ?」

そう言って俺は黒のワンピースタイプの水着を見せた。

 

「それ、地味じゃない?まぁ、深夜が選んでくれた水着なら何でも嬉しいけど」

 

「露出が多ければ良い、ってものでもないからな。お、これは姐さんが言っていたタイプの水着だな」

 

「なっ!私がそんなに露出の多い水着を着るのか!?恥ずかしいし、似合うとは思えないのだが……」

やっぱり照れている姿は可愛いな。黒には羞恥心と言うものがないから少しは見習ってほしい。

 

「大丈夫だ。絶対に似合うから」

 

「そ、そうか……。お兄ちゃんがそう言うなら安心だ」

 

「そうそう。俺は基本的に人を弄る時にしか嘘をつかないからな」

 

「深夜の水着はこれが良いと思うわ」

そう言って黒が見せてきたのは水着は女物のビキニだった。

 

「却下だ」

いくら俺でも体つきは隠せないから水着で女装は無理だ。

とりあえず、かんちゃんの水着を選んだ後に俺の水着も選んで買って帰った。




年末だというのに他にすることがなくて少し悲しくなっていたりします。まぁ、執筆しているのも楽しいからいいですけど。

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