ISに告白された少年   作:二重世界

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第30話 妹

『では、こういうのはどうでしょう?日本では恋人が朝、裸エプロンで起こしに来るそうです。それを隊長もするのです』

現在、俺は銀髪ロリと黒ウサギ隊の副官であるクラリッサ・ハルフォーフの三人でプライベート・チャネルを使って織斑一夏攻略会議をしている。

俺の事情は話しているが隊長の恋を応援する限りは黙っていてくれるらしい。軍人としてそれで良いのか、と思うが俺としては有り難い。

ちなみに俺と黒ウサギ隊で『ラウラの恋を応援し隊』を結成した。というより無理矢理、入れられた。黒ウサギ隊のメンバーはクラリッサのことをお姉様と呼んでいるらしいが俺は嫌なのて姐さんと呼ぶことにした。

 

「なるほど。良いアイデアだな。いっくん相手では今までのアプローチじゃあ物足りないみたいだし、もうちょっと激しくしてもいいかもな」

 

「では明日の朝にでも実行するか?」

 

『そうですね。日本には善は急げ、という諺もありますし』

たまには間違っていない日本知識もあるんだな。

 

「それについては俺が良い作戦を思い付いた」

 

「さすがですね。では、この件については飛原さんに任せましょう。ところで昨日、漫画を読んでいて思い付いたのですが何かイベントはないのですか?いつもと違う場所でのアプローチは効果的らしいですね」

本当に有能な副官だな。

 

「ああ、それなら今度、臨海学校があるな」

 

『なるほど、臨海学校ですか。では水着で相手を悩殺しましょう。いつもと違う隊長の姿に織斑一夏もドキドキです』

 

「銀髪ロリはどんな水着を持っているんだ?」

 

「学校指定の水着だけだが……」

ということは旧型スクール水着か。て言うか、何でIS学園は旧型スクール水着にブルマが現存しているんだ?すでに絶滅した物だろう。偉い人の趣味か?

 

『何を馬鹿なことを!』

 

「ああ、その通りだ。それも悪くない。確かにそういうのが好きな奴もいる。だがしかし、それでは――」

 

「そ、それでは……?」

ごくり、銀髪ロリがつばを飲む。

 

「『色物の域を出ない!』」

 

「なっ……!」

 

『確かに隊長は豊満な体で籠絡するタイプではありません』

 

「だからといって際物に逃げるのは駄目だ。ここは可愛らしさを利用をした水着を選ぶべきだ」

とは言え厳しいな。いくら俺でも女物の水着には詳しくない。て言うか、そんなのに詳しい男は変態だけだ。

 

『飛原さんの言う通りです。隊長、ここは週末に水着を買いに行ってはいかがですか?』

 

「そんなことを言われても私には可愛らしい水着とか分からないぞ。深夜、ついてきてくれるか?」

 

「ついていくのはいいが俺も詳しくないぞ」

 

『でしたら私に秘策があります』

 

 

 

翌日の朝、六時過ぎ。俺はいっくんの部屋のバスルームにいた。そして部屋に仕込んだ隠しカメラと盗聴機で様子を見ている。銀髪ロリは眠いらしく、いっくんのベットに潜り込んだ。しかも裸で。予定とは違うが、これはこれでアリだ。

鍵はシャルがいっくんと同室だった時に借りてスペアを作っておいた。

 

「ん……」

ん?起きたか?正直、こんな時間だから眠たくてしょうがない。朝飯を食べたら昼まで寝るか。

 

「ん……」

銀髪ロリも起きたみたいだな。

 

「ら、ら、ラウラ!」

最初は眠気に負けて二度寝しそうだったが銀髪ロリに気付くと凄い勢いで布団をめくった。

 

「ん……?何だ?もう朝か?」

 

「ば、馬鹿!隠せ!」

何をやっている!早く押し倒せ!そっちの方が高く黒ウサギ隊に隠し撮りしている映像が高く売れるからな。そして何より、そっちの方が面白い。

だが、いっくんはその後も照れたりしながら銀髪ロリの裸をちら見しているだけで面白くない。もっと面白いリアクションを予想していたのにガッカリだな。こんな映像じゃあ売れないぞ。

こうなったら仕方ない。

 

「もうめんどくさいからキスをしろ。その後に昨日、教えた通りにやれ」

銀髪ロリに通信機で指示を出す。

 

「了解した」

 

コンコン

 

部屋のドアがノックされる音がした。

 

「い、一夏、いるか?せっかくだし朝食を一緒にしようかと思うのだが」

侍娘がやって来た。

ちっ!良いところだったのに。

 

かちゃり。侍娘が部屋に入ってきた。

 

「入るぞ、一夏。早く支度を――」

しまった!眠たくてボーとしていたせいで鍵を閉め忘れていた。

 

「げ」

 

「む」

いっくんに全裸の銀髪ロリがキスしようとしているところを見て侍娘の表情が固まる。

 

「カット、カット!」

俺はバスルームが出て止めに入る。

 

「おい、侍娘。良いところだったのに邪魔するなよ」

 

「むっ。それはすまなかった。って何で私が謝らなくてはいけないのだ!?」

 

「それは撮影の邪魔をしたからだろ」

こうなったら後で撮り直しかないな。

 

「って、ちょっと待て、深夜!何でバスルームから現れているんだよ !?後、撮影って何だ!?」

 

「いっくんと銀髪ロリがヤっているところを撮影してドイツ軍に売るんだよ。それなのに、いっくんのヘタレぷりにはガッカリだよ」

 

「いやいや、俺に何を求めているんだよ!?」

 

「貴様は聖なる学舎で何を考えているんだ!?」

失敗したし、早く朝食を食べて寝るか。

 

「おい、銀髪ロリ。次の作戦は後で考えるとして飯を食いに行くぞ」

 

「私としては、このまま続けてもいいのだが」

 

「いや、良くねぇよ!」

 

「……仕方ないか」

いっくんに言われて渋々、銀髪ロリは諦めた。

 

「いっくんは何が不満なんだ?銀髪ロリは見た目は良いだろ。それともあれか?胸がないからか?お前は女性の価値を胸でしか計れない男なのか?」

ここで直接、本人に性癖を聞いてみよう。

 

「何、一夏。それは本当か!?何て不埒な奴なんだ!」

いや、侍娘は胸が大きいから良いだろ。貧乳とか、めちゃくちゃ可哀想だな。

 

「ちょっと待て!朝から何て展開なんだ!俺は胸だけで女性を判断していない!」

 

「でも、いっくんの部屋の机の二重底の下にあったコレクションは巨乳物が多かったぞ」

睡魔で若干テンションがおかしいな。早く朝食を食べたいのに何をやっているんだ、俺は。

 

「何で知ってるんだ!?」

 

「何で知っているかは問題ではない。真実を言え」

真実は暇潰しに勝手に侵入して色々と調べたからだ。ちーちゃんの部屋は面白かった。何と言うか凄く散らかっていた。いっくんが表面的なところは掃除していたので綺麗だったが、それ以外のところは凄かった。一万円札をタンスの後ろで発見した時はビックリした。当然、持って帰った。

 

「い、いや……それは……たまたまだ。そうだ、たまたまだ。弾が勝手に持って来ただけだ」

他人に罪を擦り付けるとか酷い言い訳だな。いっくんがエロ本を買っているところをウサギがハッキングした衛星カメラで確認しているから、それが嘘だと分かる。て言うか、エロ本じゃなくて性癖の方を聞きたかったんだが。

自白していたら俺が盗聴機で録音した音声を貧乳達に聞かせて、さらに面白いことになっていたんだが。残念だ。

 

「一夏!そこになおれ!貴様のその腐った根性を叩き直してやる!」

いや、高校生がエロ本を持っているのは普通だから。むしろ健全だから。俺はネットで済ませてるから持ってないが。

 

「じゃあ、俺は朝食を食べに行くが銀髪ロリはどうする?」

 

「私は嫁を助けてから行く」

 

「そうか。頑張れ。制服はここに置いておく」

これで銀髪ロリの好感度が上がったら良いな。

 

 

 

 

 

「……やっぱり私の貧相な体では駄目なのだろうか?」

放課後、銀髪ロリは俺の部屋に今朝のことを相談しに来た。

 

「巨乳なんて、どうせ垂れるだけ」

かんちゃんは周りに胸が大きい人が多いから自分と比べて気にしている、と前にのほほんさんが言っていたな。

そんなに気にしなくても普通にあると思うが。もしかして前に機嫌が悪かった理由って、いっくんが巨乳好きだからか?

 

「大丈夫だ。いっくんも少なからず反応はしていた。それにコレクションの中には少ないけど貧乳物もあった。いっくんも全く興味がないわけではない」

 

「そうか、そうだな。まだ諦めるには早い」

 

「ああ、そうだ。まずは週末に姐さんが言っていた水着を買いに行くか。そうだ、かんちゃんも一緒に水着を買わないか?ついでに俺も買う予定なんだが」

俺も銀髪ロリのことを言えないんだよな。学校指定の水着しか持っていない。

 

「……行かない。学校指定の水着で充分」

それじゃあ困るんだよな。たっちゃんに、かんちゃんの水着写真を撮ってくるように頼まれているから。適当に露出の高い水着を買ってプレゼントするか。

 

「私も水着を買う」

 

「いや、黒はいらないだろ?自由に服装を変えられるんだから」

 

「私が今、読んでいる漫画に書いてあるのよ。一緒に水着を選んで買うことに意味があると」

それって二人っきりの時にすることじゃないか?今回の目的は銀髪ロリの水着を買うことだぞ。

 

「まぁ、いいか。黒の水着も買うか。銀髪ロリもそれでいいか?」

 

「私は構わない。だが、いつも悪いな」

 

「ん?いきなり、どうした?」

 

「いや、いつも世話になっているのに私はお礼が出来てないな、と思ったのだ」

クロエも銀髪ロリを見習ってほしいな。あいつ、料理とかその他諸々を教えても感謝の言葉すら言わないからな。

 

「いきなり、そう言われても困るな。俺も好きでやっているわけだし」

それに黒ウサギ隊に写真とかを売っているおかげで、かなり儲かってるし。

 

「私が何かしないと気が済まないのだ」

う~ん、どうしたものか。銀髪ロリのことは世話をしているうちに妹のように思えてきたし。……ん?なるほど、妹か。ランランを見てから妹には興味があったんだよな。

 

「だったら俺のことをお兄ちゃんと呼んでくれないか?」

多分、俺の方が年下だけど。ちなみに俺の誕生日は二月二九日。そのせいで両親が四年に一回しか誕生日を祝ってくれなかったという嫌なエピソードがある。

 

「……同級生にお兄ちゃん呼びをさせるとか変態」

かんちゃんが何か言っているが無視だ。

 

「それだけで良いのか?」

 

「ああ」

 

「じゃあ、お兄ちゃん」

ぐわっ!俺は今まで自分のことを理性の塊で、理性でどうにか出来ない感情なんて無いと思っていた。だが、この心から溢れで出る感情は何だ!黒の獣耳も良いけど、それとは別の良さがある。

俺は気付いたら銀髪ロリの頭を撫でていた。

 

「ふわっ!いきなり何をするのだ!?」

 

「いや、つい。もうちょっと撫でていていいか?」

 

「ああ、これでお兄ちゃんが満足するなら良い」

何だ、この可愛い生き物は!?

 

「ちょっと深夜!ラウラだけズルい。私も撫でてよ!」

黒が狐の耳と尻尾を出して飛び込んできた。

 

「……変態」

かんちゃんがまた何か言っているが、今はそれどころではない。何か新しい扉を開きそうだ。

 

 




ぶっちゃけ、ラウラのお兄ちゃん呼びは完全に作者の願望です。

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