ISに告白された少年   作:二重世界

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第26話 二回戦

「さぁ、休憩時間も終わり、今から学年別トーナメント二回戦が開始されます。実況は引き続きこの私、新世界の神こと飛原深夜が。そして」

 

「いや、まだ話が終わってないわよ。結局、かんちゃんとはどうなの?」

 

「その話は後にしろ、更識姉」

ちーちゃんに注意されて渋々といった感じで、たっちゃんは解説を開始する。

 

「解説も引き続きこの私、簪ちゃんは私の嫁、生徒会長の更識楯無がお送りします」

 

「そして私が特別ゲストのIS学園で教師をしている織斑千冬だ」

何故、ちーちゃんが中継室にいるかというと俺にも良く分からない。

かんちゃんのことで休憩時間に揉めていた時に急に現れて、次の試合は自分も実況をすると言ってきやがった。まぁ、そのおかげで騒ぎが収まって今、ちゃんと実況が出来てるからいいけど。

 

「私は何となくここにいる、新世界の女神こと黒です」

黒は持ってきたゲームが退屈で飽きた、と言って実況に参加してきた。

まぁ、基本的に見てるだけだと思うが。

 

「何か人が増えましたが気にしないでいきましょう。二回戦も一回戦に引き続き注目の組み合わせです。世界で初めての男性操縦者、織斑一夏とまたもや男性操縦者にしてフランスの代表候補生、シャルル・デュノアのペアVSドイツ軍でブリュンヒルデの元教え子にしてドイツの代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒです」

にしても何で一回戦と二回戦に代表候補生が集中してるんだ?これじゃあ、三回戦以降が盛り上がらないだろ。こんなの三流のエンターテイメントでもあり得ない。

 

「ちょっと待て!何で私の名前が紹介されてないのだ!」

侍娘が何か抗議してきた。

 

「必要がないからです。誰も貴女に注目していませんから」

正確にはハッキングして試合を見ているウサギは注目しているだろうが。だが、そのウサギも侍娘が活躍するとは思っていないだろ。

 

「何だと!それはどういう意味だ!?」

そんなことも分からない馬鹿を相手にするのはめんどくさいな。

 

「じゃあ、ここで何故かいる元ブリュンヒルデの織斑千冬先生に試合の予想を聞いてみましょう。この試合をどう見ますか?」

 

「そうだな。今の織斑達がラウラに一対一で勝つのは不可能といっても過言ではないだろう。だからあいつらは邪魔な篠ノ之をすぐに倒して二対一にもっていく必要がある。そうすれば戦い方次第では勝つことも可能だろう」

分かりやすいくらい、いっくん目線の予想だな。

 

「選手入場を開始します。まず赤コーナーからは全世界のモテない男の敵、織斑一夏とIS『白式』。そして私の最悪の敵、シャルル・デュノアとIS『ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ』の入場です』

 

「おい、何だ、その意味の分からない紹介は!」

 

「そうだよ。もっとマシな紹介の仕方はないの?」

いっくんとシャルが抗議しながら入場してきた。何か抗議が多いな。

 

「お前はまともにやるということが出来ないのか?」

 

「失礼ですね。的確に二人を表した紹介ですよ」

 

「深夜ちゃんは簪ちゃん以外には毒舌ね。一回戦も外国人ペアの陰に隠れたけど刹那ちゃんに変態とか言ってたし」

毒舌なのだろうか?真実をそのまま言っただけなのに。

 

「まぁ、いいです。まずは織斑――」

 

「織斑一夏の紹介は姉である私がしよう」

もしかして、この為に来たのか?俺がいっくんの訳の分からない紹介をしないようにするために。もしくは弟を自慢するために。

 

「織斑一夏はまだ経験が少なく未熟ではあるが、その分試合中でも成長する可能性を秘めており相手にとっては脅威だろう」

軽く引くくらいべた褒めだな。俺なら恥ずかしくて言えないな。

 

「千冬姉……」

いっくんが褒められて感動している。

 

「織斑一夏」

銀髪ロリは親の仇を見るような目で、いっくんを睨んでいる。

 

「次は専用機の『白式』の説明だな。白式の装備は近接ブレード『雪片弐型』のみだ。これは私が現役時代に使っていた雪片の後継である。さらに私のIS『暮桜』と同じワンオフ・アビリテイ『零落白夜』を持っている。まぁ、私と同じ武装を使うには本人が能力不足だがな」

最後のはただの照れ隠しだな。どう見ても弟が自分と同じ武装を使うことに繋がりを感じて喜んでいるように見えるな。

何か良い歳して気持ち悪いから銀髪ロリを応援するか。

 

「ギロッ!」

ちーちゃんが俺を睨み付けてきた。元世界最強だけに迫力が凄いな。

 

「次はシャルル――」

 

「シャルルくんの説明は私がするわ」

今度はたっちゃんに紹介を邪魔された。何の嫌がらせだ。

 

「シャルルくんは事前に武装を呼び出さずに戦闘に合わせて呼び出す『高速切替(ラピッド・スイッチ)』を得意にしている器用な選手です」

そういやシャルとは、まだ戦ってなかったな。にしても俺の本気の時のプレイスタイルに似ているな。今ままでは最初に出した武装だけで充分だったからしてないけど。

 

「そして専用機の『ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ』は量産機であるラファール・リヴァイブのカスタム機で機動性と加速性が高くなっています。さらに基本装備をいくつか外して拡張領域を倍にしてあります」

専用機の性能も黒に似ているな。まぁ、コンセプトは違うだろうが。

て言うか機動性の高い機体が多いな。防御力の高い機体とかはないのか?

 

「次は青コーナーから一年最強の戦士(俺は除く)のラウラ・ボーデヴィッヒとIS『シュヴァルツェア・レーゲン』の入場です」

 

「見ていてください、教官。私の強さを証明してみます」

銀髪ロリの視線には、ちーちゃんしか見えていないのか。だが残念だな。ちーちゃんの目には弟しか映っていない。

 

「だから私の紹介をしろ!」

再度、侍娘から抗議が来たところで電話がかかってきた。電源はちゃんと切っていたと思うんだが。

 

「ちょっと失礼します」

 

「電源ぐらいちゃんと切っておけ、馬鹿者」

ちーちゃんに注意されて電話に出る。

 

『しっくん、ちゃんと箒ちゃんの紹介しないと束さん、怒ちゃうぞ。ガオー』

ウサギからの電話だった。こいつなら何をしてきても不思議じゃないな。

 

「はぁー、仕方ないか」

下手にごねられてトーナメントの邪魔をされても面倒だ。

 

『うんうん。しっくんは物分かりが良いから大好きだよ。ちゅー』

 

「黙れ、シスコン」

そう言うと俺は携帯の電源を切った。にしても、いつもおかしいけど今日はさらにテンションがおかしかったな。

 

「えっ!呼んだ?」

たっちゃんがシスコンという単語に反応してきた。たっちゃんの中にはシスコン=自分という方程式があるのだろうか?

 

「違いますよ」

 

「誰からの電話だったんだ?」

 

「ウサギから。箒ちゃんの紹介もちゃんとしろ、だとさ」

さすがにこの発言は会場に聞こえないように言う。まぁ、大丈夫だとは思うが念のため。

ちーちゃんは予想していたのか、あまり驚いていない。だが、たっちゃんは驚いた顔をしていて声を出さないようにするので必死そうだった。黒は喋ることがなくて暇なのか俺に抱き付いている。

 

「えー、じゃあ、要望通りに紹介します。去年の中学の剣道の全国大会で優勝している篠ノ之箒とIS『打鉄』です」

正直、侍娘に関しては褒める部分がこれしか思い付かない。後、胸が大きいというのもあるが、さすがに人前で言っていいことではない。

 

「次はラウラ選手の紹介ですが織斑先生がしますか?」

 

「いや、いい。お前がやれ」

銀髪ロリが泣きそうな顔をして、こっちを、と言うかちーちゃんを見ている。さすがの俺も可哀想に思う。

 

「え~と、ラウラ選手は軍人というだけあり戦い馴れており強力な選手です。ISの『シュヴァルツェア・レーゲン』はドイツの第三世代機で最大の特徴はAIC、アクティブ・イナーシャル・キャンセラーです。一対一なら、これほど厄介な能力もないでしょう」

 

「毒舌の深夜ちゃんが珍しく褒めてるわね」

まぁ、実際に今、一番興味を持っているのは銀髪ロリだからな。

 

「じゃあ、ついでに篠ノ之箒の紹介もしましょう。剣道が得意ということで剣の扱いは、そこそこ上手いですが他は一般的です。ISの『打鉄』は量産機ですから観客の皆さんも性能を知っていると思うので説明はしません」

また、つまらぬ物を説明してしまった。

 

「じゃあ、一通り紹介も終わったところで試合開始」

 

「「叩きのめす」」

俺が試合開始の合図を言うと、いっくんと銀髪ロリは同じ言葉を言い試合が始まった。




今回は紹介だけで話が終わってしまいました。戦闘はまた次回に。

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