ISに告白された少年   作:二重世界

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第24話 準備

昼休み、俺は弁当を持って生徒会室に来ていた。

 

「いきなり呼び出して何の用だ?」

 

「うん。今度の学年別トーナメントの話でね」

学年別トーナメントか。刹那っちの専用機の整備やその他諸々忙しくて、まだ何もしてないな。

 

「深夜くんに実況をやってもらおう、って職員室でなってるみたいなのよ」

 

「俺的には助かるが、何でだ?」

 

「織斑先生の提案らしいんだけど何か問題を起こす前に適当にやらせておこう、ってことらしいのよ」

俺が問題児みたいに聞こえるな。

 

「前回のクラス代表戦では何もしていないのに」

 

「それは織斑先生が事前に全部確認したからだだね~」

のほほんさんが弁当を食べながらツッコんできた。弁当をこぼしているのが気になるな。

 

「実況は俺がやるとして解説は誰がやるんだ?」

 

「それはこの楯無お姉さんにお任せ」

 

「二人共、真面目にやってくださいね」

今度はうっちゃんからのツッコミだ。こっちは綺麗に食べている。姉妹でも全然違うな。

 

「失礼ね、虚ちゃん。私達はいつでも真面目よ。ねぇ、深夜くん」

 

「たっちゃんはともかく俺は常に真面目だ」

 

「いやいや、どう考えても深夜くんの方が問題児でしょ」

 

「俺よりもいっくんの方が問題児だと思うぜ」

この場にいない人間に責任を押し付ける。

とは言え、あいつが問題児なのも事実だからな。

 

「確かにね。織斑一夏くん関連でかなりの学園の備品が壊れているし。でも深夜くんが女の子達を唆した結果だという噂もあるんだけど」

誰だ、そんな間違ったことを噂しているヤツは。

 

「ああ、それとルール変更もあるから」

 

「ルール変更?」

確か一対一のトーナメント戦だったよな。

 

「そう。より実戦的な模擬戦闘を行うために二人組での参加になったのよ。ちなみにペアの出来ない可哀想な子は抽選で選ばれた生徒同士でペアを組むことになるわ」

ふむ。だったら、かんちゃんと刹那っちをペアにしようか。にしても刹那っちを誘ってて良かったな。そうじゃなかったら俺が参加しない以上、かんちゃんは絶対にペアを組めないからな。

 

「まぁ、話はこんなところで終わりかな。ところで深夜くん。一つ気になってるんだけど、いい?」

何か今から話す内容の方が本題みたいな空気を出しているな。

 

「何だ?」

 

「深夜くんが食べてる弁当って自分で作ったの?何か前に見た時と全然違うけど」

 

「いや、かんちゃんが作った物だ」

 

「ヘ、へぇ。簪ちゃんがねぇ……。私は作ってもらったことないのに」

物凄く顔がひきつっているな。弄りたくなる。

 

「私にも食べさせなさい」

 

「自分で頼めよ。仲直りしたんだろ」

すでに俺が二人を仲介して仲直りさせることに成功している。仲良き事は美しき哉。

 

「い、いや、自分で頼むのは……その……」

どうも妹だけには強く出れないみたいだ。

 

「あれ~?確か前にかんちゃん、ヒハランに弁当を作ってもらってたような……」

 

「気が向いた時にお互いに弁当を作りあっているからな」

 

「……何それ?何か仲良過ぎない?本当に付き合ってないの?羨ましい……。仲直りしても私には冷たいのに……」

たっちゃんから嫉妬の視線が向けられている。

にしても仲良過ぎねぇ。普通だと思うが。

 

 

 

 

放課後、俺は刹那っちの専用機『ブラッディカルテット』の稼働実験のために、かんちゃんも連れて三人で第三アリーナに向かっている途中だ。

ちなみに全員、同じ更衣室でISスーツに着替えた。かんちゃんは慣れているが刹那っちまで普通に男の前で着替えるとは。刹那っちに羞恥心という概念は無いようだ。

 

「……何で私まで」

 

「今度の学年別トーナメントで私とペアを組むんだから、簪ちゃんも私の能力を知っておく必要があるでしょ?」

 

「貴女と組むとは決めていない」

まぁ、確かに刹那っちは危険人物だからな。性的な意味で。かんちゃんの気持ちも分かる。

 

「じゃあ、かんちゃん。誰とペアを組むんだ?俺は出ないぞ。人見知りのかんちゃんが知らない人間とペアなんて出来るのか?」

 

「ぐっ!仕方ない」

 

「そうそう、仕方ない。だから私とペアを組もう。そしてチームワークを深めるために私と今夜ベットでイタッ!」

かんちゃんが刹那っちを殴った。

 

「調子にのらないで」

 

「ごめん。でも諦めないよ」

何回断れて諦めないな。さすが殺し屋。不屈の精神の持ち主だな。

 

ドォォォォン!

 

アリーナの方から爆発音がした。

 

「ん?もう先客がいるのか?」

トラブルの匂いがしたので俺は走ってアリーナに入った。

 

「はっ!二人がかりで来たらどうだ?一足す一は所詮二にしかならん。下らん種馬を取り合うようなメスに、この私が負けるものか」

アリーナにはISを展開して銀髪ロリが貧乳とパッキン女と睨み合っていた。

 

「おい、銀髪ロリ。男が駄目なら女を取り合うのならいいのか?」

 

「飛原深夜か。今のはどういう意味だ?」

 

「お前、織斑千冬が好きだろ?」

 

「なっ!いきなり何を言うのだ、貴様は!」

うわぁ、分かりやすいぐらい顔を赤くしているな。

にしてもさすが同じ遺伝子から生まれただけあるな。クロエと同じで歳上の女性が好きなのか。

 

「いいだろう。今、この場で先日の決着をつけてやる」

 

「どうかしたの?」

かんちゃんと刹那っちも追い付いてきたようだ。

 

「ああ、そうだ。刹那っち、ちょうどいいから銀髪ロリと戦ってみないか?」

 

「へ?いやいや、いくらなんでも無理でしょ。私、今から初めての練習をするところなのに。それで代表候補生に勝てるわけないでしょ」

まぁ、一理あるな。だが、練習なんだから負けても問題ないだろ。それとも殺し屋故の考え方か?殺し屋は一回負けただけで終わる可能性が高いからな。負ける戦いはしないということか?

 

「お前の代わりにそこの女が戦うのか?」

 

「ああ、そう――」

 

「何で私を無視して話を進めんてんのよ、あんた達!」

俺の台詞は貧乳によって遮られた。そういや、いたな。完全に忘れてた。

 

「あの鈴さん……。私を、ってわたくしは数に入っていませんの?」

 

「最近、出番が少ないんだから邪魔しないでよ!」

パッキン女は数どころか視界にすら入っていないようだ。

 

「いきなり出番とか、またメタ発言かよ」

 

「大丈夫よ。ツッコミのためならメタ発言も作者から許可されてるから」

 

「作者!?」

さすがの俺も今の発言には驚きを隠せない。作者から許可とかマジか?

 

『ツッコミを増やすために特別に許可を出した』

 

いきなり頭の中に聞いたことのない声が聞こえてきた。今のが作者か?

それよりもツッコミという名の新たなボケを生み出したようにしか思えないが。

 

「結局、誰が私と戦うんだ?私は三人がかりでも構わんが」

 

「おい、貴様。また罰をくらいたいのか?」

ちーちゃんが急に気配もなく表れた。

 

「きょ、教官!何故ここに!」

 

「飛原に用があって探していたんだ。後、教官ではなく織斑先生と呼べ」

俺に用?まだ何もしていないはずだが。

 

「で、今度は何の騒ぎだ?」

 

「い、いえ……、そ、それは……その」

言い淀む銀髪ロリ。

そう言えば、何でこんなことになってんだろうな?トーナメント前に敵を潰そうとしたわけじゃないだろ。銀髪ロリからしたら貧乳もパッキン女も敵じゃないだろうからな。するとストレス発散か?

 

「まぁ、いい。これ以上の面倒ごとは勘弁だ。お互いに不満があるなら学年別トーナメントで決着をつけろ。いいな?」

参加しない俺はどうすればいいのだろう?

 

「他のヤツらも、それでいいな?」

 

「「「はいっ!」」」

ちーちゃんの迫力に押されて関係ない、かんちゃんまで返事をする。ちなみに俺と刹那っちはしていない。

 

「ところで俺に用事、って何?」

 

「ああ、すでに更識……そう言えば妹がいたな。めんどくさい。すでに更識姉から聞いていると思うが次の学年別トーナメントの件でな」

 

「それって急ぐのか?今から刹那っちとかんちゃんの練習を見る予定なんだけど」

 

「いや、ただの確認事項だから急ぐ必要はない。じゃあ、終わってから私の所に来てくれ」

 

「了解」

 

そしてちーちゃんが帰り、その後に銀髪ロリも何処か別の場所に移動した。俺達も貧乳達に練習を見られないようにするため別のアリーナに移動して練習を開始した。

かんちゃんの調子は良かったが、さすがに刹那っちは初めてということもあり上手くいかなかった。だが殺し屋というだけありセンスは良く本番までには間に合うだろう。

本番が楽しみだ。




次回は遂に学年別トーナメントが開始。
天吹刹那の専用機の説明に鈴の活躍を予定しています。

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