ISに告白された少年   作:二重世界

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第17話 日常

「おい、一夏!何で可愛い女の子を二人も連れてきてんだよ!両手に花か!羨ましいんだよ、こんちくしょー!俺に一人ぐらい紹介してくれてもいいじゃねーか!」

俺は今、いっくんの親友の五反田弾とかいうヤツのところに来ている。

理由は面白そうだからついてきた。後、いっくんの情報を手に入れるために。この前、テレビで見た高級料理を食べてみたくなったから、金を貯めている。

ちなみに、もちろん俺は女装している。

 

「いきなり何言ってんだ、お前の親友は?」

 

「気にしないでくれ。いつものことだから」

 

「深夜か私に手を出したら殺すけど、いい?」

 

「さすがに殺すのはやめてくれ」

めんどくさそうだな、こいつ。若干、後悔してきた。

 

「て言うか、弾。ここに可愛い女の子はいないぞ」

まぁ、確かにそうだな。

 

「何言ってんだ?」

 

「俺は男だ」

 

「私は人間じゃないわよ」

 

「は?どういう意味だ?説明してくれ」

 

「いいけど、話した内容を口外した場合、下手したら戦争になるけどいいか?」

戦争もいいかもしらないけど、まだ早いな。

 

「良く分からないけど、話さなくていいわ」

 

「ふむ。懸命な判断だな」

 

「お兄!さっきからお昼出来たって言ってんじゃん!さっさと食べに――」

ドアを強引に蹴り開けて赤毛の女の子が入ってきた。

お兄か。痛みを伴うプレイは好きじゃないが、こういうのはアリだな。

 

「あ、久しぶり。邪魔してる」

 

「い、一夏さん!それに可愛い女子を二人も……。そんな……」

何かさっきも見たリアクションだな。

 

「いっくん、こいつは誰だ?」

 

「ああ、弾の妹で蘭っていうんだ」

 

「ところでそちらの二人は一夏さんの何ですか?」

今の質問で、この女がいっくんをどう想っているか分かったな。

何故、いっくんはこんなにモテるのだろうか?謎だ。顔か?

 

「こっちはクラスメイトの飛原深夜。で、こっちはその専用機の黒だ」

俺のことを口外するのは禁止されているはずなんだが。何で簡単に喋っているんだ?

こいつがモテる理由はこれか?女は馬鹿な男に引かれやすいのか?

 

「間違ってるわよ。私は深夜の恋人よ」

最近、黒のキャラが少しずつ戻ってきた。これも俺の努力の賜物だな。

 

「え!女の子同士で!?」

 

「俺の名前を聞いていなかったのか?俺は男だ」

 

「どう見ても女にしか見えないぜ」

 

「それでも男だ」

ふむ。俺の女装はそんなに似合っているのか?今のところバレたことがないな。

 

「それよりも着替えなくていいのか?男の前でその格好は恥ずかしいだろ?」

 

「えっ!?あ……そうですね。着替えてきます」

ショートパンツにタンクトップという、かなりラフで露出の多い格好をしている。

それを急に思い出したように焦って部屋から出ていった。

 

「……お前のその格好は恥ずかしくないのか?」

 

「貴女は何言ってるの?この可愛い格好が恥ずかしいって言うの?」

 

「確かに。アリだな」

着替えよう。こいつ、気持ち悪いな。

 

「よし、殺そう」

そう言って、黒が縄を出して赤毛野郎を縛りつけた。

 

「も、もっとやってくれ!」

縛られて喜んでいる。本格的に気持ち悪い。

 

「……おい、いっくん。お前の親友は変態か?」

 

「悪い……。こういうヤツなんだ」

いっくんの知り合いにまともなヤツはいないのか?

いや、俺も人のこと言えないな。

 

「深夜、どうする?」

 

「とりあえず気絶させておけ。その間に俺は着替える」

 

「分かったわ」

そして黒は赤毛野郎の首を力ずくに絞めて気絶させた。

 

「おい、死んでないだろうな?」

 

「大丈夫じゃない。多分」

 

「……本当に大丈夫か?」

 

「どうでもいいだろ」

とりあえず俺は男用の服装に着替えて、その後は赤毛野郎をたたき起こして、黒が指輪に戻ったら一階の食堂に移動した。

赤毛野郎の家は食堂をやってるようだ。

 

「うげ」

俺達の昼食が用意してあるテーブルに先客がいるのを見て赤毛野郎が露骨に嫌そうな声を出した。

その理由はおそらく、着替えて露出の少ない格好になっているからだろう。

 

「何?何か問題でもあるの?あるならお兄ひとりで外で草でも食べてたら」

 

「聞いたか、お前ら。今の優しさに溢れた言葉。泣けてきちまうぜ」

本当に嬉しそうな顔をして泣いている。

こいつ、マゾでシスコンとか人として色々終わっているだろ。

 

「おい、ランラン。あいつを罵倒するな。喜ぶから」

ランランに近付いて周りに聞こえないように話かける。

 

「いきなり馴れ馴れしいですね。ところでどういう意味ですか?」

 

「そのままの意味だ。あいつは本物のマゾだ。だが、優しくしたらしたらで喜ぶだろうな。だから、あいつのことはいない者として扱え」

 

「アドバイスありがとうございます。次から、そうします」

 

「もし上手くいかなくなったり、悩んだことがあったら、いつでも相談に乗るぜ。これが俺の電話番号とメルアドだ」

俺は電話番号とメルアドを書いた紙を渡した。

何となく、いっくんを好きな連中の中で一番仲良く出来そうな気がする。ランランを応援しようかな。

 

「深夜は蘭といきなり仲良くなっているな。俺にはまだ心を開いてくれないのにな」

こいつは何を言っているのだろうか?

それともアレか?こいつもツンデレか?

 

「な、何を言ってるんですか!?そんなことないですよ!」

 

「気をつかわなくていいぞ。それよりも、そんなオシャレしてデートでもいくのか?」

まぁ、確かにデートに行くみたいな格好だが。

 

「違いますっ!」

 

「これをやるから落ち着け」

そう言って、俺はいっくんの写真を渡す。

 

「あ、ありがとうございます!大事にします」

 

「気にするな。また今度、別のをやる」

 

「おい、お前!何を人の妹と仲良く――」

バシッ!

目にも止まらない速さのアイアンクロー。凄いな。全く無駄なく相手を殺す動きだ。

 

そして、何かアイコンタクトをした後に赤毛野郎が怯えたような顔で何度も頷いている。マゾでも今のは怖かったか。

 

「おい、いつまでも喋ってないで速く食え!」

怒鳴ってきたのは赤毛野郎とランランの祖父の五反田厳だ。最初に来たときに挨拶したが、ただ者じゃないな。八十を過ぎているらしいが、明らかに今時の若者よりも元気だ。

 

とりあえず席について昼食を食べることにした。

 

「そういや、いっくんってIS学園ではかなりモテているな」

 

「なっ!やっぱ、そうなのか?」

 

「そうなんですか!?」

とりあえず暇なので雑談を始める。

 

「そんなことはないぞ。ただ男が珍しいから寄ってきているだけだろう」

 

「ちなみに女子と同棲していたぞ」

まぁ、男と女がいつまでも同じ部屋で過ごすのは教育的に良くないだろう、ということで今は引っ越しをして、いっくんは一人部屋なのだが。

ちなみに俺はまだ普通にかんちゃんと同室だ。色々と根回しをした結果である。

 

「だ、誰とですか!?」

 

「いや、今は――」

 

「幼馴染みの篠ノ之箒だ。ちなみに胸が大きい。もちろん、ラッキースケベで風呂を覗くという定番のイベントもおきている」

 

「な、何で知ってるんだよ!?」

本当にあったのか。適当に言っただけなんだが。

 

「一夏、てめぇ。羨まし――」

 

「私、決めました」

おっ!早速、赤毛野郎をいない者扱いして言葉を遮るか。やるなぁ。

この後は俺達も赤毛野郎が何を言ってもいない者扱いして会話を続ける。

 

「私、来年IS学園を受験します」

 

「え?でもIS学園って推薦ないし難しいんじゃ」

 

「何なら俺が裏工作で入学させてもいいが」

テストの答えを盗んでISランクを上げれば簡単に入学出来るだろう。

 

「そこまでしなくても大丈夫ですよ!筆記で普通に入れますから。それにこれを見てください」

そう言うとランランはポケットから紙を出して俺に渡す。

 

「へぇ。凄いな」

 

「何が書いてあるんだ?」

いっくんが覗きこんできた。

 

「IS簡易適性試験、判定A」

 

「問題はすでに解決済みです」

俺が何もしなくていいというのは残念だな。まぁ、他にもすることがあって忙しいからいいか。

 

「ですので、い、一夏さんにはぜひ先輩としてご指導を……」

 

「ああ、いいぜ。受かったらな」

 

「約束しましたよ!絶対の絶対ですからね!」

物凄い勢いだな。

いっくんは何でこんなに分かりやすいのに好意に気付かないのだろうか?

 

「だったら俺は入学祝でもやるか」

 

「入学祝ですか?」

 

「ああ、専用機をやるよ」

 

「「……は?」」

二人の声がハモる。

 

「……えーと、どういうことですか?」

 

「そのままの意味だ。今、俺が造っている機体があるから入学、出来たらやる」

 

「おい、ISを造っているってどういうことだ?コアとかないだろ?」

 

「あるぜ」

この前、ウサギのところに行った時いらなくなったコアがあるからって貰ったんだよな。

でも一から造るのは、やっぱ難しいな。第四世代機は無理だけど、一年あれば第三世代機は造れるといいな。武装は黒のを応用すれば何とかなるだろう。

 

「いや、そこまでしていただくわけには……」

 

「気にするな。俺が趣味でやっていることだから」

 

「……何か蘭には優しいな。何か企んでいるのか?」

失礼なヤツだな。まぁ、いっくんには色々迷惑をかけているから、そう考えるのも無理ないか。

 

「企んでいる、ってほどじゃないさ。それにいっくん以外には優しいぜ」

後、侍娘にも優しくしてないな。いっくんとは違う理由だが。

 

「何で俺だけ……」

 

「そっちの方が面白そうだからだ」

 

昼食を食べ終わって戻ろうとした時に赤毛野郎が床に倒れていたので踏んでしまった。

何があったのだろうか?

 

 

 

 

「あら、深夜くん。デートの帰りかしら?」

IS学園に帰ってきて、いっくんと分かれて部屋に戻る途中でたっちゃんに会った。

 

「今日は違う。いっくんが中学時代の親友のところに遊びに行くって言うからついていってたんだよ」

 

「ふーん、そうなんだ。ところで面白い情報があるわよ」

 

「面白い情報?何だ、それは」

 

「今度、深夜くんのクラスに転校生が二人くるのよ」

 

「また転校生?しかも何で同じクラスなんだ?普通、 分けるだろ」

IS学園は何を考えているんだ?どう考えてもおかしいだろ。

 

「さぁ、そこまで知らないわ。ただ二人とも訳ありぽっいのよね。深夜くん的には大歓迎でしょ?」

訳ありの転校生か。どう考えてもいっくんが狙いだろうな。

 

「ああ、大歓迎だ。ところで転校生ってことは代表候補生なんだろ?どこの国なんだ?」

 

「確か、フランスとドイツだったとはずよ」

ドイツか。確か前にちーちゃんがいた国だな。

 

「ふむ、面白そうだな。ところで、いつ来るんだ?」

 

「明日」

 

「は?」

 

「だから明日」

いきなりだな。何で今まで俺に情報が来なかったんだ?

 

「ただの意地悪よ。その驚く顔が見たかっただけよ」

こいつも性格悪くなったな。それとも元々そうだったのか?

 

「はぁ。じゃあ、俺は部屋に戻るわ。」

 

「じゃあ、また明日ね」

そして、たっちゃんと分かれて部屋に帰った。

また面白くなりそうで楽しみだな。




次回は遂にシャルとラウラが登場します。
二人とも好きなキャラなので頑張っていこうと思います。

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