クラス対抗戦の三日前
「あれ?完成してしまったな」
「……うん」
俺達の目の前には完成した打鉄弐式がある。
「いや~、本当に間に合うとは思わなかったよ~」
「ああ、間に合うとしてもギリギリだと思っていたのに。思ったよりも余裕があったな」
「そりゃ、深夜が頑張ったからよ」
「うん。凄く成長が早かった。もう、整備科の人よりも上手いと思う」
自分で言うのもあれだが最初と比べて別人のように上達したからな。
皆が授業をしている間に新しい武装を造ったりもしたしな。早く試したいな。
まぁ、うっちゃんが何回か手伝いに来ていたけど、あれに比べるとまだまだって気もするが。さすが三年首席って言ったところだな。
「じゃあ早速、打ち上げしよう~」
「そうだね。今日はもう休みにして稼働実験は明日にしよう」
「でも、何するんだ?」
「それは勿論――」
のほほんさんが一拍おいて、意味深な感じに言う。まぁ、予想はつくが。
「お菓子パーティーだよ~」
予想通りだな。
「でも、それじゃあ私が楽しめないわよ」
そういや、一緒に作業しているうちに、黒ものほほんさんとは普通に喋るようになったな。
「そう言えば~、そうだね~。だったら、黒ちゃんは何がいいの~?」
「それはもちろん、乱交パーイタッ!」
俺が黒を全力で蹴りとばす。
「いきなり何するの?深夜って暴力を振るうキャラじゃなかったよね?」
「いやいや、お前はいきなり何を言おうとしているだ!?」
俺のキャラが最近、安定していると思ったら、今度は黒のキャラがぶれだしたぞ。前は俺が他の女をいじるのはいいけど、仲良くするのは嫌がってたのに。
……もしかして、あれか?最近、黒はエロゲーにハマっているから、その影響か?どうにかしないとな。でも、下手に怒ると逆に喜ぶからな。
くそっ!こんなに悩んだのは、生まれて初めてだ。変人の相手は楽しいが、変態の相手はしんどい。
「まぁ、いい。とりあえず、後で埋め合わせはするから今日はゆっくり寝といてくれ」
「埋め合わせって、いつもより激しいプレイ?」
本気でどうにかしよう。昔のテレビみたいに叩いたら直らないかな。
「獣耳なら歓迎だが、今回は普通にデートだ」
たまには普通のことをしたい。
「……まぁ、いいわ。じゃあ、今日は寝てるわ」
とりあえず納得したようだな。
「……大変そうね」
「最近の変態性は異常だからな。あれは治ってほしいな」
「じゃあ、早くお菓子パーティーしよう~」
こんな時でも、のほほんさんは自由だな。
「パーティーは夜でいいだろう。俺はちょっと出かけてくるわ」
「また何か企んでいるの?」
「別に。ただの暇潰しだ」
そして、俺はいっくんが練習しているアリーナに来た。
「ちょっと様子を見に来たぜ」
侍娘とパッキン女もいるな。
侍娘は訓練機である打鉄を使って一緒に練習しているみたいだ。
「深夜か。どうしたんだ?」
「用事が終わったから、暇潰しに来たんだよ。何なら練習に付き合ってやってもいいぜ」
いっくんの専用機である白式に興味があるからな。
「必要ない。私がいるからな」
「そうですわ。イギリスの代表候補生であるわたくしがいるから大丈夫ですわ」
この前、俺に手も足も出なかったのに、その自信はどこからくるんだ?
まぁ、いいか。とりあえず、久しぶりにバトって気分転換するか。
「そこまで言うなら、俺と戦おうぜ。もちろん二人同時にかかってこい」
そして、新しく造った武装の練習ついでに二人を力ずくで黙らせた。いい実験台になったな。
それが終わるといっくんの訓練に付き合ったが、正直、弱いな。だが、ウサギに聞いた通り白式自体は面白い。ワンオフアビリティーの零落白夜を越える攻撃は俺にはないからな。
クラス対抗戦二日前
俺は生徒会室に生徒会メンバーを集めて皆で弁当を食べていた。
「簪ちゃんの専用機、完成したんだって。ありがとう」
「別にお礼を言われることじゃない。俺の趣味でしただけだからな」
「ところで、その弁当、飛原さんが作ったんですか?」
うっちゃんが俺の作ってきた弁当を見ながら聞いてきた。
ちなみに弁当は各自で作ってきたが、のほほんさんの分は俺が作った。
「そうだが」
「……料理も出来るんですね?」
「まぁな。俺は両親が死んでいるから一人暮らしだったからな。料理ぐらい出来るぜ」
「それは知らなかったこといえ、デリカシーのないことを言ってすみません」
「気にしなくていいぞ」
両親が死んだおかげで、のんびり一人暮らしが出来たからな。
今みたいな生活もいいが、たまに昔ののんびりした生活がなつかしくなるな。
「ヒハランの料理おいしいね~」
「そうなの?私も食べていいかしら?」
「返事を聞く前に箸をのばすな」
弁当を持ち上げて、たっちゃんの箸を避ける。
「ちっ!少しぐらい、いいじゃない」
「ちゃんと許可をとったらな」
「じゃあ、頂戴」
「……あの私もいいですか?」
「いいぞ」
そして、俺は自分の弁当を差し出す。
俺は後でまた用意すればいいだろ。
「おいしい~」
「本当においしいですね。後で作り方を教えてもらってもいいですか?」
「代わりにISの整備の技術を教えてくれたらな」
「それぐらいならいいですよ」
そういや、今まではちょっとしたら直ぐに何でも出来たから人に何か教えてもらう、って初めてかもな。
まぁ、俺より何かで優れている人間自体にほとんど会ったことないからな。ウサギとちーちゃんは例外だが。
「ところで何で私達を集めたの?」
「ああ、クラス対抗戦で何かしたいと思ってな」
「何か、って何?」
「例えば俺が実況をするとか、前座でライブをするとか」
オモチャの実験で台無しになるんだったら、ついでに色々して遊びたいからな。
「んー。実況ぐらいならいいけど、さすがにライブは無理ね」
「ライブの方が本命だったんだけどな」
「残念ね」
まぁ、仕方ない。文化祭でやるか。
「ヒハランが実況する場合、解説は誰がするの~?」
「……たっちゃんとか?」
「私は無理よ。他に仕事があるもの」
「私も無理ですよ」
「あら、残念ね」
嬉しそうな顔しやがって。俺が上手くいかないのが、そんなに面白いのか。
当日までに何か考えてゲリラでやってやる。
放課後、打鉄弐式を造ったメンバーで第3アリーナに来ていた。
「じゃあ、稼働実験を始めます」
「了解」
そして、荷電粒子砲にマルチロックオンシステムの実験に飛行テスト。そして、俺との軽い模擬戦闘をした。
「ふむ。俺ほどじゃないけど、結構やるな」
「予定よりも調子がいい……」
「これならいっくんには零落白夜にさえ気を付ければ勝てるな。それにイギリス代表候補生のパッキン女よりも上だな。中国の代表候補生の貧乳はまだ戦ったことがないから分からんな」
ふむ。コーチをするのも面白いかもしれない。IS学園に入ってから、どんどんしたいことが増えていくな。
「ヒハラン詳しいね~」
「俺に知らないことはない」
「さっき、中国の代表候補生は分からないっていってなかったけ~?」
いつもはのほほんとしているのに、変なところで鋭いな。
「……普通気付く」
かんちゃんまで俺の考えていることが分かるようになったのか。
「終わったところで、直ぐにデート行こう」
「今からか?もうすぐ夕食なんだが?」
「私には関係ないわよ」
まぁ、確かにそうだが。俺は外で買うか、帰ってきてから作ればいいだろ。
「……分かった。じゃあ女装してくるから、ちょっと待ってろ」
俺は外出する時は女装している。理由はちーちゃんが俺に「IS学園に男が出入りしているのがバレたらめんどくさい。だから外に出る時は女装しろ」と言ってきたからだ。
「私が服装、選んであげるわ」
クラス対抗戦前日
「よぉ、貧乳。確か前に俺と模擬戦としたいとか言ってたよな?放課後、暇だからやらないか?」
俺は休み時間に2組にいる貧乳のところに会いに来ていた。
「遠慮するわ。明日はクラス対抗戦よ。機体が破損でもして対抗戦に出れなかったら、ただの馬鹿よ」
「大丈夫だ。軽い模擬戦だから、そこまでやらないさ。……それとも自信がないのか?」
「んな訳ないでしょ!いいわよ、やってあげる。あんたなんかコテンパンにしてあげるわ!」
ちょろいな。こいつの能力も知っておいた方がオモチャの性能が分かりやすからな。ついでに暇潰しにもなるし、一石二鳥だな。
さて、明日はオモチャの実験か。楽しみだな。
エピソードデルタをクリアしましたが、他にも色々したいので少し遅れる可能性があります。
普通に二日後に投稿している可能性も高いですが。
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