NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。   作:柚子ゴル

36 / 36
第二十七話

「じゃ、僕シカマルのところ行ってくるから。」

 

「いきなり和を乱す気かお前は。」

「本当に協調性のきの文字もないどうしようも出来ない女ですね。」

 

「いやちょっと白、相変わらず僕のこと嫌いすぎじゃない?」

 

「そのような行動を起こす貴方が悪いのでは?」

 

「いや、うんでもね白くん。僕がシカマルのところへ行くのはもはや決定事項であるから。例え太陽が西から東へ昇ろうとも絶対絶対これは鉄則です。」

 

「そんなふざけた鉄則すぐにでも正してあげますよ。」

 

第二試験のため、豊かな自然の中に巻物を一つ持って解き放たれた僕と白と黒葛。

試験内容は、13チームにそれぞれ天の書、14チームに地の書を渡し制限時間(120分)内に天の書地の書を二つ持って中央の塔に3人で来ること。ただし巻物の中身は絶対に塔に着くまで見ないこと。

つまり不正行為をしようとして見てしまったら失格だ。

 

僕はようやく此処まで来たと感じた。シカマルを助けるためにずっと耐えてきた第七班の仕打ち。長時間の任務は辛かったがようやく身を結ぶのかと思えばあれもいまやいい思い出だ。森に入った瞬間、先に行ったシカマルを探そうと旅立とうとすれば白に腕を掴まれどこいくんですか?と笑顔で言われ、最初の反応へと戻る。

僕は掴まれた腕を振って一言いってから素早く二人の元から逃げた。

 

「ごめんね白くん!黒葛も護衛頑張!それではアデュー!」

 

「あ、ちょ駄目ですよシカミさっ…」

「ゴキブリ並の速さだな。」

 

✳︎

 

 

「さて、シカマルは何処かなぁ?」

 

呟きながら走る。その足並みは軽やかでルンルン気分だ。

キョロキョロと見渡せばとある気になる気配に気づいた。ピタリと足を止め、隠れて息を潜める。

 

「ったく、なんでうちがこんな糞めんどくせーことしなきゃいけねーんだよ。」

 

「しょうがない。文句を言うな。大蛇丸様の命令だ。」

 

「…ちっ、その大蛇丸様がいないんじゃねーか。手分けして探せったって何処にもいやしねーよあのクソガキども。」

 

「多由也お前は女なんだからそんな言葉遣いはどうなんだ…。」

 

「はぁ?うるせーよ糞デブが。」

 

赤い長髪で3本の管が付いた黒い帽子のようなものを被っている口が悪い女が試験の文句を言う。そして女に言葉遣いを注意したのはモヒカンと頭の両側にだけ髪がある独特の髪型をした肥満体型の男。

その二人の額あてにはいずれも音忍のマークである音符があしらってある。そして僕の記憶が正しければこいつらは大蛇丸の部下。

 

そう思った瞬間鳥肌が体を巡った。頭の中ではなぜどうしてこいつらがという思想で頭がいっぱいになる。そして思い出したのはカカシのあの目。死んでしまうような心配をするような目。

僕が自信を持って言えたのは、原作を知っているから。原作では呪印をつけられはするが、ナルト達は無事だった。しかしその自信は今崩れ去った。原作では現れなかった音人四人衆の2人がいる。

シカミの額に汗が滲む。

もしかして僕が色々と変えてしまったから?僕のせいで原作が変わってきている…?ああ、でもそんなこと言ってる場合じゃない。こんな事想定外だ。もしかしたらナルト達は怪我だけではなくなるかもしれない。あのナルトのやかましい元気な笑顔も、サクラに修業をする事も、サスケにご飯を作ることもなくなるかもしれない。カカシはきっとまた僕の前で目を暗くさせ、顔では笑うだろう。そっかなんて言って。

 

「そんなの嫌だ…。」

 

ボソリと声が出る。幸い音忍には気付かれなかった。音忍はだらだらと歩きながら僕のいるところとは反対方向に歩いて行った。

 

「なんでこんな胸がもやもやするんだよ…。」

 

眉毛を歪ませ胸元ギュッとを握る。

 

僕は生まれてからずっとシカマル以外の他の人なんてどうでもよかった。だってシカマルは僕の弟でこの世で異端なはずの僕を必要と初めて受け入れてくれた存在だから。

だから、この試験のとき助けようと思って第七班のメンバーに加わった。その時は最初面倒臭いメンバーにもっと面倒臭いカカシがいてなんて怠い任務だと思った。

今まで、僕が気にかけていたのはシカマル以外でイタチだけだ。

その二人以外で僕をもやもやさせる人なんていなかった。いやそんなのいらなかった。

なのに何故?何故僕はこんなにも、もやもやしてるのだろうか。

 

主人公組は何をしても死なないものだと思っていた。原作通りに今まで事が運んでいたから主人公組が死ぬなんて考えたことなかった。だけど今崩れ去ったその知識。主人公組が死ぬかもしれないというリアルさが浮き彫りになった。その可能性は0ではなくなったんだ。

 

ゆっくりと隠れていた木から降りる。僕はある事に気付いてしまった。気付いてからはもう手遅れ。

とても認めたくはないけれど、僕はそれなりに第七班のメンバーとカカシがお気に入りのようだ。気付きたくなかった気持ち。実はずっと前から感じていたこの気持ちは僕のアイデンティティーであるシカマルへの愛を邪魔するのではと、気付かぬうちに閉ざしていた。けれど、そんなことは言ってはいられなくなってしまった。僕のお気に入りの人達が死ぬかもしれない可能性が出てきた。こんなところでゆっくりはしていられない。

 

「シカマル風に言うと、本当に面倒臭ぇ…。」

 

とある事を決意し僕は素早く行動する。とある人を探して。

 

 

✳︎

 

「でね、シカマル。僕がシカマルを探している間に、一人でいる僕を見て好機だ!って思ったのか襲い掛かってきたの!だから返り討ちにしたんだ!そこで天の書ゲットしたんだけどいる?」

 

「なんで此処にいるんだよマサキ…。」

 

「天の書くれるの?!」

「ラッキーじゃないちょっとぉ!」

 

僕が天の書をシカマルに差し出すと、チョウジくんといのちゃん目をキラキラさせて見ている。だけどシカマルは始終顰めっ面だ。それを不思議に思ってシカマル?と聞いてみるとシカマルは厳しい表情で言い放った。

 

「戻れマサキ。これは試験なんだぞ。チームじゃないお前にその巻物を貰うなんてルール違反だろ。面倒臭せーけど、お前の手は借りねーよ。」

 

俄然として厳しい表情のシカマルに僕はやっぱりなとうなづいた。シカマルは面倒くせーと言いながらやるときはやるし、不正な事はしないとても良い子に育っている。忍びとしては貰えるものは貰っとけという話だが、普通はこんな美味しい話はない。だから疑って貰わない人もいるけど、僕は別にシカマルに何をするでもないから貰ってくれればいいのに。そういうことじゃないんだろうけど。

僕はわかったと了承し、天の書を弄る。

するといのちゃんはシカマルの頭を殴った。僕は少し殺気を出しそうになったけどいのちゃんには色々と日頃からお世話になってるしそんな物はあててはいけないとなんとか沈める。いのちゃんは拳を作りシカマルに叫んだ。

 

「あんたね!くれるっていうなら貰っときなさいよ!私達がいったい誰に勝てるって言うの?!さっさと試験終わらせてサクラのバカを見返すのよ!」

 

「僕も賛成。貰っとこうよ。」

 

「おいおいチョウジまで。

知らない奴にいきなり巻物もらうとかどう考えても罠だろ。」

 

「確かに…。ってシカマルの知り合いじゃないの?」

 

「違う。」

 

「即答ひどい…。」

 

正体を知ってるチョウジはシカマルをじと目で見ている。知り合いというか姉って知ってるのにあんなこと言ったからだな。それに勿論僕はシカマルに害なんて与えないのに!

しかし、シカマルは僕の助けを受けたくないあまり正論を叩きつけいのをこちら側の味方にしようとする。

それは見事成功しいのがシカマルに論破され、知り合いじゃないと言われ悲しんでいた僕を疑いの目で見たあと、勢いよく指をさした。

 

「あんた何なのよ!

何でここにいるの?!他の二人はどうしたのよ!よく考えればあんた見たことないわ!怪しいやつ!」

 

「シカマルの所にいれるというのにわざわざ他のところに行くと思う?」

 

「…はぁ?」

「おい、お前もう隠す気0だな。」

 

いのちゃんの不機嫌な顔がさらに顰めっ面になった。シカマルははぁとため息を吐き僕を見る。そんな苦悩な感じのシカマルも素敵っ!

僕はシカマルを見ながら話す。目に焼き付けとこう。

 

「ちょっとさ、結構この試験で危険人物見つけたんだよね。だからシカマル達大丈夫かなー?と思って。」

 

「そんなのみんな危険人物よ!敵なんだから!ちなみにあんたもね!」

 

「…うんまぁそうだね。」

 

「こうなったら巻物奪うわよシカマルチョウジ!相手は1人!」

 

「了解!」

「……面倒くせーけど、それならいいか。」

 

「あはは、馬鹿正直に言うなんてやっぱり青いなぁ…。黙って笑顔を浮かべて騙して取りにくればよかったのに。」

 

にこやかに笑ってシカマル達に天の書をチラつかちせる。

やっぱりそういう悪どいやり方はまだ猿顔アスマに習ってないのか。猿顔アスマまじで役にたたねーな。あの後一度会ったことがあるけど僕の苦無ですら避けるのスレスレで焦ってて、頼りなさげ感が半端なかった。ちなみに猿顔というよりクマだった。どちらかといえば。

今は中忍試験でちょっとした知り合いですらこの反応だ。アカデミーで一緒だった人とも敵だということをわからないとこの先辛いだろうな。

僕は優しさの意味で思いっきり天の書を遠くに投げた。どのくらい飛んだかわからないけどとりあえず結構探すには時間がかかると思う。

投げた瞬間三人の呆気にとられた顔が面白くてニヤニヤしてると、いのちゃんが鬼畜死ねと叫びチョウジがひどいと呟きシカマルがクッソ面倒くせー…という雰囲気を出しながら僕が投げた巻物を追いかけていった。

 

「はぁ…これで心おきなくナルト達のところに行ける。」

 

僕が巻物を投げた方向は言わずとも、ナルト達とは逆方向で、勿論大蛇丸の手下共と離れた方向だ。これでそんなに強い敵はいないだろう。

ナルト達のところへ行こうと思ったけど、一にシカマル二にシカマル三四にシカマルで五にシカマルな僕がシカマルより先にナルト達の方へ行くなんて天地がひっくり返ってもないから。そこまでうぬぼれんなよナルト共。

 

「とりあえず行きますか…。」

 

ああ、憂鬱。昔から大蛇丸は大嫌いだ。気持ち悪くて気持ち悪くて…もしかしたら僕今日死んじゃうかもなぁ。ああやだやだ。僕はシカマルのために死にたいのに。あ、なんか今フラグ立てちゃった?いやいやフラグクラッシャーな僕に折れないフラグはない。…はず。

とりあえずサスケはまだ呪印つけられてないといいね。つけられてたらもう無理残念。お気に入りの人でも死んじゃうことはあるよでスルーしよう。……案外薄情な奴かも。僕。

 

 

✳︎

 

 

「ちょっとナルト!その葉に触れちゃダメよ!それは触るだけでも痺れる葉なの!うろちょろするな!」

 

「サスケくんストップ!下にアリの巣があるわ!ジャングルで一番怖いのはアリなのよ!アリは大量にいるししかもそのアリの巣から言ってナヤカグアリ。噛まれたら腫れて腐ってくわ。」

 

「…お前なんでそんな詳しいんだよ。」

「サクラちゃん物知りだってば…。」

 

「まさかと思ったけどこの森、一度来たことあるのよ…。」

 

「「……は?!」」

 

サクラは半分遠くを見ながら答えた。

死の森。それはあまりに危険な森のため一般人はおろか下忍すら入ることはできない危険区域。

しかしサクラは怯えることなくずんずん進んでいく。ナルトとサスケが危ない目に遭いそうになれば持ち前の知識で助けていた。しかしそれは本や教科書で学んだものではない。実際に見て感じたからこそどれほどこの森が恐ろしいかわかるのだ。

 

「マサキの修行の一環で、この森に一週間放置されたわ。」

 

「え、マサキが?!」

 

「ええ、朝起きたら木の上で寝てたのよ。横に苦無が刺してあってリュックと紙があったわ。そこには一週間サバイバル頑張!☆と書いてあった。リュックの中身はサバイバルとか危険な虫とか危険な動物とかの本が入ってたのよ。」

 

「へ、へぇ…。」

 

ナルトが引いた様に私もかなり引いた。あいつに。もうね、殺す気か!って思ったわね。地図もなけりゃ水もない。ここが何処だがわからない。とりあえず歩き回って誰かいないか探して始まって6日後ぐらいに塔を見つけて助けてもらったけど。マサキかなり怒られたって言ってたな。もっと怒られろと思ったわ。こっちは何回も死にかけながらどれほどハードな医療忍術を駆使したことか。それこそ本当に命懸けのおかげか医療忍術上手くなったけど…。本当に大変だった。

 

遠い目をして語るサクラにナルトは励ますように言った。

 

「サクラちゃんがいるおかげで俺たち怪我もなにもないってばよ!ありがとうサクラちゃん!な?サスケ!」

 

「あ?…ああそうだな。」

 

「ナルト…サスケくん…。」

 

そうよね役に立ってるもの。喉が渇いて蛇の血とか飲んだことだっていつか報われるわ。うん。

 

そう思いサクラは自分に言い聞かせ前向きに物事を考えた。

サクラがじゃあ行こうかと前を指差した瞬間、激しすぎる突風が第七班を襲い、バラバラになった。

 

✳︎

 

激しい風が襲った後サクラとサスケは合流し、ナルトは行方不明のままとある敵と戦っていた。その敵は凄まじく強くサスケはサクラを守りながら逃げることばかり考えていた。

ナルトはなんとか2人に合流し戦いに加わった。ナルトは逃げることを考えているサスケに激怒し敵の前だというのに喧嘩をしている。敵は勿論そんなことを許すはずなく大蛇を仕掛けてきた。ナルトとサスケはそれよりも口喧嘩をしておりサクラがなだめるもシカト。ついにサクラがキレた。サクラはしゃーんなろーと叫びながら二人を置いて向かってくる大蛇にグーで地面に殴りつけた。

途端にドゴォオンという地面のひび割れとともに大蛇はべきゃぼきという不愉快な音をたて肉が張り裂け目や口から血を流し地面に伏し、動かなくなった。

殴った本人は呆然と佇むナルトとサスケの前に戻り一言言った。

 

「あんた達いい加減にしなさいよ?あの蛇みたいに私に殺されたくなきゃ動け馬鹿どもがっ‼︎」

 

「は、はい…。」

「動けったってあんな敵にどうやって勝つんだよ…。」

 

ナルトは素直にビビりながらうなづくもサスケは納得いかずというような顔をして言った。

 

「勝たないわよ。逃げるに決まってんでしょあんな化け物。勝てるわけない。逃げる方法考えんのよ。ってきゃあ!」

 

「敵の前で堂々と相談とは…。私も随分舐められたものね。」

 

「っサクラちゃん!」

「サクラ!」

 

サクラの体に蛇が巻きつく。先ほどまで思わぬサクラの力に呆気にとられていた敵だがすぐに覚醒しあの小娘からやろうと蛇を送りつけ体に巻きつかせた。これであの小娘は動けない。絞め殺してしまおう。そしてゆっくりとサスケくんと向き合えるわけだ。

 

「さぁ、サスケくん。これからがほんば」

「ふん‼︎‼︎」

 

「…あなた本当に下忍?」

 

サクラが鼻息を荒くさせ腕に力をいれ思いっきり蛇を引きちぎった。サクラの服に蛇の血や肉の塊がへばりつく。敵は少し驚いてサクラを見る。この蛇は他でもない自分が鍛えあげた蛇だ。そんじょそこらの馬鹿力じゃあ引きちぎるなんてあり得ない。

サクラは当然のごとく引きちぎりそして感想を言った。

 

「やーん、服汚れちゃった…。」

 

「サクラちゃん。一体どこまで強くなってるんだってばよ…。」

「サクラお前言動と態度が全然あってないぞ…。」

 

冷静にサクラに突っ込む二人。もう目の前の敵に対して慌てふためく様子もない。敵は眉をひそめとたる同期を思い出した。綱手もこんな子だったと。

 

「あなた蛇に対してきびしいんじゃないかしら?無残な殺し方するのね。」

 

「嫌だな私蛇は大好き。だって焼いたら意外にも凄く美味しいのよ。サバイバルの時塩をかけただけでも美味しかった。これだけ蛇があれば3人で5日間は持つ。ラッキー。」

 

「あなたとんだ野生児ね。そんな女ならあんな力持ってても不思議じゃないわよ。」

 

「それはどうも。」

 

「そろそろ無駄話も止めにして行こうかしら?まずは貴方から。」

 

「あら?無駄話じゃないけれど。私にとっては。」

 

「何を言って…」

 

「うぉりゃあああああ‼︎‼︎」

 

サクラがニヤリと笑い敵が顔を歪めた時、30人のナルトが背後から勢いよく拳を振りかざす。それを敵はなんだそんなことと煩わしく思いながら、さっと避けそのままナルトを殴る。ボフンボフンと音を立ててナルトは消えていく。サスケがその間苦無を投げつけ全て避けられた。敵はなおナルトを殴り続けたが、とあることに気づいた。この糸は何?いつの間にか敵の周りには糸が張り巡らされついた。敵が気づいた瞬間サスケがとある術を発動した。

 

「火遁 龍火の術‼︎」

 

瞬間辺り一面は糸を通り炎に巻き込まれた。サスケはかわされることだろうとよみ苦無に糸をたらし様々な所に罠をはった。そしてその糸が充分張り巡らされ、またサクラがよく燃える液体を周辺の木に撒けば、あっという間に敵は炎に閉じ込められる。

 

影分身を送り続け、うまくいったと喜ぶナルトにサクラがさっさと逃げるわよと叫ぶ。しかしそれは束の間の喜ぴだった。

 

「なかなかやるじゃない。」

 

ナルトの背後から怪我もない綺麗な敵が現れナルトを思い切り殴る。そして手刀をいれ気絶させそのまま木の上から地面に投げた。

サクラは急いでナルトの元へ行き地面に落ちる前に受け止める。

ホッとしたサクラはナルトを地面に置こうとした。その瞬間サクラの足に鈍い痛みが走る。

 

「うぁあ!」

 

「サクラっっ‼︎」

 

サスケの声を聞き、足元を見れば敵の苦無が刺さっていた。なんともシンプルなやり方。しかし気がつかなかった。

すぐに苦無を抜くが、抜いた瞬間ふらりと倒れ、視界がぼやける。

サクラはまさかと頭の上で仮説を立てる。そしてその仮説はあたった。

 

「あなたはやく解毒しないと死んじゃうかもね?」

 

ニコリと無機質に笑う敵にサクラはぞっとし、急いで足に医療忍術をかける。すると敵はあなたそんなこともできるのねと驚いていた。けれどすぐに興味はサスケに移る。サスケの目には写輪眼が写っていた。敵は興奮した様子でサスケの目を高揚した様子で見つめる。

 

「ああ、それよそれ。それが欲しかったの私。」

 

「ふざけるなっ‼︎」

 

「ふふでも残念。そろそろつけちゃおうかな。呪印。」

 

そう言うと敵の雰囲気が変わった。

サスケはびくりと動かなくなり、サクラは上から漏れ出す殺気に怯える。

敵はゆっくりとサスケに近づく。

そして口元をサスケの首に近き、今まさに口を開いたその時、体の動きが止まった。

 

「へいへいへーい。大蛇丸様。

うちの子に手だしちゃダメだよ。殺しちゃうよ?」

 

手を振り腰を振りダメよーと目の前で×を作ってみる。ちなみに背後から影縛りしてるから大蛇丸も僕と一緒に動いている。ぶっちゃけめっちゃ面白い。大蛇丸からもう溢れんばかりの殺気を頂いちゃってるが気にしない方向でいこう。うん。

ちなみに僕は後ろにいるから姿形は分からないから後からつけ狙われる必要はない。のに。

 

「マサキっ?!」

「なんでお前ここにっ‼︎違う班だろ!」

 

「はっはっは。お前ら本当ありがとうなことしてくれるね!」

 

残念ながら心の思うまま素直に従う少年少女達には僕の完璧な作戦はわからないらしい。情報ダダ漏れ。お前らのせいでもう色々台無しだよ。大蛇丸はマサキって誰かしら…?どうして私を知ってるのと愚痴愚痴うるさい。

 

「うるさい若作りババァだな。いやじじぃ?木の葉の里捨てたくせにわざわざ戻ってきて…どのツラ下げて戻ってきたんですか?しかも君が欲しいとかサスケの体狙ちゃって…生憎口うるさいババァとジジィと変態は木の葉にはもう吐き捨てるぐらいいるので貴方のお似合いの洞穴に戻って不死の忍術でもずっと病気のように求めてくださいませ大蛇丸様?」

 

「あなた…色々知ってそうね。ちょっと…お話したいわ。」

 

「お前へと話すことなんかねーよ。さっさと自然に帰りなじーさんもとい大蛇丸様。」

 

すると殺気がさらに膨れ上がる。あーちょっとおちょくりすぎたかもな。反省反省。

僕の術への抵抗が半端ないや。持って後何分だろ?

言葉では余裕なことを言っても体は正直。震えが止まんないぜ!そして額から汗がっ!

ふざけてる場合ではないので、とりあえずバカ2人に話しかける。

 

「サクラ、サスケ。逃げな。

こいつはお前らが敵う相手じゃねー。正直足手まとい。」

 

「…あんた一人、置いてけるはずないでしょ?!」

「そうだ!そもそもお前が強いと言っても下忍だろーが!」

「そうよ!あんた下忍なのに!」

 

「あっそ。じゃあこれなら納得?」

 

ボフンと今までずっとかけていた変化の術をとく。髪がさらりと流れ身長は伸びぱっちりお目に白い肌。性別も乗り越え美少女に変身!奈良シカミです!…と自己紹介するわけじゃないけれど、呆気なく変化をとく。ぶっちゃけこの場で納得させるためだけにとくのはあり得ないが、この非常事態でこの目の前の敵を変化しながら今尚影真似するにはチャクラの消費が激しすぎる。故に今とくしかない。納得いかないけど。

サクラは怪訝な表情をする。よくわかってないんだろう。まぁわかんないよね。いきなり男から女に変わってこれで納得しろってのは。一方サスケは驚きの表情を浮かべる。僕を知ってる分はやく頭の中に入ってきたのかな。

 

「な、おま、え、シ」

 

「はーいじゃあ後はサスケに聞いてね!ちなみに暗部にいた僕には余裕だから!あとサスケ!後から色々聞いてあげるからひとまず此処は空気よんでさって、んじゃばいばーい。」

 

サスケがまた情報を話しそうになったので僕は被せるように話す。

僕の味方はいないのかここに。

サスケはハッとしてサクラとナルトを連れ何処かへと去っていった。サクラはチラチラと此方を見てサスケに話しかけるがシカトされてた。どんまい!

 

「さて…どうしようかな。」

 

色々考えてきたんだけど、思ったより抵抗激しくて今まさに術がとけそうだ。やばいやばい。

焦っていると大蛇丸が僕に話しかける。

 

「…影真似の術にその声。あんた奈良シカミね。あの時のクソガキ。あんたやっぱりあの時殺しておけばよかったわ。」

 

まぁバレるだろうと思ったけれども!そんな殺すだなんて殺生な!

 

「そんなつれないこと、言わないでくださいよー。泣いちゃいますよ?」

 

「よく鳴いて楽しませてくれないと嫌よ?」

 

「いやまじ変態かよ、って、やっべ、まじ限界。大蛇丸様…半端ねーわ流石。」

 

「まぁね。」

 

僕が限界と言って影真似の術を解いた瞬間大蛇丸が避ける暇もなく首元に迫ってきて思い切り噛み付いた。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。