NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。   作:柚子ゴル

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第二十三話

 

 

 

「あんの変態上忍!なんでいつも当たり前の如く遅刻してくるわけ?!

私は変化してるから姿形は完璧だけどこの炎天下の中なんでこんな何もせず立ってなきゃいけないのよ!ふざけんじゃないわよ!」

 

「そうだそうだ!俺ってば今日遅刻するかと思って、歯も磨いてないってばよ!」

 

「あんたそれは汚いわよ…」

 

「やっぱり…?」

 

「お前らなんでそんな朝から元気でいられるんだよ…。」

 

「本当だね。」

 

今日も今日とて元気な第七班。

いつも通りサクラがイラつきナルトが同調し、サスケが呆れ、ぼくはシカマルの写真を見る。

カカシは相変わらず時間通りに現れずジリジリと暑い炎天下の中、何もすることがなくうだっていた。

あまりにもすることがなく、ナルトがサクラに話しかける。

 

「そういえばさー、サクラちゃん。

どうやってあんなに破壊力のある力出してるんだってば?」

 

サクラはこの暑さを紛らわせようとその話題に乗った。

 

「まぁ一部分は自分の筋力だけど、ほとんどチャクラコントロールかな。チャクラコントロールで一部分だけ強化するのよ。」

 

サクラは人差し指を立てナルトに答える。ふむと考えているようなナルトは恐る恐る質問する。

 

「そ、それって俺にも出来る?」

 

するとサクラは容赦なく手でバツを作り言った。

 

「あんたには無理!すっごい繊細な技なんだから!」

(まぁ私はチャクラがナルト達より少ないからやりやすいだけだけど…。)

 

サクラはナルトの返事を聞かずに続けた。

 

「チャクラコントロールが上手く出来れば色んな可能性が出てくるけどね。医療忍術が出来たりチャクラ糸を出せたり技の配分も無駄なくチャクラを使える様になる!

チャクラコントロールの素晴らしさがわかった?」

 

「わ、わかったけど使えねぇんじゃあそんな素晴らしさ語られても悔しいだけだってばよ!」

 

ナルトは地団駄を踏み、師匠であるはずのマサキに訴える。

 

「マサキー!師匠なら、サクラちゃんばっか構わないでなんか俺にもあう術教えろってばよ!」

 

「それは同感だな。俺にもそろそろ教えろ。」

 

話を横で聞いていたサスケもいきなりナルトの話に同調する。

 

「えー…。」

 

シカマルの写真を見ていたのに、ナルトといきなり入ってきたサスケが絡んできてうざかったから、溜息を吐いた後仕方なく写真から目を離さず答えてあげる。

 

「ナルトとサスケはこう…派手な術が似合うよ。僕派手な術なんて持ってないから。だからカカシにでも教えてもらいなよ。」

 

「呼んだ?」

 

下忍が答える間も無くボフンと音を立て僕の前に表われたのは、約二時間半遅刻したカカシ。

僕の前で目を細めにこやかにいるカカシ。

遅刻していたのにも関わらず平気そうな顔をしているカカシ。

 

(こいつ本当どうしようもない奴だな…。)

 

「ちょっとカカシ先生!

遅れてくるなんて大人としてどうなわけ?!」

 

「いやー、サクラ。ごめんごめん。

今日は目の前に大きい荷物を背負ったおばあちゃんがいて…」

 

「「はい!嘘!」」

 

ナルトとサクラの声が被る。

サクラは本当に怒っていて今にも殴りかかりそうだ。

 

「まぁまぁ、そんな怒んないでよー。あ、それとお前等を中忍試験に推薦しといたから。」

 

カカシの言葉にピタリと動きが止まる第七班。

ナルトがまた嘘とか言うんだろどうせと呟くとカカシは嘆願書を取り出し、本当だと言う事が分かった。

 

「わーい!カカシ先生大好き!」

 

「ふん…。強い奴らが沢山来るわけか…。」

 

「ほ、本当なんだ…。」

 

ナルトがカカシに抱きつこうとするも、カカシはひらりとそれを避ける。サスケは嬉しそうに含み笑いをし、サクラは呆然としていた。

僕はカカシに近寄られ、後で火影邸に行けとの伝言を言われた。

何故呼ばれるかよくわからなかったけど、じじぃは暇だからお茶の相手とかかな。迷惑なジジィだ。

 

✳︎

 

その帰り道、珍しく四人で帰っていた。話題は中忍試験で持ちきりだ。

サスケとナルトはいろんなやつと対戦出来るから顔の表情が嬉々としている。僕は僕でやっとシカマルの役に立てるから楽しみだ。

一方サクラは浮かない顔をしていた。サクラにお熱なナルトは気付き話しかける。

 

「どうしたんだってはサクラちゃん。元気なさそーな感じで…。」

 

「え…。い、いやなんでもないの。」

 

驚いた顔をしたサクラにナルトはまた質問する。

 

「俺は元気なサクラちゃんが好きだから。…何かあるなら言って欲しいってばよ…。」

 

ナルトがサクラの顔を真っ直ぐ見ながら言う。真っ直ぐな目に何故か心がぐらりとなりながら、サクラは心の中にある胸のうちを話し始めた。

 

「ナルトありがとう…。私はさ、波の国とかで何も出来なかったじゃない。そんな私が中忍試験なんて大丈夫なのかなって…。」

 

下を向きながら言うサクラ。

それに今まで黙っていたサスケが答える。

 

「お前の力や医療忍術、ノウハウは下忍の中でも飛び抜けてる。正直全力を出したお前に勝てるかどうかは俺にもわからない。お前は波の国から変わった。ドベなんかより上だ。」

 

「サスケくん…」

「何だとサスケ?!てか何気に美味しいとこ持ってってんじゃねーよクソ!」

 

ポッと頬を染めているサクラを見たナルトは慌ててサスケにつっかかる。

僕はそれを見ながらサクラに話しかける。

 

「僕とガイがつけた修行を思えば自然と自信がつくはずなんだけど?」

 

「……それもそうね。」

 

ふふっと笑うサクラにマサキも無意識に微笑む。

サクラは未だ言い合っているナルトとサスケの肩を叩き拳を空へ掲げた。それに伴い自然と意気込みを言って拳を掲げた。

 

「絶対中忍試験、受かるわよ‼︎」

 

「おう!」

 

「ふん、当たり前だ。」

 

「嗚呼シカマルを助けるべく!頑張ろう自分頑張れ自分!」

 

「「「シカマルは助けなくていい!」」」

 

三人が仲良くツッコんでくる。

チームワークは最初の頃に比べ段違いに良くなってる。サスケはサクラの事を強いものと認めているし、サクラはサクラで最近サスケの事をあまり恋愛的な目線で見なくなった。サクラの目線は仲間的な目線だ。そりゃサスケレベルのイケメンは目の保養になるけど、昔ほどは燃えていない。修行をしている方が楽しいとサクラは言っていた。

ナルトとサスケは原作ほど仲が悪くはない。サスケはナルトに厳しいけれど、ナルトだって日々進化している。今の実力ではサスケの方が圧倒的に上だけどナルトはいつか絶対的なライバルになる。

本当にいいチームだと思う。

そしてそんな三人だからこそ僕がふざけた事をしても、大丈夫だ。

シカマルのところにいっても大丈夫だろう。

 

僕はその時、そう思っていた。

でも、人生はそんなに上手くはいかない。人生ハプニングがあるからこそ楽しいんだなんて言葉、所詮は偽善だと思う。

 

 

✳︎

 

 

「中忍試験に出られない…?」

 

「ああ、当たり前じゃろう。」

 

 

カカシからの伝言で火影室によると火影のジジィがありえない話をしてきた。内容は僕は第七班の班員として中忍試験には出られない、という事だった。

僕は火影室の机を思い切り叩いた。バンッと小気味良い音がなり少しばかりヒビが入る。

 

「なんで出られないの?!

僕はその日のために頑張ってきたようなものなのに!」

 

「お主が第七班の班員として、出られるとは一言を言ってないじゃろーが!

そもそも…、スリーマンセルが基本の中忍試験でフォーマンセルはいろいろ都合が悪いし他の班より優位になってしまう。しかも上忍であるはずのお前が出るのは大問題じゃ!」

 

「んなもんどーでもいーよ!

てゆうか、中忍試験こそ危ないでしょ!監視いるでしょ!色んな里の奴らが来るのに‼︎必要でしょ!受験者と同じ立場の人は必要でしょ!」

 

「ああ、ああ、わかっとるわ!

いいから落ち着きなさい。

何も中忍試験に出るなとは言っていない。第七班の班員としては出るなと言うてるんじゃ。」

 

「|は?じゃあ僕は違う人と出るの?誰か他に一緒に出んの?

2人必要になるけど、何、暗部?」

 

「まぁ実際に会った方が早いじゃろ。

二人とも、入ってきなさい。」

 

「「はい。」」

 

「お久しぶりです。

シカミさん。火影様に僕等を紹介してくれたぶりですね!」

 

「てめぇは相変わらずうるせーやつだな。」

 

聞き覚えのある声に後ろを見れば、そこには久しぶりに見る白の姿と、あまり見慣れない魂は再不斬の白より少し高い少年がいた。顔は白に負けないぐらい整っているが、髪が白くボサボサしているのと目付きは鋭いのが印象深い。名前は黒葛。

ふと思い出すのはそう遠くない過去の出来事だ。

 

✳︎

 

 

大分前に一つの凍らせた死体をもって僕の元へ来た白と小鬼の人形の再不斬。

死体を持つ表情やその扱い方といい、自分の為に無理矢理殺したようにはとても見えなかった。再不斬も人形の表情こそ変わらないけれど、その黒いつぶらな瞳に確かな覚悟があった。

 

(てっきりその辺の才能がありそうな奴を殺して持って来ると思ったのに。)

 

その辺は深く探りを入れない。所詮僕と再不斬達は仲間でもなんでもないのだから。

僕は何も聞かず、空也に頼んだ。再不斬の魂をこの少年に入れて欲しいと。空也は軽く返事をし、魂を操る。再不斬の魂は荒療治を繰り返しているので少しばかり輝きが薄い。白には何も見えていないようで、ソワソワしながら見ている。魂の出し入れは本当に神経を使うらしくいつもうるさい空也の額に汗が浸る。

一通りの事をやり、再不斬の魂を少年に入れる事を成功した。一週間もすれば目を覚ますだろうが、その時何が起こるかはわからない。前回の事から、案外だらしなく、忍びらしくなくなっちゃうかもね、と軽口を叩けば白は真面目な顔をして話してきた。

 

「実は大切な話があるんです。

昔、貴方は僕に木の葉に来いと言いました。あれはまだ可能ですか?」

 

「あれ、再不斬はほっぽいちゃうの?」

 

僕がわざとらしくとぼけ、再不斬を指差す。白は煩わしそうにしながらも答えた。白は原作ではとても良い子だけどなんだか僕に冷たいイメージを与えて来る。確かに僕は嘘をついて騙したり、白の存在意義を一度なくし、からかったり、再不斬を見殺しにさせたりいろいろしたけれどそんなあからさまに態度に出さなくてもいいじゃないか!…と思ったけど僕いろいろやらかしてるな…。

 

「いえ、再不斬さんもです。僕は再不斬さんが行くところについて行きます。…。この旅の中でいろいろな事がありました。その結果僕等は話し合い、何処かの里に属す事にしたんです。」

 

思考を元に戻し、白に答える。

 

「なるほど。それで顔見知りがいる里の方が簡単に事が運ぶってところ?」

 

「まぁ、それもあります。」

 

答えなどもう決まっているがあえて考える素振りをしてみる。

 

「う〜ん、そりゃ白は来て欲しいけど、再不斬ははなぁ。再不斬は身体全く違うわけじゃん?弱いんじゃないの。僕としては、暗部として活躍して欲しいんだよね、暗部は万年人事不足だからね。」

 

「その件については、なんとも言えませんが、この子のチャクラ系統は水です。だから再不斬さんもきっと大丈夫です。慣れるまで時間がかかるかもしれませんが…。」

 

白は死体であった物体を見ながら言う。何か考えているようにも見えるのでおそらくこの死体であった子の事でも考えているのだろう。

僕はそんな事御構い無しで考えを伝える。

 

「う〜ん、じゃあもう下忍から始めるしかないね。」

 

「え?」

 

「僕が外の任務の時、とある集落が襲われてそこの生き残りが白に再不斬だった。白は血継限界持ちだし、狙われると危ないから連れて帰って来た。うん、それでいこう。」

 

確かに最初は暗部に行って欲しかったけれど、再不斬を見殺しにした時からそれは考えていなかった。暗部にするならば別に見殺しにする必要もなかったのだけれど、カカシを騙せないと思ったからね。

白はボーッとあの時のことを思い出していた僕に再度話しかける。

 

「あ、あの、じゃあ木の葉に行ってもいいんですか?」

 

「まぁ、そこは二人の演技力次第だよね。実際決断が出せるのは火影のジジィだけど。」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「とりあえず、再不斬の後遺症を見てからだね。」

 

 

✳︎

 

あの後、再不斬の後遺症は特になく、いやあったといえばあったがそこまで気にする必要のない事だ。

2人を火影のジジィに会わせてみると事はトントン拍子ですぐに決まった。こういう事はよくあるらしく、その様な道を進んできたものは復讐のためか力を望む事が多い。

火影はそのためハイリスクを覆うのだが、人がいいという噂のジジィは承諾をしてしまう。

そういえば、その日以来かもしれない。2人に会うのは。

 

 

「あれー、白に黒葛じゃん。

え?何、一緒ってこいつらと中忍試験?」

 

「そうじゃ、実力的にいえば中忍を遥かに超えているからな。

なるべくはやく上に上がりたいと本人たちも望んでおる。」

 

「じゃあ僕は普通に出られる訳だ。よかった。」

 

「あくまでお主は監視じゃ。問題が起こらない様に見とればいい。お願いだからお主自身が問題を起こしてくれるなよ?」

 

「分かってる、分かってる!それじゃあ僕はこれで!明日の準備をしなくちゃ。失礼します!」

 

そう言ってシカミは火影邸を去った。嵐のようなシカミが去った事で部屋は静まり返り、火影の溜息が目立つ。それをジッと見つめる二人に火影は言った。

 

「はぁ…、大変だと思うが白、黒葛。頼むぞ。」

 

「分かってる。」

「分かってます。」

 

二人は首を動かし火影に返事をした。

 

 

 





いつか白と再不斬と黒葛の出会いと経緯の番外編を作りたいなぁ…。

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