NARUTOの奈良家に転生トリップしたらブラコンになった。   作:柚子ゴル

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番外編 カカシとシカミのデートの記憶

 

 

今日も今日とてDランク任務に勤しんでいる第七班。黄色とピンクと黒と銀。それと僕、奈良シカミ。

今日の任務内容は川の掃除だった。

カカシはそばでその様子を見ているだけだったが、下忍は働いていた。

勿論、僕もきちんと川の掃除をしている。

僕の家は森を守ってたりするし、僕自身自然が割と好きなので、川の掃除をするのは苦ではない。綺麗になった川を見るのは悪くはないし。

ただ、鬱陶しいのが、サスケからの視線だ。

サクラは順調に体力は付いてきてるし、チャクラ量も増えた。

水の上も走れるようになったし、影分身を覚えさせ、効率化を図った。

多重影分身は流石に出来なかったけれどサクラは確実に強くなっている。

そんなサクラの様子を見たサスケは自分も修行をつけて欲しいと目で訴えてきている。

ナルトも抗議してきたが、面倒くさいので優しく返す。

 

「変化もろくに出来ないクソガキが。

レベル上がってから物を言え。」

 

と、優しく話しかけた所、ナルトはなんで俺だけこんな扱い?!と泣き叫んでいる。

 

川掃除もひと段落つき、僕らは休んでいた。

するとサスケは此方に近寄ってきて言った。

 

「俺にも修行をつけてくれ。」

 

しっかりと目を見て話すサスケには悪いが、つける気など全くない。

そもそも九尾とうちはに修行をつけるなんてそんな面倒くさい事になりそうなのはごめんだ。

 

「や、普通に無理。」

 

「何故だ?!サクラが良くて何故俺が駄目なんだっ!」

 

あまりにもうるさいから少し離れるとサスケは付いてきた。

 

「は?何なに、ストーカーですか?」

 

「っ違う!

俺にも修行をしろ!

いや、してください!」

 

僕は何度も断るがあまりにもしつこいので川の中に蹴り落とした。それでも這い上がってお願いしてくる。なんて面倒くさいやつ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ズルいってばよ…。」

 

「何がよ。」

 

マサキに蹴り飛ばされているサスケを見ながら、ナルトとサクラとカカシは話していた。

 

「サクラちゃんはちゃんとした修行つけてもらってズリー!

俺はなんで変化の術!

俺もサクラちゃんみたいに修行つけて貰いたいってばよ。」

 

「あんたね、地獄を見ることになるわよ。」

 

サクラは遠い目をしながら今している修行を思い出す。

余りにも膨大な修行量で最初は全く動けなかったが、一週間もすれば慣れてしまった。

修行をするのに必死で、自分の肉体の事を気にしていなかったが、ふとした時、お腹を見てみると…、われていた。

驚いて足や腕を見ると筋肉という筋肉がついており、絶望したが、それに伴い身長も何故か急激に伸び、肩幅も広がった。

簡単に言えばゴツくなったのだ。

それをマサキに嘆けば、マサキは笑顔で可愛らしいアクセサリーを渡してきた。

 

「サクラには漫画の法則が通じなくてゴツくなってるからこれあげる。

これね、僕が作った封印術みたいなもの。これがあればゴツいの隠せるし、前のサクラみたいに華奢になれるよ。

勿論それを外したら本当のサクラが現れるわけだけど!」

 

笑顔でゴツい発言をするマサキに殺意が湧いたが、そのアクセサリーをつけると本当に華奢な、もとの自分に戻った。

喜んでいたのだが、最近アクセサリーをつけているにも関わらず、何故かお腹がわれてきた。腕や足も太くなってきている。

全く笑えない。何故ならアクセサリーでは抑えられないくらい自分の身体を鍛えられているのか。

アクセサリーを外せば自分がどうなるかなんてわからない。

今最大の恐怖はそこだ。私はどこまでゴツくなっているのか。

 

「あんたにはわかんないでしょーね。

乙女の悩みなんて…。」

 

「サ、サクラちゃん…。」

 

遠い目をしているサクラに戸惑いナルトはつい地雷を踏んだ。

 

「で、でも!

確かに強くなってるってばよ!

力とかこの班で一番強いし見た目一番筋肉ついて…」

 

ナルトが言い終わる前に、サクラはナルトへ近付く。

 

「サ、サクラちゃん?」

 

ナルトは思わず後ずさる。

川沿いから少し外れナルトの後ろには大きな木があり、行き止まりになる。

サクラはゆっくりとナルトに近づきそっとその木に手を置く。

側から見れば、所謂壁ドンに見えて、ナルトは好きな女子があまりにも近い距離にいるのでドキドキしていると、サクラはドスの効いた声で囁いた。

 

「次言ったら殺すわよナルト。」

 

そういってサクラは木を軽く殴る。

すると、木はヒビが入りナルトの辺りに木屑が舞う。

ナルトはひっと小さな悲鳴をあげ、隣にあるサクラの腕を見ると、筋肉があり逞しく、自分の腕がかよわく、細いと感じるほど力強かった。

それを見た瞬間ナルトは先ほどとは違うドキドキを感じた。このドキドキは、恐怖。

すぐさま謝るとサクラは手をどかし自分も悪かったと謝る。

サクラには逆らえないと悟るナルトだった。

 

「まぁまぁサクラ。

落ちついて。」

 

その出来事を見ていた第七班の担当上忍は、サクラをなだめる。

しかし、ぐるりとカカシの方を向いたサクラは叫んだ。

 

「ムキムキのくノ一なんて見たことないわよ!それにサスケくんに嫌われちゃうじゃない!

好きな人がいない先生には分かんないだろうけど!」

 

「いや、いるよ?何十年も恋してる相手はね。」

 

「「…え?!」 」

 

カカシがなんともなく言ったこの言葉にナルトとサクラが反応した。

 

「誰?誰?!」

 

「ねぇねぇ、それってば俺の知っている人だってばよ?!」

 

「んー、内緒。」

 

「えー!いいじゃん!

教えてくれってば!先生!」

 

「てか、付き合ったりしてるの?!」

 

先程の様子からは想像出来ないぐらいテンションが上がっている二人に、呆れながら話す。

 

「してないよ。その人には凄く好きな人がいるから。」

 

「…なんか切ないってば。」

 

「片思い…!大丈夫よ!奪っちゃいなさいよ先生!」

 

「んー、奪うっていっても弟さんだからなぁ。それは。」

 

ガクっとうだる様子のナルトとサクラはボソリと呟く。

 

「「弟かよ。」」

 

「あ、でもこの間デートの約束をしたんだよね!」

 

嬉しそうに話すカカシにナルトとサクラはなんだか胸がソワソワした。

 

「何よー。なんだかんだ言ってもデートする仲なら大丈夫よ先生。」

 

「ちなみに何回めなんだ?」

 

「二回目。」

 

「…え?

何十年近くも好きなのに二回目?」

 

サクラは思わず突っ込む。アプローチが足りないのでないかと。

 

「何百回と誘ってようやく二回目だ。

凄く嬉しいよ。

一回目は、弟と行く下見として俺と二人で出かけたよ。ドタキャンされないか不安だったけど大丈夫だった。

二回目は、賭けに勝ったから、してくれるって…。約束した!

でも、いつ行くかは一向に教えてくれないけど…。」

 

「「………。」」

 

ナルトとサクラは黙る。

何百回誘っても二回?いやまだしていないから一回。

しかも、一回目はデートと言えるのだろうか。悲しくはないのだろうか。

いや、これほど喜んでいるのだから、それはデートではないと言うのはやめよう。

サクラは話を逸らすため、一回目のデートの雰囲気を聞いた。

 

「で、実際どうだったんですか?デート。」

 

その問いにふと、カカシは思い出した。

帰りの夜空で話していた事を。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

シカマルを理由にシカミを誘い出し、シカマルが好きそうな、つまりシカミが好きな場所を考え、デートに誘った。

きっとまた駄目だろうと考えていると、予想外な事にシカミからOKが出た。

有頂天に舞い上がりとにかく計画を練りに練った。

柄にもなく、愛しの彼女を振り向かせる言葉、などの雑誌を読み漁り準備万端にデートをした。

これで少しは俺に振り向いてくれる…と希望を持ちワクワクしながらデートをした。

が、シカミはシカミだった。

いつもシカマルの事を考え、シカマルはこれが好きそうだとか、シカマルにお土産を買っていくだとか常にシカマルシカマルだ。

予想していた事だが、流石としか言いようがなく、訳もわからず笑った。なんともシカミらしい。

出会った頃と変わらずシカマル一筋だ。それに心底ホッとする。忍びなのだから、いろいろな任務を受けてきて変わるやつなんて沢山いる。

しかし、シカミは変わらない。変わらずにずっとシカマル命だ。

 

あたりもすっかり暗くなり、星が沢山見える絶景ポイントにシカミを連れて来た。シカミは自然が好きだし、綺麗なものが好きという極普通の女らしい一面も持ち合わせている。

わぁ、と笑顔でいるシカミを見てドキドキしながら、何度も読んだ雑誌の中の女を喜ばせる言葉を言った。

 

「この満点の星空の様に、俺の中でシカミは輝いて見えるよ。」

 

今思えば、ありえないぐらい恥ずかしく、なんでそんな馬鹿な事を言ったのかわからない。

柄にもない事過ぎるので顔は真っ赤になっているが、此処は暗闇。

相手に見えはしない。

しっかりとシカミの方を見ていると、シカミは言った。

 

「僕の中のシカマルは、ここの星空だけじゃ表せないぐらい輝いてるよ。

この地球の外の星空を全部全部足してようやく足りるぐらい。」

 

カカシの決死の想いはシカミには伝わらなかった。

カカシは予想以上のシカマルへの愛に愕然としながらも、耳はまだ傾ける。

 

「星ひとつに、シカマルシカマル。」

 

「それはちょっと怖いよシカミ。」

 

「うるさいな。とても綺麗な星空だ。

詩でも残したくなるだろ。」

 

「詩?今の詩なの?」

 

「星を数える夜の一部分を改造した。

まぁ、改造っていってもシカマルの部分だけだけど。」

 

「星を数える夜?そんなのあったかな。」

 

「まぁ、知らないと思うよ。僕以外。」

 

「ふーん…。ねぇシカミ。」

 

「何?」

 

「その数え切れない程の星の中、シカマル以外の星はないの?」

 

「ん…と。」

 

「例えば俺の星とかはな…」

 

「ない。」

 

まだ言いおえていないのに、即答して答えるシカミにショックを隠しきれなかった。

いないだろうなとは思ったけどそんな即答しなくても!

 

「悲しい!めっちゃ悲しい!境外なの?!」

 

「本当煩いな…。

でも…他の星か…。」

 

どうせないのだから、そんな考えなくてもいいと思ったカカシだが、悩んでいるシカミも可愛いのでおとなしく見つめる。

すると、シカミは一つの星に指をさした。その星を見ると、別段特別に輝きを放っているのではなく、途切れ途切れは輝き、なんだか気になる。

 

「あれ…。」

 

再び、シカミの顔を見ると、目を細め、なんだか切なく愛らしそうな複雑な表情をしていた。自分の胸がどきりと波打つ。

目が離せなかった。

今まで自分はこんな表情のシカミを見たことがなかった。

シカマルを見ている時のあからさまに嬉々とした顔ではなく、ましてや、その他に向ける侮辱やガッカリしていたり、イラついている負の表情ではない。

こんな……大人な女の表情は誰に向けてもいない。

しかし、次の言葉で更に自分は驚く事になった。

 

 

 

「あれは…、イタチかな…。」

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

シカミをデートに誘う時に起こった最近の出来事は、うちはイタチの里抜けだ。

イタチと仲の良かったシカミは悲しんでいると思っていたが、普段通りシカマルシカマル状態だったから、別段なんとも思っていないのだと思っていた。

しかし、シカミはきっとイタチの事を気に入っていたんだ。

だから、星一つ。入る事が許された。

激しく嫉妬をした。

自分の方がはやく会っているのに、なんでイタチなんだと。

シカミは会った時から変わっていた。シカマルへの愛の裏にイタチへの愛も出来ていたのだ。

それに、里抜けをしてうちはを滅ぼしたとしてもその愛は変わらない。

嫉妬で頭が狂いそうになったが、カカシは考えた。

里にはいないイタチより、自分の方が有利だと。

そう思えば頑張れる。絶対に負けたくはない。シカミに愛されたい。

 

それから、幾度となくデートに誘ったけれど断られた。

だけど、カカシはあきらめなかった。その甲斐あってか、二回目のデートが出来る事になった。

 

…また聞こう。

今度は誰が星一つ、入れるか。

自分は入っているだろうか。

 

カカシは期待に胸を膨らませた。

 

 

ーーーーーーー

 

 

「ちょっと先生!

いい加減に無視すんじゃないわよ!」

 

「待つってばよ!サクラちゃん!落ちついて!」

 

ふと、気がつくとサクラが俺を殴ろうとしていて、ナルトがそれを止めている。

考え事をしていたせいかボーっとしていたそうだ。

 

「悪い悪い。

…で、何だっけ?」

 

「だから!その一回目のデートはどうだったんですか?!」

 

答えようとしたカカシだが、ナルトの声の方が先だった。

 

「あっ…!サクラちゃん!サスケがマサキに川の中で頭抑えられてる!」

 

「はっ?!

ちょっとマサキ!あんたサスケくんに何してんのよ!殺す気なの?!サスケ君のこと!」

 

見てみると、あまりにしつこいサスケに嫌気がさしたのか、マサキはサスケの頭を掴み川の中に突っ込んでいる。

ナルトとサクラはサスケの元に飛んで行った。

1人残されたカカシはボソリと呟く。

 

「楽しかったけど、少し…切なかったかな。」

 

カカシは騒いでいる四人の元に仲裁をするため歩き出した。

 

 


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